婚約破棄~二度目の人生を手にした侯爵令嬢は自由に生きることにしました!!

星ふくろう

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第七章 闇の希望と炎の魔神

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「あなた、ラードリー‥‥‥?
 帰して‥‥‥くれるの、ですか?
 アルフレッドを!?」
「んー?
 嫌なのか?
 取り戻しに来たと聞いた気がするが?」
「だって、食べるだのー‥‥‥わたしを犯しそうな発言だって」
「あ、あれな。
 冗談だよ。
 俺はオークでもなければ、そういった系統の種族でもない。 
 同じ人間だ。
 そう、同じ‥‥‥。
 同じ人間だよ、ナターシャ」
 だが、ここから先には入れない。
 待っていてくれると約束するなら、二人とも無事に神殿から出してげよう。
 そう、彼は切り出して来た。
「待つだけで、いいのなら‥‥‥。
 戻してくれるのなら、それでいいわ。
 でも、あの入り口だけは嫌。
 あんな妖魔が多い場所なんてー‥‥‥」
 猫の巨大化した妖魔を次々と、赤い燐光を放つ剣で――
 そういえば、あの剣はどこに‥‥‥
 ナターシャは自分の周囲を見渡したがそれはなく、また鞘も無い。
 もしかしてとラードリーを上から下まで眺めてみたが、彼も手にしてもいないし奪った様子も無かった。
「?
 どうした?
 待てないのか?」
 ラードリーは別のことだと勘違いしたらしい、そんな質門を投げかけてきた。
 いいえ、違います。
 ナターシャはそう首を振る。
「大事な、大事な方からの預かりものが‥‥‥無いの。
 あれは大切なものだったのに――」
「預かりもの?
 だが、俺があんたをというか、ここがあの入り口の。
 デカい大きな口の出口なんだがな?
 ここにはあんただけしたいなかった。
 それに妖魔と言うが‥‥‥上階にもどこにもこの神殿には妖魔も虚無も入り込めないぞ?」
 え、それは嘘。 
 ナターシャはそう思ってしまう。
 だって、アリア様のあの水の回廊にすら‥‥‥あの妖魔たちが体当たりしたりしてきたのに、と。
「だって、アリア様のあの壁にさえも妖魔が‥‥‥」
「アリア様?
 どこのどなたか存じ上げないが、神々か?
 それとも精霊か妖精か、竜か、魔族か。
 まあ、なんでもいいがこの神殿には自分から望まない者を入れないようにする結界が最初から張られている。
 それは、ゲフェトの残した置き土産だが、神殿の中は確かにあれているぞ?
 管理者が居なくなったからな。
 だが、妖魔や虚無は‥‥‥ナターシャ。
 あんたの連れていた怨霊だの亡霊だのが苦し紛れに呼び込んだんじゃないのか?
 あいつら、ここまで降りて来ていたら除霊どころか消滅して二度とー‥‥‥生き返れないからな。
 俺は総思うんだが。
 あんたはどう思う?」
「あ‥‥‥っ、それは――」
 もう時間が無いんだ、俺たちが消えてしまう。
 あの、カーティスの言い残した言葉が、耳の奥に残っていた。
 彼等も死と隣り合わせでここにいたのだ、と。
 ナターシャはそう理解していた。
 誰もだまそうなどとしていなかった。
 死が間際に来ているのに、彼等はそれでもナターシャを。
 自分を救おうとしてくれていたのだ、と。
「おいおい、いきなり泣き出すな。
 もし、あいつが目覚めたら俺が怒られる‥‥‥」
「ごめん‥‥‥なさ、い。
 自分が約束した相手が、それでも、わたしを助けようとしてくれたのを――。
 わたしはいまの今まで疑っていて‥‥‥どうしてもっと信じてあげなかったのかなって。
 ごめんなさい、カーティス‥‥‥」
 やれやれ、そうラードリーはため息をつく。 
 アルフレッドにカーティス。
 出てくるのは男の名前ばかり。
 それでも察するに、彼女を救おうとして彼?
 それとも彼等?
 まあ、どちらでもいいが。
 それは死んでいったのか、はたまたこの神殿からどうにかして抜けだし天に向かったのか。
 どうにも、この子は自分と似た何かを背負わされているらしい。 
 いや、自ら背負ったのかもしれないが。
「で、何を探しているんだ?」
「あ、はい。
 その剣を、竜王様のウロコで出来た鞘に収められた剣を。 
 あれは、竜王様と御友人のカーティスの大事なものだから‥‥‥」
 そう言われて、ラードリーはこれは困った。
 そうぼやいていた。
 剣など、この神殿のどこにも存在していないと、彼の能力がそう告げていたからだった。

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