9 / 33
第二章
満腹御礼⁉暴かれしレイの過去
しおりを挟む
「うっわぁあああああっ! な、なにこれぇぇぇっ!」
思わずあたしは声を上げた。
宿の食堂のテーブルに、これでもかってほど料理が並んでいたのだ。
唐揚げ! 煮物!焼き物!ポテトサラダ! 炊き込みご飯にお味噌汁!
デザートには、まさかのチョコレートケーキまで鎮座している!
「レ、レイさん……これ、まさか全部……?」
「もちろん! この俺が作ったんだぞ!」
どや顔で親指を立てるレイ。いや、嘘でしょ。
あの豪腕トレーダーが? 昼飯どころか人の命を賭けて戦う男が? 料理って。
「料理っていうか……家事全般得意だぞ、俺。料理に掃除に洗濯に裁縫! いい奥さんになるぞぉ俺は!」
「……レイ、あなたもう完全にプロ独身株ニート拗らせてるわよ……」
リン先生が目頭を押さえている。
おい、突っ込みの言葉きつくないか。しかも図星っぽい。
でもレイ本人はどこ吹く風。
「さぁ、二人とも座れ座れ! “いただきます”だ!」
勢いよく両手を広げると、あたしたちはそのまま席についた。
唐揚げを一口。
――じゅわっ!
外はサクサク、中はジューシー。
噛むと熱い肉汁がじゅわっと広がって、鼻に抜けるショウガとニンニクの風味が絶妙。
「おいしいっ……! すごくおいしいです、レイさん!」
「レイでいいぞ、サキ。敬語もいらん。ほら、いっぱい食え。好きだろ、唐揚げ」
くしゃっとあたしの頭を撫でる。……だから、犬じゃないっての!
「なんであたしの好物知ってるの?」
「前に唐揚げ定食の値上げでキレてたろ。あん時よっぽど好きなんだなーって思ったんだ」
「うっ……覚えてたの……?」
おっさんの記憶力なめてたわ。
「仲いいのねぇ、親子みたい」
リン先生が目を細める。含み笑いだ。なにその目、ちょっと怖い。
「リンも見てないで食えよ。バトル後で腹減ってんだろ? あれはエネルギー消耗するからなぁ」
「そうね。じゃ、いただくわ。レイ、一緒にどう?」
そう言いながら昼間から赤ワインを開けるリン先生。
笑ってるけど、目が笑ってない。なんか修羅場の気配がする。
「午前中ずっと料理してたの? レイ」
「ん? いや料理もしてたけど、甲冑の手入れもな!」
「ぶっっっ!!」
味噌汁吹いた。危ない。
「か、甲冑の手入れ……って、自分でやるの!?」
「そりゃそうだろ。この甲冑はな、ベア魔獣の皮と骨をベースに、俺が三日三晩かけて手縫いで仕上げたんだ!」
「ぶふっっっ!!?!」
吹いた! 今度は完全に吹いた!
リン先生がすかさず水を差し出してくれる。
「て、手縫いって……手縫い?」
「そうだ! 手縫いだからこそ、ぬくもりも愛着も湧くってもんだ!」
レイが夜中に甲冑をチクチク縫ってる姿を想像して、肩が震える。笑いが止まらない。
「……サキ、我慢しなさい。我慢するのよ……」
(む、無理ぃぃぃ……!)
「手芸はいいもんだぞ、サキ!」
「……うぷっ」
笑いがこみあげて喉が痛い。
「肉ばっかりじゃなく、野菜も食べろ。大きくなれないぞ?」
「ぐはっ……!」
急所を突かれた。ちょっとだけ気にしてるのよ、身長とか胸とか!
「そういえばさぁ……レイさんとリン先生って、いつからの付き合いなんですか?」
「んー、だいぶ前だな」
レイが箸を置いて懐かしそうに言う。
「リンがまだ大学生で、アメリカに渡る直前だった頃だ」
「そうね。あなたが彼女にふられた頃よね」
「ぐっ……!」
いきなりリン先生が斬り込んだ! 容赦なし!
「え!? ふ、振られた!? なになに、どんな話!?」
「当時ね、日本は就職氷河期で、優秀でも仕事がなくてね。レイも就職決まらなかったの。それでトレーダーになる道を選んだわけ」
「ほうほう……!」
「でも、その時付き合ってた彼女がいたのよ。彼女は安定志向でね、最終的に――同期の公務員と結婚したの」
「おおぅ……!」
レイが苦笑いする。どっか遠い目をしてる。
「結果的に、公務員よりずっと稼げてるじゃない。人生わかんないものね」
リン先生がくいっとワイングラスを傾ける。かっこいいけど怖い。
「で、株の才能も開花したけど……女性関係は苦手なのよね?」
「苦手っていうか……金目当ての港区女子が寄ってくるタイプだな。ああいうのは、どうにもなぁ……」
レイがぼそっと呟く。
……そういう話、地味にリアルだな。
「だから、レイのそばにあなたみたいな普通っぽい子がいるのが新鮮なのよ、サキ。……レイのこと、よろしくね?」
リン先生が微笑む。
や、優しいんだけど、なんか圧がすごい。
「は、はい……!」
完全に気圧されてる私。
「そういえばさぁ……」
リン先生が赤い顔で呂律を崩し始める。やばい、これは……。
「……あの子、どこ行ったの? 全力信用フルレバの赤い髪の男っ! 関西弁のっ!」
「ああ……あいつか……」
レイの声が低くなった。食卓の空気が一気に冷える。
「死んだよ。リーマンショックで、全部失ってな」
沈黙。
あの豪快なレイの声に、哀しみがにじんでいた。
「……ごめん、酔いすぎたわ。外で酔い醒ましてくる。ご飯、残しといて」
席を立つリン先生。
残されたのは、レイとあたし。空気が重い。
「悪かったな。変な話、聞かせちまって」
「いえ……でも、怖いですね。ほんとに……」
「前にも言ったろ。信用取引は魔法みたいなもんだ。力がある分、使い方を誤れば命を持っていかれる」
「……レイ」
真剣なまなざしで見つめる。
「ん?」
「フルレバって、なに?」
「ぶはははははははっっ!!」
腹を抱えて笑い出すレイ。
え、そんなに変なこと言った!?
「いやー、久しぶりに全力で笑った! ありがとう、サキ!」
また頭をわしゃわしゃ撫でられる。ほんと犬扱いなんですけど!
「“フルレバ”ってのはな、フル・レバレッジの略。持ってる資金の三倍まで魔力(おかね)を張って戦う技だ」
「前言ってた借金三倍ってやつ……!?」
「そうそう。で、もっとヤバいのが“現物信用二階建て”だ」
「ゲンブツシンヨウ……二階建て?」
「現物、つまり株を媒介にして3倍の魔力を得るんだ。細い木の枝の上にでっかい屋敷を建てるイメージだな」
「そ、それって支えきれなくなったら……?」
「退場――つまり、この世界から消える」
「ひっ……!」
全身に寒気が走った。
目の前の唐揚げの湯気すら凍りそう。
「だからサキ、無理なポジションは取るな。どんなに甘い話でも、絶対に、だ」
「……はい!」
「よろしい! さて、気を取り直してデザートだ! チョコケーキ、うまいぞ!」
さっきまで真剣だった顔が、またいつものおっさんらしからぬ可愛い笑顔に戻ってる。
この人……どこまで強いんだろう。
――どんな魔法で、こんな笑顔を保てるんだろう。
湯気の立つ炊き込みご飯を口に運ぶ。
ふと見ると、唐揚げを食べ尽くしたレイはホールのチョコレートケーキをガツガツと半分以上食べ尽くしていた。
「ちょっと!私の分!」
「サキ、投資は早さも大事だぞ!」
口の周りをチョコまみれにしたレイが屈託なく笑った。
思わずあたしは声を上げた。
宿の食堂のテーブルに、これでもかってほど料理が並んでいたのだ。
唐揚げ! 煮物!焼き物!ポテトサラダ! 炊き込みご飯にお味噌汁!
デザートには、まさかのチョコレートケーキまで鎮座している!
「レ、レイさん……これ、まさか全部……?」
「もちろん! この俺が作ったんだぞ!」
どや顔で親指を立てるレイ。いや、嘘でしょ。
あの豪腕トレーダーが? 昼飯どころか人の命を賭けて戦う男が? 料理って。
「料理っていうか……家事全般得意だぞ、俺。料理に掃除に洗濯に裁縫! いい奥さんになるぞぉ俺は!」
「……レイ、あなたもう完全にプロ独身株ニート拗らせてるわよ……」
リン先生が目頭を押さえている。
おい、突っ込みの言葉きつくないか。しかも図星っぽい。
でもレイ本人はどこ吹く風。
「さぁ、二人とも座れ座れ! “いただきます”だ!」
勢いよく両手を広げると、あたしたちはそのまま席についた。
唐揚げを一口。
――じゅわっ!
外はサクサク、中はジューシー。
噛むと熱い肉汁がじゅわっと広がって、鼻に抜けるショウガとニンニクの風味が絶妙。
「おいしいっ……! すごくおいしいです、レイさん!」
「レイでいいぞ、サキ。敬語もいらん。ほら、いっぱい食え。好きだろ、唐揚げ」
くしゃっとあたしの頭を撫でる。……だから、犬じゃないっての!
「なんであたしの好物知ってるの?」
「前に唐揚げ定食の値上げでキレてたろ。あん時よっぽど好きなんだなーって思ったんだ」
「うっ……覚えてたの……?」
おっさんの記憶力なめてたわ。
「仲いいのねぇ、親子みたい」
リン先生が目を細める。含み笑いだ。なにその目、ちょっと怖い。
「リンも見てないで食えよ。バトル後で腹減ってんだろ? あれはエネルギー消耗するからなぁ」
「そうね。じゃ、いただくわ。レイ、一緒にどう?」
そう言いながら昼間から赤ワインを開けるリン先生。
笑ってるけど、目が笑ってない。なんか修羅場の気配がする。
「午前中ずっと料理してたの? レイ」
「ん? いや料理もしてたけど、甲冑の手入れもな!」
「ぶっっっ!!」
味噌汁吹いた。危ない。
「か、甲冑の手入れ……って、自分でやるの!?」
「そりゃそうだろ。この甲冑はな、ベア魔獣の皮と骨をベースに、俺が三日三晩かけて手縫いで仕上げたんだ!」
「ぶふっっっ!!?!」
吹いた! 今度は完全に吹いた!
リン先生がすかさず水を差し出してくれる。
「て、手縫いって……手縫い?」
「そうだ! 手縫いだからこそ、ぬくもりも愛着も湧くってもんだ!」
レイが夜中に甲冑をチクチク縫ってる姿を想像して、肩が震える。笑いが止まらない。
「……サキ、我慢しなさい。我慢するのよ……」
(む、無理ぃぃぃ……!)
「手芸はいいもんだぞ、サキ!」
「……うぷっ」
笑いがこみあげて喉が痛い。
「肉ばっかりじゃなく、野菜も食べろ。大きくなれないぞ?」
「ぐはっ……!」
急所を突かれた。ちょっとだけ気にしてるのよ、身長とか胸とか!
「そういえばさぁ……レイさんとリン先生って、いつからの付き合いなんですか?」
「んー、だいぶ前だな」
レイが箸を置いて懐かしそうに言う。
「リンがまだ大学生で、アメリカに渡る直前だった頃だ」
「そうね。あなたが彼女にふられた頃よね」
「ぐっ……!」
いきなりリン先生が斬り込んだ! 容赦なし!
「え!? ふ、振られた!? なになに、どんな話!?」
「当時ね、日本は就職氷河期で、優秀でも仕事がなくてね。レイも就職決まらなかったの。それでトレーダーになる道を選んだわけ」
「ほうほう……!」
「でも、その時付き合ってた彼女がいたのよ。彼女は安定志向でね、最終的に――同期の公務員と結婚したの」
「おおぅ……!」
レイが苦笑いする。どっか遠い目をしてる。
「結果的に、公務員よりずっと稼げてるじゃない。人生わかんないものね」
リン先生がくいっとワイングラスを傾ける。かっこいいけど怖い。
「で、株の才能も開花したけど……女性関係は苦手なのよね?」
「苦手っていうか……金目当ての港区女子が寄ってくるタイプだな。ああいうのは、どうにもなぁ……」
レイがぼそっと呟く。
……そういう話、地味にリアルだな。
「だから、レイのそばにあなたみたいな普通っぽい子がいるのが新鮮なのよ、サキ。……レイのこと、よろしくね?」
リン先生が微笑む。
や、優しいんだけど、なんか圧がすごい。
「は、はい……!」
完全に気圧されてる私。
「そういえばさぁ……」
リン先生が赤い顔で呂律を崩し始める。やばい、これは……。
「……あの子、どこ行ったの? 全力信用フルレバの赤い髪の男っ! 関西弁のっ!」
「ああ……あいつか……」
レイの声が低くなった。食卓の空気が一気に冷える。
「死んだよ。リーマンショックで、全部失ってな」
沈黙。
あの豪快なレイの声に、哀しみがにじんでいた。
「……ごめん、酔いすぎたわ。外で酔い醒ましてくる。ご飯、残しといて」
席を立つリン先生。
残されたのは、レイとあたし。空気が重い。
「悪かったな。変な話、聞かせちまって」
「いえ……でも、怖いですね。ほんとに……」
「前にも言ったろ。信用取引は魔法みたいなもんだ。力がある分、使い方を誤れば命を持っていかれる」
「……レイ」
真剣なまなざしで見つめる。
「ん?」
「フルレバって、なに?」
「ぶはははははははっっ!!」
腹を抱えて笑い出すレイ。
え、そんなに変なこと言った!?
「いやー、久しぶりに全力で笑った! ありがとう、サキ!」
また頭をわしゃわしゃ撫でられる。ほんと犬扱いなんですけど!
「“フルレバ”ってのはな、フル・レバレッジの略。持ってる資金の三倍まで魔力(おかね)を張って戦う技だ」
「前言ってた借金三倍ってやつ……!?」
「そうそう。で、もっとヤバいのが“現物信用二階建て”だ」
「ゲンブツシンヨウ……二階建て?」
「現物、つまり株を媒介にして3倍の魔力を得るんだ。細い木の枝の上にでっかい屋敷を建てるイメージだな」
「そ、それって支えきれなくなったら……?」
「退場――つまり、この世界から消える」
「ひっ……!」
全身に寒気が走った。
目の前の唐揚げの湯気すら凍りそう。
「だからサキ、無理なポジションは取るな。どんなに甘い話でも、絶対に、だ」
「……はい!」
「よろしい! さて、気を取り直してデザートだ! チョコケーキ、うまいぞ!」
さっきまで真剣だった顔が、またいつものおっさんらしからぬ可愛い笑顔に戻ってる。
この人……どこまで強いんだろう。
――どんな魔法で、こんな笑顔を保てるんだろう。
湯気の立つ炊き込みご飯を口に運ぶ。
ふと見ると、唐揚げを食べ尽くしたレイはホールのチョコレートケーキをガツガツと半分以上食べ尽くしていた。
「ちょっと!私の分!」
「サキ、投資は早さも大事だぞ!」
口の周りをチョコまみれにしたレイが屈託なく笑った。
0
あなたにおすすめの小説
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる