65 / 85
第三章 いざ、ダンジョン攻略へ
1
しおりを挟む「あー‥‥‥いや、それは何と言うか。
そんな宣言、とてもじゃないけど僕には出来ないなあ、凄いよ、アリスティアーー」
将来、僕は魔王の夫!?
彼女が女王陛下で僕はー‥‥‥。
アルバートはこの時、それ以降の人生のすべてを彼女に主導権を握られることを覚悟した。
いや、俗な言い方をすれば尻に敷かれて生きる未来が見えてしまった。
「なによ?
なにか悪いこと考えているでしょ、旦那様?」
うっ‥‥‥鋭い!?
そんなことはないよとはー、言えないよね。
君はこれから僕の全てを見るんだから。
そう‥‥‥僕の汚れた一面も。
それだけは、見て欲しくないし見せたくない。
もう、王子じゃないんだ。
仮面なんて要らなんだから‥‥‥
「うーん、うん。
思ったよ」
「へえー?
どんなことを考えてたの?」
アルバートはちょっとだけ、アリスティアから目を逸らした。
アリスティアはこの後、これが彼がなにか本音を言いたいが言えずに別の言葉で誤魔化そうとする。
そんなサインだな、と知ることになる。
「ううん、いいんだ。
君といたい、ごめんね、アリスティア」
いきなり謝り出すアルバート。
その意図がわからずアリスティアは困惑してしまう。それでも、彼が何か隠し事をしていることだけは理解できる気がしていた。
そうはさせませんよ、とアリスティアはアルバートを真上から睨みつける。
「ごめんね、は許しません!
いいですか、旦那様?
年下で可愛らしい、わたしだけのアルバート?
ねえ、もう隠し事はやめてね?
さっきの目を逸らす仕草。
あなたの悪い癖よ。
どうせ、あの学院内でルシアードに似たようなことをもっと深い所でやってたんでしょ?
そんな過去なんてどうでもいいわ、興味がないわよ。
あなたはいまは普通のアルバート。
そしてわたしの大事な大事な愛する人。
前をむいて、アルバート!
もう、王国もなんにも考えなくていいの!
好きなことをすればいいの!」
ずっと付いていくから。
ほら、そろそろ起きて、準備をしましょう?
そう、アリスティアは語り掛ける。
地下神殿に降りていくのだ。
それととてつもなく深いかもしれない。
どれだけの食糧に衣類、武器、装備が必要か考えなくてはいけなかった。
しかし‥‥‥
「あのねえ、アルバート‥‥‥。
こういうこと、いつから準備していたの???」
天眼使い、数百種類ある魔眼の全てを使える存在。
これほど、便利?
いや、小器用というかーーアリスティアは呆れていた。
「まあ、入ってみてよ。
中にはそれなりに部屋もあるんだ」
「ほんっとうに、信じられないわ‥‥‥。
移動できる屋敷?
それとも、部屋だけ?
別の空間を隣に作ってそこにものを収納するだけならともかく‥‥‥」
言われて、彼が開いた四角い窓のような入り口からそこに入るとー‥‥‥。
「まあ、小さな農家程度だけどね。
寝室に、浴室、トイレに台所。
食糧は凍土を召喚して凍らせてあるし、衣類もあの学院で要らなくなった古着ばかりだけど。
女性の鎧や装備もきちんとあるよ」
「あのねえ、あるよ、じゃないの!!
こんな異空間作って、まるでここで生活‥‥‥。
まさか、あなたーー」
ふとあることにアリスティアは気付いた。
彼はあの死んだとされた後、孤独にここで死ぬまでいきようとしていたのではないか、と。
「図書館もあるよ、アリスティア。
魔石も豊富に学院から盗んできたしね、なんでそんな悲しそうな顔をしているのさ?
もし、かなわないモンスターに出会っても、ここなら安全だし。
歩かなくても、異空間を移動できるんだよ???」
「そうじゃないわよ、アルバート。
ここで死ぬ気だったでしょ?」
ずばりと質問すると、彼は笑顔を凍り付かせた。
やはりそうか、この孤独の王子は‥‥‥
「もう、ダメだからね?
わたしとあなたの子供も生まれたらもっと死にたいなんて。
孤独だなんて言わせないからね?」
君にはかなわないよ。
アルバートは諦めて、彼女に全てを見せて行こうと誓った。
長い時間をかけて。
0
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
【完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる