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第二区画
158.オークの憧れ
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そういえば変わり者のオークはルイビと名乗っていた。
ルイビってどこかで聞いたことがある名前だ。
確かスーパーだったような気もするが……気のせいだろうか。
ルイビは俺に飲み水を入れたコップを渡してきた。
オークが使う物だからなのか、それともルイビが変わり者なのかわからないが、手で挟めるような構造をしている。
「毒は入ってないので安心してください」
俺が単にコップを興味深そうに見ていたら、怪しんでいると思われていたらしい。
「ああ」
俺はそのまま気にせずに一口飲むと、どこか小さい時に体験した感覚に似ていた。
「雨の日に転んだ時に口に入る水の感じか……」
俺の頭の中は幼少期の楽しかった頃を思い出す。
美味しい水ではないし、飲めないわけではない。
ただ、全て飲むのはやめようと体が反応している。
きっと腹痛で数日はトイレに篭る生活になるだろう。
「そんな……」
つい出てしまった言葉にルイビは落ち込んでいるのか体を震わせていた。
確かに自分が出したものをそんな風に言われて嬉しいやつはいないな。
また、俺の悪いところが出てしまったようだ。
「ああ、すま――」
「人間はそういう風に思うのか!?」
「へっ?」
俺は思わず変な声が出てしまった。
ルイビは落ち込んでいるわけではなかった。
むしろ、新たなことを知れて喜んでいたらしい。
「ドワーフ達はみんなここの水を飲むのを嫌がってたんだが理由がわかったぞ」
ルイビは何か板にメモするように文字を書いていく。
その道具もペンではなく何かの煤を指につけて器用に書いている。
「それはなんだ?」
「ああ、これはメモだ! いらなくなったらこの板ごと燃やせばまた使えるんだ!」
板をまた燃やすことで木炭となり、そこでできた煤を再びペン代わりに使っているらしい。
思ったよりもオークは頭を使って生活していた。
「これはドワーフ達がやってたんだ!」
どうやらドワーフの生活をマネしているらしい。
確かに人間に憧れているのなら、自然と生活を真似していると、いつのまにか便利な生活になっていくのだろう。
ルイビが楽しそうに話すから、俺はそんな話をしばらく聞いていた。
ベンもオークを恐れていたのに、ルイビには慣れたのか、俺の後ろでくっついて寝ている。
さっきまで怯えていた姿はなんだったのか。
そんな中部屋の片隅に飾ってある実が気になっていた。
どこからどう見ても俺が知っている実にしか見えない。
「そういえばなんでトレントの実を飾っているんだ?」
「この実を知っているのか?」
「知ってるも何もその辺にいるじゃないか」
俺はトレントの実をいくつか取り出してルイビに手渡す。
珍しい物なのかオークは驚いていた。
「変な剣を出した時も思ったけど、今どこからトレントの実を出し――」
すっかり忘れていたがドワーフやオークも、アイテムを空間から取り出す者はいない。
ちゃんと袋の中に入れるか、手で持って移動している。
「ああ、ちょっと俺が特殊だからな」
できるのは今のところ異世界に来た人間達のみ。
人間が全てこんなことができる存在だと誤解されると大変だ。
ドワーフ達ができると思われて、また被害に遭うかもしれない。
そういえば、ドワーフと言えば――。
俺は変わり者のオークに乗せられて、本当の目的を忘れていた。
こいつの家に遊びにきたわけではない。
俺が真剣な顔でルイビを見ると、ルイビも気づいたのか国の内情を話し出した。
「オラ達オークは人間に憧れているって話はしたよね?」
「ああ、実際に子供達はごっこ遊びするぐらいだったからな」
子供達はお店屋さんごっこなど、憧れているごっこ遊びをする。
それはオークも同じでごっこ遊びをするぐらい幼少期の時に人間に憧れているのは目で見て理解した。
「そこは変わらないのか……。オラ達は大きくなるたびに人間のようにはなれないことに気づくんだ」
確かに豚が人間になることはできないだろう。
ただ、今のオークの姿であれば、ほぼ人間に近い存在だ。
「だから次第に成長するたび、人間になるのを諦めるやつも多い。でもどこかで人間になりたいって気持ちは忘れずに皆思っているけど、口に出しては言えないんだ」
オーク達は自分達が人間とは異なる種族ということを理解している。
ただ、そこまでして人間になりたい理由が気になってしまう。
「なんでそんなに人間になりたいんだ?」
「オラ達は元々bgej(\4%:<から進化して――」
「ごめん、もう一度言ってもらってもいいか?」
「ああ、オラ達は元々vg2:=4・から――」
何度もルイビに聞き返すが、全て大事なところは何を言ってるのかわからない。
何かシステムに邪魔をされて、変換されずに謎のままだった。
それにだんだんとルイビの動きも遅くなってきた。
このままでは、途中で話が終わってしまうと思い、理解しているかのように頷くと、ルイビの動きは元に戻った。
「だからオラはこの国の中では変わり者の扱いをされているんだ。ずっと人間になりたいと思っていたからね」
人間だって小さい頃の夢を叶えられないって思うとその夢を忘れて大人になってしまう。
それでもオーク達が諦めていないのは、彼らなりのずっと続いてきた信念みたいなものがあるのだろう。 目の前にいるオークは今もその気持ちを抱いているが、それが仲間内の中では頭がおかしいオークと言われている原因らしい。
確かに大人がアニメのキャラになりたいといつも言っていたら、何か病気があるのではないかと疑われてしまう。
「今でもオラが変わり者なのはわかっている。だけど、初めてできた人間の友達にお願いがある」
ルイビは真剣な顔で俺を見ていた。
俺も何か大事なことを話すと思い、すぐに姿勢を正す。
「どうかこの国を止めて欲しい」
震えながらルイビの口から出た言葉は人間になりたいが、自身の過ちを正せない仲間への想いなんだろう。
そんなやつの言葉を聞かないわけにはいかない。
「おう、友達の頼みなら任せとけ!」
俺は震えるルイビの肩を軽く叩いた。
ルイビってどこかで聞いたことがある名前だ。
確かスーパーだったような気もするが……気のせいだろうか。
ルイビは俺に飲み水を入れたコップを渡してきた。
オークが使う物だからなのか、それともルイビが変わり者なのかわからないが、手で挟めるような構造をしている。
「毒は入ってないので安心してください」
俺が単にコップを興味深そうに見ていたら、怪しんでいると思われていたらしい。
「ああ」
俺はそのまま気にせずに一口飲むと、どこか小さい時に体験した感覚に似ていた。
「雨の日に転んだ時に口に入る水の感じか……」
俺の頭の中は幼少期の楽しかった頃を思い出す。
美味しい水ではないし、飲めないわけではない。
ただ、全て飲むのはやめようと体が反応している。
きっと腹痛で数日はトイレに篭る生活になるだろう。
「そんな……」
つい出てしまった言葉にルイビは落ち込んでいるのか体を震わせていた。
確かに自分が出したものをそんな風に言われて嬉しいやつはいないな。
また、俺の悪いところが出てしまったようだ。
「ああ、すま――」
「人間はそういう風に思うのか!?」
「へっ?」
俺は思わず変な声が出てしまった。
ルイビは落ち込んでいるわけではなかった。
むしろ、新たなことを知れて喜んでいたらしい。
「ドワーフ達はみんなここの水を飲むのを嫌がってたんだが理由がわかったぞ」
ルイビは何か板にメモするように文字を書いていく。
その道具もペンではなく何かの煤を指につけて器用に書いている。
「それはなんだ?」
「ああ、これはメモだ! いらなくなったらこの板ごと燃やせばまた使えるんだ!」
板をまた燃やすことで木炭となり、そこでできた煤を再びペン代わりに使っているらしい。
思ったよりもオークは頭を使って生活していた。
「これはドワーフ達がやってたんだ!」
どうやらドワーフの生活をマネしているらしい。
確かに人間に憧れているのなら、自然と生活を真似していると、いつのまにか便利な生活になっていくのだろう。
ルイビが楽しそうに話すから、俺はそんな話をしばらく聞いていた。
ベンもオークを恐れていたのに、ルイビには慣れたのか、俺の後ろでくっついて寝ている。
さっきまで怯えていた姿はなんだったのか。
そんな中部屋の片隅に飾ってある実が気になっていた。
どこからどう見ても俺が知っている実にしか見えない。
「そういえばなんでトレントの実を飾っているんだ?」
「この実を知っているのか?」
「知ってるも何もその辺にいるじゃないか」
俺はトレントの実をいくつか取り出してルイビに手渡す。
珍しい物なのかオークは驚いていた。
「変な剣を出した時も思ったけど、今どこからトレントの実を出し――」
すっかり忘れていたがドワーフやオークも、アイテムを空間から取り出す者はいない。
ちゃんと袋の中に入れるか、手で持って移動している。
「ああ、ちょっと俺が特殊だからな」
できるのは今のところ異世界に来た人間達のみ。
人間が全てこんなことができる存在だと誤解されると大変だ。
ドワーフ達ができると思われて、また被害に遭うかもしれない。
そういえば、ドワーフと言えば――。
俺は変わり者のオークに乗せられて、本当の目的を忘れていた。
こいつの家に遊びにきたわけではない。
俺が真剣な顔でルイビを見ると、ルイビも気づいたのか国の内情を話し出した。
「オラ達オークは人間に憧れているって話はしたよね?」
「ああ、実際に子供達はごっこ遊びするぐらいだったからな」
子供達はお店屋さんごっこなど、憧れているごっこ遊びをする。
それはオークも同じでごっこ遊びをするぐらい幼少期の時に人間に憧れているのは目で見て理解した。
「そこは変わらないのか……。オラ達は大きくなるたびに人間のようにはなれないことに気づくんだ」
確かに豚が人間になることはできないだろう。
ただ、今のオークの姿であれば、ほぼ人間に近い存在だ。
「だから次第に成長するたび、人間になるのを諦めるやつも多い。でもどこかで人間になりたいって気持ちは忘れずに皆思っているけど、口に出しては言えないんだ」
オーク達は自分達が人間とは異なる種族ということを理解している。
ただ、そこまでして人間になりたい理由が気になってしまう。
「なんでそんなに人間になりたいんだ?」
「オラ達は元々bgej(\4%:<から進化して――」
「ごめん、もう一度言ってもらってもいいか?」
「ああ、オラ達は元々vg2:=4・から――」
何度もルイビに聞き返すが、全て大事なところは何を言ってるのかわからない。
何かシステムに邪魔をされて、変換されずに謎のままだった。
それにだんだんとルイビの動きも遅くなってきた。
このままでは、途中で話が終わってしまうと思い、理解しているかのように頷くと、ルイビの動きは元に戻った。
「だからオラはこの国の中では変わり者の扱いをされているんだ。ずっと人間になりたいと思っていたからね」
人間だって小さい頃の夢を叶えられないって思うとその夢を忘れて大人になってしまう。
それでもオーク達が諦めていないのは、彼らなりのずっと続いてきた信念みたいなものがあるのだろう。 目の前にいるオークは今もその気持ちを抱いているが、それが仲間内の中では頭がおかしいオークと言われている原因らしい。
確かに大人がアニメのキャラになりたいといつも言っていたら、何か病気があるのではないかと疑われてしまう。
「今でもオラが変わり者なのはわかっている。だけど、初めてできた人間の友達にお願いがある」
ルイビは真剣な顔で俺を見ていた。
俺も何か大事なことを話すと思い、すぐに姿勢を正す。
「どうかこの国を止めて欲しい」
震えながらルイビの口から出た言葉は人間になりたいが、自身の過ちを正せない仲間への想いなんだろう。
そんなやつの言葉を聞かないわけにはいかない。
「おう、友達の頼みなら任せとけ!」
俺は震えるルイビの肩を軽く叩いた。
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