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第四章『不穏な空気! エグリゲイション聖国』

第二話 悪い貴族?

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「皆遅いよ!」

「皆遅れちゃうよ!」

インカとヨウタが廊下でピョンピョンと跳ねながら皆を急かしている。

「何に遅れるのー?」

私が二人にそう声を掛けると、二人は顔を見合わせて首を傾げた。

「わかんないけど!」

「なにかに遅れるの!」

そう言うと追い付いた私達を置いて少し離れた所までまた走っていった。

「あの時に比べると、本当に子供らしくなったわねぇ」

「今の方が本来のあの子達の性格なのかもね」

美堀が出会ったばかりで警戒されまくっていた頃を思い出したのか、染々と呟いていた。

「あまり遠くに行くのは危ないですよ」

クルミがスッと二人の前まで一瞬で移動して、窘める。

「「はーい」」

二人は立ち止まって、私と美堀が来たらゆっくりと歩き始めた。

そのまま談笑しながら長い長い廊下を歩いていくと、豪華な服を着ていて小太りの男の人が歩いてきた。

………何か怖そうな人だね。

「………ん? お前達………」

その男の人が、私達を呼び止める。

えっ? 何で?

「冒険者か? 冒険者風情が何故王城内をうろうろとしている?」

男の人はゆっくりとこちらに体を向けると、冷たい眼差しで私達に言ってきた。

「………ふむ、冒険者にしては少々小柄に見えるがな?」

「いきなり何なの?」

美堀が軽く構えながら声を掛ける。

すると男の人はその顔を歪めて発言した。

「貴様らこそその口の聞き方は何だ? 私はベルーヴ・グリャセ・タルバ子爵であるぞ?」

子爵って事は………貴族!?

って驚く事じゃ無いね、貴族なら王城に居てもおかしくないし。

「ふむ………なるほど、貴様ら暗殺者か」

えっ!?

「冒険者に似合わぬその体、そうなのであろう? もしそうだとしたら………ここで倒さねばならぬな?」

男の人の後ろに控えていた騎士が剣を抜く。

それに合わせて皆も構え始めた。

「ちょっと待ってください! 私達は暗殺者じゃ「自分に都合が悪い事を知られた者は皆そう言う」」

私が弁明しようとしたが、男の人は聞く耳を持たない。

そして両者がぶつかり合おうとした時、男の人が騎士を下がらせた。

「まぁもし、お前達が私の元へ来るというなら………見逃してやらん事もないがな?」

そう言って男の人は私達をジロジロと見つめてくる。

………あぁ、なるほどね?

つまり私達を罠に嵌める為にわざと絡んできたんだね?

「へぇ? 良い度胸じゃない?………ぶちのめされる覚悟はできてるのかしら?」

「ほぉ、良いのか? 王城で暴動なんて起こしたら一瞬で牢獄行きだぞ? お前達全員纏めてな?」

「くっ!」

美堀はその言葉を聞いて、手が出せなくなった。

クルミは静かにタイミングを待ってはいるが、怒っている事はわかった。

インカとヨウタは少し震えているが、手を繋いでいつでも反撃できる様にしていた。

………一応ライトに連絡しよ。

そう思って私はライトにリンクを繋げる。

………ライト、何か変な男の人に絡まれたんだけど。

『変な男の人? 名前とか言ってなかった?』

ベルーヴ・グリャセ・タルバだって。

『………んで? どうやって絡まれたの?』

暗殺者に仕立て上げられて私の元に来たら見逃すって。

『………はぁ………』

そんなライトのため息が聞こえた後に、プチッとリンクが切られた。

………え? リンクって向こうから切れたっけ?

「何故黙っている? どうせ貴様らに選択の余地は無いんだぞ?」

男の人はふんぞり返ってニヤニヤしていた。

「グァッ!?」

そんな無防備な男の人を、分厚い本が襲う!

「ぐっ………誰だ! この私に本を投げたのはっ!」

「あっ、申し訳ありませーん。 少々手が滑ってしまってー」

本が飛んできていた方向には、当然の如くライトが立っていた。

本当は私達だけで対処した方が良いかなって思ってたけど………後でライトに怒られそうだったしね。

「誰だ貴様!」

「どうもお初にお目に掛かります。 ヒカリ・スター・ダストと申します」

偽名使ってるね………。

「ふんっ! 貴様も貴族か………なら立ち去れ、ここを見なかった事にすれば先程の事は不問とする」

男の人はあっちに行けと言わんばかりに手を振る。

それに対してライトは、目を細めながらニコニコとしている。

………ライトの目の前何かがクルクルしてない?

《鑑定》でも使ってるのかな?

「そうですか、それはありがたいお申し付けです。 ですがベルーヴ様、少々お戯れが過ぎるのでは無いでしょうか?」

「こやつらは暗殺者だぞ? 本当なら罪で囚われる所を私は助けてやっているのだ」

「そうでしたか、私はてっきり獣の寝倉人攫いかと思ってしまいましたよ」

何かさっきの言葉、変だった様な………。

「獣?………貴様、バカにしているのか?」

「いえいえ、私はただ光の道を通る様にゆったりと道を探し当てた物凄い遠回りに君の事を言っただけにございます」

………やっぱり言葉に変な意味持たせてるね?

「ふんっ! ならとっとと立ち去れ!」

「そういう訳にもいきませぬ、私は小さき妖精を天界まで返さねばならぬゆえその子達を家まで返さなきゃならないからドラゴンの様には行きませぬ見てみぬ振りはできないよ

「………私には貴様が何を言ってるのか全然わからぬ! 良いからとっとと立ち去れ!」

………凄い怒ってるね、あの男の人、もう真っ赤だよ。

ヒラヒラとバグビーがダンスを踊っている様ですね。 大変お輝かしい様子で喜ばしく思いますうるさいハゲ!

あっ、さっきのはなんとなくわかる。

凄い悪口でしょ。

「ぐぬぬ………さっきから貴様は何なんだ! まどろっこしい言葉使いばかりしよって!」

「おや? 申してませんでしたか? ヒカリ・スター・ダスト、ただの公爵にございます」

「なっ!? 公爵!?」

公爵って………貴族で一番偉い所じゃん!

「この度は我が繋がりを持つ者達と繋がろうとしてくださり、どうもありがとうございました。よくも僕の仲間を連れ去ろうとしてくれたねぇ?

「ヒッ!?」

男の人がライトの笑顔の意味に気が付いたのか、一歩後退りしている。

それに対してライトは一歩づつゆっくりと詰めていく。

そのお礼としては何ですが、特別な場所へご案内しましょう仕返しにとっても良い所につれていって上げるね?

ライトが指をパチッとならすと、男の人の足元に穴が開く。

男の人は叫び声を上げる暇も無くその穴へと落ちていった。

「………はぁ、次からは絡まれない様に気をつけてね?」

………あの男の人、どこに行ったんだろ?

唖然としている私達を置いて、ライトは禁書庫に戻っていったのだった。


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ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」

ライト「どうも皆さんこんにちは、ライト スターダストです」

ディメン「なぁ、あいつ本当に貴族なのか? それにしてはバカっぽかったが………」

ライト「それに関してはあの貴族が状態異常『精神汚染』に掛かってたからねぇ」

ディメン「精神汚染?」

ライト「どうぜ何か変な呪いの本でも捕まれたんでしょ? とりあえず医療室に落としといたからまともになって帰ってくる筈だよ」

ディメン「そうか………今回のステータスだぜ」


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・進和 実穂 
・性別 女 年齢 18歳
・種族 人間
・職業  ?
・LV 8  38/40
・握力 5
・HP 37
・MP 120
・AT  24
・DE 28
・IN 30
・MD 28
・AG 23
・EX 15

スキル
・支援魔法支配 Lv 2
・聞き耳 Lv 3
・合成魔法 Lv 5
・読み聞かせLv 4

パッシブスキル
・異世界言語
・最高?の?護
・自衛術
・幻影魔法耐性Lv 1
・森羅万象(一部封印中)

加護 呪い

称号
・異世界人
・最高?の?護
・助けられた者
・空を飛ばされし物
・トラブルメーカー
・弱者
・強者
・生者
・死者
・支援の支配者


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ディメン「そういえば何か最近短いな」

ライト「元に戻ったとも言う」

ディメン「そうか………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」

ライト「誤字脱字やストーリー矛盾等がありましたらご報告の方をお願いします」

ディメン「それでは皆さん」

ディメン&ライト「さようなら」
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