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プロローグ 絶望の侯爵令嬢
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闇夜の中をカンテラの灯りだけで進むのはとても勇気がいる行為だった。
二人の警護兵も狭い道を踏み外さないよう、ゆっくりと歩みを進めて行く。
やがて細道の先に、なにやら白い一陣のものと、そして、ナターシャの三倍はありそうな高さの塔が見えてきた。
だが、その横幅は‥‥‥人間二人が並べば窮屈になるような。
そんなものだった。
「さあ、ついたぞ。
ここが、塔。
嘆きの塔、だ」
あぎひげがいつ来ても嫌なもんだここは、そう言いカンテラでその場所を照らした時。
「ひいいいいーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
ナターシャは悲鳴を上げてその全力を尽くしてなんとかその場から逃げようとした。
「おい!!」
「ぐっ!?」
鎖を引かれ、首輪が締まる。
思わず涙が出たところを、二人に両腕を片方ずつ抱えられ、持ちあげられた。
「いやあああ、やめて!!
いやだあ、こんな、こんなーーー!!!」
二人は無言で、人ひとりがようやくくぐれるほどの塔の入り口に片足をかけると、若い方がまずそれを行った。
「やめて、いやだ。
いやだ、いやだああーーーー」
どう泣きわめいてもそれは止まらなかった。
塔は円筒形で、入り口のすぐ左右の上下に肘ほどの太い鎖とその先に鍵爪があった。
若い警護兵は、まずナターシャの右手、右足の枷の輪wpそこにひっかけた。
続いてあごひげが同じく左側をそれに倣うように行う。
「いや、こんな‥‥‥したが、見えない‥‥‥」
そう、ナターシャの身体は短い鎖で円筒形の筒の中に、宙空に大の字になるように吊るされていた。
「おねがい、助けて、わたしは騙されたの!!」
そう叫んでも、二人は耳を貸さない。
「まあ、二週間だ。
我慢しろ」
二週間?
この、ままー‥‥‥!?
ナターシャの心は折れそうだった。
「おい、あれを」
あごひげが言い、若い警護兵が水を汲んだ桶を数個、近くの井戸から持ってきた。
「ほらよ」
掛け声と共に、それらがすべてナターシャの全身に冷気を与えていく。
「ひいいいいっ、寒いさむいーーー」
「まあ、これで死ねばまだいいほうだ。
二週間したら、もう手足は腐っているからな。
裁判にはでれん」
うそ‥‥‥
「そんな、まさか。
ここで、殺すための‥‥‥!?」
「周りを見ただろう?
あの数百の白骨を。
全部、そういうことだ。
その下は、そうさな。
三十エダ(一エダ=一メートル)はあるから、最後は落下して死ぬんだよ。
全身を腐らせて、な」
その言葉を最後に、ナターシャの心に大きな闇が暗幕のように張られた。
「騙された‥‥‥」
裁判も何もなかったーー
ただ、殺すためだけに‥‥‥
「ああ、それとな。
お前さんの家だが。
領地と荘園は没収だそうだ。
第二王子様のものに、な。なるんだと、よ。
可哀想にな」
警護兵が去る瞬間に教えた事。
生き延びてやる‥‥‥!!!
必ず!
ナターシャがそう決意した瞬間でもあった。
二人の警護兵も狭い道を踏み外さないよう、ゆっくりと歩みを進めて行く。
やがて細道の先に、なにやら白い一陣のものと、そして、ナターシャの三倍はありそうな高さの塔が見えてきた。
だが、その横幅は‥‥‥人間二人が並べば窮屈になるような。
そんなものだった。
「さあ、ついたぞ。
ここが、塔。
嘆きの塔、だ」
あぎひげがいつ来ても嫌なもんだここは、そう言いカンテラでその場所を照らした時。
「ひいいいいーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
ナターシャは悲鳴を上げてその全力を尽くしてなんとかその場から逃げようとした。
「おい!!」
「ぐっ!?」
鎖を引かれ、首輪が締まる。
思わず涙が出たところを、二人に両腕を片方ずつ抱えられ、持ちあげられた。
「いやあああ、やめて!!
いやだあ、こんな、こんなーーー!!!」
二人は無言で、人ひとりがようやくくぐれるほどの塔の入り口に片足をかけると、若い方がまずそれを行った。
「やめて、いやだ。
いやだ、いやだああーーーー」
どう泣きわめいてもそれは止まらなかった。
塔は円筒形で、入り口のすぐ左右の上下に肘ほどの太い鎖とその先に鍵爪があった。
若い警護兵は、まずナターシャの右手、右足の枷の輪wpそこにひっかけた。
続いてあごひげが同じく左側をそれに倣うように行う。
「いや、こんな‥‥‥したが、見えない‥‥‥」
そう、ナターシャの身体は短い鎖で円筒形の筒の中に、宙空に大の字になるように吊るされていた。
「おねがい、助けて、わたしは騙されたの!!」
そう叫んでも、二人は耳を貸さない。
「まあ、二週間だ。
我慢しろ」
二週間?
この、ままー‥‥‥!?
ナターシャの心は折れそうだった。
「おい、あれを」
あごひげが言い、若い警護兵が水を汲んだ桶を数個、近くの井戸から持ってきた。
「ほらよ」
掛け声と共に、それらがすべてナターシャの全身に冷気を与えていく。
「ひいいいいっ、寒いさむいーーー」
「まあ、これで死ねばまだいいほうだ。
二週間したら、もう手足は腐っているからな。
裁判にはでれん」
うそ‥‥‥
「そんな、まさか。
ここで、殺すための‥‥‥!?」
「周りを見ただろう?
あの数百の白骨を。
全部、そういうことだ。
その下は、そうさな。
三十エダ(一エダ=一メートル)はあるから、最後は落下して死ぬんだよ。
全身を腐らせて、な」
その言葉を最後に、ナターシャの心に大きな闇が暗幕のように張られた。
「騙された‥‥‥」
裁判も何もなかったーー
ただ、殺すためだけに‥‥‥
「ああ、それとな。
お前さんの家だが。
領地と荘園は没収だそうだ。
第二王子様のものに、な。なるんだと、よ。
可哀想にな」
警護兵が去る瞬間に教えた事。
生き延びてやる‥‥‥!!!
必ず!
ナターシャがそう決意した瞬間でもあった。
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