婚約破棄~二度目の人生を手にした侯爵令嬢は自由に生きることにしました!!

星ふくろう

文字の大きさ
57 / 90
第六章 水の精霊女王

1

しおりを挟む
「なっ!?
 こ、これは‥‥‥エバースのご妻女ではありませんか!!??」
 驚きのあまりに竜王は態勢を崩してしまい、それは、掴まっていたアルフレッドやナターシャをも巻き込んで、足元がなくなるという事態に発展する。
「ちょっと!!
 竜王様じゃなくて、トラブルメーカーじゃないかあああ――――!!!!」
 アルフレッドがもうだめだ、この世の終わりだ、ナターシャ。
 俺は――と叫んだ時。
「あらあら、御三方。
 ご安心を。
 水の回廊にて上までお届け致しますよ?」
 そう言い、三人の足元にはまさしく、水の床が辺り一面に広がっていた。
「竜王様‥‥‥これも分かっててやったんですか!?」
 あくまで悪いのは竜王だと食らいつくアルフレッド。
 ナターシャはもうやめてよ、とアルフレッドをいさめる役になっていた。
「分かっていてやっているなら、こんあ悪趣味なことはないぞ、アルフレッド?
 私はいたって真面目に案内しているつもりだ‥‥‥」
 竜王はエバースの妻と呼んだ、見た目はまだ幼い?
 ナターシャと同い年の精霊のような女性に向き直る。
「水の精霊女王アリア殿。
 この度は、かたじけない。
 まさか、あの大理石の床が抜けるなどとは――」
 アリアと呼ばれた彼女は、
「あら、まあ。
 竜王様、まさかお知りにならないのですか?」
 驚いたようにそう返事を返していた。
「お知りに、とは‥‥‥?
 この神々の山脈は、我が領土とエイジスのあいだを行き来するには一番の近道ですし。
 何より、多くの神々の加護があるダンジョン。
 まさか、このような大変な目にあうとは――」
 ああ、そんな。 
 と、水の精霊女王アリアは悲しそうな顔をする。
 何もお知りにならないのですね、と。
 水の床は透明で足元を見るとまるで引き込まれそうな感触に襲われてしまう。
 怖いわ、なんてか弱いセリフは言わないが‥‥‥
 ナターシャは意図せずに、アルフレッドにそっとしがみついていた。
 これは役得とまんざらでもない少年をにらみつけて、竜王は精霊女王アリアに向き直る。
「もうかれこれ、数百年ですな、アリア殿。
 エバースは健在か?
 御存知ないとは、この地下ダンジョンになにか問題でも???」
 竜王はもう数百年、あの滝つぼから外界に出た事がない。
 従って、神々との交流も無く‥‥‥外の情報には疎かった。
「竜王様‥‥‥。
 このダンジョンの主、暗黒神ゲフェトはもう二百年程前に。
 地脈が安定し、大陸同士が離れることがなくなったのを確認したのにちに‥‥‥旅立ちました」
「旅立った!?
 まさか、あの‥‥‥太陽神アギトと共にこの地を離れた聖者サユキの後を‥‥‥追いかけた、とでも?」
「その通りです、竜王様。
 それ以降、この地下神殿には神も監督者もおらず。
 たまにわたしがこうして地下水脈を管理しているくらい。
 他の神々も、ここを通ろうとはなさいません。
 力が限定されますし‥‥‥闇の勢力や虚無すらもたまに入り込む始末。
 誰も入ることが無いようにと、厳命がフォンテーヌ神より下っております。
 なぜ、御存知ないのですか?
 最近、目覚められた、とでも??」
 これは、バツが悪い。
 まさか、人見知りで知人をただ待っていただけで。
 それも、王国からの使者が来ないからと自分から閉じこもっていたなんて‥‥‥
 竜王はとてもじゃないが、言えなかった。
 言ってくれるなよ、そう視線でアルフレッドとナターシャを見るが――
「あー、精霊女王アリア様?
 竜王様は最近までこのナターシャが起こすまで深い眠りにつかれていたんですよ‥‥‥。
 ですから、世俗のことには疎くて、ね?
 竜王様???」
 ああ、感謝するぞ、アルフレッド。
 お前の恋心はどこかで叶えてやるからな。
 そう思い、胸をなでおろす竜王だった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました

鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」 そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。 しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!? だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。 「彼女を渡すつもりはない」 冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!? 毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし! さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜―― リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される! 政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー! 「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました

鍛高譚
恋愛
「経済を握る者こそ、世界を動かす――」 前世、日本の証券会社で働いていた**瑞穂紗羅(みずほ さら)**は、異世界に転生し、サラ・レティシア伯爵令嬢として生まれ変わった。 貴族社会のしがらみや婚姻政策に巻き込まれながらも、彼女はひそかに動き始める。 「まずは資金を確保しなくちゃね」 異世界の為替市場(FX)を利用し、通貨の価値変動を読み、巨額の富を得るサラ。 次に狙うは株式投資――貴族の商会やギルドに出資し、国の経済に食い込んでいく。 気づけば彼女は、両替所ネットワークと金融システムを構築し、王国の経済を裏から支配する影の実力者となっていた。 そんな中、彼女に公爵令息との婚約話が舞い込む。 しかし、公爵令息は「格下の伯爵令嬢なんて興味がない」と、一方的に婚約破棄。 それを知った公爵は激怒する―― 「お前は何も分かっていない……! あの女は、この国の経済を支配する者だぞ! 世界すら掌握しかねないのだ!」 サラの金融帝国の成長は止まらない。 貴族たちは彼女にひれ伏し、国王は頼り、王太子は取り込もうとし、帝国は彼女の影響力に戦慄する。 果たしてサラは、異世界経済の頂点に立ち、さらなる世界の覇権を握るのか――?

今度は、私の番です。

宵森みなと
恋愛
『この人生、ようやく私の番。―恋も自由も、取り返します―』 結婚、出産、子育て―― 家族のために我慢し続けた40年の人生は、 ある日、検査結果も聞けないまま、静かに終わった。 だけど、そのとき心に残っていたのは、 「自分だけの自由な時間」 たったそれだけの、小さな夢だった 目を覚ましたら、私は異世界―― 伯爵家の次女、13歳の少女・セレスティアに生まれ変わっていた。 「私は誰にも従いたくないの。誰かの期待通りに生きるなんてまっぴら。自分で、自分の未来を選びたい。だからこそ、特別科での学びを通して、力をつける。選ばれるためじゃない、自分で選ぶために」 自由に生き、素敵な恋だってしてみたい。 そう決めた私は、 だって、もう我慢する理由なんて、どこにもないのだから――。 これは、恋も自由も諦めなかった ある“元・母であり妻だった”女性の、転生リスタート物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』

鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」 王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。 感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、 彼女はただ――王宮を去った。 しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。 外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、 かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。 一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。 帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、 彼女は再び“判断する側”として歩み始める。 やがて明らかになるのは、 王国が失ったのは「婚約者」ではなく、 判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。 謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。 それでも―― 選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。 これは、 捨てられた令嬢が声を荒げることなく、 世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...