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第一章 外れスキル

280.それぞれの旅立ち

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 アスクリス公爵家の処刑から一ヵ月が経った。

 公爵家夫人のロザリオはアリミアと面談後にすぐに亡くなったらしい。

 次期公爵である弟がいるらしいが、今回の件でアスクリス公爵家は爵位を剥奪された。

 そして、その後釜に入ったのが……。

「ガレインおめでとう!」

「ありがとう」

「これで王位継承権から外れられるね」

「私はこれが合っているよ。兄さん達を支えるのが王族として私の役割だからね」

 誰がアスクリス公爵家の領地を管理するのか話し合われた際に、ガレインが自ら立候補したらしい。

「何かあっても私達がサポートしますよ」

 ただ、年齢的にも若く一人では務まらないため、ガレインの元についた貴族達がサポートすることになった。

 その中の一人にアリミアを誘拐しようとしたハワードの手下でもあるサルベイン子爵が含まれていた。

 元々彼はベズギット魔法国にある公爵家の腹違いの子どもらしい。

 魔法が苦手のため魔法国を去ってクレイウェン王国で自らの功績で子爵になった逸材だ。

 子爵という名ではあるが、隣国の元公爵家の人物のため男爵という扱いにはできなかったらしい。

「それでラルフはどうするんだ?」

「オラは王都でこのまま異世界病院の運営を続けるよ! だって学園にも通うことが決まったしね」

 ラルフは今回の事件の報酬として学園で勉強がしたいと頼んだところ奨学生として入学が決まった。

「学校か……俺も通ってみたいな」

「ケントも頼んでみればよかったのにね」

「んー、俺はちょっと違うことを勉強したいからね。ここにいてもきっと解決しないんだ」

「あー、前の魂についてだっけ?」

「そう。他に転生者がいないのか調べたくてね」

 ラルフとガレイン、そして家族であるマルクスやロニー達夫妻には説明した。

 今まで散々やらかしたからなのか、なぜかみんな理解するのが早く納得していた。

 ガレインも学園や書物にも他の転生者に関する情報がないと言っていたため、学園への入学を諦めた。

「ケント荷物はまとまったのか?」

「俺はいつでも大丈夫ですよ」

「ははは、そうか。結局俺が振り回してすまないな」

「一度行ってみたかったので大丈夫ですよ」

 そんな俺はハワードと共にベズギット魔法国に行くことになった。

 クレイウェン王国に情報がなければ、他の国にあるかもしれないという意見があったからだ。

 幸いなことにハワードからベズギット魔法国に来てくれないか、と頼まれていたからちょうどよかった。

 全て生活の保障はハワードがしてくれることになっているのと、俺に何か起きればクレイウェン王国が味方になってくれると国王の約束ももらっている。

「ケントがんばれよ! 子どもが生まれたら会いに来てくれよ!」

「これからもお二人で頑張ってください」

 カレンは優しく自分のお腹を撫でていた。少しずつお腹が膨らみ、もうそろそろ子どもが生まれる頃だろう。

「ケントのおかげで私達も立ち直れたわ」

「どこにいてもお前は俺達の息子だ」

 異世界に来て命の恩人とも言えるロニーとアニーには感謝しかない。

「ケントくんのご飯が食べれないのは嫌ですよ。師匠、私も連れてってくださいよー」

「お前はまず基礎を身につけろ!」

「リチアには後で言い聞かせます。すみません」

 リチアは俺のご飯が食べられなくなることに落ち込んでいた。

 そして、それは一人だけではなかった。

「異世界食堂が流行らなくなるではないか! 新作パスタはどうするんだ? この間のピザって言ってたやつは――」

「それならすでに新しいレシピをいくつか渡しておいたので、改良したらメニューになると思いますよ」

「よし、気をつけて行ってこい!」

 ゴリラ……いや、マルヴェインも俺の心配より食事の心配らしい。

「ベズギット魔法国は魔法の実力で決まる国なので気をつけてください」

「セヴィオン兄さん、ケントは型破りの規格外だから大丈夫ですよ」

「ははは、私の魔力もだいぶ元に戻ったからな」

「規格外はガレインだからな」

「ケントには言われたくないよ……」

 笑いあっている雰囲気の中で、ガレインは真剣な顔で俺の方を見ていた。

「ケント、私の人生を変えてくれてありがとう」

「急にびっくりしたよ。ガレインは自分の力で変わったんだからな。ラルフのこともよろしくね」

「オラはどっちかというとケントの方が心配だけどね。ハワードさん、ケントをよろしくお願いします」

「ああ」

 本当にこの二人と出会ってお互いが変われたと思う。

 これからは自分の力でケトの力を取り戻すことになる。

 いつまでも弱音を吐いているわけにもいかないしな。

「では、皆さん今までお世話になりました」

 俺は見送りに来た、関わってくれた全ての人達に挨拶をして王都を後にした。

 ここからが俺――ケントとしての本当の物語が始まる。


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