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第二章
脱走到着!?教団の秘密
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――“日経レバの町”に着くまで、追っ手はとうとうやってこなかった。
どうやらあの森で撒いたらしい。よかった。
町の入り口が見えてきたころ、ソウマがとんっとベア魔獣の背中から飛び降りた。
「ほら、サキ」
「ありがと」
差し出された手を取ってあたしも軽やかに地面に降りる。
ふわっと風と草の匂い。
……こういうとこ、妙にスマートで優しいんだよな、このショタ。
ソウマがベア魔獣にデバイスを向けて言った。
「――縮小」
ぱちんっ、と軽い音とともに緑色の魔法陣が浮かび上がる。
ぐるぐる回転する紋様の中で、ベア魔獣が
「ぐるる……?」
と首をかしげ――
みるみるうちに小さくなっていった!
「ちょ、ちょっと!? それ何してんの!?」
「あんだけデカいの連れ歩いたら、目立って仕方ねえだろ。町中でベア騒ぎになる」
「確かに……ソウマ、意外と常識人ね」
「別に意外じゃねーだろ」
やがてベア魔獣は手のひらサイズに縮み、魔法陣の中央でちょこんとお座り。
まるでぬいぐるみ。しかも、目がうるうるしてて反則級にかわいい。
「か、可愛い……」
思わず見とれて呟くあたし。
ソウマがドヤ顔で胸を張る。
「それな。“ベア教団のベア魔獣ぬいぐるみキーホルダー”――あれ考えたの、俺なんだぜ!」
「はぁ!? え、あの入会特典のやつ?」
「そう。 信者にバカ売れしてんだ!でも著作権も商標も、ぜーんぶ教団に持ってかれた。 俺、報酬ゼロ。 ボーナスもなし。 何なら“ご加護”だけ。」
「ブラック企業すぎるでしょ。」
「だろ? その恨みもあってご神体かっぱらってやったんだ。」
ソウマはまだぶつぶつ文句を言いながら、小さなベア魔獣をつまみ上げた。
「まあいい、行こう」
そう言って、無造作にお尻のポケットへ――
「ぐぅぅぅぅっ!!」
ぎゅうぎゅうに押し込まれたベア魔獣が苦しげな声を上げる。
「ちょっと、 狭くてかわいそうじゃない!」
「ちょっとの距離だ。我慢してもらおう」
「ちょっとってレベルの問題じゃないでしょ!」
「ベアは耐久力高いんだって」
「ぬいぐるみサイズにした意味ぃぃぃ!!」
そんな漫才じみた会話をしていると――
「サキ! ソウマ!」
町の方から、明るい声が響いた。
風を切って駆けてくるのは、見慣れた金髪と、あの重力無視したバスト。
――リン先生だ!!
「リン先生!」
思わず声を上げる。
砂ぼこりの向こうから、ひらひらとスカートをなびかせて駆けてくる人影。
陽光に金髪がきらめく。重力を裏切るあの豊満ボディ、そしてトレードマークの白衣――。
来た、リン先生だ! どう見ても戦場向きじゃない服装なのに、なぜか爆発の煙が似合う女。
「なかなか帰ってこないから心配して見に来たのよ……」
肩で息をしながら言うリン先生。
その笑顔が一瞬で消えた。
「……あれ、レイは?」
「それは……」
言いよどむあたし。
その横でソウマがさらっと爆弾を投げた。
「教団につかまっちゃいました。俺たちを逃がすためにおとりになって」
「えええええっ!?」
リン先生が両手で頭を抱える。白衣の袖がぶんぶん振り回されて、後ろの通行人が思わず避けた。
「もう……あの子はほんっとに! でもまぁ、レイだから大丈夫だとは思うけど……何か対策立てなきゃね」
そこへソウマ、なぜか胸を張る。
「あ、俺ら教団のご神体かっぱらっちゃって教団から追われてるんで! ついでに保護してください!」
「なにやってんのアナタたちぃぃぃ!?」
リン先生が天を仰ぐ。
「俺らっていうけど、ソウマが勝手に持ってきたんじゃん!」
「一緒に逃げてきたんだから、サキも同罪だろ~?」
「一緒にしないでっ!!」
「まぁまぁ」リン先生が額を押さえながらため息をついた。
「話はギルドで聞くわ。研究棟のプロテクトルームなら追っ手も来ないだろうし……しかし、ご神体盗むなんて、あなたたち大胆ねぇ」
「だから一緒にしないでください!」
あたしは全力で否定した。盗難の共犯とか、聞くだけで胃がキュッてなる。
「とにかく行きましょう、研究棟に。その“ご神体”も、少し気になるし」
「ですよね姐さん! ひょっとしたら教団をやっつけてアニキを救う手掛かりになるかもしれないし!」
ソウマが前のめりに食いつく。
「はぁ……」
リン先生が深いため息をついた。
「やっつけるって、あの教団は一応“認可宗教団体”なの。で、ご神体を盗んだあなたたちは窃盗犯。悪いのはこっちなのよ」
「“たち”って言うな! あたしは完全に巻き込まれただけで!」
「ただ、レイが拘束されてるのは向こうの違反だから……交渉材料には使えるかもね」
「ですよね、姐さん!」
嬉しそうにソウマが言う。
リン先生は白衣のポケットに手を突っ込みながら苦笑した。
「まったく……あなたたち、本当にとんでもないことをしたわね」
「姐さんがそこまで褒めてくれるなんて感激です!」
「褒めてない」
あたしとリン先生の声が見事にハモった。
「ええぇ~……ファインプレーだと思ったのになぁ」
「黙れバカショタ!」
「サキって案外ひどいこと言うよね」
「うるさーい! なんであたしが窃盗犯にならなきゃいけないのよ!」
「そうこう言ってるうちに――ついたわよ」
気がつけば、見慣れたギルドの前に立っていた。
この間、ベア魔獣の暴走で半壊した建物。足場が組まれ、「工事中」の札がかけられている。
「研究棟はこっち」
リン先生が裏手へ案内する。
回り込むと、そこには古い石造りの建物があった。
「ここが……研究棟?」
「そう。仮眠室もキッチンもあるから、今日からここでしばらく寝泊まりしてもらうわ」
ギィィ……と、重そうなドアを開ける。
中は少し埃っぽく、でも不思議と落ち着く匂い。
壁一面の本棚には古い魔導書がびっしり、机の上にはデバイスや試験管やらが散乱している。
魔法陣の明かりがぼんやり灯り、窓から差す陽光に埃が舞った。
「ここは国の研究機関も兼ねてるの。情報漏洩防止のために、物理・魔法の両方で何重にもプロテクトを張ってある。だから、ここにいる限りは安全よ」
「はぁ~い」あたしが返事をすると、ソウマが早速ポケットから何か取り出した。
「で、ご神体ってコレです」
木彫りの人形。見た目はただの熊。
「肉眼では普通の人形に見えるけど……一応分析かけとくわね」
リン先生が受け取ると、白衣の裾を翻して別室へ消え、すぐに戻ってきた。
「あなたたちはここでゆっくりしてなさい。着替えと食事、持ってくるから」
「えー! アニキ助け出しに行こうよう!」
ソウマが頬をふくらませる。
「ダメ! この問題はあなたたちの手に負えるレベルじゃないの。大人に任せなさい!」
「子供じゃねーよ、もう十八!」
「まだ子供ですっ!」
ピシャリ。リン先生の指がビシッと決まる。
「じゃあ、大人しくしてるのよ? 勝手に外に出ちゃダメ!」
白衣を翻して、リン先生は慌ただしく廊下の向こうへ消えた。
静寂が戻る。
ソウマがぽつりと呟いた。
「……あの人、怒るとこわいよね」
「怒られるようなことばっかするからでしょ!!」
――こうして、あたしたちは“日経レバの町”の研究棟で、しばしの静かな(?)避難生活を送ることになった。
どうやらあの森で撒いたらしい。よかった。
町の入り口が見えてきたころ、ソウマがとんっとベア魔獣の背中から飛び降りた。
「ほら、サキ」
「ありがと」
差し出された手を取ってあたしも軽やかに地面に降りる。
ふわっと風と草の匂い。
……こういうとこ、妙にスマートで優しいんだよな、このショタ。
ソウマがベア魔獣にデバイスを向けて言った。
「――縮小」
ぱちんっ、と軽い音とともに緑色の魔法陣が浮かび上がる。
ぐるぐる回転する紋様の中で、ベア魔獣が
「ぐるる……?」
と首をかしげ――
みるみるうちに小さくなっていった!
「ちょ、ちょっと!? それ何してんの!?」
「あんだけデカいの連れ歩いたら、目立って仕方ねえだろ。町中でベア騒ぎになる」
「確かに……ソウマ、意外と常識人ね」
「別に意外じゃねーだろ」
やがてベア魔獣は手のひらサイズに縮み、魔法陣の中央でちょこんとお座り。
まるでぬいぐるみ。しかも、目がうるうるしてて反則級にかわいい。
「か、可愛い……」
思わず見とれて呟くあたし。
ソウマがドヤ顔で胸を張る。
「それな。“ベア教団のベア魔獣ぬいぐるみキーホルダー”――あれ考えたの、俺なんだぜ!」
「はぁ!? え、あの入会特典のやつ?」
「そう。 信者にバカ売れしてんだ!でも著作権も商標も、ぜーんぶ教団に持ってかれた。 俺、報酬ゼロ。 ボーナスもなし。 何なら“ご加護”だけ。」
「ブラック企業すぎるでしょ。」
「だろ? その恨みもあってご神体かっぱらってやったんだ。」
ソウマはまだぶつぶつ文句を言いながら、小さなベア魔獣をつまみ上げた。
「まあいい、行こう」
そう言って、無造作にお尻のポケットへ――
「ぐぅぅぅぅっ!!」
ぎゅうぎゅうに押し込まれたベア魔獣が苦しげな声を上げる。
「ちょっと、 狭くてかわいそうじゃない!」
「ちょっとの距離だ。我慢してもらおう」
「ちょっとってレベルの問題じゃないでしょ!」
「ベアは耐久力高いんだって」
「ぬいぐるみサイズにした意味ぃぃぃ!!」
そんな漫才じみた会話をしていると――
「サキ! ソウマ!」
町の方から、明るい声が響いた。
風を切って駆けてくるのは、見慣れた金髪と、あの重力無視したバスト。
――リン先生だ!!
「リン先生!」
思わず声を上げる。
砂ぼこりの向こうから、ひらひらとスカートをなびかせて駆けてくる人影。
陽光に金髪がきらめく。重力を裏切るあの豊満ボディ、そしてトレードマークの白衣――。
来た、リン先生だ! どう見ても戦場向きじゃない服装なのに、なぜか爆発の煙が似合う女。
「なかなか帰ってこないから心配して見に来たのよ……」
肩で息をしながら言うリン先生。
その笑顔が一瞬で消えた。
「……あれ、レイは?」
「それは……」
言いよどむあたし。
その横でソウマがさらっと爆弾を投げた。
「教団につかまっちゃいました。俺たちを逃がすためにおとりになって」
「えええええっ!?」
リン先生が両手で頭を抱える。白衣の袖がぶんぶん振り回されて、後ろの通行人が思わず避けた。
「もう……あの子はほんっとに! でもまぁ、レイだから大丈夫だとは思うけど……何か対策立てなきゃね」
そこへソウマ、なぜか胸を張る。
「あ、俺ら教団のご神体かっぱらっちゃって教団から追われてるんで! ついでに保護してください!」
「なにやってんのアナタたちぃぃぃ!?」
リン先生が天を仰ぐ。
「俺らっていうけど、ソウマが勝手に持ってきたんじゃん!」
「一緒に逃げてきたんだから、サキも同罪だろ~?」
「一緒にしないでっ!!」
「まぁまぁ」リン先生が額を押さえながらため息をついた。
「話はギルドで聞くわ。研究棟のプロテクトルームなら追っ手も来ないだろうし……しかし、ご神体盗むなんて、あなたたち大胆ねぇ」
「だから一緒にしないでください!」
あたしは全力で否定した。盗難の共犯とか、聞くだけで胃がキュッてなる。
「とにかく行きましょう、研究棟に。その“ご神体”も、少し気になるし」
「ですよね姐さん! ひょっとしたら教団をやっつけてアニキを救う手掛かりになるかもしれないし!」
ソウマが前のめりに食いつく。
「はぁ……」
リン先生が深いため息をついた。
「やっつけるって、あの教団は一応“認可宗教団体”なの。で、ご神体を盗んだあなたたちは窃盗犯。悪いのはこっちなのよ」
「“たち”って言うな! あたしは完全に巻き込まれただけで!」
「ただ、レイが拘束されてるのは向こうの違反だから……交渉材料には使えるかもね」
「ですよね、姐さん!」
嬉しそうにソウマが言う。
リン先生は白衣のポケットに手を突っ込みながら苦笑した。
「まったく……あなたたち、本当にとんでもないことをしたわね」
「姐さんがそこまで褒めてくれるなんて感激です!」
「褒めてない」
あたしとリン先生の声が見事にハモった。
「ええぇ~……ファインプレーだと思ったのになぁ」
「黙れバカショタ!」
「サキって案外ひどいこと言うよね」
「うるさーい! なんであたしが窃盗犯にならなきゃいけないのよ!」
「そうこう言ってるうちに――ついたわよ」
気がつけば、見慣れたギルドの前に立っていた。
この間、ベア魔獣の暴走で半壊した建物。足場が組まれ、「工事中」の札がかけられている。
「研究棟はこっち」
リン先生が裏手へ案内する。
回り込むと、そこには古い石造りの建物があった。
「ここが……研究棟?」
「そう。仮眠室もキッチンもあるから、今日からここでしばらく寝泊まりしてもらうわ」
ギィィ……と、重そうなドアを開ける。
中は少し埃っぽく、でも不思議と落ち着く匂い。
壁一面の本棚には古い魔導書がびっしり、机の上にはデバイスや試験管やらが散乱している。
魔法陣の明かりがぼんやり灯り、窓から差す陽光に埃が舞った。
「ここは国の研究機関も兼ねてるの。情報漏洩防止のために、物理・魔法の両方で何重にもプロテクトを張ってある。だから、ここにいる限りは安全よ」
「はぁ~い」あたしが返事をすると、ソウマが早速ポケットから何か取り出した。
「で、ご神体ってコレです」
木彫りの人形。見た目はただの熊。
「肉眼では普通の人形に見えるけど……一応分析かけとくわね」
リン先生が受け取ると、白衣の裾を翻して別室へ消え、すぐに戻ってきた。
「あなたたちはここでゆっくりしてなさい。着替えと食事、持ってくるから」
「えー! アニキ助け出しに行こうよう!」
ソウマが頬をふくらませる。
「ダメ! この問題はあなたたちの手に負えるレベルじゃないの。大人に任せなさい!」
「子供じゃねーよ、もう十八!」
「まだ子供ですっ!」
ピシャリ。リン先生の指がビシッと決まる。
「じゃあ、大人しくしてるのよ? 勝手に外に出ちゃダメ!」
白衣を翻して、リン先生は慌ただしく廊下の向こうへ消えた。
静寂が戻る。
ソウマがぽつりと呟いた。
「……あの人、怒るとこわいよね」
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