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第三章 一夜の契り
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本気でそんなこと聞いているの?
茜は偉大なる黒狼様に微笑んでみせる。
その悪魔の頬笑みがボクに向けられるなんて――
リッカは知っていた。
茜の偉大なる悪戯の報復を。
「君ねえ‥‥‥。
ボクに全部押しつけようかって肚かい?」
「まさか!?
七割はわたしが持つわよ?
でも、あれはあなたにしか出来ない。
お父様はあのー‥‥‥地球の半分にも満たないけれど巨大な月を飲み込んだんでしょ?
なら、あなたにだってできるはず」
「茜ー‥‥‥」
ほら、材料はあそことここにあるわよ?
そして、あそこにも――
茜が指差したのは、王国のはるか北にある噴煙を上げる巨大な火山。
そして、地下のあれと―‥‥‥
「地図、ね。
原料は確かにある。
でも、力が足りないよ?
どこから持ってくる気さ?」
「ねえ、リッカは覚えていない?
アイニスは先代の水の精霊王と交替したって言ってなかった?」
「言っていたねえ。
その存在は、上にいる彼女たちに匹敵するほどには偉大だったんじゃないかい?」
「リッカ?
わたしの家訓は?」
はあ‥‥‥黒狼は盛大なため息をついて復唱した。
「奪われたら、取り返せ。
例え、不可能でも――」
「はい、正解。
ならー‥‥‥やる事はひとつでしょ?」
「だけどねえ‥‥‥どうすんだい、同じような文化なんて複製は出来ないよ?」
「しなくていいのよ。
複製と、住むところさえあればあとはどうにでもなるでしょ?」
「復讐は栄光と共に‥‥‥か。
慣れることができないよ。
君たちのそのやり方に」
「君たちじゃないの。
わたしの、高遠家のやり方なの。
はい、はい。
理解したらやってよ、ね?」
お願い。
そうじっと見つめられてもねえ‥‥‥
黒狼は部屋に空いた闇の入り口を抜け、はるかな虚空から三人の精霊女王が監視する空の更に上空へと移動する。
そこははるかに遠い星界に近く、もっとも地上から遠い場所。
なんでボクがこんな役割しなきゃならないのさ。
創造はボクの能力にはないんだよ、茜?
出来ることは、集めるだけだ。
闇色のかすみが世界の空を染めて行く。
光がある場所も、すでに闇に沈んだ場所も、そして、もっとも寒い場所にすらー‥‥‥リッカはその存在を潜ませていく。
静かに、霧た立ち込めて生物の毛穴から体内に、血液に姿をくらませていくように。
知られることもなく、彼はその全てを掌握する。
「さすがー‥‥‥月を食べた狼の息子。
あなたは偉大よ、リッカ?」
茜は更なる上に存在していた。
太陽と惑星の中間点。
世界の創造講座かこれから始まる。
あの金色の猫の創始の神がやったように。
こんどはとんがり帽子の異世界の魔女がそれを受け継いで成功させる。
誰にも邪魔は許さない。
この世界のどんな存在すらも。
リッカはそう警告をし、動こうとする者たちをその能力で緊縛する。
これは偉業にして遺業。
兄の残した眷属が成し遂げれなかったそれを、彼が引き継ぐのだから。
「ふふふっ。
宇宙空間に、宇宙服なしで浮かんでいる魔女なんてあり得ない。
でも、借りるわ、あなたのそのこの世界で一番大きな力を」
太陽はそれに呼応するように脈動する。
胎動し、フレアの一端を魔女に向けて放った。
「普通なら存在できないモノ。
でも、わたしには問題ない。
さて、なんて呼ばれようかなー‥‥‥逢魔が時の女?
金色の魔女?
それとも、まあ、いっか」
杖がそれらを集約していく。
リッカは上空で材料を必要とする動きをしていた。
‥‥‥火山のマグマは大嫌いだ。
地球で父上様はたった数百人の人間のために、あの火山帯を抑えようと数万年動かない。
二人の兄は別の世界で大地の移動を止め、火山の噴火を止めた。
「ヤンギガルブって存在は、どこまでも火山に縁があるのかもね‥‥‥」
その吠えた声はどこの世界にも届いていた。
眠っているシワク家、マキナの民、かつてこの世界を訪れたマキナを名乗ったヤンギガルブの姫。
そして、父親にも。
咆哮に呼応するように様々な世界から咆哮が帰ってくる。
これは第一位の神が許す蛮行。
創造神に次ぐ神が下した最高の思惑。
セッカと茜は‥‥‥第九番目の国を作ろうとしていた。
このハルフゲインに酷似した形状の、誰も住まない、しかし、複製された鏡の世界のような新たな国を。
「うん、上出来、上出来。
そして行きなさい、いつか還らんはるかなる大地へ、じゃなくて。
今度は、犠牲を伴わない、暖かい国で新しい国を作ればいい。
ダル・エールと、この行動に与した貴族やその仲間たち。
シェイディアにしてくれた行動の罰は受けて貰うんだから!」
「それは君が半分やらかしたんだろ‥‥‥」
隣で声がした。
思念による会話が始まる。
リッカは呆れたように、大半は成功したよ。
そう伝えていた。
「で、最後のあれはどうするのさ?
氷の女王。
水の精霊王が消滅寸前に追い込まれたのは、あまりにも膨大な量の氷河をハルフゲイン近海に転移させようとした氷の女王の行動を阻止しようとしたからだろ?
さすがに、水だけでは敵わなかったらしいね。
世界に穿たれた歴史を見て行くとよくわかるよ。
竜に闇、魔にその他の勢力。
氷の女王はハルフゲインの妖精王と灰狼族奪還を旗印にうまいこと魔族や妖精族まで誘引したみたいだね」
「その心はー‥‥‥」
「多分、彼女が一の国だから、合間にある八の国ごと七の国のハイフを領土にしようとしたんじゃない?
醜い争いだね」
「でも、その能力の半分以上を奪ったんでしょ、あなたは?」
リッカは黙ってしまう。
氷は冷たく闇に通じる。
闇は虚無であり‥‥‥その王はリッカたちヤンギガルブの眷属だった。
「いい気分じゃないよ。
誰かから、何かを奪い取るなんてさ‥‥‥」
「いいじゃない。
新たな九番目の国には、妖精王と灰狼族がしっかりと再生されてる。
氷の女王から奪った能力を用いてありし日の能力と、これまでの闇に渦巻いたおぞましい記憶の全てを備えて再生されたんだから。
そりゃ、ダル・エールなんて好まれないわね」
「君ねえ‥‥‥これって間接的な大量殺人に関与したんだよ?
というよりは、それを最初から最後まで演出したんじゃないか。
誰から見ても、ヤンギガルブのリッカと、黄昏の魔女、茜の悪行なんて世界が滅びるまで言い伝えに残るんだよ?
酷いじゃないか」
ああ、そうか。
黄昏の茜。
なんていい二つ名。
茜はそれを聞いてから、どうやってアッシュに褒めてもらおうかな。
それだけを考えていた。
敵対勢力を一掃し、地下の問題は解決し、さらにマールの全員を関連する異世界。
彼等の故郷に戻した‥‥‥世界の法則には抵触するけど、時間と記憶を誘いこまれる以前にまで戻して。
各世界の迎えの触手は優しく彼等を迎えに来ていた。
まあ‥‥‥クレームはあの創造神。
金色のブタ猫に行くだろう。
茜とリッカは知らないふりをすることにした。
自分たちは単なる異邦人。
これは、世界が望んだこと。
たまたま‥‥‥出くわしただけのギルドの受付嬢への誘い。
そういうことだ。
「で‥‥‥まさかとは思うけど、あれまで移築したのかい?
言っていた、郊外に!?」
「そりゃあ、するでしょ?
ただ、すこーしばかり、わたし好みに改築はしたけどね?」
「何、したんだい‥‥‥?」
「ゲームなんかでよくある、一階の飲んだくれできるバーを撤去しただけよ。
隣の建物を創造してね?」
まあ、飲んだくれなんて要らないし。
冒険者なんて、単なるロクデナシばかりだからね。
定職に就くことも出来ない、駄目人間の集まりだ。
それがリッカの冒険者に対する認識だった。
「ほら、帰りましょ?
旦那様が頭を悩ませる、文官の業務と総合ギルドの管理職なんてひどい現実が彼にはまっているけどね?」
「本当、君は最悪の魔女だよ。
アッシュが可哀想‥‥‥全部の後始末をするのは――彼、なんだから」
こうして、茜の第二の人生。
ギルドの受付嬢が正式に始まるのだった。
茜は偉大なる黒狼様に微笑んでみせる。
その悪魔の頬笑みがボクに向けられるなんて――
リッカは知っていた。
茜の偉大なる悪戯の報復を。
「君ねえ‥‥‥。
ボクに全部押しつけようかって肚かい?」
「まさか!?
七割はわたしが持つわよ?
でも、あれはあなたにしか出来ない。
お父様はあのー‥‥‥地球の半分にも満たないけれど巨大な月を飲み込んだんでしょ?
なら、あなたにだってできるはず」
「茜ー‥‥‥」
ほら、材料はあそことここにあるわよ?
そして、あそこにも――
茜が指差したのは、王国のはるか北にある噴煙を上げる巨大な火山。
そして、地下のあれと―‥‥‥
「地図、ね。
原料は確かにある。
でも、力が足りないよ?
どこから持ってくる気さ?」
「ねえ、リッカは覚えていない?
アイニスは先代の水の精霊王と交替したって言ってなかった?」
「言っていたねえ。
その存在は、上にいる彼女たちに匹敵するほどには偉大だったんじゃないかい?」
「リッカ?
わたしの家訓は?」
はあ‥‥‥黒狼は盛大なため息をついて復唱した。
「奪われたら、取り返せ。
例え、不可能でも――」
「はい、正解。
ならー‥‥‥やる事はひとつでしょ?」
「だけどねえ‥‥‥どうすんだい、同じような文化なんて複製は出来ないよ?」
「しなくていいのよ。
複製と、住むところさえあればあとはどうにでもなるでしょ?」
「復讐は栄光と共に‥‥‥か。
慣れることができないよ。
君たちのそのやり方に」
「君たちじゃないの。
わたしの、高遠家のやり方なの。
はい、はい。
理解したらやってよ、ね?」
お願い。
そうじっと見つめられてもねえ‥‥‥
黒狼は部屋に空いた闇の入り口を抜け、はるかな虚空から三人の精霊女王が監視する空の更に上空へと移動する。
そこははるかに遠い星界に近く、もっとも地上から遠い場所。
なんでボクがこんな役割しなきゃならないのさ。
創造はボクの能力にはないんだよ、茜?
出来ることは、集めるだけだ。
闇色のかすみが世界の空を染めて行く。
光がある場所も、すでに闇に沈んだ場所も、そして、もっとも寒い場所にすらー‥‥‥リッカはその存在を潜ませていく。
静かに、霧た立ち込めて生物の毛穴から体内に、血液に姿をくらませていくように。
知られることもなく、彼はその全てを掌握する。
「さすがー‥‥‥月を食べた狼の息子。
あなたは偉大よ、リッカ?」
茜は更なる上に存在していた。
太陽と惑星の中間点。
世界の創造講座かこれから始まる。
あの金色の猫の創始の神がやったように。
こんどはとんがり帽子の異世界の魔女がそれを受け継いで成功させる。
誰にも邪魔は許さない。
この世界のどんな存在すらも。
リッカはそう警告をし、動こうとする者たちをその能力で緊縛する。
これは偉業にして遺業。
兄の残した眷属が成し遂げれなかったそれを、彼が引き継ぐのだから。
「ふふふっ。
宇宙空間に、宇宙服なしで浮かんでいる魔女なんてあり得ない。
でも、借りるわ、あなたのそのこの世界で一番大きな力を」
太陽はそれに呼応するように脈動する。
胎動し、フレアの一端を魔女に向けて放った。
「普通なら存在できないモノ。
でも、わたしには問題ない。
さて、なんて呼ばれようかなー‥‥‥逢魔が時の女?
金色の魔女?
それとも、まあ、いっか」
杖がそれらを集約していく。
リッカは上空で材料を必要とする動きをしていた。
‥‥‥火山のマグマは大嫌いだ。
地球で父上様はたった数百人の人間のために、あの火山帯を抑えようと数万年動かない。
二人の兄は別の世界で大地の移動を止め、火山の噴火を止めた。
「ヤンギガルブって存在は、どこまでも火山に縁があるのかもね‥‥‥」
その吠えた声はどこの世界にも届いていた。
眠っているシワク家、マキナの民、かつてこの世界を訪れたマキナを名乗ったヤンギガルブの姫。
そして、父親にも。
咆哮に呼応するように様々な世界から咆哮が帰ってくる。
これは第一位の神が許す蛮行。
創造神に次ぐ神が下した最高の思惑。
セッカと茜は‥‥‥第九番目の国を作ろうとしていた。
このハルフゲインに酷似した形状の、誰も住まない、しかし、複製された鏡の世界のような新たな国を。
「うん、上出来、上出来。
そして行きなさい、いつか還らんはるかなる大地へ、じゃなくて。
今度は、犠牲を伴わない、暖かい国で新しい国を作ればいい。
ダル・エールと、この行動に与した貴族やその仲間たち。
シェイディアにしてくれた行動の罰は受けて貰うんだから!」
「それは君が半分やらかしたんだろ‥‥‥」
隣で声がした。
思念による会話が始まる。
リッカは呆れたように、大半は成功したよ。
そう伝えていた。
「で、最後のあれはどうするのさ?
氷の女王。
水の精霊王が消滅寸前に追い込まれたのは、あまりにも膨大な量の氷河をハルフゲイン近海に転移させようとした氷の女王の行動を阻止しようとしたからだろ?
さすがに、水だけでは敵わなかったらしいね。
世界に穿たれた歴史を見て行くとよくわかるよ。
竜に闇、魔にその他の勢力。
氷の女王はハルフゲインの妖精王と灰狼族奪還を旗印にうまいこと魔族や妖精族まで誘引したみたいだね」
「その心はー‥‥‥」
「多分、彼女が一の国だから、合間にある八の国ごと七の国のハイフを領土にしようとしたんじゃない?
醜い争いだね」
「でも、その能力の半分以上を奪ったんでしょ、あなたは?」
リッカは黙ってしまう。
氷は冷たく闇に通じる。
闇は虚無であり‥‥‥その王はリッカたちヤンギガルブの眷属だった。
「いい気分じゃないよ。
誰かから、何かを奪い取るなんてさ‥‥‥」
「いいじゃない。
新たな九番目の国には、妖精王と灰狼族がしっかりと再生されてる。
氷の女王から奪った能力を用いてありし日の能力と、これまでの闇に渦巻いたおぞましい記憶の全てを備えて再生されたんだから。
そりゃ、ダル・エールなんて好まれないわね」
「君ねえ‥‥‥これって間接的な大量殺人に関与したんだよ?
というよりは、それを最初から最後まで演出したんじゃないか。
誰から見ても、ヤンギガルブのリッカと、黄昏の魔女、茜の悪行なんて世界が滅びるまで言い伝えに残るんだよ?
酷いじゃないか」
ああ、そうか。
黄昏の茜。
なんていい二つ名。
茜はそれを聞いてから、どうやってアッシュに褒めてもらおうかな。
それだけを考えていた。
敵対勢力を一掃し、地下の問題は解決し、さらにマールの全員を関連する異世界。
彼等の故郷に戻した‥‥‥世界の法則には抵触するけど、時間と記憶を誘いこまれる以前にまで戻して。
各世界の迎えの触手は優しく彼等を迎えに来ていた。
まあ‥‥‥クレームはあの創造神。
金色のブタ猫に行くだろう。
茜とリッカは知らないふりをすることにした。
自分たちは単なる異邦人。
これは、世界が望んだこと。
たまたま‥‥‥出くわしただけのギルドの受付嬢への誘い。
そういうことだ。
「で‥‥‥まさかとは思うけど、あれまで移築したのかい?
言っていた、郊外に!?」
「そりゃあ、するでしょ?
ただ、すこーしばかり、わたし好みに改築はしたけどね?」
「何、したんだい‥‥‥?」
「ゲームなんかでよくある、一階の飲んだくれできるバーを撤去しただけよ。
隣の建物を創造してね?」
まあ、飲んだくれなんて要らないし。
冒険者なんて、単なるロクデナシばかりだからね。
定職に就くことも出来ない、駄目人間の集まりだ。
それがリッカの冒険者に対する認識だった。
「ほら、帰りましょ?
旦那様が頭を悩ませる、文官の業務と総合ギルドの管理職なんてひどい現実が彼にはまっているけどね?」
「本当、君は最悪の魔女だよ。
アッシュが可哀想‥‥‥全部の後始末をするのは――彼、なんだから」
こうして、茜の第二の人生。
ギルドの受付嬢が正式に始まるのだった。
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