最弱の荷物持ちは謎のスキル【証券口座】で成り上がる〜配当で伝説の武器やスキルやアイテムを手に入れた。それでも一番幸せなのは家族ができたこと〜

70.突然の呼び出し

　俺達は今馬車に乗ってあるところへ移動していた。

「おい、ウォーレンそんなに緊張しなくていいんじゃないか？」

「いや、だって貴族街に行くんだぞ」
　王都に来た時からロビンには貴族と関わるのをなるべく避けるように言われていた。そんな俺が貴族街に行くとは思ってもいなかった。

　ことの始まりは王都へ帰ってきた後だった。


♢


「あっ、ウォーレンさんおかえりなさい」

「ただいま帰りました」
　宿屋に帰るとルースが元気よく働いていた。ロンとニアは先に部屋に戻るとルースと話していた俺にエヴァンが後ろから肩を組んできた。

「今日の夜作戦決行な！」
　エヴァンは俺の耳元で小さく話していた。作戦とは夜な夜なエッチなお店に行こうということだろう。

「ああん、久しぶりのエヴァ×ウォーだわ」
　案の定目の前にいたルースはこれでもかと目を見開き俺達を見ていた。

「そういえば何か手紙って来てないです……きゃ！？」

「んっ！？」
　プリシラはルースに尋ねるとそのままの顔でプリシラを見たため彼女は驚いていた。そりゃー、サハギンみたいな顔で見られたら驚くだろう。

「あっ、すみません。　手紙ですね」
　ルースは奥に戻ると綺麗な紙に包まれた手紙を持ってきた。

「ウォーレンさん宛てには来てましたけどプリシラさんにはなかったですよ」
　俺はルースから受け取ると裏には何か刻印がしてあった。

「それで大丈夫ですよ。　私の家からの手紙ですので」
　俺は中を開けるとそこには帰宅後に時間を空けておいて欲しいと書いてあった。この間来た時に帰り際に屋敷に招待すると言っていたやつの招待状だった。


♢


　あれから俺は緊張しているのだ。あの日の夜もエッチなお店には行けなかった。どっちにしてもその日に限ってニアとロンが一緒に寝たいと枕を持っていたから久しぶりにもふもふを堪能した。

　エヴァンに関してもどうだったかわからないがプリシラにベットの上で氷漬けにされていたから行けなかったのだろう。

「ウォーレン大丈夫か？」

「ああ、ありがとう」

「この間会ってるのにまだ緊張してるのか？」

「なんというかお前の親父さんに関してはそこまで緊張しないんだがな……」
　すでにチラッと見えた外は今までいたところとはガラリと変わっており、外装も煌びやかになっており歩いている人達も周りに騎士を連れて歩いていた。

「皆様到着しました」
　馬車が止まると御者をする執事から声がかけられた。エヴァン、プリシラの順番で馬車から降りて行き俺の順番になると屋敷の存在に驚いた。

「おい、これって屋敷っていうよりは城じゃないのか……」

「にいちゃすごいね」
　俺とロンはびっくりしていたがニアはそこまで驚いていなかった。

「お兄ちゃん何言ってるの？」

「何って目の前に城がある――」
　俺の話にニアは首を傾げていた。何か俺がおかしいのだろうか。エヴァンとプリシラは俺を見て笑っていた。

「だって、エヴァンさんとお姉ちゃんって王族だから住むところはお城だよ？」

「なーにー！？」
　俺はエヴァンとプリシラが貴族なのは知っていたが、まさか王族だとは思いもしなかった。

　それはロンも知らなかったようで顎をカタカタとしていた。

「あの刻印も王族の刻印だよね？　お姉ちゃん？」

「やっぱりニアちゃんはえらいね」
　ニアはプリシラにもふもふされていた。どうやら前からニアは2人が王族だということを知っていたようだ。

「お兄ちゃんの面子がないな」
　エヴァンは優しくそっと俺の肩を叩いた。

「いやいや、そういうのは早く伝えてくれよ」

「ははは、それを言ったらどうせお前は来ないからな」
　確かに貴族って聞いただけで関わりたくないのに貴族のさらに上に位置する王族なんて誰も関わりたくないだろう。

　そんなことを思っているといつのまにか城に続く道に人の行列ができていた。

「エヴァン・アルジャン様、プリシラ・アルジャン様のおかえりです」
　執事が声を上げると執事や城に働く者は一斉に頭を下げた。

　どうやら俺達は来るところを間違えたようだ。