婚約破棄~二度目の人生を手にした侯爵令嬢は自由に生きることにしました!!

星ふくろう

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プロローグ 絶望の侯爵令嬢

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 三人の首を斬った男は、持っていた布で血糊を拭くと、あごひげから革袋を受け取る。
 また罪深い行為をしてしまった。
 彼はそう呟くと、
「神の許しがあらんことをーー」
 信心深そうにそう言い、彼はそれを車内に置いた。
 多分、先の二人とおなじく手桶に入れたのだろう。
 そこでナターシャは気付いた。
(あの手桶がその為の‥‥‥でも、数はーー)
 三個しかなかった。
 なら、わたしはどうなるの?
「まったく、予備の一つを使う羽目になるとはな‥‥‥」
 その、首切りをした警護兵がそうぼやく。
「そういうな、ゼイルード卿。
 それが貴公の、な?」
 あごひげがそう彼を諭すように言う。
(人斬りゼイルード‥‥‥、首斬りの鮮血子爵ーー)
 これは、公式な処刑なのだ。
 そうナターシャは悟った。
 自分には裁判を受ける権利があると言われた。
 その裁判は二週間後だ。
 それまではー‥‥‥
(死ななくて済むー!!???)
 急に心の底から湧いてきた生への渇望。
 それは、この魔女と呼ばれた元侯爵令嬢を少しばかり落ち着かせた。

 そして、六人のうち二人がナターシャの鎖を馬車から外し、
「さあ、立つんだ。
 元侯爵令嬢様にはまあつらいかもしれんが‥‥‥」
 あごひげが可哀想に、そう言い、彼女の鎖を引き歩き出す。
「あのーー」
 しゃべるな、そう言われていたことをナターシャは忘れていた。
 だが、あごひげが手を下すことは無かった。
 その他、もう一名もだ。
「まあ、最後だからな。
 聞いてやるよ、何かな、魔女殿?」
 若い警護兵がそう言い、ナターシャに灯りを向けた。
「これは美人だ。
 なぜあんなことをしたんだ?」
 あんなこと?
 なにもしていない。わたしはーー
「あれは、学院の!!!
 創立祭を祝うために毎年されている、行事のための稽古でした。
 たまたま、王子役が遅れてきたからーー」
 そう、あの日。
 彼女やその他の王都ラルツに屋敷を持つ貴族子弟子女が通うエルムンド学院。
 そこは、一か月後に創立六十周年を迎えようとしていた。
 毎年の出し物として、大講堂では演劇が催される。
 それは、建国の父であるグラン王国初代国王とその王妃の出逢い。
 そして、外敵であった帝国と戦い王位を取り返す。
 そんな筋書きの物語だ。
 今年の王子役は、現国王の息子である第二王子エルウィンがなり、王妃役やナターシャが選ばれる。
 そういう配役だった。
 半年間の稽古はナターシャにある程度の幸せと、寂しさを与えた。
 それは第二王子エルウィンの人となりがある程度わかるようになり‥‥‥この学院の闇もまた少しずつみえていたからだった。 
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