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軽井 志帆 十七歳、性別女β型。
趣味はゴシップで、持ち前の愛嬌の良さを最大限に利用してきた結果、この年にしては広い情報網を持っていると思う。
友人知人は勿論のこと、全く関わりのない人のあんなことやこんなことまで、真偽を問わなければ色々と知っている。
噂であれこれ推察するなんて時間の無駄に過ぎないかもしれないが、私にとっては刺激のない学生生活において十分な楽しみとなる。
が、私にも好き嫌いは当然あるわけで、第二性別が関わる噂は総じて好きではない。というか嫌いだ。
と言うのも、コレが関わる良い噂なんて無いに等しい。
大抵がαを褒め称えΩを貶す、片方でなくセットである内容がほとんどだ。
どちらが主体であれ、片方が片方をより際立たせるためにセットで語られることが多い。
ここに人間の汚いものを嫌でも感じる。あからさまな差別だ。
そんな二者とは対象的にβは凡庸ゆえ噂が立つことなどあまりない。
しかし噂を立てるのはβが主だった。αには憧れを、Ωには蔑みを。
そんなβが多いこともあって私は第二性別が関わることが嫌いだ。
そんな私が自分から噂になりかねない行動をとろうと思ったのは幼馴染のため。
私は幼馴染が大好きだ。もちろん友人として。
彼女、理々子とは家が近所であり母親同士も幼馴染で赤子の頃からの付き合いになる。
昔から感情の起伏に乏しい理々子であったが、私が困っていれば必ず手を差し伸べてくれた。
そんな恩も感じてはいるが、今まで大して困ることのなかったあの理々子が私を頼りにしているのだ。
これで動かないでいられるわけがなかった。
(私ってば意外にも熱い奴だったんだね)
十七年目にしてそんなことを初めて思った。
理々子以外であったなら、不用意にαに近づこうなどとは思わない。
私は気合を入れ直し、三年一組の教室へと足を踏み入れた。
「あ、軽井ちゃんだ!珍しいね?」
「やっほー遊びに来たよ」
こういう時に顔が広くて良かったと改めて思う。
別クラスに知人がいるかいないかでは緊張の度合いもまた変わってくる。
声をかけてきてくれたのは私の知人の中で珍しい、というか唯一のαの子だった。
「水城ちゃん元気してた?」
「元気元気ー軽井ちゃんも元気そうだね。で、今日はどんな情報をお求めなのかな?」
「さすが水城ちゃん!バレましたか」
「バレバレですねー」
お互い笑顔ながら相手の出方を伺い合う。この一連の流れは私達の挨拶のようなものだ。
彼女、水城 知奈はαであり頭の回転は言わずもがな。
そんな彼女もゴシップ好きであり、私との掛け合いは楽しいし情報交換にもなるからと友人認定してくれた。
α特有の威圧感だったり敵わないと思わせられることも多々あるが、彼女自身はとても良い人だと私は評価している。
そんな彼女が友人であることをとても感謝した。
「実はね、とっておきの情報があるんだけど知りたくない?」
そう持ちかけた自分は今とてもいい笑顔をしていることだろう。
水城はそんな私に目を輝かせた。
趣味はゴシップで、持ち前の愛嬌の良さを最大限に利用してきた結果、この年にしては広い情報網を持っていると思う。
友人知人は勿論のこと、全く関わりのない人のあんなことやこんなことまで、真偽を問わなければ色々と知っている。
噂であれこれ推察するなんて時間の無駄に過ぎないかもしれないが、私にとっては刺激のない学生生活において十分な楽しみとなる。
が、私にも好き嫌いは当然あるわけで、第二性別が関わる噂は総じて好きではない。というか嫌いだ。
と言うのも、コレが関わる良い噂なんて無いに等しい。
大抵がαを褒め称えΩを貶す、片方でなくセットである内容がほとんどだ。
どちらが主体であれ、片方が片方をより際立たせるためにセットで語られることが多い。
ここに人間の汚いものを嫌でも感じる。あからさまな差別だ。
そんな二者とは対象的にβは凡庸ゆえ噂が立つことなどあまりない。
しかし噂を立てるのはβが主だった。αには憧れを、Ωには蔑みを。
そんなβが多いこともあって私は第二性別が関わることが嫌いだ。
そんな私が自分から噂になりかねない行動をとろうと思ったのは幼馴染のため。
私は幼馴染が大好きだ。もちろん友人として。
彼女、理々子とは家が近所であり母親同士も幼馴染で赤子の頃からの付き合いになる。
昔から感情の起伏に乏しい理々子であったが、私が困っていれば必ず手を差し伸べてくれた。
そんな恩も感じてはいるが、今まで大して困ることのなかったあの理々子が私を頼りにしているのだ。
これで動かないでいられるわけがなかった。
(私ってば意外にも熱い奴だったんだね)
十七年目にしてそんなことを初めて思った。
理々子以外であったなら、不用意にαに近づこうなどとは思わない。
私は気合を入れ直し、三年一組の教室へと足を踏み入れた。
「あ、軽井ちゃんだ!珍しいね?」
「やっほー遊びに来たよ」
こういう時に顔が広くて良かったと改めて思う。
別クラスに知人がいるかいないかでは緊張の度合いもまた変わってくる。
声をかけてきてくれたのは私の知人の中で珍しい、というか唯一のαの子だった。
「水城ちゃん元気してた?」
「元気元気ー軽井ちゃんも元気そうだね。で、今日はどんな情報をお求めなのかな?」
「さすが水城ちゃん!バレましたか」
「バレバレですねー」
お互い笑顔ながら相手の出方を伺い合う。この一連の流れは私達の挨拶のようなものだ。
彼女、水城 知奈はαであり頭の回転は言わずもがな。
そんな彼女もゴシップ好きであり、私との掛け合いは楽しいし情報交換にもなるからと友人認定してくれた。
α特有の威圧感だったり敵わないと思わせられることも多々あるが、彼女自身はとても良い人だと私は評価している。
そんな彼女が友人であることをとても感謝した。
「実はね、とっておきの情報があるんだけど知りたくない?」
そう持ちかけた自分は今とてもいい笑顔をしていることだろう。
水城はそんな私に目を輝かせた。
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