婚約破棄~二度目の人生を手にした侯爵令嬢は自由に生きることにしました!!

星ふくろう

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第四章 カヌークの番人

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「父は侯爵から格下げになり、領地も荘園も財産は第二王子に奪われました。
 わたしは嘆きの塔と呼ばれる、狭いでも底まで三十エダはある塔のてっぺんに一か所だけ入り口があり‥‥‥その塔は手足を広げれば届きそうなほどに狭いんです。
 そこに手足を鎖でつながれ、宙吊りにされました。
 二週間もすれば裁判を受けれる、そう言われたけど。
 その頃には手足は腐っていて歩けない。
 そのまま下に落とされて殺されると。そう、言われたのー‥‥‥。
 下を見て絶叫したわ、白骨が、死体の山が足元にまで積まれていて。
 この六世紀の間の被害者がそこかしこに、骨になって死んでいた。
 たまたまなの、たまたま、偶然にも鎖が古すぎて外れてーー言われたわ。
 這い上がれと。
 行ってくれー‥‥‥うえに、登れ。
 ここから這い上がれ、神はいない。
 魔と呼ばれた我等の無念を‥‥‥上がれ‥‥‥這い上がり、人生を掴め。
 お前はまだ生きているーーと。
 それで‥‥‥塔からどうにか逃げ出したの‥‥‥竜王様。
 ごめんなさい、その剣はなぜか柄の宝石が光っていてそれだけが地面から顔を覗かせていたんです。
 引っ張ったら死体が。
 その友人の方だと思います‥‥‥武器が欲しかった。
 死にたくなかったのでもーーそれを罪と言われるのであれば。
 どうか、お好きに裁いてください。
 ただーー」
「ただ、なんだい?」
 アルフレッドが問いかけ、竜王がその答えを言った。
「ルクナツァグから聞いている。
 いまナターシャの心にある、亡者との契約も聞いてきた。
 触れることでな。
 無念を晴らしてくれ、か。
 それをするならば、やるべきことがあるなー‥‥‥」
 やるべきこと?
 わたしは許されるんですか?
 ナターシャは不思議そうな顔で竜王を見上げた。
「お前に罪はない。
 むしろ、よく生きてここまで来た。
 そう言いたいほどだ。
 友の無念はこの剣の記憶が教えてくれた。
 亡者たちを救おうと、契約したことも善き行いだ。
 自分を責めるな。
 いいな、ナターシャ?」
 自分を責めるな、罪人ではない。
 神のその言葉が、少女の心に巣くっていた恨みやつらみを晴らしていく。
 だが‥‥‥
「でも、エルウィンだけはーー許せない」
 ふん、それも分からんではない。
 竜王は面白そうにそう言った。
「婚約をしていながら、罪人に仕立て上げて全てを奪うとな。
 呆れはてた王子だ。
 それを許す王も、そして教会のしてきた行いも何もかもが愚かだ。
 なぜそのような暴虐を人は許すのだ‥‥‥」
 竜王はそれが理解できないようだった。
 ナターシャはそれが理解できる。
「みんな、知らないのです。
 読み書きができるわたしでも、良い様に使われました。
 王が定めた法律が守られなくて、教会の独断と偏見で全てが決まっているんです。
 竜王様に、一緒に王様と大司教様に叱りつけてもらいに行って欲しいくらいです‥‥‥」
「それは面白いな」
「え?
 面白いって‥‥‥??」
 竜王は債権を回収せねばならん。
 そう言いだした。
「土地をかしてかれこれ六世紀。
 約束を反故にされている。
 催促に行くのはあり、だ」
 そのいきなりの言葉に、アルフレッドとナターシャは驚きすぎて何も言えなかった。


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