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第二章 君は宰相になっていた
41.聖男、近すぎて困る ※一部ルシアン視点
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「ルシアン、さすがに離れようか……?」
「なんで?」
ホットケーキを食べ終えたルシアンは再び僕にベッタリとくっついていた。
もはやくっつき虫と言わんばかりに引っついている。
「いや、さすがに動きにくいよ?」
「俺が小さい時はみにゃとがくっついていた」
んっ……?
ルシアンが小さい時でも俺がくっついてた覚えはないぞ。
「ひょっとして迷子にならないように手を繋いでいたやつか?」
「そうだ。みにゃとはすぐに迷子なるからな……」
「うっ……」
それを言われたら何も言い返せない。
今さっき迷子になっていたばかりだからね。
ただ、歩く時は手を繋いでくるし、座っていても後ろから抱きついてきたり、腰に手を当てて引き寄せてくる。
まるで付き合っているカップルみたいだ。
さすがに今日失恋したと思ったばかりなのに、僕の頭が整理できていない。
「そろそろミナトさんが困っているわよ?」
「お前はいつまでここにいるつもりなんだ?」
「別にいいでしょ! 私だって学園に行きたくないわよ!」
アリスがルシアンに懐いていたのは、単にルシアンとの仲が良いわけではなかった。
家族から暴力を振るわれないように保護していたのがルシアンらしい。
中々貴族の世界も大変のようだ。
「そういえば、また明日も城に行ってもいいかな?」
「チッ!」
僕の言葉に背後から舌打ちが聞こえてきた。
見上げると、ルシアンは複雑そうな顔をしていた。
「俺はみにゃとをこのまま閉じ込め……そんな可愛い顔されても許さ……わかった」
一瞬の間に葛藤があったのだろう。
僕の顔をジーッと見て、ため息をついていた。
それにしても、一瞬「閉じ込める」って聞こえたような……気のせいだろうか。
「ありがとう。ちょっと騎士たちの体調が気になっているからね」
「あいつらなら大丈夫だ。そんな簡単には死なないからな」
サルモネラ感染症って思っているよりも重症化したら大変なんだからね。
ひょっとしたら、まだ嘔吐や下痢で苦しんでいるのかもしれない。
経口補水液も追加で準備しないといけないし。
「今日は疲れたから、早めに休むよ」
お腹も減っていないため、僕は早めに部屋に戻ることにした。
あとは兄妹で楽しめばいい。
アリスも学園に通うって言ってたから、しばらく会えない日々が続くだろうしね。
そう思いながら、部屋に戻るが背後に付いてきている存在がいた。
「だから……なんで付いてくるの!」
「だって、俺とみにょとの寝室はここだからな」
「あっ、そうか……」
そういえば屋敷に来た時に二人の寝室って言ってた気がする。
ルシアンはいつからこの部屋を用意していたのだろうか。
僕がここに来る可能性の方が少なかったのにね。
渋々、ベッドの中に入ると僕はゆっくり目を閉じる。
ただ、視線を感じて中々寝付けない。
「そんなに見られると寝れないんだけど……」
「みにゃとがこっちに来て、寂しくて寝れないかもしれないからな」
そう言って、ルシアンは僕の頭を優しく撫でる。
ついこの間までは僕がルシアンを寝かしつけていたのに……。
ただ、大きな手が心地よく、眠気を誘ってくる。
「ルシアンが元気そうでよかった。ずっと会いたかったらね」
「俺も会いたかったよ」
耳元でボソリと呟くルシアンに僕は恥ずかしくなってくる。
掛け布団を頭まで上げる。
また目を覚ましたら、現実の世界にいるかもしれない。
大人のルシアンに会えるなんて、夢みたいなことだからね。
元の世界に戻っても、伝えたいことは言っておかないと。
「ずっと……すき……」
僕はひっそりとつぶやく。
きっと聞こえてはいないだろうが、僕の中で少しだけスッキリした。
僕はそのまま眠気に誘われて、眠りについた。
♦︎
「えっ、今俺のこと好きって言った?」
確認しようとした頃には、俺の愛する湊は可愛い寝顔で眠りについていた。
小柄な体なのに、あれだけ動いていたら眠くなるのは仕方ない。
「俺も好きだぞ」
聞いているかはわからない。
けれど、俺はそっと湊の額にキスを落とす。
初めて湊にキスをした時が懐かしく感じる。
あの当時も湊のことが好きだったが、今はそれよりも湊を愛している。
まだあの時はそこまで自覚していなかったからな。
離れた時間が長いほど、湊を思う気持ちが強くなった。
本当はこの屋敷から一歩も出さず、誰にも見せたくないくらいだ。
でも、そんなことをしたら嫌われちゃうのはわかっている。
俺は部屋を出ると、アリスの元へ戻る。
「ミナトさんは眠ったかしら?」
「あぁ、それで今日は何の用で来たんだ?」
「兄さんたちについてよ」
アリスは今も公爵家に住んでいる。
それは俺の邪魔をするあいつらを監視するためだ。
湊には伝えてはないが、アリスも平民との間にできた子どもと公爵から聞かされている。
それを知ったのは、俺が学園を卒業したのと同時だった。
「きっと私が学園に行ったタイミングで兄たちは動くわ」
「やっぱり俺の目が行き届かなくなったタイミングか」
宰相の俺が目をつけているアリスが事件に巻き込まれることがあったら問題になる。
それを知っているから、アリスがいなくなるタイミングを狙っているのだろう。
――次期公爵家の後継問題
俺以外の四人で次期公爵家の後継争いになる。
公爵家の後継争いって、かなりの規模で国に迷惑がかかるからな。
やっと国としてまともになったばかりなのに、そんなことをされたら俺の邪魔でしかない。
「湊のことについては何も言うなよ」
「わかってるわ。それにしても、ミナトって普通に言えるのね……」
「当たり前だ。みにゃとは俺しか呼んだらいけないからな」
みにゃとは俺だけが許された呼び方だ。
他にもその呼び方をするやつがいたら、今すぐに首を斬りにいくからな。
「やっぱりルシアン様の聖男なのね」
「もう誓い合った仲だからな」
俺は首元に身につけている鍵を取り出す。
きっと湊は気づいていないだろう。
鍵を渡すことは永遠の伴侶として認めて誓うことを――。
「なんで?」
ホットケーキを食べ終えたルシアンは再び僕にベッタリとくっついていた。
もはやくっつき虫と言わんばかりに引っついている。
「いや、さすがに動きにくいよ?」
「俺が小さい時はみにゃとがくっついていた」
んっ……?
ルシアンが小さい時でも俺がくっついてた覚えはないぞ。
「ひょっとして迷子にならないように手を繋いでいたやつか?」
「そうだ。みにゃとはすぐに迷子なるからな……」
「うっ……」
それを言われたら何も言い返せない。
今さっき迷子になっていたばかりだからね。
ただ、歩く時は手を繋いでくるし、座っていても後ろから抱きついてきたり、腰に手を当てて引き寄せてくる。
まるで付き合っているカップルみたいだ。
さすがに今日失恋したと思ったばかりなのに、僕の頭が整理できていない。
「そろそろミナトさんが困っているわよ?」
「お前はいつまでここにいるつもりなんだ?」
「別にいいでしょ! 私だって学園に行きたくないわよ!」
アリスがルシアンに懐いていたのは、単にルシアンとの仲が良いわけではなかった。
家族から暴力を振るわれないように保護していたのがルシアンらしい。
中々貴族の世界も大変のようだ。
「そういえば、また明日も城に行ってもいいかな?」
「チッ!」
僕の言葉に背後から舌打ちが聞こえてきた。
見上げると、ルシアンは複雑そうな顔をしていた。
「俺はみにゃとをこのまま閉じ込め……そんな可愛い顔されても許さ……わかった」
一瞬の間に葛藤があったのだろう。
僕の顔をジーッと見て、ため息をついていた。
それにしても、一瞬「閉じ込める」って聞こえたような……気のせいだろうか。
「ありがとう。ちょっと騎士たちの体調が気になっているからね」
「あいつらなら大丈夫だ。そんな簡単には死なないからな」
サルモネラ感染症って思っているよりも重症化したら大変なんだからね。
ひょっとしたら、まだ嘔吐や下痢で苦しんでいるのかもしれない。
経口補水液も追加で準備しないといけないし。
「今日は疲れたから、早めに休むよ」
お腹も減っていないため、僕は早めに部屋に戻ることにした。
あとは兄妹で楽しめばいい。
アリスも学園に通うって言ってたから、しばらく会えない日々が続くだろうしね。
そう思いながら、部屋に戻るが背後に付いてきている存在がいた。
「だから……なんで付いてくるの!」
「だって、俺とみにょとの寝室はここだからな」
「あっ、そうか……」
そういえば屋敷に来た時に二人の寝室って言ってた気がする。
ルシアンはいつからこの部屋を用意していたのだろうか。
僕がここに来る可能性の方が少なかったのにね。
渋々、ベッドの中に入ると僕はゆっくり目を閉じる。
ただ、視線を感じて中々寝付けない。
「そんなに見られると寝れないんだけど……」
「みにゃとがこっちに来て、寂しくて寝れないかもしれないからな」
そう言って、ルシアンは僕の頭を優しく撫でる。
ついこの間までは僕がルシアンを寝かしつけていたのに……。
ただ、大きな手が心地よく、眠気を誘ってくる。
「ルシアンが元気そうでよかった。ずっと会いたかったらね」
「俺も会いたかったよ」
耳元でボソリと呟くルシアンに僕は恥ずかしくなってくる。
掛け布団を頭まで上げる。
また目を覚ましたら、現実の世界にいるかもしれない。
大人のルシアンに会えるなんて、夢みたいなことだからね。
元の世界に戻っても、伝えたいことは言っておかないと。
「ずっと……すき……」
僕はひっそりとつぶやく。
きっと聞こえてはいないだろうが、僕の中で少しだけスッキリした。
僕はそのまま眠気に誘われて、眠りについた。
♦︎
「えっ、今俺のこと好きって言った?」
確認しようとした頃には、俺の愛する湊は可愛い寝顔で眠りについていた。
小柄な体なのに、あれだけ動いていたら眠くなるのは仕方ない。
「俺も好きだぞ」
聞いているかはわからない。
けれど、俺はそっと湊の額にキスを落とす。
初めて湊にキスをした時が懐かしく感じる。
あの当時も湊のことが好きだったが、今はそれよりも湊を愛している。
まだあの時はそこまで自覚していなかったからな。
離れた時間が長いほど、湊を思う気持ちが強くなった。
本当はこの屋敷から一歩も出さず、誰にも見せたくないくらいだ。
でも、そんなことをしたら嫌われちゃうのはわかっている。
俺は部屋を出ると、アリスの元へ戻る。
「ミナトさんは眠ったかしら?」
「あぁ、それで今日は何の用で来たんだ?」
「兄さんたちについてよ」
アリスは今も公爵家に住んでいる。
それは俺の邪魔をするあいつらを監視するためだ。
湊には伝えてはないが、アリスも平民との間にできた子どもと公爵から聞かされている。
それを知ったのは、俺が学園を卒業したのと同時だった。
「きっと私が学園に行ったタイミングで兄たちは動くわ」
「やっぱり俺の目が行き届かなくなったタイミングか」
宰相の俺が目をつけているアリスが事件に巻き込まれることがあったら問題になる。
それを知っているから、アリスがいなくなるタイミングを狙っているのだろう。
――次期公爵家の後継問題
俺以外の四人で次期公爵家の後継争いになる。
公爵家の後継争いって、かなりの規模で国に迷惑がかかるからな。
やっと国としてまともになったばかりなのに、そんなことをされたら俺の邪魔でしかない。
「湊のことについては何も言うなよ」
「わかってるわ。それにしても、ミナトって普通に言えるのね……」
「当たり前だ。みにゃとは俺しか呼んだらいけないからな」
みにゃとは俺だけが許された呼び方だ。
他にもその呼び方をするやつがいたら、今すぐに首を斬りにいくからな。
「やっぱりルシアン様の聖男なのね」
「もう誓い合った仲だからな」
俺は首元に身につけている鍵を取り出す。
きっと湊は気づいていないだろう。
鍵を渡すことは永遠の伴侶として認めて誓うことを――。
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