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第七章 闇の希望と炎の魔神
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「悪い‥‥‥冗談だわ。
その名前は、この世界では語ることも許されない名前なのに。
あのミレイアと同じくらい‥‥‥大罪人の名前です」
大罪人?
彼はそう言われて、とても面白そうに笑っていた。
まるで、自分がその当人で、世間の、世界の歴史がそう評価したことをあざけるように。
「あはは‥‥‥っ。
なるほど、大罪人、か。
間違いない、一万年近く前になるが。
確かに、ラードリーと呼ばれた男は仲間と共にこの世界の全ての敵対する神や魔、精霊王や竜を滅ぼした。
その後、滅した神々の信徒やその仲間に追われて‥‥‥世界から消えたが。
そうか、大罪人か。
いやあ、これは面白いな。
歴史の裏を、どうやらいいように書き換えたようだ。
さすが、神々。
自らに都合の悪いことを隠ぺいするのはあの時代から変わらないようだな」
「あなた、まるで自分がその当人であるかのように言われるのですね‥‥‥」
「いやいや、そうは言わないよ。
ただ、神や魔というのは自分の力の源である信徒に裏切られると力を失うからね。
それを、誤魔化しているのがどうにも面白くて仕方ない。
気に障ったなら謝るけど。
で、君は?」
どうしよう。
彼はいい人?
それとも?
名前を名乗り、その後に何が待っているのかしら?
ナターシャは不穏な動きを彼がしないかと心配でならない。
アルフレッドだけでも、竜王たちの元へと戻さなければ‥‥‥
「わたしは‥‥‥ナターシャ。
ナターシャです。
この山脈の南側にある、グラン王国はギース侯爵家の第一令嬢ナターシャ。
でも、彼とは友人だけ。
それ以上でも、以下でもないわ」
「そこまで断言するかあ?
それはあの小僧の気持ちを考えて言った方がいいと思うがなあ???
人間、いざという時があるぞ?
まあ、いいんだが。
で、ナターシャ、か。
侯爵家令嬢様が、あの誰だ?
アルフレッドか、あれが友人だというのはどうにも変な話だな?
その年齢で、外を出歩く貴族令嬢もそうだしー‥‥‥。
何より、貴族社会でその年齢で結婚していないのも、なあ?」
あるとすれば、旦那に先立たれて未亡人か、性格か何かに難があって差し戻されたか、それとも――
そう、指折り数えるラードリー名乗った自分と年格好の変わらない彼を、ナターシャはなんて無作法で礼儀知らずなんだろ、この人!!
そう憤慨していた。
「そんな、人の過去なんてどうでもいいではないですか!!
それより、あなたもわたしやアルフレッドと変わらない‥‥‥見た目‥‥‥???」
そこまで言ってナターシャはふと気づく。
ラードリー、はるかな古代の大逆人。
ミレイア、少しばかり昔の大罪人。
そして、ここは暗黒神ゲフェトの神殿。
竜王様はあの時、歯切れ悪く全部を話してはくれなかったけどなんて言っていたかしら。
ゲフェト様は‥‥‥地下に潜り、大陸が離れるのを――食い止めた。
真紅の魔女ミレイアは、その地下に住んでいた魔族を地上に逃がしたけど、そこにいた人類から土地を奪おうとして聖者サユキと争い、封じられた。
太陽神アギト様は右に、暗黒神ゲフェト様は左に。
中央に聖者サユキがいてー‥‥‥。
「墓守ってまさか‥‥‥ミレイア、の‥‥‥!?」
うん?
ラードリーはその一瞬だけだが、険しい顔つきになる。
神殺しの二文字に相応しいその恐ろしい視線にナターシャは心の底から恐怖を覚えた。
しかし、それはすぐに無くなり先ほどまでの悪戯好きな少年の顔に戻ってしまう。
「さあ?
それは知らないな。
俺はただ、そう、頼まれただけだ。
この墓にいてやって欲しいとな。
それだけだよ」
さて、アルフレッドだったか?
連れて帰りたいんだろ?
そう、ラードリーに言われてナターシャは必死にうなづいた。
この時、彼がその背中に言い表しようのない悲しみを醸し出してることにナターシャは気づいていた。
それは、竜王が友を送り出したと悔いていまも悲しんでいるその風情とあまりにも似ていたから‥‥‥
その名前は、この世界では語ることも許されない名前なのに。
あのミレイアと同じくらい‥‥‥大罪人の名前です」
大罪人?
彼はそう言われて、とても面白そうに笑っていた。
まるで、自分がその当人で、世間の、世界の歴史がそう評価したことをあざけるように。
「あはは‥‥‥っ。
なるほど、大罪人、か。
間違いない、一万年近く前になるが。
確かに、ラードリーと呼ばれた男は仲間と共にこの世界の全ての敵対する神や魔、精霊王や竜を滅ぼした。
その後、滅した神々の信徒やその仲間に追われて‥‥‥世界から消えたが。
そうか、大罪人か。
いやあ、これは面白いな。
歴史の裏を、どうやらいいように書き換えたようだ。
さすが、神々。
自らに都合の悪いことを隠ぺいするのはあの時代から変わらないようだな」
「あなた、まるで自分がその当人であるかのように言われるのですね‥‥‥」
「いやいや、そうは言わないよ。
ただ、神や魔というのは自分の力の源である信徒に裏切られると力を失うからね。
それを、誤魔化しているのがどうにも面白くて仕方ない。
気に障ったなら謝るけど。
で、君は?」
どうしよう。
彼はいい人?
それとも?
名前を名乗り、その後に何が待っているのかしら?
ナターシャは不穏な動きを彼がしないかと心配でならない。
アルフレッドだけでも、竜王たちの元へと戻さなければ‥‥‥
「わたしは‥‥‥ナターシャ。
ナターシャです。
この山脈の南側にある、グラン王国はギース侯爵家の第一令嬢ナターシャ。
でも、彼とは友人だけ。
それ以上でも、以下でもないわ」
「そこまで断言するかあ?
それはあの小僧の気持ちを考えて言った方がいいと思うがなあ???
人間、いざという時があるぞ?
まあ、いいんだが。
で、ナターシャ、か。
侯爵家令嬢様が、あの誰だ?
アルフレッドか、あれが友人だというのはどうにも変な話だな?
その年齢で、外を出歩く貴族令嬢もそうだしー‥‥‥。
何より、貴族社会でその年齢で結婚していないのも、なあ?」
あるとすれば、旦那に先立たれて未亡人か、性格か何かに難があって差し戻されたか、それとも――
そう、指折り数えるラードリー名乗った自分と年格好の変わらない彼を、ナターシャはなんて無作法で礼儀知らずなんだろ、この人!!
そう憤慨していた。
「そんな、人の過去なんてどうでもいいではないですか!!
それより、あなたもわたしやアルフレッドと変わらない‥‥‥見た目‥‥‥???」
そこまで言ってナターシャはふと気づく。
ラードリー、はるかな古代の大逆人。
ミレイア、少しばかり昔の大罪人。
そして、ここは暗黒神ゲフェトの神殿。
竜王様はあの時、歯切れ悪く全部を話してはくれなかったけどなんて言っていたかしら。
ゲフェト様は‥‥‥地下に潜り、大陸が離れるのを――食い止めた。
真紅の魔女ミレイアは、その地下に住んでいた魔族を地上に逃がしたけど、そこにいた人類から土地を奪おうとして聖者サユキと争い、封じられた。
太陽神アギト様は右に、暗黒神ゲフェト様は左に。
中央に聖者サユキがいてー‥‥‥。
「墓守ってまさか‥‥‥ミレイア、の‥‥‥!?」
うん?
ラードリーはその一瞬だけだが、険しい顔つきになる。
神殺しの二文字に相応しいその恐ろしい視線にナターシャは心の底から恐怖を覚えた。
しかし、それはすぐに無くなり先ほどまでの悪戯好きな少年の顔に戻ってしまう。
「さあ?
それは知らないな。
俺はただ、そう、頼まれただけだ。
この墓にいてやって欲しいとな。
それだけだよ」
さて、アルフレッドだったか?
連れて帰りたいんだろ?
そう、ラードリーに言われてナターシャは必死にうなづいた。
この時、彼がその背中に言い表しようのない悲しみを醸し出してることにナターシャは気づいていた。
それは、竜王が友を送り出したと悔いていまも悲しんでいるその風情とあまりにも似ていたから‥‥‥
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