竜姫からの招待状

星ふくろう

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第五章 真実の物語

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「痛いっ」
 どこかに空間ごと飛ばされた。
 竜族としての力のほとんどをルシールに譲り渡したエミュネスタは、もはや人間と変わらない。
 頭から血を流しながら辺りを見渡すと、そこは由樹と数年前に通っていた学校によく似ていた。
「まさか、ルシール。
 あの人……」
 どうやら最後の置き土産として、ルシールはエミュネスタを由樹のいるであろう空間の付近へと移動させたらしい。
 恐るべき竜族の能力だった。
「由樹、どこにいるの……???」
 扉を開け辺りを見渡す。
 そこは瀬戸内海に面したある市の高校で、周りには人間の生徒たちがたくさんいた。
 いきなり扉を開けて出てきた血だらけの少女が飛び出してきたから、誰もが驚いて彼女を見た。
「ちょっと、あなた……どうしたの?」
 見知らぬ女子生徒が声をかけてくるが、エミュネスタの耳には入らない。
 残された感覚と能力を使い、探すだけだ。
 まだ、離婚なんてさせない。
 まだ、離れたりなんてしない。
 死んだりしない。
 彼に会うまでは。
 その想いが彼女を動かしていた。
 由樹、どこ!?
 限られた能力で校内を探る。
 あまりにも強い、ルシール並みに強い力を持つ存在が数人。
 どれも人間。
「なんでこんな場所に、こんな人数が……」
 世界は補正される。
 その為に集まったのか。
 それとも集められたのか。
 数百人の反応の中で、似た反応が二つ。
 一つはゆっくりと歩いて建物の中心に向かっている。
 もう一つは!?
「屋上!?」
 上だ。
 勘がそう告げた。
「ねえ、お願い!
 屋上に、屋上にいく方法を教えて!
 お願い!!!」
 心配して声をかけて来た少女にしがみつくようにしてエミュネスタは懇願する。
「え……あそこの、ほら。
 あの階段を上がればいけるけど」
「ありがとう!」
 エミュネスタは全力で駆けだす。
「でも……鍵がかかって……」
 最後まで聞かずに走り去る少女を見送り、彼女はあっけに取られる。
「なんだったんだろ?」
「奏多、行こう。
 そろそろクラブの体験学習始まるってさ」
「え、あ……うん。そうだね、紗絵ちゃん」
 そう言って、二人の少女。
 一井奏多と波多江紗絵は別方向へと歩き出す。
「でもあの人、血だらけだったけど……」
「また、あのクラブが何かしたんじゃない?」
「かなあ?」
 二人の少女はそう言って消えて行った。
 階段を駆け上がり、扉を開けようとするが鍵がかかっている。
「こんなもの」
 衰えたとはいえ、竜族のエミュネスタにかかれば、それはいとも簡単にすり抜けられるものだ。
 そして。
 彼はいた。
 目のまえに。
「由樹!」
 ここ数年、その声で名前を呼ばれていなかった。
 エミュネスタが由樹ではダメだと頑強に旦那様と言い続けてきたからだ。
「エミュネスタ?!」
 なぜここに?
 由樹はいるはずのない愛妻を目の前にして、すべてを悟ったような顔をする。
 何より、血だらけの妻を見て慌てて駆け寄った。
「お前、角は……?!
 冠はどうした?
 ルシールさんは?」
 ただ抱き着いて離さない少女に矢継ぎ早に質問をするが彼女は泣き声をあげてただ、首を振るだけだ。
「お前、いいのかい?
 僕とここにいたら、消えてしまうんだよ?」
 傷口を抑えるように上着を巻き付けてやり、そっと抱きしめてやる。
「全部……全部、捨ててきました。
 もう戻る家族も何もかもないわ。
 あなたを騙したことは謝りますでも!!!」
 ーーもう、離れたくない。
 それが声にならない。
「ああ、いいよ。
 お前がそれでいいなら、僕はそれでいいんだ」
「許してくれって言えないけど……」
 何を言ってるんだという顔を由樹はする。
「僕が怒ってたら黙って消えることくらいわかってたんだろ?
 手紙なんて残さずにさ」
「全部、お見通しなんですね、由樹は……」
「そりゃあね。
 まさか、竜族の女王で、しかも既婚者で。
 しかも数万歳のおばあちゃんだとは思わなかったけどね」
 意地悪そうに由樹はエミュネスタの頬を流れる涙を手で拭う。
「ありがとう。
 最後に選んでくれて」
「いいえ、いいえ……愛してます、だんな様」
「久しぶりに聞いたね、エミュネスタの愛してます。
 さ、見ようか。
 あの子がそうだよ。
 僕の母親になる人だ」
 そう言って、屋上とほぼ対面にある建物。
 いま由樹たちがいる位置に教室がある一段高い造りになっているそれの端の方を由樹が指差す。
 視線的にはほぼ同じ高さにある廊下を一人の少女が歩いていた。
「どうだい?
 綺麗な人だろ?」
 由樹が遠い目をするようにして、彼女を見つめる。
「ええ。
 とてもあなたに似ているわ」
 エミュネスタの目には由樹よりも更に詳細に、その少女、高遠茜の姿が映っていた。
「とても強い力を持ってます。
 あれが世界の欠片なのね……」
「そう。
 そして、後ろから来る彼がー」
 と、茜を追いかけて一人の男子生徒がやって来る。
「11個の欠片を母さんと共に集めてくれた伊庭孝弘さん。
 この後、世界を守る人だよ」
「この後?
 だんな様、未来まで見えるようになったのですか?」
 由樹は首を振る。
「違うよ。
 世界を。いや、この世界の設計図を少しだけ見えるようになっただけだよ。
 エミュネスタのお父さんのようにね……」
「え……?」
「ある夜、語り掛けて教えてくれた。お前のお父さんは本当に、勇敢な王だったんだね。
 僕に勇気をくれたよ。
 誰かを恨むことの愚かさもね」
 だから、お前を愛することにしたんだ。
 全部、許そうっていう思いは傲慢だけどね。
 と、由樹はエミュネスタにキスをする。
「最後のキスになるね。
 さ、あれが僕の兄だよ。
 高遠遠矢。
 兄は僕のことを知ってるけど、これまで世界は分岐していたからね。
 僕も彼も会えなかった」
「お会いにならないのですか、お兄様に」
 ううん、と由樹は首を振る。
「いいんだ。
 いま会って、すべてを狂わすのは許されない」
「でも、でもー、由樹が消えることは……」
「お前は消えないよ、エミュネスタ。
 でも、いてくれるんだろう?」
「え? 旦那様、冗談ばかり。
 わたしも一緒に消えますわ……」
 この時、由樹は真実を語らなかった。
 馬鹿。ルシールと一緒に行っても僕は怒らなかったのにな……
 由樹はそう言いたかったが、もう時間が無かった。
 建物の向かい側では、三人の世界を変える者たちが集まっているからだ。

「あの、すいません」
 そう言って、高遠茜は開かれた引き戸にかけられたある看板を横眼に見つつ、相棒の伊庭孝弘とともに室内に足を運ぶ。
「はい?
 体験者かな?」
 そこのいた教師にどことなく見覚えがあったが、茜はそれを思い出せない。
 看板の単語。
 その単語だけが12個すべての欠片を繋いでいたから、二人はこの時代、この場所に飛ばされてきた。
 どこの時代、どこの場所でもこの単語を追いかけて来たのだ。
 今回は世界線を越えて3日ほどで見つかったから二人はあまりにも早い邂逅に驚いていた。
 これまでは良くて数か月。
 最長で三年をかけて世界を渡り歩いてきたからだ。
「あ、はい。
 えっと、先生は……?」
 と、茜が名前を聞く。
「ああ、俺かな? 
 俺は、高遠だよ」
 茜と孝弘か顔を見合わせる。
 同じ苗字の人物に会う事は稀だったからだ。
「久しぶりだね、覚えてないかな?
 雷のあの御寺で会った子でしょ?」
 え? と茜は身構える。
 孝弘が彼女を守るように前に出た。
「ああ、違う違う。
 俺は待ってたんだよ。
 君が忘れて行ったこれを渡すために、ね」
 と、高遠は机の上から一冊の分厚い手帳を茜に渡す。
「これ、あ、あなた。
 あの時の嵐の……?」
 高遠は微笑んでみせる。
「そんな。だってあり得ないわ。
 同じ世界線に二回も。
 異界にだって行ったのに。
 これで12回目なのよ、私たち……」
「茜、よせ」
 孝弘が制止する。
「あんた……。
 これは何かの罠か?
 俺たちに何をさせたい?」
 警戒する二人に、高遠は困ったなという顔をする。
「ルシール」
「え?」
「彼と出会ったんだ。
 あれからすぐにね。
 世界ははるかな宇宙の彼方の惑星と繋がって、もう5年になる。
 俺が、教師になってからもう1年だ。
 ここは君たちがいたはずの高校の、君たちがいたはずの時代と同じになっている。
 俺だけが異質でね」
 さあ、と高遠は二人に促す。
「帰りなさい。
 君たちが必要な欠片はその日記だ。その中には全てがあった。
 俺はそれを真似ただけだよ
 時間がない。
 世界はまた変化を始めようとするだろう。
 戻りなさい」
 茜が日記を確認する。
 確かにそこに世界の欠片があった。
「ありがとう。
 私たちは戻ります。
 感謝を」
 二人は床に立体的に浮かび上がる移動する何かに包まれて、ゆっくりと消えて行く。
 茜は消え去るまえに、高遠の最後の声を聴いた。
「さようなら、母さん。
 最後に、会えてよかった……」
 そして、彼女たちが消える前に高遠の姿は消滅した。
 駆け寄ろうとする茜を孝弘が慌てて止める。
「ーーまさか!?
 高遠遠矢って!??
 ちょっとやだ!! 放してよ、たかひろ!
 あの子、私が12年前に捨てた……とおや……」
 しかし、もう世界は戻らない。
 二人はゆっくりと元の世界へと移動していった。

「さ、僕らもお別れの様だ。
 愛してるよエミュネスタ……永遠に」
「わたしもよ、由樹」
 目のまえであの二人が消えて行く。
 そして由樹は遠矢の姿が共に消えゆくのを確認しながら消滅した。
「え……???」
 なんで?
 なぜ、わたしは消えないの?
 エミュネスタは腕の中で最愛の相手が消滅していくのを眺めているしかなかった。
「由樹、なんで……」
 思い当たることは一つだけだ。
 エミュネスタは天を仰いで叫ぶ。
「ルシール!!!!!!!
 わたしになにをした!!!!?」
 だが、返事は無い。
 ルシールがなにかをしたかも、不明のままだ。
 もしかしたら何もしていないかもしれない。
「そんな……由樹。ゆき……ゆきーーーーっ!!!」
 泣き崩れるエミュネスタにはもう魔族としての力はほとんどない。
 この校舎にいる巨大な存在たちにみつかればどうなるかわからない。
 そんな時だった。
 屋上に彼女が現れたのは。
 その女性は二十歳前後だろうか。
 銀色の髪に紅い瞳。額には宝玉のようなものが埋め込まれた。
 明らかに人類ではない。
 エミュネスタは彼女を見て警戒する。
「あなたは……」
「やっぱり」
 その女性は思った通りだ。そう言い、エミュネスタの微笑んだ。
「え?」
「やっぱり、来たのね。
 とおくんが言ってた通りだ。
 世界は補正されて俺は消えるー」
 じゃあ、とエミュネスタは気づいた。
「あなたは、あの人の……」
「妻よ。もっとも、消えるからって結婚してくれなかったから。
 こちら側では単なる恋人だけど」
 こちら側?
 彼女は何を言っているのだろう?
「あなたー、エミュネスタさんでしょ?」
 なぜ名前を知っている?
 それは、その女性が充分に脅威になり得る存在だということを示していた。
「あーいいからいいから。
 警戒しないで。ルシールが言ってたから知ってるだけ。
 伝言よ。
 わたしは何もしていない。
 残ったのは、自分たちが異界の力を利用してあの世界で肉体を作ったからだって。
 そう言ってた」
「ルシール?
 彼がここにいるの?」
 いいえ、と銀髪の女性は首を振る。
「えーと、とりあえず……」
 彼女が手をかざすと、エミュネスタの頭の傷が消えて行く。
「簡単な回復の力の応用だけど。まあ、効くようね。
 自己紹介がまだだったわ。
 私は明日香。
 ニーエ・明日香、よ」
 よろしく、と手を差し伸べられる。
 そのまま引き上げられた。
「ルシールはもう老齢よ。
 あなたと会ってから、この世界の時間でいうなら二万年が経過してる。
 彼らは、はるかな銀河系の彼方にあるわたしの惑星に降り立って、私たちの祖先を救ってくれた。
 偉大なる英雄。でも、もう時間がない。
 あなたを失ってから、彼は力を使いすぎた。
 竜族と呼ばれて、わたしの惑星では共存している」
 二万年?
 はるかな銀河系のかなたの惑星?
 ルシールが死にかけている?
 ついさっきまでほんの一時間ほど前に別れたばかりなのに?
「うーん、そうだよね。
 明日香もよくわからないんだ。
 でもまあ、彼が……遠矢があ、わたしの夫ね。
 とおくんって呼んでるんだけど。
 彼が大体のことは言ってた通りになったし。
 まあ、大丈夫でしょ」
「え……大丈夫って?」
「まあ、いいや。
 ねえ、エミュネスタさん。
 あなたの旦那様、由樹さんだよね?
 もし、取り戻す方法があるって言ったら……どうする?」
「それはー」
 答えは一つだ。
「何をしてでも、取り戻すわ。
 例え世界を敵に回してでも、ね」
 うんうん、と明日香はうなずく。
「いい返事。
 じゃ、取り戻そう?
 わたしには、あなたたちが知らない力があるわ。
 世界を越えて真実に触れれる方法がね」
 ああ、そうか。
 エミュネスタは理解した。
 この校舎にいた大きな力の存在。
 それは彼女たちだ。
「ええ。
 いいわ。
 彼が戻るなら。どんな方法でも」
 よし、決まりね、明日香はそう言うと、エミュネスタの手を握った。
「じゃあ、まず行きましょ」
「え?
 行くってどこに……?」
「私の故郷、惑星ヤオに。
 ルシールがあなたを待ってるわ」




「たかひろ、なんで止めたの!?」
 世界と世界を移動する回廊の中を、茜と孝弘を覆う何かが移動していく。
「あの子は!
 私が捨てた、私が見捨てた子だったの!!!」
 孝弘は静かに首を振る。
「茜。
 もう何年これを繰り返してきた?
 3年を12回だ。
 身体は16歳のままだが、俺たちの心はもう50歳を超えてる。
 人生の半分を生きたのと同じだ。
 理解しろよ。それに、あの子たちだろ? 双子だった。もう忘れるべきだ。
 彼は、存在できない存在だった」
「そんなー!?」
「ブラウニーが奏多のやらかしたドジで世界を12個に割った時。
 俺とお前は巻き込まれたよな。
 3年間の時間の枠を、時間も場所も違う土地で繰り返して。
 ようやく12個集めたんだ。
 だが俺は誰も責める気はない。
 どれも仕方がなかった。
 だが、お前は違ったよな」
「どういうことよ」
「俺は止めたはずだ。
 堕おろせ、と。
 あの子は欠片の一つで、作られた世界の中での存在。
 世界の外からやってきたお前と、あの世界の中の男との間に出来た子供だった。
 欠片がそろえば、必ず消える存在だと。
 俺はそう言ったはずだ」
 孝弘は冷たい目で冷ややかに茜を見下ろして言う。
「たかひろ、変わったね。
 あんなに優しかったのに……」
 そりゃ、半世紀もこんな目に遭えばな。
 口には出さないが、彼には彼なりの地獄のような孤独があったのだろう。
「もう戻ってもあいつはいない。
 それにな……」
「それに?」
 茜は問いかけるが孝弘はそれには答えない。
 代わりに、ほら、と顎で出口が来たことを示した。




「おー帰ってきた!!!!」
 懐かしい声が迎えてくれる。
 異界から未来に降り立ち、この過去へと降りてきた異界の金色の猫。
 一年上の学年の先輩で二人が欠片探しの旅にでる原因を造り出したトラブルメーカーの一井奏多。
 その友人の波多江紗絵がいて、担任の藤巻もいる。
「以外に早かったな。
 1時間経過してないぞ」
 金色の猫はのんびりした口調でそう二人に言った。
「おい、ブラウニー。
 俺たちは半世紀に近い時間を過ごしてきたんだぞ」
 孝弘が文句を言う。
 ブラウニーと呼ばれたのは宙に浮いた金色の猫だった。
「あー大丈夫だ。
 これを元に戻せば、すべては無に戻るからな」
 これに反応したのは茜だった。
「え?
 じゃあ、記憶は……?」
「全部無くなる」
 当たり前だろ? と金色の猫、もとい異界の存在は言う。
「じゃあ、これで、と」
 茜が止める前にーー
 ブラウニーが12個の欠片を合わせそれが結合した時。
 孝弘と茜の時間が巻き戻り、ここを出発した時にまで過去に遡る。
「で、記憶がどうしたんだ、茜?」  
 ブラウニーが不思議そうな顔で茜に問う。
「え?
 うーん……。
 なんか大事なことを忘れた気がするけど……」
 まあいいか、と茜はそれを忘れることにした。
「じゃあ、今度は奏多がいたずらしても壊れない世界の作り方を説明するからな」
 そう言って、ブラウニーによる世界の創造講座が始まった。

 
 

                                 
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