王太子殿下はモブさえいればいい

星ふくろう

文字の大きさ
43 / 85
第二部 プロローグ 

5

しおりを挟む
「僕もずっと命を狙われてきたからねえ。
 これくらいは。
 できても不思議ではないけど、まあ御望みならば。
 僕の子供を産んでいただけますでしょうか?
 僕だけのアリスティア?」
 それは・・・・・・あまりにも卑怯です、アルバートーー
「はあ。
 なんでこんな会話しかできないのかしら、わたしたち。
 もういいでしょ?
 妻になりますよ。先に約束したし、でも‥‥‥側室をつくる場合はせめて相談を」
 何もかも諦めたというか、受け入れたというか。
 この豹変ぶりはどう対応すればいいのだろう?
「相談というか、それはダメだ、と言ったのでは?」
 アルバートはもうこの少女というか、二人の会話は率直に言わねば即、喧嘩になりかねない。
 それだけは学んだ気がした。
「だって、悔しいじゃないですか。
 最後に告白されてそれも、正室なんて言われてもこの場だけかもしれないし。
 何より、あの三人は国に認められてわたしだけは二人だけなんて。
 ひどいと思いませんか?」
 ふくれっ面の狼少女の言うことは一理も二理もある言い分だった。
「でも、アリスティアもずっと僕だけを見ていたと。
 それに二人の宝珠を破壊したからもう、僕たちは死んだ扱いになっていますよ?」
「え、そんなことに!?
 なら、家族は!!!??」
「ちゃんとシェスで預かっています‥‥‥それより、あの愛の告白って。
 もしかして、黒狼も同じようなことを言われたら嬉しい‥‥‥とか?」
 ふいっ、と顔を反らしたとこを見るとどうやらそうなのだろう。
「ルシアードのあの首輪‥‥‥あれ、もしかしてーー」
「エイシャ様にとっては、ある意味、嬉しかったかもしれませんね‥‥‥」
 複雑な感情表現だなあ、狼って。
「君も首輪がいいの?」
 その返事は強烈な張り手だった。
「次言ったら噛みますから。本気で」
「うん‥‥‥気を付ける」
 口より先に手が出るんだね、君は。
 なかなか痛い異種族交流だった。
「で、その寿命がというのはなんなのですか?」
 もう主導権は完全に握られてしまった気がする。
「天眼を持つ者は常に命を削ってその力を使うんだ。
 竜使いと呼ばれた天眼を持っていた過去の天眼使いたちは多くは短命。
 もしくはー‥‥‥竜族の魔石を手に入れて命を繋いでいた。
 そんな感じかな?」
「そんな感じって。
 ならいつ死ぬの?」
 あっさりと聞くなあ。
 アルバートはあと数日ほどは、と答える。
「そんなあ、たった数日だけの妻なんて嫌です!!」
「僕も嫌だから、そうならないように待っているんだけどね?」
 待っている?
 なにを?
 あらかじめ用意はしていたということ?
 アリスティアの脳内で疑問が渦巻き‥‥‥
「なら、それはいつ来るんですか?」
「うーん、もうそろそろなんだけどね?」
 彼はやってくるはずだよ。
 アルバートは下を指差す。
 下?
 海の下から何かが?
 背後を振り向いてアリスティアは絶句することになる。
 彼らの真下には明るく、紅に染まりながら光を放ち泳ぐ巨大な何かが共に泳いでいたのだから。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

【完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

処理中です...