ギルド嬢のひとりごと

星ふくろう

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第二章 難航するギルド開設と黒い翼の姫君

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「狂ってる、か。
 価値観が違うんだもんね、仕方ないか」

 茜は理解出来ない存在を見たような顔つきでいるシェイディアとアイニスを見渡した。
 生きている時間・文化も違う。 
 そこにあるべき、正しい姿も。

「でも‥‥‥茜にとってはそれは正義かもしれないけど。
 わたしたちにはわからないわ、茜」

 たしなめるように諭すように語るアイニスに、茜は力無げに微笑む。
 埋めれない溝を自分から作ってしまった。
 そんな気になっていた。

「そうね、アイニス。
 でも、旦那様を好きなのは本当よ?
 妻にならないかと言われた時、掛け値なしの本心だって思った。
 だから請けたの。
 それだけは‥‥‥本当」

「茜、誰もあなたを責めないわ。
 でも、だからといって‥‥‥ここはあなたが生きてきた世界とは違うの。
 全部を押し付けるのは――」

「ダメよね、わかってる。
 分かってるの。
 分かってても、マールなんてこんな生き方をいきなり押し付けられたら――」

 全部を破壊したくなる。
 何もかも。
 自分には、そしてもう一人。
 相方がいればそれは出来るのだから‥‥‥

「それも、時間がかかるわ。
 この国の王、僧門王は光臨教という名の光の神を信仰しているの。
 存在しない神を信仰して、他宗派の排斥を推し進めているわ。
 それは、この七の国ハイフの存在を危うくする。
 他の一から九の国と中央の国家群から忌み嫌われているから‥‥‥」

「アッシュはそれを見越して、文官を辞めたんでしょ?
 そして、ダル・エールね。
 その連中、を国内から一掃するために人を集めたい。
 だから、総合ギルドなんて看板を掲げたい、ね。
 さっさと、アッシュに、クロウ様、アスラン様。
 あの広間に飾られている、マキナと写っている絵画の子孫たちを手を組んで王を討てばいいのにそれが出来ないなんて、ねえ、アイニス。
 なぜ、それが出来ないの?」

 精霊女王が三人もいて、国内でも五指に入る剣士が三人もいて。
 そして、彼等は貴族の中でもエリート中のエリート。
 十六高家の筆頭たち。
 王の排斥なんて簡単なはずなのに。
 そう、茜は苛立ちを隠せないでいた。
 この怒りをどこにぶつければいいのか。
 こんな時にどこに行ったのよ、旦那様は!?
 あの腕に抱かれていたいのに、と。
 心の中で嘆いていた。

「茜、それあアッシュに聞いた方がいいわ。
 少なくとも、あなたは正妻。
 そうアッシュが決めて迎えた女性なんだから」

「そうね、アイニス。
 はあ、怒ったらお腹が空いたわ。
 もうそろそろ、まともなダシが取れた頃でしょ。
 ほら、シェイディア動かないでー」

 あの重そうな蓋を軽々と持ちあげる茜に、アイニスは空いた口が塞がらない。
 驚きで、それを閉じれないでいた。

「え、なになに!?
 解放されるの!?
 この苦行から――」

「な、わけないでしょ!
 スープをすくったら、そのまま煮えててもらうんだから。
 一週間はもつかなあ。
 餓死、しないわよね?」

 平然と言い放つその酷い言葉にシェイディアも唖然としてしまう。
 まさか、餓死させる気だなんて‥‥‥と。

「知らない‥‥‥」

「なによ、いきなりムスってしちゃって。
 あなたは美味しいスープの素になればいいの。
 ほら、アイニス。
 そこの麺、ゆがいてよ。
 そこにこのスープと、豚肉のバラ肉を入れて、とー‥‥‥」

 それはそれは美味しそうな、鳥ガラスープのラーメンが出来上がり‥‥‥

「あ、美味しい。
 いい味出てるわね、茜?
 シェイディア印、かあ。
 卵もっと入れて良い?」

「良いわよ、卵‥‥‥?
 シェイディアって無精卵、産んだりできないの?」

 二人から見つめられて、シェイディアは真っ赤になる。
 いくら翼があるからって、それ以外は手足の先に至るまで人間なのに!!
 シェイディアは思いっきり叫んでいた。

「あたしは人間だ―――!!!!」

 と‥‥‥。
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