45 / 158
第一区画
45. 新スキル
しおりを挟む
俺達は今異世界のゲートである穴の中にいる。今日もいつも通りのアナウンスだが、なぜか心が落ち着いている。隣に桃乃がいるからだろうか。
そんな桃乃はあたふたとしている。
【投資信託"全世界株式インデックス・ファンド"を所持しているため、一部ステータスが上昇します】
【ETF内訳セクター情報技術50%保持。カテゴリーパッシブスキル思考加速と並列思考が最大レベルに達しました】
どうやら情報技術セクターが50%になり、パッシブスキルが最大スキルとなったらしい。そもそもこのパーセンテージは何を基準にしているのだろうか。
【スキルが統合され進化します】
「えっ? なんだ?」
俺は聞いたことない単語に驚いていたが、隣で桃乃も驚いている。何かスキルをもらったのだろう。
【パッシブスキル思考加速と並列思考を統合し、新たなスキル神光智慧大天使を習得しました】
名前からして凄そうなスキルを手に入れた。きっと今まで聞いていたパーセンテージは、スキルを手に入れるまでの表記のことを言っているのだろうか。50%も保持していたら今頃大金持ちだ。
きっと100%になった頃には強いスキルを手に入れるのだろう。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前]服部慧
[能力値] 投資信託1,850,000口
HP 58 (+15)
MP 5
STR 52 (+15)
INT 4
DEF 54 (+15)
RES 10
DEX 11
AGI 14
LUK 0
[固有スキル] 新人投資家
[パッシブスキル] 神光智慧大天使 、HP自動回復、疲労軽減、自動鑑定、自動翻訳
[称号] 犬に好かれる者
――――――――――――――――――――
【今回の討伐対象はスライムです。制限時間は10時間です。それでは本日も頑張って家畜のように働きましょう】
今回はRPGゲーム序盤で出てくる最弱の敵スライムらしい。これなら楽勝だなって思っている合間にアナウンスが終わり、同時に強い光に目を閉じる。
「ガウ!」
まだ明るさに目が慣れていないが、声からしてコボルトが待機しているのだろう。
「お前達、元気……多っ!?」
目を開けるとそこにはコボルト達が尻尾を振って10匹以上待っている。俺達が来ることに気づき待っていたのだろうか。
お利口過ぎるコボルトの頭をひとまず撫でまくる。
コボルトも嬉しいのか、どんどん俺の上に乗ってきて気づいた頃には揉みくちゃにされていた。
「お前達いつから待ってたんだ?」
時間軸が違うことを考慮すると長いこと待っていたのだろう。異世界に来ていなかった時間があまりにも長かった。
寂しくてこんなに戯れあっているのかと思っていたが、どこかコボルトの反応は違った。
コボルト達は俺の言葉を理解しているのか頭を横に傾けている。
その姿もどこか愛くるしい。
「ひょっとして異世界って先輩がいないと時間停止しているんじゃないですか?」
桃乃に言われたことを考えると、確かにそれも一理ある。ただ、今は荒れ果てた街中にいる。
前回のままクエストが始まるのなら、田舎で自然豊かなところに立っていなければおかしいはずだ。
「とりあえず手に入れたスキルだけ確認しようか」
桃乃も含め現状のスキルを把握しておかないとスライムの討伐も難易度が高くなるだろう。最弱の敵だけど油断は禁物だ。
弱いと言われているゴブリンでもあれだけ強かったのだ。それに今回は桃乃もいるため、さらに気を引き締める必要がある。
「あっ、私はETF"公共事業"セクターでMP回復速度増加と精神耐性を得ました。あとは個別株で火属性魔法を手に入れましたよ。ステータスも同じ投資信託のインデックスファンドを購入しましたが、全体的に魔法能力が上がっていました」
初めて聞く単語に俺は興奮した。やっと異世界らしい存在を知ったのだ。
"魔法"
俺がずっと探し求めていたもの。
そして、ステータスの上がり方は法則性でもあるのだろう。ひょっとしたら俺は一生魔法が使えないのかもしれない。
「本当に異世界なんだな」
「私もまさか魔法が手に入るとは思いませんでした」
「でも魔法の使い方は知っているのか?」
俺の問いに桃乃は固まってしまった。どうやら反応からして知らないのだろう。俺も使ったことはないため、流石に教えることもできない。
「お前達……は知るはずもないよな」
一応コボルト達にも聞いてみるが、やはり知らないようだ。
「俺も魔法は……あれ? なぜかわかるぞ?」
知らないはずの魔法についての情報がたくさん記憶内に存在していた。簡単に言えば、脳内に図書館ができたようなイメージだ。
前との変化といえば、新たに手に入れたスキル神光智慧大天使と何かしらの関係があるのだろう。
「なら魔法の練習をしてからスライム討伐に行ってもいいですか?」
俺もそのつもりだったが桃乃はリスクをなるべく減らしたいのであろう。俺も桃乃の意見に賛成だ。
以前のように何かしら桃乃が狙われる可能性を考えると防衛手段は大事だ。
「とりあえず魔法の使い方から始めようか」
さっきまで何故か魔法の存在も知らず、使ったこともない俺が魔法について教えることになった。
そんな桃乃はあたふたとしている。
【投資信託"全世界株式インデックス・ファンド"を所持しているため、一部ステータスが上昇します】
【ETF内訳セクター情報技術50%保持。カテゴリーパッシブスキル思考加速と並列思考が最大レベルに達しました】
どうやら情報技術セクターが50%になり、パッシブスキルが最大スキルとなったらしい。そもそもこのパーセンテージは何を基準にしているのだろうか。
【スキルが統合され進化します】
「えっ? なんだ?」
俺は聞いたことない単語に驚いていたが、隣で桃乃も驚いている。何かスキルをもらったのだろう。
【パッシブスキル思考加速と並列思考を統合し、新たなスキル神光智慧大天使を習得しました】
名前からして凄そうなスキルを手に入れた。きっと今まで聞いていたパーセンテージは、スキルを手に入れるまでの表記のことを言っているのだろうか。50%も保持していたら今頃大金持ちだ。
きっと100%になった頃には強いスキルを手に入れるのだろう。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前]服部慧
[能力値] 投資信託1,850,000口
HP 58 (+15)
MP 5
STR 52 (+15)
INT 4
DEF 54 (+15)
RES 10
DEX 11
AGI 14
LUK 0
[固有スキル] 新人投資家
[パッシブスキル] 神光智慧大天使 、HP自動回復、疲労軽減、自動鑑定、自動翻訳
[称号] 犬に好かれる者
――――――――――――――――――――
【今回の討伐対象はスライムです。制限時間は10時間です。それでは本日も頑張って家畜のように働きましょう】
今回はRPGゲーム序盤で出てくる最弱の敵スライムらしい。これなら楽勝だなって思っている合間にアナウンスが終わり、同時に強い光に目を閉じる。
「ガウ!」
まだ明るさに目が慣れていないが、声からしてコボルトが待機しているのだろう。
「お前達、元気……多っ!?」
目を開けるとそこにはコボルト達が尻尾を振って10匹以上待っている。俺達が来ることに気づき待っていたのだろうか。
お利口過ぎるコボルトの頭をひとまず撫でまくる。
コボルトも嬉しいのか、どんどん俺の上に乗ってきて気づいた頃には揉みくちゃにされていた。
「お前達いつから待ってたんだ?」
時間軸が違うことを考慮すると長いこと待っていたのだろう。異世界に来ていなかった時間があまりにも長かった。
寂しくてこんなに戯れあっているのかと思っていたが、どこかコボルトの反応は違った。
コボルト達は俺の言葉を理解しているのか頭を横に傾けている。
その姿もどこか愛くるしい。
「ひょっとして異世界って先輩がいないと時間停止しているんじゃないですか?」
桃乃に言われたことを考えると、確かにそれも一理ある。ただ、今は荒れ果てた街中にいる。
前回のままクエストが始まるのなら、田舎で自然豊かなところに立っていなければおかしいはずだ。
「とりあえず手に入れたスキルだけ確認しようか」
桃乃も含め現状のスキルを把握しておかないとスライムの討伐も難易度が高くなるだろう。最弱の敵だけど油断は禁物だ。
弱いと言われているゴブリンでもあれだけ強かったのだ。それに今回は桃乃もいるため、さらに気を引き締める必要がある。
「あっ、私はETF"公共事業"セクターでMP回復速度増加と精神耐性を得ました。あとは個別株で火属性魔法を手に入れましたよ。ステータスも同じ投資信託のインデックスファンドを購入しましたが、全体的に魔法能力が上がっていました」
初めて聞く単語に俺は興奮した。やっと異世界らしい存在を知ったのだ。
"魔法"
俺がずっと探し求めていたもの。
そして、ステータスの上がり方は法則性でもあるのだろう。ひょっとしたら俺は一生魔法が使えないのかもしれない。
「本当に異世界なんだな」
「私もまさか魔法が手に入るとは思いませんでした」
「でも魔法の使い方は知っているのか?」
俺の問いに桃乃は固まってしまった。どうやら反応からして知らないのだろう。俺も使ったことはないため、流石に教えることもできない。
「お前達……は知るはずもないよな」
一応コボルト達にも聞いてみるが、やはり知らないようだ。
「俺も魔法は……あれ? なぜかわかるぞ?」
知らないはずの魔法についての情報がたくさん記憶内に存在していた。簡単に言えば、脳内に図書館ができたようなイメージだ。
前との変化といえば、新たに手に入れたスキル神光智慧大天使と何かしらの関係があるのだろう。
「なら魔法の練習をしてからスライム討伐に行ってもいいですか?」
俺もそのつもりだったが桃乃はリスクをなるべく減らしたいのであろう。俺も桃乃の意見に賛成だ。
以前のように何かしら桃乃が狙われる可能性を考えると防衛手段は大事だ。
「とりあえず魔法の使い方から始めようか」
さっきまで何故か魔法の存在も知らず、使ったこともない俺が魔法について教えることになった。
63
あなたにおすすめの小説
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる