愛恋の呪縛

サラ

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プロローグ

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 はじめは、利用するためだった。
 の力は普通ではない、だから興味を持った。
 たったそれだけのこと。
 あの力さえ我がものに出来れば、己の力を強化した上で、人間どもを皆殺しに出来る。
 そのために、傍に置いたに過ぎん。

 その、はずだった。






魁蓮かいれん、お前って結構優しいよな」





 なんなんだ、この胸騒ぎは。
 我らとは違う、相手は人間だ。
 力の全てを理解し、もう必要ないと感じたその時は、構わず殺すつもりだったというのに。





「僕も、魁蓮みたいに強かったら良かったのになぁ」





 忌々しい、餓鬼のくせに。
 力以外、なんの取り柄もない役立たずだ。
 殺せばいい、殺せばいい。
 殺せば……





「ありがとう、僕を助けてくれて。嬉しかったよ」





 ………………。
 小僧、貴様は何者なんだ。
 なぜ、我にもそのような笑みを向ける。
 意味がわからない、本当に。
 なぜ恐れない、なぜ逃げようとしない。
 答えてくれ。





「魁蓮、お前はひとりじゃねえよ。
 今は僕がいるんだからさ」





 教えてくれ、小僧。
 貴様の言葉でこのは、このは、
 一体、なんと表すのだ…………。
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