94 / 141
94.スキル【吸収】 ※一部別視点
しおりを挟む
気づいたら辺りは真っ暗で何もない空間に横たわっていた。正確に言えば体の感覚がないため横たわっているのかもわからない。
「二人とも泣いてたな……」
最後の記憶はロンとニアが泣いた顔だった。
「そもそも俺って死んだのか?」
声が出てる気はするが本当に口から出ているのかも感覚がないためなんとも言えない。
これが死後の世界なのかと俺は考えていると急に強い光で照らされた。俺は目を開けることができず思わず目を閉じた。
♢
――ジリリリリ!
アラームの音に俺は目を覚ました。どこか真っ暗な部屋で寝ている夢を見ていたが実際はベットの上で寝ていた。
「パパ朝だよ」
扉を開けて覗いていたのは長女の空だ。
「そーらー!」
俺はベットから体を起こすといつものように空に抱きつきリビングに向かった。
「あなたおはよう」
「父ちゃんおはよう」
先に起きていた妻と長男の海はテーブルに座って俺を待っていた。
「おはよう! 遅くなってすまない」
「昨日忙しかったから仕方ないよ」
昨日は今日のために必死に準備をしていたため寝るのが遅くなったのだ。
「パパ今日なんの日かわかる?」
空はニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。もちろん俺はわかっているがあえて知らないふりをすることにした。
「あっ……今日は何の日だったか?」
「えっ!? パパ忘れちゃったの?」
冗談で言ったはずがあまりにも悲しそうな顔をする空の顔を見て俺は少し申し訳ない気持ちになった。
「あー、今日はお前達の誕生日だろ?」
今日は双子の空と海が生まれてきた日。いわゆる誕生日だ。
「ふふふ、あんまり空をいじめちゃだめよ」
「あまりの可愛さについね」
「私のことは?」
「あー、一番可愛いと思ってるぞ」
俺は自分で言うのも恥ずかしいが家族を溺愛している。愛した妻が生んだ空と海が可愛くないはずがない。
「パパそんなにゆっくりしてると仕事遅れるよ?」
「本当か!?」
この中で1番しっかりしている海は時計を指差していた。
「あっ、ほんとだ! 仕事に行ってくるよ」
俺は急いで朝ごはんを掻き込むと身支度をして玄関に向かった。
「今日は何時に帰ってくるの?」
「夕方には帰ってくるよ」
「みんなで待ってるわね」
いつも仕事に追われている俺は今日のために定時に終われるように仕事を進めている。
「パパいってらっしゃい」
「ああ、行ってくるよ」
俺は3人にキスをしてから仕事場に向かった。
♢
仕事は順調に終わり帰ろうとした時に問題が起きた。
「ちょっと今手空いてるやついるか!」
突然上司がオフィスで声を上げた。俺以外はまだ自分の仕事が終わっていないため俺は手を挙げた。
「少しなら大丈夫です」
「ああ、助かるよ! 取引先でミスが発覚して少しだけ手伝ってもらいたんだ」
「わかりました」
俺は残業をすることになったことを妻に連絡を入れた。彼女は仕方ないと言っていたが電話から聞こえる声は寂しそうだった。
それからしばらく仕事をしていると、後輩達が一緒に対処してくれたためミスはどうにか解決した。
「先輩、今日お子さんの誕生日ですよね? お店に早く行かないと間に合わないですよ」
「うわ、やべぇ!」
今日はプレゼントを持って登場すると妻と事前に相談していた。
だからプレゼントをおもちゃ屋に取りに行く予定だったが、どうやら閉店時間までに間に合ったようだ。
俺は子供達の荷物を両手に抱えて持って帰ると普段聞こえる子ども達の声が聞こえなかった。
逆に俺が帰ってくるのを静かに待っているのか寝ているのかのどちらかだろう。
「あいつら疲れて寝てるのか?」
俺は玄関の扉を開けた瞬間に何か違和感を感じた。あまり嗅いだことないような腐臭が鼻の奥を突き刺している。
「ただい……おい、大丈夫か!」
扉を開けるとそこには血だらけでうつ伏せに倒れている妻の姿あった。
俺は急いで妻の体を起こそうとするが彼女の腕はだらんと垂れ下がっていた。
「二人とも泣いてたな……」
最後の記憶はロンとニアが泣いた顔だった。
「そもそも俺って死んだのか?」
声が出てる気はするが本当に口から出ているのかも感覚がないためなんとも言えない。
これが死後の世界なのかと俺は考えていると急に強い光で照らされた。俺は目を開けることができず思わず目を閉じた。
♢
――ジリリリリ!
アラームの音に俺は目を覚ました。どこか真っ暗な部屋で寝ている夢を見ていたが実際はベットの上で寝ていた。
「パパ朝だよ」
扉を開けて覗いていたのは長女の空だ。
「そーらー!」
俺はベットから体を起こすといつものように空に抱きつきリビングに向かった。
「あなたおはよう」
「父ちゃんおはよう」
先に起きていた妻と長男の海はテーブルに座って俺を待っていた。
「おはよう! 遅くなってすまない」
「昨日忙しかったから仕方ないよ」
昨日は今日のために必死に準備をしていたため寝るのが遅くなったのだ。
「パパ今日なんの日かわかる?」
空はニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。もちろん俺はわかっているがあえて知らないふりをすることにした。
「あっ……今日は何の日だったか?」
「えっ!? パパ忘れちゃったの?」
冗談で言ったはずがあまりにも悲しそうな顔をする空の顔を見て俺は少し申し訳ない気持ちになった。
「あー、今日はお前達の誕生日だろ?」
今日は双子の空と海が生まれてきた日。いわゆる誕生日だ。
「ふふふ、あんまり空をいじめちゃだめよ」
「あまりの可愛さについね」
「私のことは?」
「あー、一番可愛いと思ってるぞ」
俺は自分で言うのも恥ずかしいが家族を溺愛している。愛した妻が生んだ空と海が可愛くないはずがない。
「パパそんなにゆっくりしてると仕事遅れるよ?」
「本当か!?」
この中で1番しっかりしている海は時計を指差していた。
「あっ、ほんとだ! 仕事に行ってくるよ」
俺は急いで朝ごはんを掻き込むと身支度をして玄関に向かった。
「今日は何時に帰ってくるの?」
「夕方には帰ってくるよ」
「みんなで待ってるわね」
いつも仕事に追われている俺は今日のために定時に終われるように仕事を進めている。
「パパいってらっしゃい」
「ああ、行ってくるよ」
俺は3人にキスをしてから仕事場に向かった。
♢
仕事は順調に終わり帰ろうとした時に問題が起きた。
「ちょっと今手空いてるやついるか!」
突然上司がオフィスで声を上げた。俺以外はまだ自分の仕事が終わっていないため俺は手を挙げた。
「少しなら大丈夫です」
「ああ、助かるよ! 取引先でミスが発覚して少しだけ手伝ってもらいたんだ」
「わかりました」
俺は残業をすることになったことを妻に連絡を入れた。彼女は仕方ないと言っていたが電話から聞こえる声は寂しそうだった。
それからしばらく仕事をしていると、後輩達が一緒に対処してくれたためミスはどうにか解決した。
「先輩、今日お子さんの誕生日ですよね? お店に早く行かないと間に合わないですよ」
「うわ、やべぇ!」
今日はプレゼントを持って登場すると妻と事前に相談していた。
だからプレゼントをおもちゃ屋に取りに行く予定だったが、どうやら閉店時間までに間に合ったようだ。
俺は子供達の荷物を両手に抱えて持って帰ると普段聞こえる子ども達の声が聞こえなかった。
逆に俺が帰ってくるのを静かに待っているのか寝ているのかのどちらかだろう。
「あいつら疲れて寝てるのか?」
俺は玄関の扉を開けた瞬間に何か違和感を感じた。あまり嗅いだことないような腐臭が鼻の奥を突き刺している。
「ただい……おい、大丈夫か!」
扉を開けるとそこには血だらけでうつ伏せに倒れている妻の姿あった。
俺は急いで妻の体を起こそうとするが彼女の腕はだらんと垂れ下がっていた。
12
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる