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90.敵は仲間か?

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 王都に入った俺達を待ち受けていたのは剣や槍を向けた人達だった。見た目からして冒険者や騎士ではなく一般の人達だろう。

「これってどういうことですか?」

「お前らが魔物かどうかを確認する方が先だ」
 俺は何を言われているのかわからなかった。そもそも王都を守る力として急いで戻ってきたのにこの仕打ちだ。

「この状況をすぐに説明してもらってもいいか? ドルマよ」

「ゴードンさん!?」
 近くにいた男にゴードンは声をかけるとすぐに駆け寄ってきた。

「この方は商会の創設者です」

「しかし、こいつも魔物の可能性が――」

「我々商会はお客様を第一に考え、利益が得られないことも将来の光として輝く存在までサポートする」

「皆、武器を下げてくれ」

「なっ、それはどういうことだ」

「あれは商会の理念だ」
 ゴードンが口にしたのは商会の理念だった。流石に魔物であればそこまではわからないだろうし、商会の創設者であるゴードンが知っていて当たり前の言葉だろう。

 ドルマの説得に市民は俺とゴードンに武器を向けることはなくなった。ただ、俺には向けないものの獣人の子ども達を警戒していた。

「この者は我々商会の未来の宝物だ。 傷つけた者は一生商会での買い物を禁ずる」
 それだけ獣人に対して良い印象がないのだろう。違う種族を排除しようとする人は王都でも存在している。

「そんな……俺はこの商会で買えないのは困るよ」
 ゴードンの声を聞いて獣人に向けていた武器を戸惑いながらおろしていた。

「さぁ旅の疲れを取るために私の商会に向かおうか」
 俺達はゴードンに案内されるまま商会に向かった。

 歩きながら周りを見渡すと至るところも建物が破壊されていた。見ただけで一瞬でわかるほど王都の中がめちゃくちゃになっていた。

 それでも外壁がそのまま残っていることから違和感を感じた。

「王都が荒れてますね」

「彼らが人を疑う理由もこれが原因なんです」
 道の真ん中には立てかけられた木に縛られた人間が数人いた。

「にいちゃ、あれって……」

「ああ」
 俺達が目の前にいたのは同じ冒険者で俺にしつこく酒を飲まそうとしていた冒険者だった。

 あまり話さなくても何度も顔合わせていれば顔見知りになる。

「ガロルさんとミーシャさんですよね」
 同時期にC級にランクが上がりギルド内でお祝いしたこともある人物だった。

 実際は誰かしらランクが上がる度にギルド内で誰かが祝っている。ただ酒が飲みたいというのが理由だろうけどそれがきっかけで仲良くなるのだ。

「はやく外してあげましょうよ」
 俺は彼らに近づくとドルマに止められた。ガロルやミーシャの体には向こう側見えるほど大きな穴が体に空いていたのだ。

「何してるんですか! 俺達も知っている冒険者なんですよ」
 俺の言葉にドルマは首を横に振っていた。

「これを決めたのは冒険者ギルドのギルド長であるローガンさんなんだ」
 さっきも俺を助けてたローガンが指示して同じ冒険者を見せしめのように王都の真ん中に置いておくはずがない。

「王都のこの状態も君らに剣を向けた原因を作ったのも彼らのせいなんだ」

「えっ……」
 ドルマの言葉に俺は驚きその場で力が抜けてしまった。

「ドルマそれはどういうことだ?」

「彼らは王都に入ってくるといきなり人を襲い街を破壊したのが始まりでした。 すぐに騎士や冒険者が押さえつけると外にいる魔物のように触手が現れてさらに被害が出て、それを止めたのがギルド長なんです」

「だからあのまま縛られたままなのか?」

「私達もどうにかしたいのは山々なんですが昼間はこのように意識はないですが、時折夜になると触手が出て何かを求めて外に向かおうとするんです」
 ドルマの話に俺は信じられず、聞いた言葉そのままどこかへ飛んで行っていた。

「お兄ちゃん大丈夫?」

「ああ」
 俺はその後もドルマの会話は覚えておらず気づいたらロンとニアに手を繋いでもらいゴードンが経営する商会の椅子に座っていた。
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