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第二章
満腹御礼!?暴かれしご神体
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「これ、おいしい!」
思わず声を上げた。
リン先生が持ってきてくれたフライドチキンは、テーブルの上で黄金に輝いていた。
衣はカリッときつね色、湯気がほわりと立ちのぼり、スパイスと油の香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
かじった瞬間、ザクッという快音。衣の下からあふれる肉汁が舌を包み、外はサクサク、中はふっくらジューシー。
塩と胡椒の加減も完璧で、噛むたびに幸福が口いっぱいに広がっていく。
「でしょ~? この町で一番人気のお店のなのよ」
リン先生がどや顔で胸を張る。
頬はほんのり桃色、すでにワイングラスは半分空。
グラスの縁に赤い口紅がついてて、なんというか……大人の余裕というか、酔っぱらいの余裕というか。
「姐さん流石です! うまいです!」
ソウマは両手にチキンを持って、がつがつと食べまくっていた。
「はむっ、もぐっ……! ぐあー、これ天才の味!」
「あんた食レポしてるの!?」
「この感動を言語化したくて!」
……バカショタ、うるさい。
その横ではベア魔獣が、ポテトを短い手でつかんで必死にかじっていた。
「くぅぅ~……」と幸せそうな声を漏らしながら、油でぴかぴかになった鼻をペロッと舐める。
あまりの可愛さに、あたしの頬が緩む。
「もう、あんたら揃って食べすぎでしょ」
リン先生が嬉しそうに笑う。
「そういえば、ご神体の正体って何かわかったんですか?」
ソウマが、油まみれの指をナプキンで拭いながら訊いた。
「ふふふ……すごいものが入ってたのよぉ……あれ」
リン先生がグラスを傾けながら、ちょっと舌が回ってない声で言った。
もう酔ってる。完全に。
アルコール燃費が悪いくせに、飲むペースだけは早い。
「普通の人形に見せかけて、中にマイクロチップが埋め込まれてたの」
「というと?」
あたしが聞き返すと、先生はワインをひと口。
赤い液体がグラスの中で揺れ、ルビーみたいにきらめく。
「大きなデータが三つ入ってたの。
ひとつ目は、この世界――“東証”の暴騰や暴落の記録ね。
まあ貴重っちゃ貴重だけど、ギルドでも国でも似たようなの取ってるから大したことないわ」
そこで言葉を切って、グラスをくいっとあおる。
「二つ目は、“ベア教団”の創設者の記憶。これもまあ、ありがちな話ね~」
ぐびぐび……って、もう半分空になってるじゃん!
「三つ目が問題ね。七大禁呪のひとつ、“知恵の実”の生成データ」
先生がグラスをテーブルに置いた。カチン、と音が響く。
「知恵の実?」
「知恵の実⁉」
あたしとソウマの声がぴったりハモった。
「知恵の実って……あの“知恵の実”ですよね?」
「そう」
先生は静かにうなずく。その目は酔ってるのに妙に冴えていた。
「禁呪、つまり呪いの一種。ただし特に危険で、国に指定されてるのが“七大禁呪”。知恵の実はその七大禁呪の一つ」
と、ソウマがやたら得意げに口をはさむ。
「その中の“知恵の実”って、生成データを国が管理してるんですよね?」
「実はそれ、何年か前にハッキングされて持ち出されたのよ。公には秘密だけど」
「ええええええ!?」
またハモった。今日何回目?
「当時、私は国の機関に勤めててね。内部では大騒ぎになったわ。
でもその後、“知恵の実”を使って事件を起こした人も出なかったから、うやむやになったの」
「知恵の実ってそんなにヤバいんですか?」
「ヤバいわよ~」
先生は赤ワインをグラスに注ぎ足しながら、ふにゃりと笑う。
「使用者の才能を開花させる代わりに、何かを失わせるの」
「何かを失わせる?」
「つまり、代償が必要ってことね」
「分かりやすく言うとだな、リスクに耐えたご褒美に才能をくれるって感じだ」
ソウマがドヤ顔で言う。
「うまいこと言うわね~ソウマ」
「へへっ、やっぱり?」
褒められてデレる単純ショタ。
「知恵の実の怖いところは、代償が何か予測もコントロールもできないこと。
そのアルゴリズムは複雑すぎて、私たちにも解けないのよ」
グラスを傾けながら、先生の声が一瞬だけ真面目になった。
「まだ“知恵の実”が禁呪指定される前、それを使った人がいてね……」
先生の目が遠くを見ていた。
「その代償も、予測不能だった」
「その人、見たことあるんですか?」
「見たことあるっていうか……あなたたちも会ってるじゃない。レイよ」
「ええええええ!?」
三度目のハモり。もはや芸だ。
「リーマンショックのあと、レイは追い詰められててね。
どこからか“知恵の実”を仕入れて使ったのよ。
その結果、天才トレーダーとして再起した。
でも、使わなかった相棒は……消滅(退場)した」
……あたしは、言葉を失った。
レイがときどき見せた、あの寂しそうな横顔を思い出す。
「凄腕になった代わりに、レイは代償を払い続けてる」
「代償って……?」
「肉体の成長よ」
「肉体の……成長?」
「そう。レイ、氷河期世代なのに二十五歳くらいにしか見えないでしょ?
あれ、“知恵の実”の呪い。才能を開花させる代わりに、肉体の成長を失ったのよ」
「え、最高じゃないですか! 若くて才能もあって、チートじゃん!」
ソウマの目がきらきら。
「そういう考え方もあるかもね。でも、レイは違ったの。
周りが歳を取って変わっていくのに、自分だけ変わらない。
才能と引き換えに、時間を奪われたのよ」
先生の声は少しだけかすれていた。
グラスを見つめる指先が、わずかに震えていた気がする。
「……孤独、か」
ぽつりとあたしが言う。
「そう。あの人、意外と寂しがり屋なのにね。本人の前では言えないけど」
先生はくすっと笑い、残ったワインを飲み干した。
「まあ、他の人が使えば“若さ”を取られてジジィになるかもしれないしね」
「うわっ、それ絶対イヤです!」
「ソウマは使わなくても十分才能あるじゃない」
「……あれ? 俺、今褒められた?」
「たぶんね」
あたしは笑いながら、冷めかけたチキンをもう一口かじった。
外はカリッ、中はまだ温かくて、スパイスの香りが口いっぱいに広がった。
不思議と胸がじんわりして、少し泣きそうになった。
思わず声を上げた。
リン先生が持ってきてくれたフライドチキンは、テーブルの上で黄金に輝いていた。
衣はカリッときつね色、湯気がほわりと立ちのぼり、スパイスと油の香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
かじった瞬間、ザクッという快音。衣の下からあふれる肉汁が舌を包み、外はサクサク、中はふっくらジューシー。
塩と胡椒の加減も完璧で、噛むたびに幸福が口いっぱいに広がっていく。
「でしょ~? この町で一番人気のお店のなのよ」
リン先生がどや顔で胸を張る。
頬はほんのり桃色、すでにワイングラスは半分空。
グラスの縁に赤い口紅がついてて、なんというか……大人の余裕というか、酔っぱらいの余裕というか。
「姐さん流石です! うまいです!」
ソウマは両手にチキンを持って、がつがつと食べまくっていた。
「はむっ、もぐっ……! ぐあー、これ天才の味!」
「あんた食レポしてるの!?」
「この感動を言語化したくて!」
……バカショタ、うるさい。
その横ではベア魔獣が、ポテトを短い手でつかんで必死にかじっていた。
「くぅぅ~……」と幸せそうな声を漏らしながら、油でぴかぴかになった鼻をペロッと舐める。
あまりの可愛さに、あたしの頬が緩む。
「もう、あんたら揃って食べすぎでしょ」
リン先生が嬉しそうに笑う。
「そういえば、ご神体の正体って何かわかったんですか?」
ソウマが、油まみれの指をナプキンで拭いながら訊いた。
「ふふふ……すごいものが入ってたのよぉ……あれ」
リン先生がグラスを傾けながら、ちょっと舌が回ってない声で言った。
もう酔ってる。完全に。
アルコール燃費が悪いくせに、飲むペースだけは早い。
「普通の人形に見せかけて、中にマイクロチップが埋め込まれてたの」
「というと?」
あたしが聞き返すと、先生はワインをひと口。
赤い液体がグラスの中で揺れ、ルビーみたいにきらめく。
「大きなデータが三つ入ってたの。
ひとつ目は、この世界――“東証”の暴騰や暴落の記録ね。
まあ貴重っちゃ貴重だけど、ギルドでも国でも似たようなの取ってるから大したことないわ」
そこで言葉を切って、グラスをくいっとあおる。
「二つ目は、“ベア教団”の創設者の記憶。これもまあ、ありがちな話ね~」
ぐびぐび……って、もう半分空になってるじゃん!
「三つ目が問題ね。七大禁呪のひとつ、“知恵の実”の生成データ」
先生がグラスをテーブルに置いた。カチン、と音が響く。
「知恵の実?」
「知恵の実⁉」
あたしとソウマの声がぴったりハモった。
「知恵の実って……あの“知恵の実”ですよね?」
「そう」
先生は静かにうなずく。その目は酔ってるのに妙に冴えていた。
「禁呪、つまり呪いの一種。ただし特に危険で、国に指定されてるのが“七大禁呪”。知恵の実はその七大禁呪の一つ」
と、ソウマがやたら得意げに口をはさむ。
「その中の“知恵の実”って、生成データを国が管理してるんですよね?」
「実はそれ、何年か前にハッキングされて持ち出されたのよ。公には秘密だけど」
「ええええええ!?」
またハモった。今日何回目?
「当時、私は国の機関に勤めててね。内部では大騒ぎになったわ。
でもその後、“知恵の実”を使って事件を起こした人も出なかったから、うやむやになったの」
「知恵の実ってそんなにヤバいんですか?」
「ヤバいわよ~」
先生は赤ワインをグラスに注ぎ足しながら、ふにゃりと笑う。
「使用者の才能を開花させる代わりに、何かを失わせるの」
「何かを失わせる?」
「つまり、代償が必要ってことね」
「分かりやすく言うとだな、リスクに耐えたご褒美に才能をくれるって感じだ」
ソウマがドヤ顔で言う。
「うまいこと言うわね~ソウマ」
「へへっ、やっぱり?」
褒められてデレる単純ショタ。
「知恵の実の怖いところは、代償が何か予測もコントロールもできないこと。
そのアルゴリズムは複雑すぎて、私たちにも解けないのよ」
グラスを傾けながら、先生の声が一瞬だけ真面目になった。
「まだ“知恵の実”が禁呪指定される前、それを使った人がいてね……」
先生の目が遠くを見ていた。
「その代償も、予測不能だった」
「その人、見たことあるんですか?」
「見たことあるっていうか……あなたたちも会ってるじゃない。レイよ」
「ええええええ!?」
三度目のハモり。もはや芸だ。
「リーマンショックのあと、レイは追い詰められててね。
どこからか“知恵の実”を仕入れて使ったのよ。
その結果、天才トレーダーとして再起した。
でも、使わなかった相棒は……消滅(退場)した」
……あたしは、言葉を失った。
レイがときどき見せた、あの寂しそうな横顔を思い出す。
「凄腕になった代わりに、レイは代償を払い続けてる」
「代償って……?」
「肉体の成長よ」
「肉体の……成長?」
「そう。レイ、氷河期世代なのに二十五歳くらいにしか見えないでしょ?
あれ、“知恵の実”の呪い。才能を開花させる代わりに、肉体の成長を失ったのよ」
「え、最高じゃないですか! 若くて才能もあって、チートじゃん!」
ソウマの目がきらきら。
「そういう考え方もあるかもね。でも、レイは違ったの。
周りが歳を取って変わっていくのに、自分だけ変わらない。
才能と引き換えに、時間を奪われたのよ」
先生の声は少しだけかすれていた。
グラスを見つめる指先が、わずかに震えていた気がする。
「……孤独、か」
ぽつりとあたしが言う。
「そう。あの人、意外と寂しがり屋なのにね。本人の前では言えないけど」
先生はくすっと笑い、残ったワインを飲み干した。
「まあ、他の人が使えば“若さ”を取られてジジィになるかもしれないしね」
「うわっ、それ絶対イヤです!」
「ソウマは使わなくても十分才能あるじゃない」
「……あれ? 俺、今褒められた?」
「たぶんね」
あたしは笑いながら、冷めかけたチキンをもう一口かじった。
外はカリッ、中はまだ温かくて、スパイスの香りが口いっぱいに広がった。
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