お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤

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第三章後編『やっとついた?アストロデクス王国!』

第十八話 突入! 敵の隠れ家?

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視点変更 実穂→三人称


「ふむふむ………皆さーん! 見つけましたよー!」

ゼロシがクルクルと回るネズミを見ながら実穂達にそう伝えた。

そしてゼロシはネズミについていき、実穂達はそのゼロシについていった。

「ここです!」

ゼロシは地面を指差したが、そこはどう見てもただの地面だった。

「えっと………隠し入り口とか?」

「当たりです! 流石実穂さん!」

やたらとハイテンションなゼロシを、実穂は注意深く見てみた。

(………空元気だね?)

ゼロシが無理しているのを見破った実穂は、速く助けなきゃという思いがますます強まった。

そうしている間に、ゼロクは持参の薬品を混ぜ合わせたり、振ったりしていた。

「はい、腐食薬完成なのです!」

ゼロクはそう言って、薬品を地面に掛けた。

するとそこの草はみるみる内に腐り始め、茶色い土が見えた。

それと同時に、その地面に垂れている血の跡も見え、それは何らかの模様を形作っている様に見えた。

「ふむ、隠蔽の魔法陣ですか………赤魔法製となるとゼロフしか無理ですね」

「………そうか、ご苦労だった………実穂『戦闘1 2 10』に変えてくれ」

「わかった」

実穂が端末を取り出すと、ゼロミ、ゼロシ、ゼロクはお辞儀をした。

「それではまた………ご主人様をよろしくお願いします」

「それではまた! 頑張ってくださいね! 実穂さん!」

「それではまたなのです! よろしく頼むのです!」

三人は光の粒子となり、端末に吸い込まれていった。

そして実穂が『戦闘』を押すと、また粒子が溢れだした。

そしてまた三人の女性が現れた。

「やっと呼ばれたか! 待ちくたびれたぜ………」

赤い髪の強そうな女性、ゼロヒに

「ゼロヒ、遊びじゃないんですよ?」

青髪の大人しそうな女性、ゼロフ

「………何で私もメンバーにカウントされてるんだろう………」

緑髪の気弱そうな女性、ヒゼロ、この三人だ。

「わかってるって………さて、今度の相手は誰だぁ?」

「悪いが今必要なのはゼロフだ。 戦闘は少し待っててくれ」

肩を回しながら周りを探るゼロヒを、ラキトがすっぱりと止めた。

「………この床の魔法陣を解除すれば良いのかしら?」

「あぁ、頼む」

ゼロフが杖を魔法陣に当てて目を瞑り始めたころ、竜族の双子は目で会話をしていた。

(ねぇ、何で付いてきたの? 宿に残った方が安全じゃないの?)

(お城よりもこの人達の近くの方が安全かもしれないから………インカは嫌だった?)

(インカは嫌じゃ無いよ? ヨウタは?)

(ヨウタは………正直この人達があまり信用できない。 でもお城よりはここの方が安全。 お城の廊下で何人かヨウタ達を見てたでしょ? だから狙われてるかもしれない)

(ヨウタは心配性なんだね……あっ)

双子はとある事が起きたから目での会話を止めた。

そのとある事とは………。

「二人共、大丈夫? これから多分戦いがあると思うけど………」

実穂だった。

「………うん、 大丈夫。 ヨウタと皆がいるから!」

「………大丈夫、インカと実穂が居るから」

「なら安心だね………戦闘中は離れちゃ駄目だよ」

実穂は今回、あまり役に立てないと思っている。

相手は良くわからない魔法を使ってくる。 しかも相手の方が数に有利だ。

だから今回は防御とサポートを優先するつもりだった。

「大丈夫よ、実穂は私が守るわ!」

美堀は自分で戦闘に参加しつつ、実穂も守れる様に動くつもりだ。

「………」

クルミは黒く染まった短剣の刃を見ていた。

最初、自身ではうまく操れずに倒れてしまった力を制御しきれるか不安だったのだ。

「………ご主人様」

「どうしたの?」

クルミは実穂の顔を見た。

控えめに整っているその顔は、クルミにとって救世主だった。

重犯罪奴隷として売られ、残りの人生をあの檻の中で過ごすと思い込んでいたクルミを救ってくれた人。

里では気味悪がられて友達が少なかったクルミの、友達に似た存在になってくれた人。

そんな実穂が助けたいと言っているのだからと、クルミは覚悟を決めた。

「絶対に助け出しましょう」

「うん、そうだね!」

実穂とクルミが微笑みあった所で、魔法陣が割れるパリンッ! という音がした。

「はい、解除完了です」

「ご苦労だった」

ラキトはそう労いながら魔法陣があった場所を素手で軽く小突いた。

それでも結構な衝撃だったのだろう。

指が振れた所からバキバキバキッとヒビが入り、そこの床は崩れてしまった。

「………入るぞ」

ラキトの指示で中へと全員が飛び降りた。

(………何だか暗いね?)

当たり一面に広がる闇と仄かに見えるライトの魔力を、周りを見渡していた実穂が見つけた。

「こっちだね」

地下は洞窟というよりは人工的で、例えるなら牢獄へと続く地下通路の様な作りだ。

一定間隔に松明が置いてあり、そのどれもが消える事無く燃え盛っている。

途中、カサカサと音が聞こえて全員が構えたが、ネズミが通っただけだったので、すぐに力を抜いた。

………クルミとヒゼロ以外は。

「はっ!」

「ふっ!」

クルミが短剣から打ち出した魔力の刃をネズミに刺し、それをヒゼロが火を付けた矢で燃やした。

それを食らったネズミは鳴く事もなく、事切れてドロリと溶けたのであった。

「………巡回だったか」

ラキトはそう言うと、歩く速度を早めた。

皆もそれに付いていこうとしたが、思わずその足を止めてしまった。

何故なら目の前には大量の黒いゾンビがゆっくりと歩いてきているのだから。

「ちっ! あれは流石に無理だな」

「おや? 脳筋な貴女にとっては珍しい判断ですね?」

「………喧嘩売ってるのか?」

「………事実を述べただけですが?」

ゼロヒとゼロフが喧嘩を始め出した事で、緊張していた空気が少し解けた。

「………あの………できれば『殲滅』を押していただきたいのですが………」

ヒゼロがオドオドしながら実穂に言う。

「うん。 わかった」

実穂は言われた通りに『殲滅』を押した。

するとまた三人の女性は端末に吸い込まれ、代わりに二人の女性が現れた。

「………ふむ、漸く出番の様ですな?」

男物の和服を着て、後ろに長髪を一本で纏めている女性、ゼロゴと

「ようやく出撃なのでありますね!」

軍服を着て背中にAKアサルトライフルを背負った背が低い女性、ゼロナ。

(………え? 銃?)

実穂がまず目を付けたのは、背中に背負った銃だった。

今回の相手は燃やしたり消したりしないと倒せない相手。

いくら現代兵器と言えども、銃弾では仕留めきれないのでは無いかと思ったのだ。

「………あの大群が相手ですか………腕がなるのであります!」

「ふむ………火炎放射機で良いな?」

「最適であります!」

ゼロゴは虚空からゴツゴツしていて、先端に細い鉄パイプが付いた物体を取り出した。

そしてゼロナに渡した。

(あっ、火炎放射機………それで焼き払うんだね?)

実穂と美堀は納得したが、クルミと双子はそれが何かわかっていない為、まだ構えていた。

そしてゼロナが火炎放射機をセットし終わり、トリガーを引いた。

「ファイヤーであります!」

物凄い勢いで放出されるガソリンで燃え盛る炎は、瞬く間に黒いゾンビ達を燃やし尽くし、あっと言う間に全滅した。

「………思ったより少なかったのであります」

「まぁ少ないに越した事は無いとも言う」

火炎放射機をゼロゴに渡し、それを仕舞ったゼロゴとゼロナは、実穂にお辞儀した。

「さて、某達はこれにて仕舞いにあります」

「自分達はまた大群が来た時に備えて待機するのであります! マスターをよろしくお願いするのであります!」

「うん! 任せて!」

そして二人は端末へと消えていった。

「………実穂、ここにマジックジャミングを」

「え? いつの間に………」

いつの間にかゾンビの燃えた残骸の液体付近まで移動していたラキトが、不自然に汚れていない壁を見つけて実穂を読んだ。

「………《マジックジャミング》」

実穂が魔法を妨害する魔法を壁に放つと、その壁は一瞬揺らいで階段が見えた。

「っ! 行くぞ!」

ラキトは切羽詰まった声でそう叫んだ。

それを聞いて、皆はすぐさま階段へと入っていった。

その後、階段の外を見上げると、無音で丸い巨大な岩が転がっていくのが一瞬見えた。

「………えっと、結果オーライってやつ?」

実穂は階段の下を見てそう呟いた。

そこには質素ながら異様な威圧感を放つ扉が鎮座していたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」

シルフィ「どうも皆さんこんにちは、ライトの代理のシルフィよ」

ディメン「今回はゾンビを倒して隠し部屋を見付けたな」

シルフィ「文字数の割にあまり進んでないわね」

ディメン「まぁ久しぶりの決戦だからな。 次回には少し安定してると思うぜ?」

シルフィ「そうだと良いわね」

ディメン「大丈夫だろ………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」

シルフィ「誤字脱字等があったらご報告をよろしくお願いするわ」

ディメン「それでは皆さん」

ディメン&シルフィ「さようなら」


今回はステータスがありません!………というか二十話終わるまで非表示にしておきます!
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