12 / 33
第二章
悲観楽観!?ショーターソウマ
しおりを挟む
夜。
闘技場での騒ぎが終わったあと、あたしたちは宿屋「えっくす亭」の食堂にいた。
コインの町と同じ名前だけど、こっちは別の店。
チェーン展開してるのかな……株式上場してたりして。
食堂の中は夜の喧騒でにぎやかだった。
鉄板の上でじゅうじゅう焼けるステーキの音。
香ばしいソースの匂い。
そしてテーブルには、黄金色に輝くジョッキ――!
「ぷはぁ~~っ、生き返るぅ~!」
リン先生が一気にビールをあおって、頬を上気させる。
昼間、赤ワイン一本空けてたのに……また飲んでる!?
先生、アルコール燃費悪すぎでは!?
「今日はお疲れ様! アニキたち!」
ぱっとテーブルの横から顔を出したのは――昼間の美少年、ソウマだった。
「ソウマ……だっけ? なんでここにいるの?」
「そりゃあこの町に宿はここだけだからだよ! いいじゃん混ぜてよぉ! 俺一人なんだよぉ」
ぐいぐいテーブルに割り込んでくるソウマ。
こいつ、完全に“居座り型”だ。
「サキ、誰……その子」
戻ってきたリン先生が眉をひそめる。
「昼間アニキたちと闘技場で出会ったソウマでっす! よろしく、美人な姐さん!」
「ね、姐さん……?」
褒められたのかどうか微妙な表情のリン先生。
ビール片手に
「まあ、悪い気はしないけど……」
と小声でつぶやいていた。
「まあいいじゃないか。俺はレンだ。よろしくな、ソウマ」
「ありがとうございます! アニキの噂は前から知ってますよ! 有名人と会えて嬉しいです!」
ソウマは満面の笑みでレイとがっちり握手。
……いや、そんな握りしめなくても。筋トレか。
「レイって……有名なの?」
「え、知らないで一緒にいるの? アニキはあの“閃光のロング”――」
「やめろ」
ソウマの言葉にかぶせて、レイが低く遮る。
声のトーンがちょっと怖い。
「ま、長くやってりゃ名前くらい知られるさ」
レイは苦笑いを浮かべてジョッキを持ち上げた。
その横顔に、なんか“過去を知る人”っぽい哀愁が漂う。
そうだ、見た目が若いから忘れてたけどこの人おっさんだった。
「サキちゃんって言ったっけ? いくつなの?」
「え? 十八だけど」
「ええっ!? 俺と同い年!? 見えないね、中学生くらいかと思ったわ!」
ぶっ!!
思いっきりオレンジジュース吹いた!
「な、なにを言うのよこの失礼ショタ!!」
「ショタじゃねぇ! ショーターだ!」
「だから、ショタでしょ?」
「違うっ!」
「違いませんっ!」
横を見ると、リン先生が笑いをこらえながらジョッキをぐびぐび。
「若いっていいわねぇ~ふふっ」
完全に酒場の姉御だ。
ソウマは笑顔を引っ込め、急に真面目な顔になる。
その変化が、ちょっとだけ空気を変えた。
「……冗談はさておき、アニキたちに協力してほしいことがあるんだ」
「ベア教団か」
レンの低い声がテーブルに落ちる。
「さっすがアニキ。察しがいい」
「お前……教団と、どういう関係だ?」
レイが鋭い視線を向ける。
その目は昼間と同じ、氷みたいに冷たい。
「俺、元ベア教団。逃げてきた」
「逃げてきた?」
リン先生の声が低くなる。
ソウマはうつむいたまま、苦笑した。
「ノルマきついし、お布施多いし……あと、方向性の違い?」
「芸能人かお前は」
思わず突っ込むあたし。
「でもな、それだけじゃないんだ。教主が――やばい」
「やばいって、何が?」
「つながってるんだよ。ベア教団の教主と“ナイトメア”が」
その名前を聞いた瞬間、レイの目が鋭く光った。
空気が一気に重くなる。
……なにその“黒幕感MAX”な名前。
「ナイトメア、ですって?」
リン先生の笑顔がすっと消える。
ジョッキの泡だけが静かに弾けた。
ソウマはうなずく。
「俺がベア教団に入ったのもさ、戦い(相場)で勝つ方法を知りたくて……。でもあの教主、ただの教祖じゃない。世界を……闇に」
「世界を……闇にか」
レイが呟く。
「その力を金に変えてる。信者を利用して」
あたしはぞっとした。
よくわからないけどこの世界の“闇”の匂いがする。
「それで、お前はショーターなのか?」
「え?」
あたしの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「ショーターってのは、ベア魔獣の“悲観”の力を扱う戦士のことだ」
レンが説明してくれる。
「俺たちロングが“希望”を武器にするのに対して、ショートは“悲観”を力に変える。光と闇の関係だな」
「希望……と悲観……」
「別にどっちが悪いとかはねぇ。戦い方は自由だ」
レイが静かに言う。
こっそりデバイスにメモするあたし。
(ショーター=悲観の闇。ロング=希望の光。覚えた)
「で、ソウマ。俺たちに何を頼みたい?」
レイの声が低く落ちる。
ソウマはテーブルの上で手を合わせた。
「実は……逃げるときに、うっかり“小型デバイス”置いてきちゃって……」
「ええええええっ!?」
レイとリン先生の声がハモった。
食堂の隣の席の客まで振り向くレベル。
「置いてきたって……どうやって生活してるの?」
リン先生が心配そうに尋ねる。
「ギルドに貸出デバイス借りてるから、最低限は大丈夫。でも……今までの取引データとか口座情報とか、全部あっちの中にあるんだ」
「そ、それは致命的……!」
頭を抱えるレイ。
「だから! 取り返すの、手伝ってくださいよぉ! アニキたちと一緒なら、教団も手荒なことしないだろうし!」
「お前なぁ……」
レイが深いため息をつく。
リン先生が無言でジョッキをテーブルに置いた。
その顔、すでに“飲みすぎたからもう行くしかない”モード。
「……どうする?」
あたしはレンの方を覗き込む。
レンはステーキを一切れ頬張り、もぐもぐ咀嚼してから――にやりと笑った。
「乗りかかった船だ。行ってみるか!」
「ありがとう、アニキぃぃ!」
勢いよく頭を下げるソウマ。
その背後で、リン先生が「おかわりー!」と叫んでいた。
……えっくす亭の夜は、にぎやかに更けていく。
焼き鳥の煙とビールの泡の向こうで、
新たな戦いの匂いが、確かに立ち上っていた。
闘技場での騒ぎが終わったあと、あたしたちは宿屋「えっくす亭」の食堂にいた。
コインの町と同じ名前だけど、こっちは別の店。
チェーン展開してるのかな……株式上場してたりして。
食堂の中は夜の喧騒でにぎやかだった。
鉄板の上でじゅうじゅう焼けるステーキの音。
香ばしいソースの匂い。
そしてテーブルには、黄金色に輝くジョッキ――!
「ぷはぁ~~っ、生き返るぅ~!」
リン先生が一気にビールをあおって、頬を上気させる。
昼間、赤ワイン一本空けてたのに……また飲んでる!?
先生、アルコール燃費悪すぎでは!?
「今日はお疲れ様! アニキたち!」
ぱっとテーブルの横から顔を出したのは――昼間の美少年、ソウマだった。
「ソウマ……だっけ? なんでここにいるの?」
「そりゃあこの町に宿はここだけだからだよ! いいじゃん混ぜてよぉ! 俺一人なんだよぉ」
ぐいぐいテーブルに割り込んでくるソウマ。
こいつ、完全に“居座り型”だ。
「サキ、誰……その子」
戻ってきたリン先生が眉をひそめる。
「昼間アニキたちと闘技場で出会ったソウマでっす! よろしく、美人な姐さん!」
「ね、姐さん……?」
褒められたのかどうか微妙な表情のリン先生。
ビール片手に
「まあ、悪い気はしないけど……」
と小声でつぶやいていた。
「まあいいじゃないか。俺はレンだ。よろしくな、ソウマ」
「ありがとうございます! アニキの噂は前から知ってますよ! 有名人と会えて嬉しいです!」
ソウマは満面の笑みでレイとがっちり握手。
……いや、そんな握りしめなくても。筋トレか。
「レイって……有名なの?」
「え、知らないで一緒にいるの? アニキはあの“閃光のロング”――」
「やめろ」
ソウマの言葉にかぶせて、レイが低く遮る。
声のトーンがちょっと怖い。
「ま、長くやってりゃ名前くらい知られるさ」
レイは苦笑いを浮かべてジョッキを持ち上げた。
その横顔に、なんか“過去を知る人”っぽい哀愁が漂う。
そうだ、見た目が若いから忘れてたけどこの人おっさんだった。
「サキちゃんって言ったっけ? いくつなの?」
「え? 十八だけど」
「ええっ!? 俺と同い年!? 見えないね、中学生くらいかと思ったわ!」
ぶっ!!
思いっきりオレンジジュース吹いた!
「な、なにを言うのよこの失礼ショタ!!」
「ショタじゃねぇ! ショーターだ!」
「だから、ショタでしょ?」
「違うっ!」
「違いませんっ!」
横を見ると、リン先生が笑いをこらえながらジョッキをぐびぐび。
「若いっていいわねぇ~ふふっ」
完全に酒場の姉御だ。
ソウマは笑顔を引っ込め、急に真面目な顔になる。
その変化が、ちょっとだけ空気を変えた。
「……冗談はさておき、アニキたちに協力してほしいことがあるんだ」
「ベア教団か」
レンの低い声がテーブルに落ちる。
「さっすがアニキ。察しがいい」
「お前……教団と、どういう関係だ?」
レイが鋭い視線を向ける。
その目は昼間と同じ、氷みたいに冷たい。
「俺、元ベア教団。逃げてきた」
「逃げてきた?」
リン先生の声が低くなる。
ソウマはうつむいたまま、苦笑した。
「ノルマきついし、お布施多いし……あと、方向性の違い?」
「芸能人かお前は」
思わず突っ込むあたし。
「でもな、それだけじゃないんだ。教主が――やばい」
「やばいって、何が?」
「つながってるんだよ。ベア教団の教主と“ナイトメア”が」
その名前を聞いた瞬間、レイの目が鋭く光った。
空気が一気に重くなる。
……なにその“黒幕感MAX”な名前。
「ナイトメア、ですって?」
リン先生の笑顔がすっと消える。
ジョッキの泡だけが静かに弾けた。
ソウマはうなずく。
「俺がベア教団に入ったのもさ、戦い(相場)で勝つ方法を知りたくて……。でもあの教主、ただの教祖じゃない。世界を……闇に」
「世界を……闇にか」
レイが呟く。
「その力を金に変えてる。信者を利用して」
あたしはぞっとした。
よくわからないけどこの世界の“闇”の匂いがする。
「それで、お前はショーターなのか?」
「え?」
あたしの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「ショーターってのは、ベア魔獣の“悲観”の力を扱う戦士のことだ」
レンが説明してくれる。
「俺たちロングが“希望”を武器にするのに対して、ショートは“悲観”を力に変える。光と闇の関係だな」
「希望……と悲観……」
「別にどっちが悪いとかはねぇ。戦い方は自由だ」
レイが静かに言う。
こっそりデバイスにメモするあたし。
(ショーター=悲観の闇。ロング=希望の光。覚えた)
「で、ソウマ。俺たちに何を頼みたい?」
レイの声が低く落ちる。
ソウマはテーブルの上で手を合わせた。
「実は……逃げるときに、うっかり“小型デバイス”置いてきちゃって……」
「ええええええっ!?」
レイとリン先生の声がハモった。
食堂の隣の席の客まで振り向くレベル。
「置いてきたって……どうやって生活してるの?」
リン先生が心配そうに尋ねる。
「ギルドに貸出デバイス借りてるから、最低限は大丈夫。でも……今までの取引データとか口座情報とか、全部あっちの中にあるんだ」
「そ、それは致命的……!」
頭を抱えるレイ。
「だから! 取り返すの、手伝ってくださいよぉ! アニキたちと一緒なら、教団も手荒なことしないだろうし!」
「お前なぁ……」
レイが深いため息をつく。
リン先生が無言でジョッキをテーブルに置いた。
その顔、すでに“飲みすぎたからもう行くしかない”モード。
「……どうする?」
あたしはレンの方を覗き込む。
レンはステーキを一切れ頬張り、もぐもぐ咀嚼してから――にやりと笑った。
「乗りかかった船だ。行ってみるか!」
「ありがとう、アニキぃぃ!」
勢いよく頭を下げるソウマ。
その背後で、リン先生が「おかわりー!」と叫んでいた。
……えっくす亭の夜は、にぎやかに更けていく。
焼き鳥の煙とビールの泡の向こうで、
新たな戦いの匂いが、確かに立ち上っていた。
0
あなたにおすすめの小説
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる