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第二区画
94. コボルトでも犬でもない何か
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敵はしっかり俺の頭を噛みつこうとしたが、何故か俺の頭は噛み付けなかった。正確に言えば噛み付いてはいるものの、うまく歯が通っていなかったのだ。
奴は一度離れて首を傾けては歯をガシガシと鳴らして悩んでいた。
「おい、お前いきなり噛み付くと痛いだろう!」
奴は何か考えが決まったのか、再び俺の頭に噛み付いてきた。
「おいおい、人の話を聞けよ」
俺はその後も噛みつく奴をどうすることもできず、噛みつかせていた。
そういえば、いつの間に俺の頭はこんなに硬くなったのだろうか。
俺の息子同様に頭が硬くなる機能でもついたのだろうか。
「先輩、いい加減にしてください! 私の魔法の効果も切れちゃいますよ」
桃乃は壁に隠れるように顔を出し、文句を言っていた。
ああ、これは桃乃の魔法による影響なのか。それにしてもついに付与魔法まで使えるようになったとはムカつく後輩め。
DEFの影響かと思ったが、流石に石頭になることはないのだろう。
「お前もいつまで噛みついているんだよ!」
「ギャウ!?」
頭を噛み付いている奴の口に手を入れ、勢いよく口を開かせた。
突然の出来事に噛み付いていた奴も驚き、口を閉じようとした。だが、敵わないと判断したのか口を急いで開けた。
正確に言えば俺がこじ開けたため、顎が外れているようだ。
今まで顎が外れた経験もないため、あまりの痛みに戸惑っているようだ。
「先輩どうにかしてあげてください」
桃乃はあまりにも可哀想な奴を、助けるように俺に頼んできた。頼むのであればいい加減、そこの壁から出てきて欲しい。
このままだと治った瞬間に、俺だけまた噛まれてしまう。
「おい、お前!」
「ギャ……!?」
「お前がいきなり噛みつくからいけないんだぞ! えーっと、スカベンナーっていうのか?」
隣にはスカベンナーと表示されていた。突然話しかけられたやつは驚いて、外れた顎を揺らしていた。
「お前がもう噛みつかないなら、治してやるけどそれでもいいか?」
「グル……」
何か渋ってはいたが俺には敵わないと思ったのか頷いた。それにしてもコボルト同様に、俺の言葉がわかっているのだろうか。
「じゃあ、こっちに来い」
少しずつスカベンナーは俺に近づき隣に座った。
うん、コボルトとは違う感じではあるが見た目も可愛い。サンドワームよりは全然飼い慣らしても良さそうだ。
「じゃあ、いくぞ!」
「ギャウ!?」
俺はスカベンナーの顎を持ち勢いよく戻した。その場にはスカベンナーの叫び声が響く。
「よし、これで大丈夫――」
「大丈夫じゃないでしょ!?」
桃乃は安全だと思ったのか、やっと俺に近づいてきた。
「今まで隠れてた奴が何を言ってんだよ」
「だって、そいつどこから見てもコボルトじゃない……鉄壁!」
スカベンナーは俺では敵わないと思い、桃乃に噛み付くように飛びつく。
だが、桃乃は自分にスキルを使用していたため、噛みつこうとしていた腕に歯が通らず戸惑っている。
「おいおい、お前……また噛みついたらどうなるかわかっているんだろうな?」
「ギャウ……ギャーン!?」
俺はスカベンナーを桃乃から引き離すと、思う存分モフモフした。
コボルトは犬種によって様々な毛並みをしているが、スカベンナーは結構フカフカとしている。
砂漠って気温差が激しいから寒い時もこれで安心だ。
俺にモフモフされつくしたスカベンナーはぐったりとしている。
「君大変だったね」
そんなスカベンナーを桃乃は回復魔法をかけていた。
たしかに顎を強制的に戻しても、痛みはあったのだろう。
桃乃にはキラキラとした目で見ているが、俺のことはジーッと睨んでくる。
「お前……」
「ギャウ!?」
どうやら俺はスカベンナーに恐れられているようだ。
それにしてもこんな集落に1体だけ迷い込んだのだろうか。
「日が当たらないところにいるってことは迷い込んだ夜行性の魔物なのか?」
「どうでしょう。この見た目どこかで見たことあるけどわからないんですよね」
見た目は犬に似ているが、どことなく犬のような可愛さやかっこよさが足りない。
茶色の毛並みで黒の模様があり、どことなく不気味な雰囲気を出している。
たしかに俺も見たことはあるが、ペットショップでも動物園でもあまり見たことない動物だった。
「砂漠にいる代表的な動物で犬みたいな……」
「あっ!?」
俺と桃乃は同時に頭の中を通り過ぎる動物がいた。
「鬣犬か!」
「あー、それなら砂漠に住んでるよな」
「やっとスッキリしましたね」
「それにしてもハイエナって犬じゃなかったか?」
文字は書けないがハイエナって犬って文字が入っていた気がする。そうなると、称号"犬に好かれる者"の効果が発動してもいいはずだ。
「いや、ハイエナって犬って書きますけど猫科だったはずです。詳しくはわからないですが……」
猫科であれば俺に懐かないはずだ。
図書館でもある神光智慧大天使が勝手に発動する。
「ハイエナはネコ科ではあるが、ジャコウネコ科でネコ科ではあるものの少し独立したグループとして認識されているらしい」
頭に浮かび上がる文字達を読み上げていく。本当に犬ではないらしい。
スカベンナーは治療した桃乃に懐き体をスリスリとしていた。
しかし、ジャコウネコ科の恐ろしさを後に気づくことなるとはこの時は思いもしなかった。
奴は一度離れて首を傾けては歯をガシガシと鳴らして悩んでいた。
「おい、お前いきなり噛み付くと痛いだろう!」
奴は何か考えが決まったのか、再び俺の頭に噛み付いてきた。
「おいおい、人の話を聞けよ」
俺はその後も噛みつく奴をどうすることもできず、噛みつかせていた。
そういえば、いつの間に俺の頭はこんなに硬くなったのだろうか。
俺の息子同様に頭が硬くなる機能でもついたのだろうか。
「先輩、いい加減にしてください! 私の魔法の効果も切れちゃいますよ」
桃乃は壁に隠れるように顔を出し、文句を言っていた。
ああ、これは桃乃の魔法による影響なのか。それにしてもついに付与魔法まで使えるようになったとはムカつく後輩め。
DEFの影響かと思ったが、流石に石頭になることはないのだろう。
「お前もいつまで噛みついているんだよ!」
「ギャウ!?」
頭を噛み付いている奴の口に手を入れ、勢いよく口を開かせた。
突然の出来事に噛み付いていた奴も驚き、口を閉じようとした。だが、敵わないと判断したのか口を急いで開けた。
正確に言えば俺がこじ開けたため、顎が外れているようだ。
今まで顎が外れた経験もないため、あまりの痛みに戸惑っているようだ。
「先輩どうにかしてあげてください」
桃乃はあまりにも可哀想な奴を、助けるように俺に頼んできた。頼むのであればいい加減、そこの壁から出てきて欲しい。
このままだと治った瞬間に、俺だけまた噛まれてしまう。
「おい、お前!」
「ギャ……!?」
「お前がいきなり噛みつくからいけないんだぞ! えーっと、スカベンナーっていうのか?」
隣にはスカベンナーと表示されていた。突然話しかけられたやつは驚いて、外れた顎を揺らしていた。
「お前がもう噛みつかないなら、治してやるけどそれでもいいか?」
「グル……」
何か渋ってはいたが俺には敵わないと思ったのか頷いた。それにしてもコボルト同様に、俺の言葉がわかっているのだろうか。
「じゃあ、こっちに来い」
少しずつスカベンナーは俺に近づき隣に座った。
うん、コボルトとは違う感じではあるが見た目も可愛い。サンドワームよりは全然飼い慣らしても良さそうだ。
「じゃあ、いくぞ!」
「ギャウ!?」
俺はスカベンナーの顎を持ち勢いよく戻した。その場にはスカベンナーの叫び声が響く。
「よし、これで大丈夫――」
「大丈夫じゃないでしょ!?」
桃乃は安全だと思ったのか、やっと俺に近づいてきた。
「今まで隠れてた奴が何を言ってんだよ」
「だって、そいつどこから見てもコボルトじゃない……鉄壁!」
スカベンナーは俺では敵わないと思い、桃乃に噛み付くように飛びつく。
だが、桃乃は自分にスキルを使用していたため、噛みつこうとしていた腕に歯が通らず戸惑っている。
「おいおい、お前……また噛みついたらどうなるかわかっているんだろうな?」
「ギャウ……ギャーン!?」
俺はスカベンナーを桃乃から引き離すと、思う存分モフモフした。
コボルトは犬種によって様々な毛並みをしているが、スカベンナーは結構フカフカとしている。
砂漠って気温差が激しいから寒い時もこれで安心だ。
俺にモフモフされつくしたスカベンナーはぐったりとしている。
「君大変だったね」
そんなスカベンナーを桃乃は回復魔法をかけていた。
たしかに顎を強制的に戻しても、痛みはあったのだろう。
桃乃にはキラキラとした目で見ているが、俺のことはジーッと睨んでくる。
「お前……」
「ギャウ!?」
どうやら俺はスカベンナーに恐れられているようだ。
それにしてもこんな集落に1体だけ迷い込んだのだろうか。
「日が当たらないところにいるってことは迷い込んだ夜行性の魔物なのか?」
「どうでしょう。この見た目どこかで見たことあるけどわからないんですよね」
見た目は犬に似ているが、どことなく犬のような可愛さやかっこよさが足りない。
茶色の毛並みで黒の模様があり、どことなく不気味な雰囲気を出している。
たしかに俺も見たことはあるが、ペットショップでも動物園でもあまり見たことない動物だった。
「砂漠にいる代表的な動物で犬みたいな……」
「あっ!?」
俺と桃乃は同時に頭の中を通り過ぎる動物がいた。
「鬣犬か!」
「あー、それなら砂漠に住んでるよな」
「やっとスッキリしましたね」
「それにしてもハイエナって犬じゃなかったか?」
文字は書けないがハイエナって犬って文字が入っていた気がする。そうなると、称号"犬に好かれる者"の効果が発動してもいいはずだ。
「いや、ハイエナって犬って書きますけど猫科だったはずです。詳しくはわからないですが……」
猫科であれば俺に懐かないはずだ。
図書館でもある神光智慧大天使が勝手に発動する。
「ハイエナはネコ科ではあるが、ジャコウネコ科でネコ科ではあるものの少し独立したグループとして認識されているらしい」
頭に浮かび上がる文字達を読み上げていく。本当に犬ではないらしい。
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