【完結】ダンジョンに閉じ込められたら社畜と可愛い幼子ゴブリンの敵はダンジョン探索者だった

k-ing /きんぐ★商業5作品

文字の大きさ
39 / 52
第二章 社畜、現実を知る

39.社畜、鉱物をみつける

しおりを挟む
「おかしい……このダンジョンはおかしいわ……」

「ここなん壊れたね」

「とーたん、大丈夫?」

「俺は壊れていないからな」

 ゴボタとリーゼントは俺の心配をしていた。

 しばらくこのダンジョンで生活をすることになった心菜に、ダンジョン内の食べ物や水の確保の仕方を教えていた。

 初めは普通に聞いていたが、しばらくしたら今の状況になってしまった。

 結果から伝えると、このダンジョンで採れるもの全てが規格外らしい。

 まずは俺が倒れたときに、ゴボタがよく口に突っ込んでいる薬草もどき。

 味は漢方のように苦さが際立つ俺の苦手な草だ。

 そんな薬草もどきは、探索者に治癒草ちゆそうと呼ばれていた。

 まさかの本物の薬草で俺は驚いた。

 そんな治癒草はダンジョンであまり手に入らないらしい。

 森の中ではすぐに生えてくるただの草だ。

 周囲を見渡すとたくさん生えている。

「ひょっとしてこの水も変わったやつか?」

 俺は治癒草の下から出てくる水をペットボトルに入れる。

 すごく純度が高く、澄んだ水をしていた。

 森の奥に行けばいくほど水は輝いている。

 それを知ったのも今だが、心菜は見た瞬間に震えていた。

「魔力水もあるなんて……ポーションが簡単に作れるじゃないの!」

「ポーション?」

「ええ、探索者の傷を一瞬で治してくれる魔法に近い薬のことよ」

 心菜の口から出てくる言葉が、ほとんどゲームのように聞こえてくる。

 探索者は能力の影響かダンジョン内でできた傷や怪我が治りにくいらしい。

 唯一治せるのはポーションか治癒能力が使える探索者のみ。

 そんな探索者にとって欲しいものが、ここのダンジョンには盛り沢山だった。

 その辺にある食料、水分、植物、石など全てがお宝のようだ。

「あっ、そういえば鉱物も出るようになったぞ?」

 【スキル】
 魔物召喚 1
 └ゴブリン 1
 └コボルト 1
 地形変更 2
 └地形変更セット 1
 └天候変更 1
 トラップ設置 1
 └巨大岩 1
 環境設備 2
 └植樹系調整 1
 └生態系調整 1
 資源召喚 2
 └魔宝石召喚 1
 └鉱物召喚 1

 この間リーゼントが頭を撫でるのを強要したときに、資源召喚を押していた。

 そのときに出てきたのが鉱物召喚だ。

 魔宝石召喚のときから石を見るようになったが、鉱物召喚は特に周囲の変化はなかった。

「出るようになったってどういうこと?」

「あー、たぶんこのダンジョンを作っているのが俺なんだよな」

「へっ……」

 突然のことで心菜は思考停止していた。

 俺も最近までは気づかなかったからな。

 誰でもびっくりするだろう。

「やっぱりお兄ちゃんが原因でおかしくなっているんじゃん!」

 ついに心菜まで俺がおかしいと言い出した。

「良い方向に進んでいるなら良いじゃないか」

 俺は簡単に半透明の板について説明した。

 すると心菜はタブレットを取り出して、何かを見せてきた。

 筋力強化や速度強化、心肺強化など俺と同様に名前と数字が割り振られている。

「こんな感じなのかな?」

 俺が頷くと心菜は何かを考えていた。

「ひょっとしたらお兄ちゃんも能力者なんじゃない?」

「いやー、俺はそんなに力も強くなければ、火は出せないぞ?」

「そーだぞ! ボスはめちゃくちゃ弱いんだからな!」

 リーゼントの顔を見ると、焦ったような表情をしていた。

 俺はリーゼントの頬を掴み、揉みくちゃにする。

 確かにこの中では一番俺が弱いからな。

「能力はある突然開花するし、全てが戦うための力でもないよ」

 心菜の話では物の価値を見破る能力や手先が器用になる能力など様々あるらしい。

 その中で魔物と闘う力がある人だけが、探索者になることができる。

 きっと俺が能力者であれば、かなりの異質な人物になるだろう。

「ボスは頭のネジが取れているからね」

 さっきからリーゼントは俺の心を読んでいるのだろうか。

「とーたん!」

「どうしたの?」

「ここおかちい!」

 突然ゴボタが声を掛けてきたと思ったら、地面を指さしていた。

 俺にしたらただの地面にしか見えない。

「確かにここだけ地面が硬くなっているわね」

「そそそ、そうだな」

 咄嗟に気づいているふりをしたら、リーゼントは俺の顔をジーッと見ていた。

 何か言われる前に、俺はリーゼントの頬を引っ張っておく。

「オラまだ何も言ってない!」

「ほら、言うつもりだっただろ」

「ワォ!?」

 今頃バレたという顔をしても仕方ない。 

 俺はリーゼントの頬をグルグルと回す。

 しばらくリーゼントの柔らかい頬を堪能していると、心菜は急に構えた。

「えっ、おい心菜何をするつもりだ」

「はああああ!」

 心菜はそのまま俺に向かって拳を放った。

 正確にいえば俺の足元にある、硬くなった地面に対してだ。

 だが、急にやられたら俺もびっくりする。

「とーたん!」

 俺の股を潜るゴボタは心菜が作った穴を覗き込む。

 心菜もある程度手加減をしたのだろう。

 地面に小さな穴が空いているだけで済んだ。

 ゴボタはゴゾゴゾとしていると、何かを手に持っていた。

「やっぱりここのダンジョンおかしいよー」

 あの反応だとゴボタが持っていた好物もレアな物なんだろう。

 心菜は驚きすぎて、魂が抜けたように口をパカパカと開けていた。

「だってボスがおかし――」

 今日はずっとリーゼントの頬を引っ張らないといけないようだ。

 俺はどこもおかしくないからな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました

黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。 これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。 ※本作は小説家になろうでも投稿しています。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

処理中です...