お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤

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第三章後編『やっとついた?アストロデクス王国!』

関話『森の筋肉達とラキト』

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「………この辺りだったか?」

ここはアストロデクス王国ナイルラッタ領の中にある淀みの森。

魔力の元となる魔素が淀んでいて、変質した魔物が出やすい森だ。

そんな森の中で、ラキトら何かを探していた。

「………兄ちゃんからフライチップ貰って来ておいて良かった」

ラキトは小さな何かを空へと投げ、周囲の探索を始めた。

「行方不明者の顔は………」

ラキトが取り出した紙にはとある冒険者の顔が書いてあり、その下に大きく『行方不明』と書かれている。

「………探知にも引っ掛からない………本当にこの付近に居るのか?」

疑問に思いつつも二時間ほど探索を続けた後、フライチップが戻ってきた。

ラキトはそれを手に取り、また投げて空中にプロジェクターを使った様な映像を出現させた。

そこには森の地図の様な物が写っている。

「………ここか」

ラキトがそこへ歩き始めると、映像は消えてそれを四隅から構成していたフライチップはポケットの中に戻った。

ラキトは目的地に向かう際、一匹の魔物にも会わない事に違和感を覚えた。

その違和感が疑問に変わった時、目的地の方から『ズドォォォォンッ!』と巨大な爆発音の様な物がした。

ラキトは目的地に向けて走り出す。

そしてそこで目にしたのは………行方不明者を取り囲む三人の変態筋肉達だった。

「《疾風 トルネード》!」

ラキトは行方不明者を助ける為に、ある程度融通が効く属性の渦を打ち込んだ。

筋肉達はそれを察知して避け、木の上に三人でポーズを取りながら着地した。

「ふははははははははは!」

三人は反り返りながら笑った後、右の一人がポーズを取る。

「筋肉こそ力!」

右の一人の汗が煌めきながら散ると同時に、天から光が降り注ぐ。

「筋肉こそ知性!」

左の一人がポーズを取ると、右と同じ様に汗が飛び散り光が降り注いだ。

「筋肉こそ守り!」

真ん中がポーズを取ると、左右と同じく汗が煌めきと光が降り注ぐ。

「「「我ら筋肉三兄弟!」」」

無駄に神々しい後光と、無駄にポーズが決まっている三兄弟は『トウッ!』と叫びながら降りてきて、これまた無駄に格好良く着地した。

その隙を突いてラキトが殴りかかるが、次男がそれを腹筋で受け止める。

普通なら攻撃力がカンストしているラキトの攻撃を受けて倒れない筈は無いのだが、次男は………。

「ふははははは! 効かぬ!」

と笑っている。 それ所か。

「食らうが良い! 我が鍛え上げられた腹筋の力を!」

と殴った拳に物凄い衝撃が来て、ラキトは弾き飛ばされてしまった。

ラキトがなんとか着地しようとした瞬間に、長男がラキトの後ろまで来ていた。

「食らうが良い! 我が筋肉の集大成である鉄拳の力を!」

ラキトは瞬時に籠手を外し、素手でその拳とかち合った。

二人は互いに吹き飛びあったが、二人共あまりダメージを受けている様子は無い。

「食らうが良い! 我が渾身の美脚を!」

そんなこんなで吹き飛んでいるラキトに三男が回し蹴りを叩き込む。

そこでライトが持たせていた『不死鳥の羽』が発動し、無傷のまま次男に一撃叩き込む。

次男が吹き飛ばされた後、三人は一度集合してポーズを取った。

「「「我らを相手にそこまで戦えるとは! 余程の強者と見た! 貴様に会えた記念に我らの必殺技を見せてやろう!」」」

筋肉三兄弟が空へと飛び上がる。

「ハアッ!」

長男が次男の腹筋を殴り、次男はそれを反射する。

「トリャア!」

吹き飛ばされた勢いを利用して、三男を殴り付ける。 それに合わせて三男も長男の拳を蹴り付ける。

「タァ!」

その勢いのまま三男は空中で半回転し、ラキトに向かって足を向ける。

「「「食らうが良い! 」」」

「………《瞬間装備》《変換の拳チェンジフィスト》《身体強化》《攻撃力制限解除》能力発動!」

流星の如く迫ってくる筋肉と、流れる様な動きで構えるラキト。

「《流水破剛流拳術奥義》」

ラキトは拳を突き出す。

「「「マッスルコラボアタァァァァックッ!」」」

「《新・暴流水集天打拳》」

無駄に格好良いエフェクトが尾の如く流れる筋肉の蹴りと、無駄を全て削ぎ落とし、相手の表面ではなく内側から破壊する事に重点を置いた拳がぶつかり合う。

その衝撃で回りの草は弾け飛び、木が折れ、気絶していた行方不明者はゴロゴロと転がっていく。

『ギギギギ』と何かが歪む様な音がし、四人の周りが歪んでいく。

「「「ハァァァァァァァ!」」」

「………《改・剛撃破砕連打》」

ラキトは左手で荒々しい拳を三男に向けて叩き込む。

それと同時に右手の動きもすぐに荒々しく変化して、拳ではなく掌で蹴りを受け止め始めた。

「「「止めだっ!」」」

「《終・流水剛破》!」

全てを蹂躙する筋肉と、美しくも荒々しい最後の拳がかち合った瞬間、何かが砕ける音がした。

その砕けた何かから飛んできた光線を、二人は技を解除して避けた。

その方向を向くと………足が六本あり、体が流動体の様でいて個体で、顔が溶けた蟻の様な生物が、割れた空間から這い出る様に落ちてきた。

生物は触覚を立たせると、そこから光線を乱射した。

「「「ふははははははは! どうやらお呼びで無い者が来てしまった様だな! 強き者よ! 一度休戦と行こうぞ!」」」

「………仕方ない」

四人は生物の方へと走り出した。

生物が光線を乱射するが、それは全員に避けられる。

それを学習したのか生物は蟻の様な顎を開き、太めのビームを放ってきた。

「ふん! 効かぬ!」

しかしそれは次男によって反射され、生物に直撃して爆発した。

「花火となるが良い!」

それによって怯んだ生物を、三男が蹴り上げる。

「強き者よ! 準備は良いな!」

「………《烈火》」

長男の拳にエネルギーが集まり、ラキトは拳に炎を纏う。

そして生物が二人の間に落ちてきて………。

「テリャァッ!」

「《爆槍拳》!」

二つの拳が生物を貫く。

『ドスゥゥン』と地に落ちた生物は、何とか立ち上がろうと足を上げるが、事切れて倒れ込んだ。

「「「ふははははははは! やったな我が盟友よ!」」」

「盟友?」

筋肉三兄弟が笑うが、ラキトは困惑した。

「「「共に強敵と戦ったのだ! もう盟友で良いだろう!」」」

「………申し訳無いが人を取り囲んで襲う様な奴らとは友になれない」

ラキトが再び構えようとするが、三兄弟は首を傾げた。

「取り囲んで襲う?」

「そんな筋肉正義に反する事」

「我らがする訳なかろう?」

「………さっきあそこで倒れてる奴を取り囲んでただろ?」

ラキトは凄い格好で力無く倒れ込んでる行方不明者を指差した。

「あれはあいつが襲われているのを見付けて」

「我らで助けたが返事が無かったので」

「意識の確認をしていた所だぞ?」

「………え?」

ラキトはそっと構えを解き、頭を下げる。

「申し訳無い! 思いっきり勘違いをしていた!」

「「「ふははははは!勘違いは誰にだってある! 我らは強き者と戦えて満足だったぞ!」」」

三兄弟はひとしきりポーズを取り終わった後、ラキトに背を向けた。

「強き者よ!」

「少し質問がある!」

「あのうら若き乙女に授けたペンダントはまだあの乙女が持っているか?」

「あぁ、アイテムボックスの中にある」

三兄弟は一度頷き、マッスルポーズを取った。

「それは良かった! あの乙女はいずれ、大いなる困難に立ち向かう事になるだろう!」

「我らはあの乙女からオーラ筋肉を感じ取った!」

「肉体の筋肉じゃない! 筋の通った心の筋肉だ!」

三兄弟はマッスルポーズを解き、今度こそ後ろを向いた。

「「「強き者よ! また会おう! 我らはいつでも貴様らの味方だっ!」」」

そして三兄弟は『トウッ!』と叫びながら跳び去っていった。

「………あっ、依頼忘れてた」

三兄弟が跳んでいくのをボーッと見つめていたラキトは、行方不明者の救助へと向かうのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おまけ
筋肉三兄弟がラキトの攻撃で倒れなかった理由

《一心同体》
自身の同一存在とHPを共有する。
しかし、一体に与えられるダメージの最大値は決まっており、それを下回った場合はダメージが入らない。
倒すには結局全員を攻撃しないといけないのだ。

《再生・極》
何度も死地を通り越し、瀕死にまで追い込まれた者達が手にする事ができるスキル。
1秒間に2割のHPを回復する。
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