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第一章 外れスキル

182.ラルフの覚悟 ※一部ラルフ視点

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 俺は訓練場に向かうと既にラルフとカタリーナは訓練場内で向き合っていた。

 カタリーナの魔法の腕はギルド内でも知られているため、周りにいた冒険者達は被害に遭わないように遠くに下がっていた。

「よう、ケント! あれはどういうことなんだ?」

 マルクスも訓練場に居たのか遠くで二人を見ていた。

 急な出来事でマルクス自体も何が起こっているのか理解していないようだった。

「ラルフがスキルを試したいからとギルドマスターを挑発したらあんな感じになりました」

 俺の話を聞きマルクスはその場でため息を吐いた。

「さすがにラルフには無理だろ。あの人あれでも王都で一番魔法を使うのがうまいやつだぞ」

 カタリーナは武力で有名なこの国クレイウェン王国内では珍しい指折りの魔法使いだ。

 その魔法使いに挑むとなれば無謀とも言える。

「それでもラルフはやってくれますよ」

 俺はラルフを信じていた。オークメイジの魔法から助けられた時の姿が、俺には脳内浮かび上がっている。

「まぁ、ケントが言うんなら大丈夫か。俺達の家族だしな」

「ラルフがんばれよ」

 俺達はラルフの健闘を祈った。





「魔法を放てばいいのじゃな?」

「はい、お願いします」

 オラが返事をすると周りの音が遮断された。

「周りに被害が出ないように魔法障壁を張った」

「お気遣いありがとうございます」

「じゃあ、始めようか」

 今まで感じていた空気は変わった。

 見た目もこの間と同じ綺麗なお姉さんになっていた。あれはどういう仕組みなんだろう。

 肌で感じる圧力に全身がピリピリとしていた。

「さすがにギルドマスターですね」

「やめるなら今じゃが?」

「いえ、大丈夫です。グリッド!」

 オラは突き出した両手にグリッドが現れた。どこから出てくるかわからないこの板はオラの人生を変えてくれるだろう。

 戦えないオラとはおさらばだ。

「準備は良いようじゃな」

 カタリーナは詠唱するといくつかの火の玉を出現させた。

 その詠唱スピードは早く一瞬で空中に浮いている。

「いくのじゃ」

 声を発したと同時に火の玉はオラに向かってきた。

 火の玉はそのままオラにあたり、辺りに煙が広がった。

「次じゃ」

 すぐにカタリーナは次の魔法を展開させた。

 さっきは火の玉のみだったが、今度は水の玉、土の塊など様々な種類の魔法が同時に発動された。

 魔法は煙が消える前にカタリーナから放たれた。

 スキルを使って魔法の軌道を読むのに精一杯だ。それでも魔法が見えないわけではない。

――バーン!

 グリッドに当たった魔法達は大きな爆発音が鳴り響いた。

 周りで見ている人達には小さな爆発が起きているように感じるだろう。その魔法の数は一回に十個以上が当たっている。

 カタリーナは魔法の詠唱をやめると煙が消えるのを待っていた。

「これぐらいでどうじゃ?」

 カタリーナはオラが倒れていないことを気づいているのだろう。さすがギルドマスターだ。

「まだまだ大丈夫だと思います」

 オラはグリッドで全ての魔法を分解して、辺りには魔素が漂っていた。

「ほう、その板はそういう構造になっているんじゃな」

 さすが大精霊だけあって、カタリーナには魔素が見えているのだろう。

「次はちょっと強めに当てるのじゃ」

 すぐに辺りの空気感は変わった。
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