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85.敏腕ゴードン
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俺達は隠れながら宿屋に戻ると入り口にはロンとゴードンが待っていた。
「にいちゃ!」
俺の顔を見るとロンが走って駆け寄ってきた。
「ゴードンさんどうしたんですか?」
俺の周りにはぞろぞろと獣人達がくっついているからだろうかゴードンは子ども達を見ていた。
「やはり何かに巻き込まれてましたか」
冒険者ギルドに行ってくると出て行った俺が中々帰って来なかったため心配になってロンは探していた。そんな中偶然にゴードンと会い一緒に待っていたらしい。
「これで連絡してくれれば――」
「連絡したけどずっと幽霊が来るって言ってたのはにいちゃだよ」
どうやら俺が船の中であたふたしているタイミングでロンは連絡していたらしい。たまにどこからか声が聞こえたのは幽霊じゃなくてロンの声だった。
あれだけ騒いでいたのが今頃になって恥ずかしくなってきた。一部の獣人も本当に幽霊が出たと思ってビクビクしている子もいたぐらいだから申し訳ない。
「それにしてもたくさんの獣人を連れていますね?」
「ああ、それが色々ありまして……」
俺はロンに部屋に戻ってもらうように伝え、簡単に船であったことをゴードンに話すことにした。
「実際に獣人の売買が存在しているんですね」
ゴードンも奴隷畜舎に関しては聞いたことがあるようだが見たことはないらしい。
「それで助けたのは良いですが、今後をどうするか心配になってきまして……」
匠の短剣による効果でお金を稼ぐこと以前よりも楽になり、子ども達を養うことはできるが面倒を見ることはできないだろう。
ロンとニアぐらい聞き分けが良くて、ある程度離れていても問題ないなら良いがそもそもまだ幼い子もいるぐらいだ。
「ならここは私の出番ですね」
「えっ?」
「以前神様にお金をもらったと話したのを覚えていますか?」
「覚えています。 ここに来る前にもたくさんの金貨が降ってきたと……」
その話を聞いて俺は本当にその神様を信仰したいと思ったぐらいだ。証券口座にはたくさんのお金が必要になるからな。
「もう私にはお金がそこまで必要ではないので、次は私ができる恩返しをしてみるのもいいと思いましてね」
「それって」
「はい、私達の商会が運営している孤児院がありましてね。 本人が良いならそのまま商会で働いてもらってるんです」
思ってもないことに俺はゴードンに感謝するばかりだ。ロンとニアに対する態度できっとこの人なら獣人を悪いようにはしないと思っていた。
「ありがとうございます」
俺は何度も頭を下げると後ろにいた獣人の子ども達もマネして頭を下げていた。
「実は少し前から親が病気などの何かしらの理由で亡くなった子ども達の援助をしていたんです。 だからもっと大きくすることで私なりの恩返しができると思ってましてね」
「ほんとですか!?」
「はい、中には親が冒険者で命を落とした子もいるので冒険者ギルドにも協力の話をしていたところなんです」
最近冒険者ギルドに顔を出せていないため、子守りの依頼などが出ていることは知らなかった。
後からローガンに聞いた話では、俺達を見て若いポーターが安全に働ける場所の提供に良いと思っていたらしい。
確かに子守りであれば命に関わることもないし、守ってもらうだけのポーターでもお金を稼ぐことができるためシステムとしては俺も賛成だった。
「では僕達も協力できる範囲でさせて頂きますのでよろしくお願いします」
俺は改めてゴードンに獣人達をお願いすることにした。
――ぐぅ!
そんな中俺の隣にいた少女の獣人のお腹から空腹の合図が鳴っていた。
恥ずかしそうに顔を赤らめている少女にはさっきまでのしっかりとした姿はなく年相応の可愛らしい少女に戻っていた。
きっと緊張していた気持ちもほぐれてお腹が減ったのだろう。
出会ったロンやニアと同じでみんな痩せこけていてあまり食事を食べさせてもらえなかったらしい。
「よかったら一緒にご飯でもどうですか? ちょうど私の経営してる商会の宿屋もあるのでそちらに来てはどうでしょう」
どうやらゴードンは宿屋の経営もしているらしい。本当に幅広く色々なことをやっているゴードンに尊敬している。
「では宿屋にも伝えてきますね」
俺はそのままゴードンの提案に甘えることにした。
「にいちゃ!」
俺の顔を見るとロンが走って駆け寄ってきた。
「ゴードンさんどうしたんですか?」
俺の周りにはぞろぞろと獣人達がくっついているからだろうかゴードンは子ども達を見ていた。
「やはり何かに巻き込まれてましたか」
冒険者ギルドに行ってくると出て行った俺が中々帰って来なかったため心配になってロンは探していた。そんな中偶然にゴードンと会い一緒に待っていたらしい。
「これで連絡してくれれば――」
「連絡したけどずっと幽霊が来るって言ってたのはにいちゃだよ」
どうやら俺が船の中であたふたしているタイミングでロンは連絡していたらしい。たまにどこからか声が聞こえたのは幽霊じゃなくてロンの声だった。
あれだけ騒いでいたのが今頃になって恥ずかしくなってきた。一部の獣人も本当に幽霊が出たと思ってビクビクしている子もいたぐらいだから申し訳ない。
「それにしてもたくさんの獣人を連れていますね?」
「ああ、それが色々ありまして……」
俺はロンに部屋に戻ってもらうように伝え、簡単に船であったことをゴードンに話すことにした。
「実際に獣人の売買が存在しているんですね」
ゴードンも奴隷畜舎に関しては聞いたことがあるようだが見たことはないらしい。
「それで助けたのは良いですが、今後をどうするか心配になってきまして……」
匠の短剣による効果でお金を稼ぐこと以前よりも楽になり、子ども達を養うことはできるが面倒を見ることはできないだろう。
ロンとニアぐらい聞き分けが良くて、ある程度離れていても問題ないなら良いがそもそもまだ幼い子もいるぐらいだ。
「ならここは私の出番ですね」
「えっ?」
「以前神様にお金をもらったと話したのを覚えていますか?」
「覚えています。 ここに来る前にもたくさんの金貨が降ってきたと……」
その話を聞いて俺は本当にその神様を信仰したいと思ったぐらいだ。証券口座にはたくさんのお金が必要になるからな。
「もう私にはお金がそこまで必要ではないので、次は私ができる恩返しをしてみるのもいいと思いましてね」
「それって」
「はい、私達の商会が運営している孤児院がありましてね。 本人が良いならそのまま商会で働いてもらってるんです」
思ってもないことに俺はゴードンに感謝するばかりだ。ロンとニアに対する態度できっとこの人なら獣人を悪いようにはしないと思っていた。
「ありがとうございます」
俺は何度も頭を下げると後ろにいた獣人の子ども達もマネして頭を下げていた。
「実は少し前から親が病気などの何かしらの理由で亡くなった子ども達の援助をしていたんです。 だからもっと大きくすることで私なりの恩返しができると思ってましてね」
「ほんとですか!?」
「はい、中には親が冒険者で命を落とした子もいるので冒険者ギルドにも協力の話をしていたところなんです」
最近冒険者ギルドに顔を出せていないため、子守りの依頼などが出ていることは知らなかった。
後からローガンに聞いた話では、俺達を見て若いポーターが安全に働ける場所の提供に良いと思っていたらしい。
確かに子守りであれば命に関わることもないし、守ってもらうだけのポーターでもお金を稼ぐことができるためシステムとしては俺も賛成だった。
「では僕達も協力できる範囲でさせて頂きますのでよろしくお願いします」
俺は改めてゴードンに獣人達をお願いすることにした。
――ぐぅ!
そんな中俺の隣にいた少女の獣人のお腹から空腹の合図が鳴っていた。
恥ずかしそうに顔を赤らめている少女にはさっきまでのしっかりとした姿はなく年相応の可愛らしい少女に戻っていた。
きっと緊張していた気持ちもほぐれてお腹が減ったのだろう。
出会ったロンやニアと同じでみんな痩せこけていてあまり食事を食べさせてもらえなかったらしい。
「よかったら一緒にご飯でもどうですか? ちょうど私の経営してる商会の宿屋もあるのでそちらに来てはどうでしょう」
どうやらゴードンは宿屋の経営もしているらしい。本当に幅広く色々なことをやっているゴードンに尊敬している。
「では宿屋にも伝えてきますね」
俺はそのままゴードンの提案に甘えることにした。
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