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第二章 君は宰相になっていた
37.聖男、宰相が可愛く見える
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食堂からルシアンの仕事部屋に戻ると、ムスッとした顔で仕事をしているルシアンがいた。
「みにゃとどこに行ってたんだ?」
「あぁ……アシュレイさんと気分転換にご飯を食べに行ってたんだ」
隣にいるアシュレイさんを……あれ、いつの間にかいない。
この部屋に来るまで、ずっと話していたはずなのに急にいなくなっていた。
「そうやってまた俺を置いていく」
「置いて行ったのはルシアンでしょ……」
僕を部屋に残したのはルシアンなのに、まるで僕が悪いような言い草だ。
だけど、置いてかれたと思うルシアンを見ると、つい可愛いと思ってしまう。
「あっ、ダメだったね……」
僕は無意識にルシアンの頭を撫でようとしていた手を引っ込める。
いくら可愛いと思っても、すでに結婚している立派な男性だ。
もう小さな子どもでもないからね。
触れたいのに触れられない。
そんなことを実感する日が来るとは思わなかった。
「どうした?」
「いや、何でもないよ」
僕がニコリと笑うと、ルシアンは笑い返してくれた。
もうこの笑顔も僕の知らない人のものだと思ったら、胸が苦しくなりそうだ。
「そうだ! これから一年はここの世界に住むことになるよね?」
「一年……? ずっといないのか?」
「さすがに一緒にいられないからね」
僕の言葉にルシアンはどこか悲しそうな顔をしていた。
そんな顔をしないでよ……。
そう言いたくなる口を必死に堪えて息を呑む。
「その間にどこかで働こうかと思ってね」
「何を言ってるんだ?」
ルシアンは突然立ち上がると、僕に詰め寄ってきた。
さっきまでの悲しそうな顔とは異なり、どことなく怒っているような気がする。
「えっ……だって、働かないと生活できないよ?」
「みにゃと一人も養えないと思っているのか?」
「うん? 養う?」
「はぁー、もう帰るぞ」
ルシアンはため息をつくと、そのまま僕を抱きかかえて、どこかへ向かっていく。
「えっ……ちょ……、僕もう歩けるよ!」
足をバタバタして、靴を履いているのを見せる。
すると、さらにルシアンの眉間にシワがより、見たことないほど怒っていた。
「己……アシュレイめ。靴なんて買えば、どこかに行ってしまうだろ」
「ル……ルシアン?」
あまりにも怖い顔をするため、僕が呼ぶとビクッとしていた。
「あっ、いや……ごめん」
「怖い顔をしていると老けちゃうよ?」
ルシアンの眉間をグリグリと指で押さえると、自然と表情は穏やかになってくる。
「みにゃと!」
ガバッと覆い被されるように抱きつくルシアンについつい笑ってしまう。
なんか……前よりさらに大型犬に近づいている気がする。
「ルシアン様、ご機嫌うる――」
「さっさと失せろ!」
相変わらず他の人にはルシアンは冷たいようだ。
挨拶しようとした人に対してルシアンは怒りをぶつけていた。
「ルシアン……」
凍るような冷たい目が、一瞬で尻尾を振る犬のように視線が柔らかくなった。
だが、ちゃんと注意をしてあげる人がいないといけないからな。
「パワハラって知ってる?」
「なんだそれは?」
「今のルシアンみたいな人のことを言うんだよ? 立場が上の人が下の人に圧をかけて、まるで声をかけるなってイジメることを言うんだけど……」
「……」
ルシアンは自分のことを思い返しているのだろう。
段々とバツが悪そうな顔をしていた。
「そういうのって意識しないと無意識に出ちゃうから、気をつけないといけないよ」
「うん……」
そういえば、騎士の看病をしている時もすぐに首を切り落とすって物騒なことを言っていたし、すぐに機嫌を悪くしていた。
僕の知らないうちに、だいぶ悪い大人になってしまったんだな……。
「僕がいるうちは目を光らせておくからね」
「ずっと一緒にいてくれるならいいよ」
そう言って、ルシアンは再び歩き出した。
だがさっきまでのバツが悪そうな顔はどこかに行き、再び嬉しそうにニコニコとしている。
これはこれで周囲の人をビビらせているのか、近くを通る人たちは終始怯えていた。
そういえば、僕はどこに連れて行かれるのだろうか……。
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
【あとがき】
なんか……ルシアンがめちゃくちゃ可愛い。
可愛いけど早くくっつけよ!って思ってしまう。
もうしばらくはこんな感じが続くでしょう。
はぁー| |д・)
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「みにゃとどこに行ってたんだ?」
「あぁ……アシュレイさんと気分転換にご飯を食べに行ってたんだ」
隣にいるアシュレイさんを……あれ、いつの間にかいない。
この部屋に来るまで、ずっと話していたはずなのに急にいなくなっていた。
「そうやってまた俺を置いていく」
「置いて行ったのはルシアンでしょ……」
僕を部屋に残したのはルシアンなのに、まるで僕が悪いような言い草だ。
だけど、置いてかれたと思うルシアンを見ると、つい可愛いと思ってしまう。
「あっ、ダメだったね……」
僕は無意識にルシアンの頭を撫でようとしていた手を引っ込める。
いくら可愛いと思っても、すでに結婚している立派な男性だ。
もう小さな子どもでもないからね。
触れたいのに触れられない。
そんなことを実感する日が来るとは思わなかった。
「どうした?」
「いや、何でもないよ」
僕がニコリと笑うと、ルシアンは笑い返してくれた。
もうこの笑顔も僕の知らない人のものだと思ったら、胸が苦しくなりそうだ。
「そうだ! これから一年はここの世界に住むことになるよね?」
「一年……? ずっといないのか?」
「さすがに一緒にいられないからね」
僕の言葉にルシアンはどこか悲しそうな顔をしていた。
そんな顔をしないでよ……。
そう言いたくなる口を必死に堪えて息を呑む。
「その間にどこかで働こうかと思ってね」
「何を言ってるんだ?」
ルシアンは突然立ち上がると、僕に詰め寄ってきた。
さっきまでの悲しそうな顔とは異なり、どことなく怒っているような気がする。
「えっ……だって、働かないと生活できないよ?」
「みにゃと一人も養えないと思っているのか?」
「うん? 養う?」
「はぁー、もう帰るぞ」
ルシアンはため息をつくと、そのまま僕を抱きかかえて、どこかへ向かっていく。
「えっ……ちょ……、僕もう歩けるよ!」
足をバタバタして、靴を履いているのを見せる。
すると、さらにルシアンの眉間にシワがより、見たことないほど怒っていた。
「己……アシュレイめ。靴なんて買えば、どこかに行ってしまうだろ」
「ル……ルシアン?」
あまりにも怖い顔をするため、僕が呼ぶとビクッとしていた。
「あっ、いや……ごめん」
「怖い顔をしていると老けちゃうよ?」
ルシアンの眉間をグリグリと指で押さえると、自然と表情は穏やかになってくる。
「みにゃと!」
ガバッと覆い被されるように抱きつくルシアンについつい笑ってしまう。
なんか……前よりさらに大型犬に近づいている気がする。
「ルシアン様、ご機嫌うる――」
「さっさと失せろ!」
相変わらず他の人にはルシアンは冷たいようだ。
挨拶しようとした人に対してルシアンは怒りをぶつけていた。
「ルシアン……」
凍るような冷たい目が、一瞬で尻尾を振る犬のように視線が柔らかくなった。
だが、ちゃんと注意をしてあげる人がいないといけないからな。
「パワハラって知ってる?」
「なんだそれは?」
「今のルシアンみたいな人のことを言うんだよ? 立場が上の人が下の人に圧をかけて、まるで声をかけるなってイジメることを言うんだけど……」
「……」
ルシアンは自分のことを思い返しているのだろう。
段々とバツが悪そうな顔をしていた。
「そういうのって意識しないと無意識に出ちゃうから、気をつけないといけないよ」
「うん……」
そういえば、騎士の看病をしている時もすぐに首を切り落とすって物騒なことを言っていたし、すぐに機嫌を悪くしていた。
僕の知らないうちに、だいぶ悪い大人になってしまったんだな……。
「僕がいるうちは目を光らせておくからね」
「ずっと一緒にいてくれるならいいよ」
そう言って、ルシアンは再び歩き出した。
だがさっきまでのバツが悪そうな顔はどこかに行き、再び嬉しそうにニコニコとしている。
これはこれで周囲の人をビビらせているのか、近くを通る人たちは終始怯えていた。
そういえば、僕はどこに連れて行かれるのだろうか……。
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
【あとがき】
なんか……ルシアンがめちゃくちゃ可愛い。
可愛いけど早くくっつけよ!って思ってしまう。
もうしばらくはこんな感じが続くでしょう。
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