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「え、待って、面白いどころの話じゃないんだけど!」
彼女の耳元で囁いた言葉はたった一言。
“後天性αと後天性Ωがいるよ”と。
αにしろΩにしろ後天性はどちらも等しく珍しい。
つまりただでさえ希少種のαとΩの中でも更に希少種となるわけだ。
それだけに留まらず、後天性の者は番った場合に限りより強い個体になるらしい。
αは更に圧倒的存在へ、能力的にβに劣るとされているΩもそれを越えαに近しい存在へ。
私は第二性別自体を避けていたためつい最近知った情報だったが、水城は即知であったのか想像以上の興味を示した。
理々子にとって今はそんな情報どころではないだろうが、正直なところ私はこれから理々子にどのような変化が訪れるのだろうかと考えるだけで胸が踊った。
「それってもう誰かはわかってるってことだよね?」
「うん。αは確実、Ωは可能性大ってとこだね」
「ていうか、軽井ちゃんその手の話題は嫌いだったんじゃなかったっけ?心境の変化?」
「心境っていうか状況かな……それで水城ちゃんに話したのも無関係じゃないからなんだよね」
「え、そうなの?私ってばβの知り合いってそんないないんだけどな」
(やっぱり水城ちゃんも知らないか……)
恐らく水城もまた東をαと疑っていないのだろう。
これは完全なる賭けだったが、彼女を良い人だと信じて巻き込むことに決めた。
昼休憩も後少し、私は再び水城の耳元に顔を近付けた。
そんな私に楽しげな顔で応じる彼女がどんな反応を示すのか。
こればかりは好奇よりも緊張が勝った。
「実はね、後天性Ωかもしれない人はこのクラスにいるんだよね」
「え?」
「東圭君って、知ってる?」
意地悪い聞き方をしてしまっただろうか。
ゆっくりと顔を離すと、水城は目を見開き固まっていた。
その様子からいかに衝撃的であったのかがうかがい知れる。
しばらく固まっていた水城だったが、硬直から回復するとその顔には明らかに困惑が浮かんでいた。
「マジで言ってる、よね?」
「マジですね。実は心当たり合ったりするんじゃない?」
「!」
これも推察でしかないが、理々子ですら平常を保てなかったのに東がいつも通りでいられるとは思えなかったのだ。
理々子から聞いた話しによると東は最初の邂逅で腰を抜かしていたようだし。
その読みは当たっていたのか、水城は困惑顔のまま何やらブツブツと呟いている。
「最近……ていうか昨日から東が上の空でさ、何か変だなぁとは思ってたんだよね」
「ふんふん」
「しかも“気になる奴ができた”だよ?もう確定じゃない?」
「わお!東君そんなこと言ってたの」
「でもさ待って、東だよ?αじゃなくΩ?それって今まではβだったってこと?」
「ちょちょちょ、言いたいことはわかるけど待って。私もそこはまだわかんないんだよね」
「東嘘ついて……いや…………」
「どうしたの?」
「東の口から自分がαだって聞いたこと、ないかも……」
私が指摘せずとも水城は気付いた。
理々子の読み通り、噂が独り歩きしていた説が濃厚となった。
彼女の耳元で囁いた言葉はたった一言。
“後天性αと後天性Ωがいるよ”と。
αにしろΩにしろ後天性はどちらも等しく珍しい。
つまりただでさえ希少種のαとΩの中でも更に希少種となるわけだ。
それだけに留まらず、後天性の者は番った場合に限りより強い個体になるらしい。
αは更に圧倒的存在へ、能力的にβに劣るとされているΩもそれを越えαに近しい存在へ。
私は第二性別自体を避けていたためつい最近知った情報だったが、水城は即知であったのか想像以上の興味を示した。
理々子にとって今はそんな情報どころではないだろうが、正直なところ私はこれから理々子にどのような変化が訪れるのだろうかと考えるだけで胸が踊った。
「それってもう誰かはわかってるってことだよね?」
「うん。αは確実、Ωは可能性大ってとこだね」
「ていうか、軽井ちゃんその手の話題は嫌いだったんじゃなかったっけ?心境の変化?」
「心境っていうか状況かな……それで水城ちゃんに話したのも無関係じゃないからなんだよね」
「え、そうなの?私ってばβの知り合いってそんないないんだけどな」
(やっぱり水城ちゃんも知らないか……)
恐らく水城もまた東をαと疑っていないのだろう。
これは完全なる賭けだったが、彼女を良い人だと信じて巻き込むことに決めた。
昼休憩も後少し、私は再び水城の耳元に顔を近付けた。
そんな私に楽しげな顔で応じる彼女がどんな反応を示すのか。
こればかりは好奇よりも緊張が勝った。
「実はね、後天性Ωかもしれない人はこのクラスにいるんだよね」
「え?」
「東圭君って、知ってる?」
意地悪い聞き方をしてしまっただろうか。
ゆっくりと顔を離すと、水城は目を見開き固まっていた。
その様子からいかに衝撃的であったのかがうかがい知れる。
しばらく固まっていた水城だったが、硬直から回復するとその顔には明らかに困惑が浮かんでいた。
「マジで言ってる、よね?」
「マジですね。実は心当たり合ったりするんじゃない?」
「!」
これも推察でしかないが、理々子ですら平常を保てなかったのに東がいつも通りでいられるとは思えなかったのだ。
理々子から聞いた話しによると東は最初の邂逅で腰を抜かしていたようだし。
その読みは当たっていたのか、水城は困惑顔のまま何やらブツブツと呟いている。
「最近……ていうか昨日から東が上の空でさ、何か変だなぁとは思ってたんだよね」
「ふんふん」
「しかも“気になる奴ができた”だよ?もう確定じゃない?」
「わお!東君そんなこと言ってたの」
「でもさ待って、東だよ?αじゃなくΩ?それって今まではβだったってこと?」
「ちょちょちょ、言いたいことはわかるけど待って。私もそこはまだわかんないんだよね」
「東嘘ついて……いや…………」
「どうしたの?」
「東の口から自分がαだって聞いたこと、ないかも……」
私が指摘せずとも水城は気付いた。
理々子の読み通り、噂が独り歩きしていた説が濃厚となった。
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