お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤

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第三章後編『やっとついた?アストロデクス王国!』

第十九話 いざ! 決戦の時! 前編

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「「「「「『世界を造りし創造神を否定し、新たな世を造り上げろ』」」」」」

階段の様な場所に何十人もの人々が跪きながら、生気の無い声で同じ言葉を呟き続ける。

「「「「「『破壊神による概念の破壊を我が主の手に』」」」」」

そんな人々の中心に居るのは、固い石でできたベッドに寝かされているライト。

人々の一番高い所に居るライトは、ピクリとも動かず、時折目蓋だけが力無く瞬きをする。

「「「「「『我らが主の為の、我らが主の世界の為に』」」」」」

そんなどこか狂気染みた光景が漂う地下室に、何か重い扉が開く様な重々しい音が響いた。

「っ!? 兄ちゃん!」

その光景を真っ先に見たラキトは、思わず部屋の中へと駆け出した。

「………『焼き払え』」

それを見た一人の信者は、指をナイフで薄く切り、そこから出た血を飛ばした。

地面に落ちた血は一瞬で小さな魔法陣をラキトの足元に形作り、発光した。

「なっ! まず「《テレポート》!」」

ラキトが急いで飛び退こうとした瞬間に、実穂が魔法で自分達の近くまで呼び戻した。

「大丈夫だった?」

「………助かった」

実穂は階段の一番上の方を見て、微妙な顔をする。

「………助かる………よね?」

「あぁ、大丈夫な筈だ………多分」

「不安になってるんじゃないわよ! ほら! さっさと救出するわよ!」

若干不安になった実穂とラキトを見て、美堀が強い口調で元気付ける。

それと同時にクルミが魔力で作ったナイフを投げるが、信者の前に突如赤い霧が出てきてナイフを霧散させた。

「………魔力を打ち消すのかな?」

「ならば物理ですね」

クルミは左手に投げナイフを構えた。

「インカとヨウタは私から離れないでね!」

「「わかった!」」

双子は実穂の後ろに隠れる。

「ふぅ………さて、腕がなるわねぇ」

美堀が首を鳴らしながら呟いた。

………戦闘開始だ。

信者の数人が詠唱を止め、手首を切って血を垂らす。

「「「『我に従え』」」」

血が垂れた場所に魔法陣が形作られ、血でできた人間サイズの泥人形がゆっくりと魔法陣から這い出てきた。

「はっ!」

それを走り出していた美堀が掴み、他の血人形へと投げ飛ばした。

「はぁっ!」

ラキトはその重なった血人形を纏めて殴り、消し飛ばした。

その時、美堀の背後で隙だらけになった背中を刺そうと信者の一人がナイフを抜いて走ってきたが、美堀は振り返りながらそれを素手で掴み、握り潰した。

そして信者を蹴り飛ばし、他の血人形の所へ走っていった。

「ふーん、このブレスレット、結構使えるじゃない」

ナイフを握っても傷一つ付かなかった自分の手を見て、美堀はニヤリとした。

それを油断していると見たのか、信者の一人が血を垂らして魔法陣を作り、血の槍を出して美堀へと投げた。

「効かないわよっと!」

それを美堀は受け流し、他の信者へと飛んでいく様に仕向けた。

当然槍は避けられてしまったが、赤魔法は霧で無力感できないと美堀は理解した。

そして美堀が理解していると言う事は、リンク中の実穂も当然理解しているのだった。

実穂はリンク先を素早く切り替え、皆にその事を伝えた。

その途中、ライトへとリンクを試し、繋がったが、何も反応が無かったのを不自然に思いながらも、飛んできた血の槍を《エレメンタルウォール》で防ぐのだった。

「………やっぱり中に岩の魔力を詰め込んだら堅くなるんだね」

最近《エレメンタルウォール》の中の属性を入れ換えて何ができるか試していたりする実穂は、予想通りの結果が出たので安心していた。

「………あっ、『戦闘』を出しとかなきゃ」

実穂は端末を取り出して『戦闘』を押した。

すると前話も見た通り、三人の女性が現れたのだった。

「よっしゃ! 出番だな!」

ゼロヒは真っ先に敵に向かって走っていき、

「………『万能なる魔の力よ』」

ゼロヒはチラリと周りを見て状況把握してから詠唱を開始し、

「………やっぱり私、場違いですよね……」

ヒゼロはネガティブな事を呟きながら、矢をつがえた。

「オラッ!」

ゼロヒが大剣を振り下ろすと、地面にヒビが入り血人形が数体ただの血の池になった。

「『偶然の力である星に従い』『頭を垂れて這いつくばれ』《グラビティ》」

ゼロフが詠唱を終えると、一気に数十体の血人形が潰され、血溜まりへと変貌した。

「………ふっ!」

ヒゼロが矢を放つと、吸い込まれる様に信者の所へ飛んでいき、その内の一人の頭を貫いた。

その時に垂れた血が新たな血人形を作り出す事は無く、数体の血人形が主が倒れると同時に崩れた。

「わわっ!」

いつの間にか実穂の近くまで近寄っていた血人形が腕を振り上げる。

「『伸びて!』」

しかしその腕が届く事は無く、いきなり伸びた実穂の棒によって中心を貫かれ形を失った。

「………何だか久しぶりに使ったね」

実穂は戻ってくる棒を見ながら、そう呟いたのだった。

「ご主人様、何やら重要そうな物を見つけました」

数人の信者の首が飛び、赤い鮮血が地を濡らすと同時に音もなく実穂の元へ戻ってきたクルミは、赤い表紙の本を持ってきた。

「何だろう………読めないね?」

「それは古代文字ですね」

実穂が首を傾げていると、杖を浮かせたままのゼロフが本を覗き込んでいた。

「えっと、何々?………『赤い月が昇る時、信者の魂売り渡せ。 白き月は魔にて赤く染まる』………どう言った意味でしょう?」

ゼロフは近寄ってきた信者がナイフで滅多刺しになった様子に目を向けると、無言で《グラビティ》の方向性を変えて遠くへ飛ばした。

「うーん………あっ《スコープアイ》」

(《森羅万象》でこの視界を別画面として表示してっと)

実穂は生々しい血がベットリ付いた部屋から視界だけ移動させて、地上を見た。

「………白い月だね」

実穂はそう呟くとクルミにリンクした。

(クルミ、悪いけどライトを救出してこれる? 皆の話ではタイミングを見計らってって話だったけど、何だか嫌な予感がするから)

(了解しました)

クルミは風と共に姿を消した。

そしてその数秒後、ベッドに寝かされていた筈のライトを持ったクルミが音もなく元の場所に居た。

「………起きてからこの事を知ったら、引きこもりそうですね」

「そうだね」

(光海さんのお姫様だっこも恥ずかしがってたからねー。 ライトとそう身長が変わらないクルミに持たれてたって知ったらどうなる事か………)

ライトを救出した様子を見たラキトは、道を作る為に扉に向かって拳を突き出した。

その拳は衝撃波となって、信者達を凪払いながら扉を勢い良く破る………筈だった。

信者達に当たる直前に部屋の霧が濃くなり、衝撃波が見当違いの方向へ飛んでいった。

「我らの計画の邪魔はさせない」

赤い血の様な霧はさらに深くなる。

「我らが主の復活の為」

良く見ると足元にあった筈の信者の血が綺麗さっぱり無くなっている。

「その人間が必要なのだ」

信者達は、杖を空へ向けた。

「貴様らごとき、単なる塵に過ぎぬと思っていたが」

赤い霧からボンヤリと見える影は、霧が濃くなる前より数が多い気がした。

ひょっとしたら、部屋に入る前よりも………。

「貴様らは邪魔になると理解した。 よってここで始末させてもらおう」

そして霧が晴れた時、実穂達は目を疑った。

自分達は今まで地下に居た筈だ。

それなのに何故、"荒れ果てた荒野"に立っているのか。

そして実穂は横に居た筈のゼロフが居ない事に気が付いた。

それ所か、ゼロヒやヒゼロも居ない。

「………なるほど、魔力の存在しない空間か」

「「「「「我らが主復活の為、貴様らには犠牲となって貰おう」」」」」

こうして、魔法が封じられた私達と、最初の数に戻った信者達の第二ラウンドが始まるのだった。


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ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」

シルフィ「どうも皆さんこんにちは、ライトの代理のシルフィよ」

ディメン「さて、今回は………ライトを救出できたのは良い物の、大変な事になったな」

シルフィ「何であの子達は最初にあれをやらなかったのかしらね?」

ディメン「恐らく赤魔法による反撃を警戒してたんだろうな。 描写はされていなかったが、ライトは赤魔法による拘束を受けていた。 それは短剣で上手くやれば簡単に外せるが、もたついてる間に赤魔法で攻撃されれば………どうなるかわかるな?」

シルフィ「あぁ、それを避けた結果ライトに当たるのね」

ディメン「そうだ、だからある程度数を減らしてから実行したんだが………今度は防衛戦に発展しそうだな………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」

シルフィ「誤字脱字やストーリー矛盾等があったらご報告の方をお願いするわね」

ディメン「それでは皆さん」

ディメン&シルフィ「さようなら」
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