王太子殿下はモブさえいればいい

星ふくろう

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第三章 薄幸の兄妹たち

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「アルバート。
 暗殺とはなんだ?」
 知らない?
 いや知らないかもしれない。
 知らず知らずのうちにエイシャ様といたのだとしたら。
 それは奇跡に近い。
「アリスティア様は魔族だ。ルシアード。
 聞いただろ、灰狼王が魔王を名乗り、英雄ラードリーに討たれた、と。
 もう一万年以上昔の話だ。
 アリスティア様はその生き残りだ」
 それを聞いてルシアードの顔に戦慄が走る。
 侍女が魔族で、なぜ主人の暗殺を狙うのだ、と。
「話が合わないな。
 アルバート。エイシャが暗殺される理由がわからん」
「黒狼族も魔族だ」
「そんなはずがあるか!!!!
 エイシャは亜人だっ!!」
 違うんだよ、ルシアード。
 アルバートは違うんだ、そう言いながら首をふる。
「あの戦争の時、十二人の英雄がいた。
 その一人が、黒狼だ。
 だから、他の魔族と違いルケードの中で爵位を持ち生きてこれたんだ」
「待てよ、アルバート。
 ならなんでアリスティアは生きてる!?
 敵だったんだろう?」
「恭順する者だっているだろう、戦争ならば。
 ルケードの半分は魔族だ。
 それすらも知らないのか!?」
 アルバートの話はルシアードの理解の範疇を越えていた。
「どう‥‥‥いう、ことだ‥‥‥??」
「魔族は地下世界に沈んだ天空大陸の空を大地で覆い、世界各地の地下でダンジョンを作り生きていたんだ。
 そのうち、人間とも生きるようになり、亜人とはもともと、魔族の一氏族や妖精などの氏族。
 その他、大勢を現したんだ。そして大帝国が出来て人間が魔法を極めた時。
 反乱が起こった。ルケードと竜公国はそうやって誕生した。
 歴史くらいは学べ。消された歴史だがな‥‥‥」
「じゃあなんだ、あの剣聖シュバイエ卿の話は!?」
「あれは魔族相手じゃない。
 かつて多くの勇者が産まれた。勇者は魔王を倒すのが義務だ。
 彼らは不老不死。だがその精神は千年も持たない。
 魔王を討伐した後に、勇者は戻れないダンジョンやあの天空の塔に幽閉されそしてーー」
「闇に染まった、とでも?」
「そうだ。
 その多くは千年より前に退治されていまはいない。
 どこかにいるかもしれないが、もういまはなにもできないだろう。
 そんなことはどうでもいい」
 何がどうでもいい、だ。
 誰もが知らないことを平然と話すお前が怖いよ、アルバート。
 そうルシアードは語る。
 こんなのが王になるなんてな、と。
「王はお前だ。ルシアード‥‥‥」
 は?
 何言ってるんだ?
 ルシアードはそのことばを笑い飛ばした。
「ここまで舞台張って、エイシャにアリスティアにメアリージュンまで手にしておいて。
 お前は降りる、そう言うのか?!
 父上が認めるわけがない」
 読めよ、そう言いアルバートは先程、手にした親書をルシアードに渡す。
「ばかな、第四王子とイニスを結婚‥‥‥兄弟婚だと!?
 イニスは傍流だ。ロンデル伯爵の王位継承権は無いのと同じ事になるぞ!?」
「そうだな、ルシアード。
 エイシャ様の家系は王位よりもっと家柄が古いぞ。
 僕はあの方の首を締めた。あわよくば殺そうと、な?」
「アルバート!?」
 いいな、ルシアード。
 その顔色が変わるのはまだ愛がある証拠だ。
 頼む‥‥‥悪の華を枯らしてくれ。
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