貞操逆転国の亡命代行

空の小説マン

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最終話 代行

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軍学校の寮にて、窓から朝日を眺めるロビン。

すると部屋の扉を開いて、ロアが姿を現した。
「もーロビンくん!授業始まっちゃうよ!ほら急いでー!」
彼女に呼びかけられたロビンは、微笑んで窓から離れた。
「ああ、今行くよ」

ロビンは部屋から出ると、ロアと共に廊下を歩く。
すると、二人の背中を追うように、ベティとクロミネが顔を見せた。
「ようお前ら!二人で登校たァお熱いじゃねえか!」
ロビンとロアの肩を叩くベティに、ロアは、小悪魔な笑みを浮かべて話した。
「そんな事言ってー!ベティちゃん、ロビンくんの隣歩きたいんでしょー?
代わってあげよっか?」
「あ゙ぁん?何言ってんだロア!そんなわけねえだろ!」
ロアとベティが戯れ合う中、クロミネは腕を組んで、ロビンに説教する。
「全く、あと少しで遅刻といったところだぞ。
軍学校の生徒ならば、もっと時間に気を配ってだな...」
長話を始めようとするクロミネに、ロビンは、言葉を切り返した。
「お前だって、今授業に向かっている最中じゃないか」
彼の言葉に対し、クロミネは、歯切れ悪く答える。
「そ、それは...お前を呼んでやろうと...」
言葉を詰まらせるクロミネが、静かに髪を弄ると、
ロビンの元へ駆けつけたシルビアが、彼の手を握り、爽やかな笑顔を見せた。
「おはようロビン君、いい朝だね。
でも急がないと、授業に遅れてしまうよ?」
手を繋ぐロビンとシルビアを見て、目を丸くするロア達三人。
するとロビンは、シルビアに怪訝な顔を見せた。
「シルビアお前、よくも俺との約束を破ったな?」
"自身の正体"を、クロミネやベティに、バラされたのを恨むロビンへ、
シルビアは頭を掻いて、詫びを入れた。
「アハハ...ごめんごめん。
あの時、君と二人を協力させる唯一の方法だったんだ。
許してよ!ね?」
ロビンの顔を見つめ、手を握り懇願するシルビアを見て、
クロミネとベティは、咄嗟に割って入った。
「も、もうその件は、済んだ話だ!」
「お、おうよ!もう気が済むくらい、ボコボコにしてやったしな!」
クロミネとベティに手を引かれ、ロビンは廊下を歩く。
三人を追いかけるシルビアの後ろで、ロアは優しく微笑みを浮かべた。

ロビンは、彼女らと廊下を歩みながら、窓から外を見つめた。

◇◆◇◆◇◆◇

軍事国家ニカルクア海域 ルィフメー港からの貨物船にて。

甲板から海を眺める、ローブを羽織った男が、船員に声をかけられた。
「ニカルクアの大陸まで、あと少しで到着です。
ロビン・アダムスカ」

ローブに身を包んだロビンは、船員に頷くと、上陸の準備をするため、甲板から離れた。

彼は先日、ウルフから言われた事を思い出す。

『ロビン。お前は、ニカルクア行きの貨物船に乗り込み、向こうへと渡航するんだ。
ニカルクアに着いたら、大佐が面倒を見てくれる。
後のことは、俺に任せてくれ』

ロビンはウルフに対して、尊敬の念を抱き、心から彼に感謝した。
(ありがとうウルフ。
君のしてくれたことを、俺は永遠に忘れないよ)

海上を進む貨物船は、着々とニカルクアへ、距離を縮めるのだった。

◇◆◇◆◇◆◇

窓ガラスに映る、ロビンの姿をした自身を見て、ウルフは、決意を抱いた瞳を浮かべる。

(これから先、俺はお前に成り代わり、
ロビンとして、このルィフメーで生きていく。
お前が亡命したことも、この亡命任務の存在自体も、俺が生涯をかけて、秘匿にしてみせる。

一人では、険しい道かもしれない。
だが、秘密を守り通してくれる仲間達と一緒なら、
必ず、やり遂げられると信じている)

静かに瞼を下ろす彼に対し、仲間達は笑顔で語りかけた。

「ほらロビンくん!早くしないと、教官に怒られるよー!」
手招きして先導するロア。

「けっ!その時は、一緒に叱られるとすっか!なぁロビン!」
ニヤリと笑みを浮かべるベティ。

「全く、まずロビンと共に叱られるという前提がだな...」
ため息をついて語るクロミネ。

「まあまあ、こうしてる間に、ロビン君が遅刻してしまうよ」
クスリと微笑みを浮かべるシルビア。

彼女ら仲間達に手を引かれ、ロビンは共に、歩みを進めた。

こうして、亡命代行任務は完遂され、物語は幕を下ろすのだった。
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