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第一章 外れスキル

121.スキルツリー解放

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 あれから元冒険者のフェーズの依頼には孤児院からリハビリスキル三人組やスキル【介護福祉士】が同席したりしてバタバタと日常が過ぎていった。

 そして気づいた頃には医療ポイントが400溜まったのだ。

「中々400貯めるのも根気がいるな」

 ここまで来るのに結構日数が掛かったのだ。

――――――――――――――――――――

《スキル》
固有スキル【理学療法】
医療ポイント:400
回復ポイント:1
Lv.1 慈愛の心、従順の心、支援の心
Lv.2 異次元医療鞄
Lv.3 水治療法 
Lv.4 ????
Lv.5 ????

――――――――――――――――――――

 ちなみに今のスキルツリーはこのようになっている。回復ポイントはマルクスの治療が終えた時のポイントだ。

「待ちに待ったスキルツリーの解放お願いします」

 俺は天に入ってからスキルツリーを解放させた。次も使えるスキルが来ることを祈った。

――――――――――――――――――――

《スキル》
固有スキル【理学療法】
医療ポイント:400
回復ポイント:1
Lv.1 慈愛の心、従順の心、支援の心
Lv.2 異次元医療鞄
Lv.3 水治療法
Lv.4 温熱療法
Lv.5 ????

――――――――――――――――――――

「あー、水治療法の次は温熱療法かー。思った通りの展開だな」

 ひょっとしたら似たようなスキルを覚えるのではかと思っていたら、まさかその通りになるとは期待を裏切らない展開だ。

 温熱療法とは熱を体表から当てることによって痛みの軽減や軟部組織の伸張性向上や循環の改善に用いられる治療法のことだ。

 簡単に言えば、筋肉を温めることで筋肉が解れて柔軟性が向上する。

 また熱による血管拡張に伴い、循環が解消され痛み物質が血液に流れていくとされている。

「でも欲しかったのはこいつじゃないんだよな」

 求めていたのは違うスキルだった。それは水治療法で行なっている、足湯と被っているからである。

 そもそも足湯でリラックスさせながら全身の循環を促進させ、緊張をほぐすようにしていた。

 そのため温熱療法は部分的に温めることができるだけで足湯と変わらない。

 実際ホットパックぐらいしか温熱療法を使ったことがなかった。

「とりあえず使ってみるか」

 俺は立ち上がり温熱療法を発動させた。

――ボゥ!

「うぉ!?」

 音とともに俺の手から火球が浮いていた。咄嗟に危ないと判断し、発動をキャンセルさせた後に急いで裏庭に向かう。

 やはり水治療法と同様に俺のスキルはどこかおかしいのだ。

 裏庭に着いた俺は再度気を取り直して温熱療法を発動させるとさっきと同様に火球が現れた。

 イメージとしては火の玉に近い感じだ。
 
 その火球を動かそうとすると、水治療法の水球と同様に自由度は高く、自身を中心に空中をクルクルと動かすことができた。

「水治療法の火属性バージョンってことか。しかし実用性がないよな……」

 水治療法はそのまま水治療法として使うことが出来るが、温熱療法をそのまま使うと大火傷をしてしまう。

 むしろ、温熱療法という名前だが温熱療法として使えなさそうだ。

「完璧に火属性魔法だね。ならあれは出来るのか……」

 そのままガスバーナーのように高出力・高火力が出来ないかと想像をしてみるが、そこは温熱療法のためできないようだ。

「やっぱり出来ないか。火炎放射器みたいに使えたら便利だろうけどな」

 ふと火炎放射器を思い出し、人差し指と親指立て拳銃のポーズを取ってみると何か温熱療法の発動の仕方に違和感を感じた。

――ボー!

 急に音の変化とともに人差し指の指先からガスバーナーのような火が出てきたのだ。

 それから親指を曲げたり、他の指を立てたりするが温熱療法の発動は関係無く、拳銃のポーズのみが高出力・高火力となっていた。

 突然あることを思い俺は調理場に向かった。ちょうど夜飯の仕込みをしていたのだ。

「今日ってお肉料理って出ますか?」

「あー、今日の夜はオークステーキの予定だぞ。ちょうど今仕込みが終わったところだ」

 オークの肉を見せてもらうと、牛肉よりは脂身が多く、ちょうど牛肉と豚肉の間のような肉だった。

「一つ準備をお願い」

 表にいるホーランから声をかけられ、ヨルムはステーキを調理しようとしていた。

「これで炙り調理ができそうだな」

 俺がふと思ったのは温熱療法を使った炙り調理だった。もはや温熱療法は関係ない。ただ、その場で炙ることができれば料理のレパートリーは増えるのだ。

「炙り調理ってなんだ?」

「火で表面を軽く火を通す調理方法だよ」

 俺はマッシュからオークの肉を受け取ると、そのまま火球バーナーで脂を落とすように焼いた。

「おー、脂が落ちるからあっさりしそうだな」

 オーク肉は他の魔物肉に比べて、脂が多いのがネックになっている。そのため焼いたステーキにされることが多いのだ。

――カラン!

 マッシュは炙ったオーク肉を食べてみると手が震えてフォークを落とした。

「上手い……上手いぞ!」

 すぐに新しいフォークを取り出すと気づいた時には完食していた。

「ヨルム、ステーキはまだ出来ないのか?」

「はぁ!?」

 ホーランの声が聞こえマッシュは意識を取り戻した。

 それだけ炙りオーク肉に衝撃を受けたのだろう。

 このスキルを見た時に俺の中で思いついたのは炙りサーモンだからな。異世界にサーモンはいるのだろうか。

「ケント、頼みがある」

 真剣な顔でマッシュは俺の顔を見ていた。

「言うと思いましたよ。全部炙ってから出せば良いんですよね」

「助かる! お代は宿一日分でどうだ?」

「んー、やることがあって忙しいからなー」

 俺はわざと悩むふりをすると、よほど客に食べさせたいのか、一日ずつ増えていき最終的に五日間の宿屋代金が無料となった。

 その日はラルフとマルクスも含め、食堂からは"美味い!"との声が鳴り止まなかった。

 俺は新しく"炙り調理"という魔法を覚えた。
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