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第二章
暴落恐怖!?お昼までに片付けなさいって誰が言ったのよ!!
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「サキさん! 外に出るわよ! これ以上ギルド壊されたくないから!」
「は、はいっ! リン先生!」
あたしは慌てて机の上の小型デバイスをつかみ、リン先生のあとを追って飛び出した。
眩しい陽光。
土煙をあげて、遠くの大通りを黒い影がゆっくりとこちらに向かってくる。
見間違いようもない。
――昨日の“ベア魔獣”だ!
「また出たのっ!? あいつ昨日倒したじゃないですか!」
「甘いわよサキさん、地合いが悪けりゃ何度でもわくのがベア魔獣よ!」
「ひぃぃっ!ゴキブリみたい!!」
「愚痴はあとっ! チャート魔法陣、用意して!」
「はい! チャート魔法陣――展開!」
ヴィィン
重めの電子音が鳴り、手首のデバイスがまばゆく光を放つ。
空中に円状のホログラムが展開され、あたしの目の前にチャートが浮かび上がった。
線が踊る。赤、緑、赤、緑――そして、長い緑線!
「もう知ってると思うけど、赤が陽線。希望の光。緑が陰線――絶望の感情よ。ベア魔獣は緑の陰線を喰って強くなるの!」
「絶望を喰う……!」
「いい? 長い線は増幅された感情。赤なら希望が暴走、緑なら恐怖が暴走ってこと。今日は緑が長い……つまり最悪!」
「もー! 説明聞いてるだけで絶望してきたぁ!」
「大丈夫、破産までは遠いわ!」
「いや慰めになってないです先生!」
チャートの光が強く瞬く。
緑の波形が大きくうねり、空気がずんと重くなる。
地鳴りのような咆哮――。
「来たわよ! チャートブレードー、準備っ!」
「はいっ! チャートブレード、オン!」
手首のデバイスがうなりを上げ、形を変える。
光の粒子が集まり、左手にずしりと重みが――。
キィィィィン!
あたしの手の中に、小さな剣が姿を現した。
……が。
「あれ? ちっさ! なんかおもちゃサイズなんですけど!光も弱い!」
「チャートブレードは資金が大きいほど大きく、魂が強いほど強度が上がるのよ。レイのは上級者仕様、サキさんは初心者。そんなもんでしょ」
うううう……初心者つらい……
「文句言う前に構えなさい! もう来るわよ!」
ガァァァァァァァッ!!
耳をつんざく咆哮。
巨大な熊のような影が地を蹴り、迫りくる!
背中には折れたチャートの矢。
黒い毛並みの隙間から、緑の数字が滲み出ている。
まるで恐怖そのものが歩いてくるみたいだった。
「ベア魔獣、午前の第二波……っ! こっち来るよぉ!」
「あと十……分。なんとか引けまで耐えきるのよ!」
「十……長いっ!」
ベア魔獣が腕を振り上げる。
光を飲み込むような黒い爪。
ザシュッ!
地面がえぐれるように割れた。
砂埃があがり、あたしたちは転がるように避けた。
「うぎゃっ! 今の当たったら本気で終わってた!」
「そういう攻撃よ、あれ!一発食らえば、口座ごと吹っ飛ぶから気をつけなさい!」
「ひぃぃぃぃぃ!」
「セーフゾーン・ウォール!!」
リン先生が叫んだ瞬間、彼女の足元に魔法陣が展開。
光が弾け、透明な球体があたしとリン先生を包み込んだ。
ベア魔獣の影の波が弾かれて散る。
「これで少しは防御力上がったわ! まだいける!」
「先生、ちょっとかっこいいです!」
「でしょ? 女の子は防御力高くなくちゃね!」
「確かにっ!」
ガァァァァァァッ!!
ベア魔獣の咆哮が空気を震わせる。
それでも、リン先生は一歩も退かない。
彼女の目はまっすぐ、燃えるように強かった。
「まずは生き残れ――儲けるのはそれからだ!」
ウィンク。
あれ、この既視感、何だろう。
「引けまで、あと五分! 行くわよ!」
リン先生が地面を蹴る。
その動きは軽やかで速く、風を切る音が鳴った。
あたしも慌てて追いかける。
「先生! どこ行くんですか!」
「魔獣の背後よ! チャートは背中で反転するの!」
背後をとらえる。
魔獣の巨体が咆哮に夢中でこちらに気づかない。
リン先生が叫ぶ。
「今よサキさん! リバース・トレンド・スラッシュッ出して!」
「わ、分かりました! リバース・トレンド・スラッシュッ!!」
あたしは息を吸い込み、剣を高く掲げた。
光が弾け、チャートが剣に流れ込む。
赤と緑の線がひとつに融合して――眩い光を放った。
「はああああああっ!!」
閃光。
あたしの剣が、ベア魔獣の背を切り裂いた。
緑の光が霧散し、巨体が震える。
「ぐ、ああああああああああっっっ!!」
断末魔。
重い音を立て、ベア魔獣が崩れ落ちた。
その瞬間――
――カン、カン、カン、カン!
午前の終わりを告げる鐘が鳴った。
「引け」だ。
フワッ――。
ベア魔獣の体が霧のように消えていく。
「……や、やった?」
「やったわね! サキさん、合格よ!」
リン先生がぱちぱちぱちっと拍手する。
笑顔がまぶしい。
けどやっぱり、どこかトゲのある言い方。
「初心者にしては素晴らしいバトルだったわ。ほら、ちょっとは形になってきたじゃない」
「う、うれしいけど、その“ちょっと”って強調やめてください先生!」
「この感覚を忘れないで。恐怖を制することが、勝利への第一歩よ!」
「はいっ!」
……まぁ、細かいことは気にしない。
勝てたんだから、今日はそれでいい。
「サキ! リン! ギルドにいないと思ったら、こんなとこで何してんだ!」
聞き慣れた声。
レイだ。
額の汗をぬぐいながら駆けてくる。
「レイさん! どこ行ってたんですか!」
「ちょっとな、宿の厨房借りて飯作ってたんだ。外食ばかりだと体が鈍るからな!」
「戦いのあとにそんな日常の報告しないでくださいよ!」
「それよりレイ、この子――初勝利よ!」
リン先生がにっこり。
レイは一瞬驚いて、すぐ笑った。
「おお、さっきのベア魔獣、サキが倒したのか。成長したなぁ!」
彼の大きな手が、あたしの頭をくしゃっと撫でた。
「ちょっ……! やめっ……! あたし、犬じゃないんだから!」
「ははっ、悪い悪い!」
あたしの頬が、熱い。
うぅ、なんだこれ。
リン先生が横でにやにやしている。
「青春ねぇ……。ふふ、まあいいわ。午後の部まで休憩よ」
「午後の部?」
「もちろん。市場は一日じゃ終わらないの。午後にも波が来るわ」
「うそぉ、また出るんですか魔獣……」
「当然よ。地合いは常に動く――それが市場!」
リン先生が決めポーズで指を突き上げた。
……その瞬間、空にチャートの波が浮かび上がった。
赤と緑の線が交差し、新たなトレンドを描き出す。
あたしは、剣を見つめた。
小さな光が、ほんの少しだけ強く輝いていた。
(次は……もう少し、長い陽線を描けるように――)
「さ!飯だ飯!」
レイが手招きする。
リン先生とわたしは顔を見合わせ笑いながらレイが手招きする宿屋に向かった。
「は、はいっ! リン先生!」
あたしは慌てて机の上の小型デバイスをつかみ、リン先生のあとを追って飛び出した。
眩しい陽光。
土煙をあげて、遠くの大通りを黒い影がゆっくりとこちらに向かってくる。
見間違いようもない。
――昨日の“ベア魔獣”だ!
「また出たのっ!? あいつ昨日倒したじゃないですか!」
「甘いわよサキさん、地合いが悪けりゃ何度でもわくのがベア魔獣よ!」
「ひぃぃっ!ゴキブリみたい!!」
「愚痴はあとっ! チャート魔法陣、用意して!」
「はい! チャート魔法陣――展開!」
ヴィィン
重めの電子音が鳴り、手首のデバイスがまばゆく光を放つ。
空中に円状のホログラムが展開され、あたしの目の前にチャートが浮かび上がった。
線が踊る。赤、緑、赤、緑――そして、長い緑線!
「もう知ってると思うけど、赤が陽線。希望の光。緑が陰線――絶望の感情よ。ベア魔獣は緑の陰線を喰って強くなるの!」
「絶望を喰う……!」
「いい? 長い線は増幅された感情。赤なら希望が暴走、緑なら恐怖が暴走ってこと。今日は緑が長い……つまり最悪!」
「もー! 説明聞いてるだけで絶望してきたぁ!」
「大丈夫、破産までは遠いわ!」
「いや慰めになってないです先生!」
チャートの光が強く瞬く。
緑の波形が大きくうねり、空気がずんと重くなる。
地鳴りのような咆哮――。
「来たわよ! チャートブレードー、準備っ!」
「はいっ! チャートブレード、オン!」
手首のデバイスがうなりを上げ、形を変える。
光の粒子が集まり、左手にずしりと重みが――。
キィィィィン!
あたしの手の中に、小さな剣が姿を現した。
……が。
「あれ? ちっさ! なんかおもちゃサイズなんですけど!光も弱い!」
「チャートブレードは資金が大きいほど大きく、魂が強いほど強度が上がるのよ。レイのは上級者仕様、サキさんは初心者。そんなもんでしょ」
うううう……初心者つらい……
「文句言う前に構えなさい! もう来るわよ!」
ガァァァァァァァッ!!
耳をつんざく咆哮。
巨大な熊のような影が地を蹴り、迫りくる!
背中には折れたチャートの矢。
黒い毛並みの隙間から、緑の数字が滲み出ている。
まるで恐怖そのものが歩いてくるみたいだった。
「ベア魔獣、午前の第二波……っ! こっち来るよぉ!」
「あと十……分。なんとか引けまで耐えきるのよ!」
「十……長いっ!」
ベア魔獣が腕を振り上げる。
光を飲み込むような黒い爪。
ザシュッ!
地面がえぐれるように割れた。
砂埃があがり、あたしたちは転がるように避けた。
「うぎゃっ! 今の当たったら本気で終わってた!」
「そういう攻撃よ、あれ!一発食らえば、口座ごと吹っ飛ぶから気をつけなさい!」
「ひぃぃぃぃぃ!」
「セーフゾーン・ウォール!!」
リン先生が叫んだ瞬間、彼女の足元に魔法陣が展開。
光が弾け、透明な球体があたしとリン先生を包み込んだ。
ベア魔獣の影の波が弾かれて散る。
「これで少しは防御力上がったわ! まだいける!」
「先生、ちょっとかっこいいです!」
「でしょ? 女の子は防御力高くなくちゃね!」
「確かにっ!」
ガァァァァァァッ!!
ベア魔獣の咆哮が空気を震わせる。
それでも、リン先生は一歩も退かない。
彼女の目はまっすぐ、燃えるように強かった。
「まずは生き残れ――儲けるのはそれからだ!」
ウィンク。
あれ、この既視感、何だろう。
「引けまで、あと五分! 行くわよ!」
リン先生が地面を蹴る。
その動きは軽やかで速く、風を切る音が鳴った。
あたしも慌てて追いかける。
「先生! どこ行くんですか!」
「魔獣の背後よ! チャートは背中で反転するの!」
背後をとらえる。
魔獣の巨体が咆哮に夢中でこちらに気づかない。
リン先生が叫ぶ。
「今よサキさん! リバース・トレンド・スラッシュッ出して!」
「わ、分かりました! リバース・トレンド・スラッシュッ!!」
あたしは息を吸い込み、剣を高く掲げた。
光が弾け、チャートが剣に流れ込む。
赤と緑の線がひとつに融合して――眩い光を放った。
「はああああああっ!!」
閃光。
あたしの剣が、ベア魔獣の背を切り裂いた。
緑の光が霧散し、巨体が震える。
「ぐ、ああああああああああっっっ!!」
断末魔。
重い音を立て、ベア魔獣が崩れ落ちた。
その瞬間――
――カン、カン、カン、カン!
午前の終わりを告げる鐘が鳴った。
「引け」だ。
フワッ――。
ベア魔獣の体が霧のように消えていく。
「……や、やった?」
「やったわね! サキさん、合格よ!」
リン先生がぱちぱちぱちっと拍手する。
笑顔がまぶしい。
けどやっぱり、どこかトゲのある言い方。
「初心者にしては素晴らしいバトルだったわ。ほら、ちょっとは形になってきたじゃない」
「う、うれしいけど、その“ちょっと”って強調やめてください先生!」
「この感覚を忘れないで。恐怖を制することが、勝利への第一歩よ!」
「はいっ!」
……まぁ、細かいことは気にしない。
勝てたんだから、今日はそれでいい。
「サキ! リン! ギルドにいないと思ったら、こんなとこで何してんだ!」
聞き慣れた声。
レイだ。
額の汗をぬぐいながら駆けてくる。
「レイさん! どこ行ってたんですか!」
「ちょっとな、宿の厨房借りて飯作ってたんだ。外食ばかりだと体が鈍るからな!」
「戦いのあとにそんな日常の報告しないでくださいよ!」
「それよりレイ、この子――初勝利よ!」
リン先生がにっこり。
レイは一瞬驚いて、すぐ笑った。
「おお、さっきのベア魔獣、サキが倒したのか。成長したなぁ!」
彼の大きな手が、あたしの頭をくしゃっと撫でた。
「ちょっ……! やめっ……! あたし、犬じゃないんだから!」
「ははっ、悪い悪い!」
あたしの頬が、熱い。
うぅ、なんだこれ。
リン先生が横でにやにやしている。
「青春ねぇ……。ふふ、まあいいわ。午後の部まで休憩よ」
「午後の部?」
「もちろん。市場は一日じゃ終わらないの。午後にも波が来るわ」
「うそぉ、また出るんですか魔獣……」
「当然よ。地合いは常に動く――それが市場!」
リン先生が決めポーズで指を突き上げた。
……その瞬間、空にチャートの波が浮かび上がった。
赤と緑の線が交差し、新たなトレンドを描き出す。
あたしは、剣を見つめた。
小さな光が、ほんの少しだけ強く輝いていた。
(次は……もう少し、長い陽線を描けるように――)
「さ!飯だ飯!」
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