東証バトルロワイヤル

人妻あず。

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第三章

黒蛇降臨!?激闘!ロイ町長

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「ソウマ! こっちへ!」
リン先生の声が飛ぶ。彼女は即座に駆け寄り、ソウマを抱きかかえるようにして引き寄せた。
「治癒(リカバリィ)。」
青白くやわらかな光が、ソウマをそっと包み込む。光は皮膚のひびや痛みをなぞるように滑り、彼の息づかいを落ち着かせた。
「ふぅ、助かった。ありがと、姐さん」
ソウマは肩を震わせて笑う。額に汗が光っている。
「この子は……無茶しないでよ」
リン先生はほんの少し叱るように言うが、その声には安堵が混じっていた。
「俺が行く! くらえ、蛇野郎!」
レイが叫んで跳んだ。彼の身体が真っ赤な残光を引いて天を切る。
――その瞬間、あたしのチャート魔法陣が鋭く点滅した。光の拍が足元で走り、紋様が細かく震える。
「レイ! 上からくる!」
「ああ!」
空が裂けるような音とともに、蛇の太い尻尾が鉛のように振り下ろされる。レイは間一髪で身を翻し、刃先が風を切った。尾が床を叩いた衝撃で砂埃が舞う。
「ありがとうな! サキ。今のがチャート魔法陣解読か⁉」
「うん。」
あたしは呼吸を整え、チャートの波形を視るように蛇の動きを読む。鱗が光るたびに、攻撃の痕跡が浮かび上がる──その反復、呼吸、毒の吐き方。胸がざわつくけど、視界は澄む。
シューッ。蛇が低く息を吐き、緑の毒液が微かな光をはらんで飛び散る。あたしたちをじっと見返すその目は、冷たい水槽の底のように底深く澄んでいた。ほんとうに、気持ちが悪い。怖い。
でも、負けたくない。
あたしはチャート魔法陣に集中し、過去のパターンを頭の中で反芻する。尾の戻り方、口の開け方、吐いた毒の広がり――次に来るのは右だと、本能のように分かった。
「右だ!」
その瞬間、蛇が右へと身をねじる。予測通りだ。あたしは咄嗟に体の向きを変え、反対側から踏み込んで剣を振るう。
「くらえ、ロイ町長!」
ザシュッ。刃が鱗を裂き、緑の液体が弾け飛ぶ。光の中に一瞬、緑と赤が交差する。確かに傷をつけた。けれど、ショートソードの一撃ではそれが限界だという冷たい現実も同時にわかる。
「グアアアアアアアアッ!!!」
蛇がのたうち、怒りで体をくねらせる。重低音が腹に響き、床がふるえる。
「きゃああああっ!? ちょ、ちょっと! こわっ!」
毒液が薄く飛んできたのを、ぎりぎりで避ける。熱い感触でも、冷たい感触でもない、ぬるりとした不快さが頬をかすめる。
チャート魔法陣の解読スキル、ほんとうに助かった――と小さな安堵が胸をよぎる。
「サキ! 無理するな!」
レイが叫ぶ声が割り込む。心配と怒りが混ざった音色だ。
「これは、あたしの戦いでもあるの! あたしも戦う!」
叫びは自分への宣言でもある。あたしは剣を握り直す。どこかで区切りをつけなければ、前には進めない。
レイは一瞬、ため息めいた顔をする。目の端に諦めにも似た覚悟が光った。
「ったく……早々に決着をつけなきゃ、こちらが持たないな」
風がまた渦を巻き、赤と緑の光が闘技場を引き裂く。刃の衝突前の沈黙――そこに、あたしたちの意思が重なる。
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