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第三章後編『やっとついた?アストロデクス王国!』
第二十話 押して押されて押し返せ (1)
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視点変更 クルミ→戦闘視点(三人称)
(く、クルミが格好良くなった!)
落としてしまっていたライトを再び持ち上げながら、実穂は黒と白が映える姿となったクルミを、キラキラとした目で見つめていた。
「《ブラッドスピア》」
仲間がやられている隙に詠唱を終えていた信者の一人が、また実穂達へ血の槍を放ってくる。
クルミはそれを見て、槍に向かって走り出した。
「………」
そして槍に向かって影で出来た刃を投げ、それと同時に信者達の方にも刃を投げた。
刃と槍が正面からぶつかり合うと、槍は刃に振れた所が抉られる様に消えていき、信者達へ投げた刃からその抉られた部分が飛び出してきた。
苦悶の声すら上げずやられていった仲間を見て、信者達は血を垂らした。
「《レッドハウンド》」
地に落ちた血から、生物の血肉を無理やり犬の形にした様な生物が生まれ、クルミへと襲いかかる。
(クルミ! 視れたよ! あの犬は頭の中にある血が固まって出来た核を壊せば崩れるみたい!)
「ありがとうございます、ご主人様」
クルミは五本の刃を投げ、後ろへ下がった。
そして自身の影に溶け込むかの様に、姿を消した。
刃は生物の頭に深々と突き刺さり、簡単に崩れてしまった。
その事に若干動揺した信者達の隙を突き、後ろに現れたクルミが三人の信者の首元を切った。
それに気付いた信者が杖を振るが、クルミはまた影に溶け、その杖は他の信者に当たった。
(………あれ? 何だか周りがおかしい………)
どうやら杖が当たった信者は空間を管理していた者らしく、その信者が赤魔法を纏った杖による打撃を受けた為、空間が揺らぎ始めたらしい。
「ラキト!」
「壊れろ!」
ラキトが素早く籠手を外して空間を殴り付ける。
前と同じく嫌な音が鳴り響くが、今回はその音の中に何かにヒビが入る音も混じっていた。
その音はだんだんと大きくなっていき………空間は砕け散った。
「ぐあっ!」
フィードバックでも起こったのだろうか?
空間を管理していた信者は空間が砕け散ると共に苦しみだし、血を吐いて倒れた。
そこに天井から影の刃が突き刺さる。
これでこの部屋に居る信者は全て片付いたのだった。
「………ご主人様、後一人が居ません」
そう、"この部屋に居る"信者は。
「えっと………とりあえずライトは助け出せたし………一旦視てみるね?」
目標は達成したと思い、実穂はライトに《森羅万象》を使い、今の状態を視てみた。
『ライト スターダスト』
『体温 低い』
『脈拍 低い』
『状態 麻痺 毒 臓器損傷 筋肉損傷 脳内侵食 (抵抗) 能力封印 スキル封印』
(………え?)
実穂はその結果が信じられず、思わず二度見してしまった。
(………ラキトにリンク)
「………っ! すぐに麻痺と毒を解除してくれ!」
この結果を見たラキトは焦り始めた。
「準備できた! 《アンチパラライズ》《アンチポイズン》!」
ラキトにリンクすると同時に二つの魔法の為の魔力を集めていた実穂は、ここの魔力濃度がかなり薄い事に若干疑問を持ちつつもライトの状態異常を解除した。
それをした途端、毒や麻痺と一緒に脳内侵食も消え去ったが、それ以外の状態異常は解除されていない。
「………ありゃ、意外と早かったねぇ」
「兄ちゃん!」
ライトは解除されてからすぐに目を開け、皆を見渡した。
「ライト、起きてたの?」
「いや? 必死に脳内侵食に抵抗してたから厳密には寝てたのかな?」
ライトはそう言いながら起き上がろうとしたが、力が入らず動けない。
「………実穂、端末見せて」
「うん、わかった」
実穂は端末を取り出し、ライトに見せた。
「ふむ………中途半端に解除されたせいで実体の生成に必要な魔力が無くなってるのかな?………もう良いよ、ラキトに渡しといて」
ライトは端末から目を離すと、次に双子達に目を向けた。
「ほぅ、この子達も来てたんだ」
「ちゃんと傷一つ付かない様に守ったよ!」
「実穂! 格好良かった!」
「………助けてくれてありがとう」
「ありがと!」
インカが元気良くお礼を言い、ヨウタが控えめに言った。
「そんでクルミは………《昇華》に成功したんだ」
「はい、まだ何かあるかもしれませんので変えるまではこのままで居ます」
「まぁ解いたらデメリットとかもあるしね………良い判断だよ」
ライトが一通り離し終えると、ラキトがライトを背負った。
「………せめて兄ちゃんの服を見つけるまで光海は出られる様にしない方が良いな」
「服?………あっ」
ライトはその奴隷服………要するにボロボロのワンピースを見て、溜め息をついた。
(………恥ずかしいけどそんな場所じゃないから溜め息に変わったんだろうねー)
「まぁ良いや、スキルが使える様になったら呼び戻せるし……戻ろう?」
「そうだね、お城に戻ろう」
皆が出口の方へ歩き出す。
一人取り逃したが、後でライトが万全になってから倒せば良いだろう。
そう思いながら。
しかし数秒後、それは浅はかな考えだったと知る。
なぜなら………奥の方から強大なオーラを持った何かが出現した事を、地の揺れといった形で理解したからだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁっ………はぁっ………はぁっ」
息を切らせながら、信者は走る。
謎の攻撃によって切り刻まれ、使い物にならなくなった左腕を押さえながら。
古く、細いレンガで出来た通り道を通りすぎると、少し小さめで石造りの部屋があった。
信者はそこの床に、左腕から垂れる血を一滴落とすと、何かを呟き始めた。
「『我らが創造神の、敬遠なる従者よ』」
床に広がった血はその呟きに反応するかの様にして床の窪みに吸いとられていく。
「『我が器と魂を捧げ、永久の苦しみを味わいましょう』」
その窪みから赤い光が液体の様に出て、床の窪み全体に広がっていく。
「『それだけではありませぬ、我が同胞の魂をも差し出しましょう』」
赤い光が窪み全体に行き渡ると………とある巨大な魔法陣が現れた。
「『ですがその対価として我が敵を消し去って貰おう、永久に、永遠に』」
その魔法陣は普通の魔法陣とは違い、通常と上級の魔法陣が一緒になっていた。
「『その後は何をしてもらっても良い』」
そんな魔法陣が、その言葉によって禍々しく暗転した。
「『威張るのも、宝を求めるのも、他を妬み滅ぼすのも、些細な事に怒り狂うのも、色欲に耽るのも、全ての命を喰らい尽くすのも、その全てを放棄し、怠けるのも!』」
禍々しい魔法陣の光は、信者の足を飲み込む様に這い上がってくる。
「『その全てが自由だ!』」
光が這い上がる速さが上がり、ついには首まで飲み込まれた。
「『さぁ、鎖から解き放たれよ! 我が望みを叶えよ!』《インディスクレッション》!」
そして信者が全て飲み込まれ『ゴキッ!』『バキッ!』と嫌な音が響き渡った。
それから静寂が訪れ、闇は晴れる。
「………ふぅ、久々の娑婆だな」
もうそこに信者の姿は無く、変わりにあったのは………
「さて、まずはあっちにいる奴らを殺せば良いんだっけ?………面倒くせぇ………」
歪な形をした悪魔だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」
シルフィ「どうも皆さんこんにちは、ライトが回復したのに何故か呼ばれたシルフィよ」
ディメン「だってあいつ、魂が少し負傷してるしなー」
シルフィ「まぁ良いんだけど………それで? あの獣人の子ってどんな力を持ってたの? 白髪に白い眼って時点で何かあるのはわかってたけど………」
ディメン「そうだなー………あいつが《昇華》した時の追加能力は『影に潜れる様になる』だな」
シルフィ「………何か地味ね?」
ディメン「暗殺者にとっては最高の能力だろ? まぁ性格には影を擬似的なワープホールにしてるだけみたいだけどな?」
シルフィ「………つまり影と影を繋げる事ができて、どこにも繋げなかった場合そのまま隠れる事が可能って事?」
ディメン「そうだな、後は眼の色と髪の話だか………これは止めておく」
シルフィ「なんでよ」
ディメン「尺」
シルフィ「………なら閉めるわよ」
ディメン「ご理解ありがとなー………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」
シルフィ「誤字脱字やストーリー矛盾等がありましたらご報告の方をお願いするわね」
ディメン「それでは皆さん」
ディメン&シルフィ「さようなら」
(く、クルミが格好良くなった!)
落としてしまっていたライトを再び持ち上げながら、実穂は黒と白が映える姿となったクルミを、キラキラとした目で見つめていた。
「《ブラッドスピア》」
仲間がやられている隙に詠唱を終えていた信者の一人が、また実穂達へ血の槍を放ってくる。
クルミはそれを見て、槍に向かって走り出した。
「………」
そして槍に向かって影で出来た刃を投げ、それと同時に信者達の方にも刃を投げた。
刃と槍が正面からぶつかり合うと、槍は刃に振れた所が抉られる様に消えていき、信者達へ投げた刃からその抉られた部分が飛び出してきた。
苦悶の声すら上げずやられていった仲間を見て、信者達は血を垂らした。
「《レッドハウンド》」
地に落ちた血から、生物の血肉を無理やり犬の形にした様な生物が生まれ、クルミへと襲いかかる。
(クルミ! 視れたよ! あの犬は頭の中にある血が固まって出来た核を壊せば崩れるみたい!)
「ありがとうございます、ご主人様」
クルミは五本の刃を投げ、後ろへ下がった。
そして自身の影に溶け込むかの様に、姿を消した。
刃は生物の頭に深々と突き刺さり、簡単に崩れてしまった。
その事に若干動揺した信者達の隙を突き、後ろに現れたクルミが三人の信者の首元を切った。
それに気付いた信者が杖を振るが、クルミはまた影に溶け、その杖は他の信者に当たった。
(………あれ? 何だか周りがおかしい………)
どうやら杖が当たった信者は空間を管理していた者らしく、その信者が赤魔法を纏った杖による打撃を受けた為、空間が揺らぎ始めたらしい。
「ラキト!」
「壊れろ!」
ラキトが素早く籠手を外して空間を殴り付ける。
前と同じく嫌な音が鳴り響くが、今回はその音の中に何かにヒビが入る音も混じっていた。
その音はだんだんと大きくなっていき………空間は砕け散った。
「ぐあっ!」
フィードバックでも起こったのだろうか?
空間を管理していた信者は空間が砕け散ると共に苦しみだし、血を吐いて倒れた。
そこに天井から影の刃が突き刺さる。
これでこの部屋に居る信者は全て片付いたのだった。
「………ご主人様、後一人が居ません」
そう、"この部屋に居る"信者は。
「えっと………とりあえずライトは助け出せたし………一旦視てみるね?」
目標は達成したと思い、実穂はライトに《森羅万象》を使い、今の状態を視てみた。
『ライト スターダスト』
『体温 低い』
『脈拍 低い』
『状態 麻痺 毒 臓器損傷 筋肉損傷 脳内侵食 (抵抗) 能力封印 スキル封印』
(………え?)
実穂はその結果が信じられず、思わず二度見してしまった。
(………ラキトにリンク)
「………っ! すぐに麻痺と毒を解除してくれ!」
この結果を見たラキトは焦り始めた。
「準備できた! 《アンチパラライズ》《アンチポイズン》!」
ラキトにリンクすると同時に二つの魔法の為の魔力を集めていた実穂は、ここの魔力濃度がかなり薄い事に若干疑問を持ちつつもライトの状態異常を解除した。
それをした途端、毒や麻痺と一緒に脳内侵食も消え去ったが、それ以外の状態異常は解除されていない。
「………ありゃ、意外と早かったねぇ」
「兄ちゃん!」
ライトは解除されてからすぐに目を開け、皆を見渡した。
「ライト、起きてたの?」
「いや? 必死に脳内侵食に抵抗してたから厳密には寝てたのかな?」
ライトはそう言いながら起き上がろうとしたが、力が入らず動けない。
「………実穂、端末見せて」
「うん、わかった」
実穂は端末を取り出し、ライトに見せた。
「ふむ………中途半端に解除されたせいで実体の生成に必要な魔力が無くなってるのかな?………もう良いよ、ラキトに渡しといて」
ライトは端末から目を離すと、次に双子達に目を向けた。
「ほぅ、この子達も来てたんだ」
「ちゃんと傷一つ付かない様に守ったよ!」
「実穂! 格好良かった!」
「………助けてくれてありがとう」
「ありがと!」
インカが元気良くお礼を言い、ヨウタが控えめに言った。
「そんでクルミは………《昇華》に成功したんだ」
「はい、まだ何かあるかもしれませんので変えるまではこのままで居ます」
「まぁ解いたらデメリットとかもあるしね………良い判断だよ」
ライトが一通り離し終えると、ラキトがライトを背負った。
「………せめて兄ちゃんの服を見つけるまで光海は出られる様にしない方が良いな」
「服?………あっ」
ライトはその奴隷服………要するにボロボロのワンピースを見て、溜め息をついた。
(………恥ずかしいけどそんな場所じゃないから溜め息に変わったんだろうねー)
「まぁ良いや、スキルが使える様になったら呼び戻せるし……戻ろう?」
「そうだね、お城に戻ろう」
皆が出口の方へ歩き出す。
一人取り逃したが、後でライトが万全になってから倒せば良いだろう。
そう思いながら。
しかし数秒後、それは浅はかな考えだったと知る。
なぜなら………奥の方から強大なオーラを持った何かが出現した事を、地の揺れといった形で理解したからだ。
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「はぁっ………はぁっ………はぁっ」
息を切らせながら、信者は走る。
謎の攻撃によって切り刻まれ、使い物にならなくなった左腕を押さえながら。
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信者はそこの床に、左腕から垂れる血を一滴落とすと、何かを呟き始めた。
「『我らが創造神の、敬遠なる従者よ』」
床に広がった血はその呟きに反応するかの様にして床の窪みに吸いとられていく。
「『我が器と魂を捧げ、永久の苦しみを味わいましょう』」
その窪みから赤い光が液体の様に出て、床の窪み全体に広がっていく。
「『それだけではありませぬ、我が同胞の魂をも差し出しましょう』」
赤い光が窪み全体に行き渡ると………とある巨大な魔法陣が現れた。
「『ですがその対価として我が敵を消し去って貰おう、永久に、永遠に』」
その魔法陣は普通の魔法陣とは違い、通常と上級の魔法陣が一緒になっていた。
「『その後は何をしてもらっても良い』」
そんな魔法陣が、その言葉によって禍々しく暗転した。
「『威張るのも、宝を求めるのも、他を妬み滅ぼすのも、些細な事に怒り狂うのも、色欲に耽るのも、全ての命を喰らい尽くすのも、その全てを放棄し、怠けるのも!』」
禍々しい魔法陣の光は、信者の足を飲み込む様に這い上がってくる。
「『その全てが自由だ!』」
光が這い上がる速さが上がり、ついには首まで飲み込まれた。
「『さぁ、鎖から解き放たれよ! 我が望みを叶えよ!』《インディスクレッション》!」
そして信者が全て飲み込まれ『ゴキッ!』『バキッ!』と嫌な音が響き渡った。
それから静寂が訪れ、闇は晴れる。
「………ふぅ、久々の娑婆だな」
もうそこに信者の姿は無く、変わりにあったのは………
「さて、まずはあっちにいる奴らを殺せば良いんだっけ?………面倒くせぇ………」
歪な形をした悪魔だった。
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ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」
シルフィ「どうも皆さんこんにちは、ライトが回復したのに何故か呼ばれたシルフィよ」
ディメン「だってあいつ、魂が少し負傷してるしなー」
シルフィ「まぁ良いんだけど………それで? あの獣人の子ってどんな力を持ってたの? 白髪に白い眼って時点で何かあるのはわかってたけど………」
ディメン「そうだなー………あいつが《昇華》した時の追加能力は『影に潜れる様になる』だな」
シルフィ「………何か地味ね?」
ディメン「暗殺者にとっては最高の能力だろ? まぁ性格には影を擬似的なワープホールにしてるだけみたいだけどな?」
シルフィ「………つまり影と影を繋げる事ができて、どこにも繋げなかった場合そのまま隠れる事が可能って事?」
ディメン「そうだな、後は眼の色と髪の話だか………これは止めておく」
シルフィ「なんでよ」
ディメン「尺」
シルフィ「………なら閉めるわよ」
ディメン「ご理解ありがとなー………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」
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