婚約破棄~二度目の人生を手にした侯爵令嬢は自由に生きることにしました!!

星ふくろう

文字の大きさ
79 / 90
第八章 エイジスの蒼い髪

3

しおりを挟む
「ナターシャ?」
 声をかけても少女はそっぽを向いてしまう。
 なんでこう、内向的というか。
 自分でトラブルを招いているって気づかないかなあ?
 困り顔のアルフレッドは、今回は竜王やアリアの助けは受けないことにした。
 彼等だけでなく、イフリーテまで神であることをさんざん、ナターシャに非難されていい気はしていないように見えたからだ。
「気長ね、あなた‥‥‥」
「え?
 そうですか?
 そちらにいる炎の魔神様?
 よりは気は短いと思いますが」
 ああ、あれは特殊だから。
 アリアに声をかけられ、アルフレッドはそう返事をする。
「しかし、あれですね。 
 アリア様もイフリーテ様?
 扱いがひどいんじゃないですか?
 主人なのに、眷属って親戚とか家族のようなものでしょ?
 竜王様との会話でイフリーテ様がまあ、凄い戦力を持ってるのは分かりましたけど」
 そうアルフレッドは彼女――炎の魔神を見て言うとイフリーテは嬉しいのか、えっへんと胸を張っていた。
 まあ、天然なんだろうな、あの女神様。
 その喜びぶりに、あはは、と苦笑いをしなあがらアルフレッドはアリアに視線を向けた。
「眷属だから‥‥‥困ってるのよ。
 あの子の扱いはどこの世界でも禁忌に近くて。
 さっさと封印するべきだの、破壊するべきだのと上位の方々は好き勝手に言うけれど‥‥‥」
「あまりにも強すぎるのだ、イフリーテは。
 この神殿の元の主、ゲフェトや太陽神アギトすらも越える程に、な」
 あー‥‥‥。
 そんな神々の話をされても俺にはわからないや。
 アルフレッドはアリアを見て助け舟を求めた。
 どの程度、恐ろしいの、と。
「そうね、あの子は普通の時と戦闘の時があって。
 戦闘態勢になればー‥‥‥」
 アリアは天空に見える三連の月を指差した。
 なんだろうな?
 アルフレッドはアリアを不思議そうに見る。
 その返事は恐ろしいものだった。
「あの月の一つくらいなら‥‥‥消滅させるくらい、かな」
「かなってー。
 それ、邪神っていうかー‥‥‥あ、だから魔神なんだ」
 妙に納得してしまうアルフレッドだが、アリアがそれを語れるということは、と思ってしまう。
「まさ、か。
 過去に‥‥‥???」
 アリアは沈痛な面持ちでうなづいた。
 誰もいない星だったから良かったけど、と悲し気に話すアリアにアルフレッドは恐怖する。
「そんな危険な存在、連れ歩かないでください‥‥‥」
「だって、どうしようもないんだもの。
 世界を失うか、それとも当たり障りなく平穏無事に過ごすか。
 あなたならどっちがいい?」
 そりゃあ、後者がいいに決まっている。 
 だけど、イフリーテはこの会話を聞いて沈んでしまっていた。 
 まるで、自分だってそんなことはしたくない。
 そんな様にもアルフレッドには見て取れた。
「アリア様も元人間ならー‥‥‥もう少し、家族を大事にした方が良いかもしれませんね。
 余計なことかもですけど」
「あなた!
 わたしの苦労も知らずに―‥‥‥!!」
「はい、知りません。
 知らないから、言えることもあると思いますよ。
 だって、普通ならあんなに無茶苦茶言われてダメ扱いされたらここに居ませんよ。
 でも、イフリーテ様はアリア様を主と認めているから側にいるんでしょ?」
 それは‥‥‥と、アリアは上手な返事が出来なかった。
 そして、アルフレッドの静かな怒りの矛先は竜王にも向かう。
「竜王様、ナターシャの言った友人様のこと、どこまで覚えているんですか?」
 どこまで?
 それは全てを覚えている。
 竜王はそう答えた。
 あの友人との大事な思い出だけは失いたくない。
 それほどに大事なものだったからだ。
「そうですか。
 でも、俺も少しだけ見てるんですよ。
 ナターシャの心の中の、彼等との会話を。
 彼は間違いなく、カーティスと名乗っていました。
 まあ、覚えていないなら仕方ないですね‥‥‥」
「なぜ、お前が寂しそうにするのだアルフレッド?」
 竜王は関係ないはずの彼の悲しそうな素振りに、不思議そうに尋ねた。
 だって、そう叫びたくなりながらアルフレッドは声を潜めた。
 彼等は人間とは違う。
 感情で訴えても、それがすべて上手くいくとは限らないからだ。
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました

鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」 そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。 しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!? だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。 「彼女を渡すつもりはない」 冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!? 毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし! さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜―― リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される! 政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー! 「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました

鍛高譚
恋愛
「経済を握る者こそ、世界を動かす――」 前世、日本の証券会社で働いていた**瑞穂紗羅(みずほ さら)**は、異世界に転生し、サラ・レティシア伯爵令嬢として生まれ変わった。 貴族社会のしがらみや婚姻政策に巻き込まれながらも、彼女はひそかに動き始める。 「まずは資金を確保しなくちゃね」 異世界の為替市場(FX)を利用し、通貨の価値変動を読み、巨額の富を得るサラ。 次に狙うは株式投資――貴族の商会やギルドに出資し、国の経済に食い込んでいく。 気づけば彼女は、両替所ネットワークと金融システムを構築し、王国の経済を裏から支配する影の実力者となっていた。 そんな中、彼女に公爵令息との婚約話が舞い込む。 しかし、公爵令息は「格下の伯爵令嬢なんて興味がない」と、一方的に婚約破棄。 それを知った公爵は激怒する―― 「お前は何も分かっていない……! あの女は、この国の経済を支配する者だぞ! 世界すら掌握しかねないのだ!」 サラの金融帝国の成長は止まらない。 貴族たちは彼女にひれ伏し、国王は頼り、王太子は取り込もうとし、帝国は彼女の影響力に戦慄する。 果たしてサラは、異世界経済の頂点に立ち、さらなる世界の覇権を握るのか――?

今度は、私の番です。

宵森みなと
恋愛
『この人生、ようやく私の番。―恋も自由も、取り返します―』 結婚、出産、子育て―― 家族のために我慢し続けた40年の人生は、 ある日、検査結果も聞けないまま、静かに終わった。 だけど、そのとき心に残っていたのは、 「自分だけの自由な時間」 たったそれだけの、小さな夢だった 目を覚ましたら、私は異世界―― 伯爵家の次女、13歳の少女・セレスティアに生まれ変わっていた。 「私は誰にも従いたくないの。誰かの期待通りに生きるなんてまっぴら。自分で、自分の未来を選びたい。だからこそ、特別科での学びを通して、力をつける。選ばれるためじゃない、自分で選ぶために」 自由に生き、素敵な恋だってしてみたい。 そう決めた私は、 だって、もう我慢する理由なんて、どこにもないのだから――。 これは、恋も自由も諦めなかった ある“元・母であり妻だった”女性の、転生リスタート物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』

鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」 王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。 感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、 彼女はただ――王宮を去った。 しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。 外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、 かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。 一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。 帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、 彼女は再び“判断する側”として歩み始める。 やがて明らかになるのは、 王国が失ったのは「婚約者」ではなく、 判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。 謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。 それでも―― 選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。 これは、 捨てられた令嬢が声を荒げることなく、 世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。

処理中です...