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第七章 闇の希望と炎の魔神
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「あー‥‥‥済まないがな、ナターシャ?
その剣はこの神殿の中にはない、ぞ。
これは真実だ」
「真実と言われても、困ります!
だいたい、そんなことがわかるならどうしてわたしたちを何も問題ないように通過させてくれなかったのですか!?
あなたがあの妙な罠を仕掛けなければアルフレッドだって、ここには来なかったし!!
怨霊たちだって、あんな惨い‥‥‥悲しい選択をしなくて済んだのに!!!」
そんな、世界の災厄の原因が全て俺にあるような言い方、しなくてもいいじゃないか。
ラードリーは心でそうぼやいていた。
「だがな、ここに立ち入り禁止だというのはもう何百年も前から。
ゲフェトが旅立った後から決まっていたことだ。
あんたの、いや、口が悪いな。
ナターシャさん、あなたの言うアリア様や竜王様が誰かは俺にはわからん。
もう、千年近くこの場所にいるからな‥‥‥決まりを守らなかったのは、貴方達の方なんだが?」
そう正論を言われたら、ナターシャは困ってしまう。
でも、と。
彼女は負けずにラードリーに食ってかかっていた。
「でも!!
神殿が来る者を選ぶのであれば、その中の出来事はあなたの責任でもあるのではありませんか!?
ラードリー‥‥‥千年!?」
「驚くのが遅いんだな、ナターシャさん。
そう、俺はもう千年。
ここにいるよ。でも、人間だ。
大した力もない、少しばかりだけ人より優れている肉体と、魔力があるだけだ。
長い墓守をする為に、俺は寝て、時々、起きて。
大事なあいつとの逢瀬を楽しんでいるだけだ」
「逢瀬って‥‥‥。
ミレイアには夫はいなかったはず」
「はは‥‥‥そう、だな。
見捨てていって戻ってみれば、妻は封印されていていつ起きるともしれない。
そんな中で残り少ない命の炎を少しづつ、俺は切り取ってここにいるんだ。
神殿の管理者なんかじゃないんだよ‥‥‥ただの、愛した女を見捨てた悪党のなれの果てだ」
「ラードリー‥‥‥それはどういうこと?」
だが、その質問は彼によって遮られてしまう。
彼もまた、時間が無いんだ。
そう言って言葉を続けた。
「待っていてくれないか?
時間はかからない。
俺にも時間が無いんだ。
あいつとの時間を削らないで欲しい。
頼むよ‥‥‥」
こう言われては、分かりました。
そう返事をするしか、ナターシャには選択肢はなかった。
彼が、その場から奥へと消えて数分。
その間、ナターシャはずっと考えていた。
なぜ、アルフレッドを巻き込んだのだろう。なぜ、彼を取り戻そうとここまで来たのだろう。
なぜ、彼と共にいたいと心は言っているんだろう――
「遅い、わね‥‥‥」
まさか、騙された?
彼もまた、怨霊たちの作り出した幻影だったりして?
そう思いかけた時、ナターシャはまた強烈な吐き気とめまいに襲われた。
しかし、その時。
彼女は手に誰かの手を握りしめている自分がいることに気づいた。
そして、脳裏に響くラードリーのあの声が――
「確かにアルフレッドを返したぞ、ナターシャ。
約束を守ってくれたお礼だ。
剣はわからんが、あの場所まで。
二人が呑み込まれたあそこの階までは送ろう」
ナターシャはその言葉に思わず叫んでいた。
「そんな!?
神殿の外まで、竜王様たちがいるところまで送り出してやると、ああっ!!?」
その叫びは激しい耳なりによってかき消されてしまう。
だが、ラードリーの返答はまだ残っていた。
「神殿のあの場所に迎えが来ているさ。
懐かしい、炎の魔神、か。
あれはおっちょこちょいで抜けているからな。
帰ろうとして、神殿を壊そうとするかもしれん。
それは困る。
伝えてくれ、そのまま上にあがれ、と。
そうすれば、道は自然に開かれるとな」
さらばだ、緑のナターシャ。
その言葉と共に視界が暗転する。
意識の途切れる最後に、ナターシャはラードリーからの最後の頼みを聞いた気がした。
どうか、誰にも話さないで欲しい。
制約も呪いもないが、俺は‥‥‥妻と静かに死にたい。
英雄王ラードリーはもう死んだんだ、頼む‥‥‥ナターシャ。
そう、彼は言い残していた。
その剣はこの神殿の中にはない、ぞ。
これは真実だ」
「真実と言われても、困ります!
だいたい、そんなことがわかるならどうしてわたしたちを何も問題ないように通過させてくれなかったのですか!?
あなたがあの妙な罠を仕掛けなければアルフレッドだって、ここには来なかったし!!
怨霊たちだって、あんな惨い‥‥‥悲しい選択をしなくて済んだのに!!!」
そんな、世界の災厄の原因が全て俺にあるような言い方、しなくてもいいじゃないか。
ラードリーは心でそうぼやいていた。
「だがな、ここに立ち入り禁止だというのはもう何百年も前から。
ゲフェトが旅立った後から決まっていたことだ。
あんたの、いや、口が悪いな。
ナターシャさん、あなたの言うアリア様や竜王様が誰かは俺にはわからん。
もう、千年近くこの場所にいるからな‥‥‥決まりを守らなかったのは、貴方達の方なんだが?」
そう正論を言われたら、ナターシャは困ってしまう。
でも、と。
彼女は負けずにラードリーに食ってかかっていた。
「でも!!
神殿が来る者を選ぶのであれば、その中の出来事はあなたの責任でもあるのではありませんか!?
ラードリー‥‥‥千年!?」
「驚くのが遅いんだな、ナターシャさん。
そう、俺はもう千年。
ここにいるよ。でも、人間だ。
大した力もない、少しばかりだけ人より優れている肉体と、魔力があるだけだ。
長い墓守をする為に、俺は寝て、時々、起きて。
大事なあいつとの逢瀬を楽しんでいるだけだ」
「逢瀬って‥‥‥。
ミレイアには夫はいなかったはず」
「はは‥‥‥そう、だな。
見捨てていって戻ってみれば、妻は封印されていていつ起きるともしれない。
そんな中で残り少ない命の炎を少しづつ、俺は切り取ってここにいるんだ。
神殿の管理者なんかじゃないんだよ‥‥‥ただの、愛した女を見捨てた悪党のなれの果てだ」
「ラードリー‥‥‥それはどういうこと?」
だが、その質問は彼によって遮られてしまう。
彼もまた、時間が無いんだ。
そう言って言葉を続けた。
「待っていてくれないか?
時間はかからない。
俺にも時間が無いんだ。
あいつとの時間を削らないで欲しい。
頼むよ‥‥‥」
こう言われては、分かりました。
そう返事をするしか、ナターシャには選択肢はなかった。
彼が、その場から奥へと消えて数分。
その間、ナターシャはずっと考えていた。
なぜ、アルフレッドを巻き込んだのだろう。なぜ、彼を取り戻そうとここまで来たのだろう。
なぜ、彼と共にいたいと心は言っているんだろう――
「遅い、わね‥‥‥」
まさか、騙された?
彼もまた、怨霊たちの作り出した幻影だったりして?
そう思いかけた時、ナターシャはまた強烈な吐き気とめまいに襲われた。
しかし、その時。
彼女は手に誰かの手を握りしめている自分がいることに気づいた。
そして、脳裏に響くラードリーのあの声が――
「確かにアルフレッドを返したぞ、ナターシャ。
約束を守ってくれたお礼だ。
剣はわからんが、あの場所まで。
二人が呑み込まれたあそこの階までは送ろう」
ナターシャはその言葉に思わず叫んでいた。
「そんな!?
神殿の外まで、竜王様たちがいるところまで送り出してやると、ああっ!!?」
その叫びは激しい耳なりによってかき消されてしまう。
だが、ラードリーの返答はまだ残っていた。
「神殿のあの場所に迎えが来ているさ。
懐かしい、炎の魔神、か。
あれはおっちょこちょいで抜けているからな。
帰ろうとして、神殿を壊そうとするかもしれん。
それは困る。
伝えてくれ、そのまま上にあがれ、と。
そうすれば、道は自然に開かれるとな」
さらばだ、緑のナターシャ。
その言葉と共に視界が暗転する。
意識の途切れる最後に、ナターシャはラードリーからの最後の頼みを聞いた気がした。
どうか、誰にも話さないで欲しい。
制約も呪いもないが、俺は‥‥‥妻と静かに死にたい。
英雄王ラードリーはもう死んだんだ、頼む‥‥‥ナターシャ。
そう、彼は言い残していた。
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