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愛の形
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「ねえ、どうしてそんなに見つめるの?」
「え‥‥‥、いや、その‥‥‥」
ケイトは不思議そうな顔をして、自分を見つめているシェスティナに問いかける。
銀色の髪に朱色の瞳と珍しい外見の少女は、それを受けて恥ずかしそうに目をそらしてしまった。
変な子。
そう思い、年下になるのかしらと外見だけで推測するしかないその年齢を考えてみる。
ケイトには彼女――シェステイナの仕草や外観からして、どう見ても年下の十四・五歳にしか思えなかった。
たどたどしいクライン語ーーこの国の母国語--を操るシェスティナは困り果てたように黙り込んでしまう。
何か返事が欲しいのに‥‥‥今年、十八になった黒髪のケイトはどこか自分と似ているかしらとシェスティナを上から下まで眺めてみた。
ベッドの中に寝そべっている彼女、対して先に起きて着替えようとしている自分。
女同士で一つの床を共にするというのは、男女が結婚し、恋愛するのが当たり前の世間からすれば奇妙に映るかもしれない。
どうでもいいじゃない、そんな細かい事。
ケイトはそう思ってしまう。
タバコを取り出して、苔色の瞳でじっと見つめるとその先が赤くなり、そして火が灯った。
それを一服。深く息を吸いこむと、わざとらしくシェスティナに向かって吐き出してやる。
いつまで黙ってるのよ、そんな嫌味を込めて。
ベッドの上の相手はそれを受けて不思議そうな顔をして言った。
「煙? なにこれ‥‥‥。あなたたちって、木を燃やしたものを食する習慣なんてあったの??」
「木じゃなくて、葉よ。タバコの葉っぱ。まあ、中にはもっと悪いのもあるけどね」
「悪い、何?」
「何でもない、あんたもやってみる?」
白地に赤い口紅――ケイトのものだ。それがついた吸い口を差し出してみたが、シェスティナは手で拒否していた。どうやら彼女たち――竜族にはそんな習慣はないらしい。
「美味しいのに」
「煙を吸う習慣はないの。食べても美味しくないじゃない」
「呑んでをあじわうのよ。まあ、分からないだろうけど」
「ふうん‥‥‥」
そう言って、またシェスティナはケイトをじろじろと遠慮なしに見上げて来た。
羽毛がへたった枕を下敷きにして、シーツを背中にかけ、両脚はブラブラと背中に向けて遊んでいる。
そして、そのお尻には短いが白い猫のようなふさふさの尾が一つ。
背中には最初は黒く滑らかな弾力のある羽が揃っていたが、いつのまにか消えてしまっていた。
白人の自分の肌と違う、どこか日によく焼けたような褐色の肌。そこに、頬から上、目尻にいたるまでくっきりとした黒い紋様が浮かんでいる。
顔の上半分を覆う、タトウーのようなそれの中にあるアーモンド型の朱色の瞳がどうにも印象的だった。
「ねえ、シェスティナ。人間はそうやって無遠慮に見られるのを嫌うものなのよ?」
「そうなの? 知らなかった。相手を深く知りたいと思って見てもだめなの?」
「ダメって言うか。値踏みされているようで不快になるの、嫌なのよ」
「値踏み? あなたを買いたいとか思ったことないわよ?」
「そういう意味じゃなくて‥‥‥」
ああ、もう。
種族が違うと、どうしてこうも意志の疎通がめんどくさいのだろう。
ケイトはそう心でぼやくと、大きく息をはき、さらにもう一服タバコを吸いこむと盛大に息を吐きだす。
部屋の中に紫煙が舞い上がる中、どう返事をしたものかと考えてしまっていた。
「タバコって‥‥‥便利ね」
「どういうこと?」
ふと、そんなことを思いつき言葉にしてしまう。
相方は興味深そうに聞いて来た。
「だって、これを吸っている間、相手からの質問に対する答えをまとめることができるでしょう?」
「待っているから、それはそうかもね。そっか」
「なに? その理解した、みたいな顔は」
「ケイト、あなた考えてたんだ? 私の質問にどう答えようかって」
「‥‥‥バレちゃった。そうよ……悪い?」
「悪くないわよ? そっかあ。なんだか嬉しいわね、まるで恋人みたい」
「みたい? 恋人じゃないの?」
あ、声が硬くなってしまった。
ケイトは極端に硬い発言になったかもしれないと焦ってしまう。
そんなつもりはなかったのに。
それを間に受けたのか、シェスティナは言葉を間違えたとばかりに口を閉じてしまった。
「恋人でもいいんだけど、でも‥‥‥あなたに迷惑がかかるから」
「こんなことしておいて?」
シェスティナはベッドの中で生まれたままの姿。
もう片方の自分はというと、下着姿を月光に照らしながらタバコを消すところ。
ばつが悪いという感情は竜にもあるのものなのか、ごめん、とシェスティナは再度うつむいてしまう。
謝ることじゃないのに。
それを上手く伝えられないもどかしさが、ケイトの苛立ちを加速させていた。
「好きならそれでいいじゃない。どうして迷惑だなんて言うの? 年下? のくせに‥‥‥」
「もう十八だけどね、人間の寿命に換算したら」
「嘘。そんな可愛い外見して十八? 同い年だっていうの!? 同学年だってのは知ってたけど、でもずるいわ……」
「可愛い? ケイトがどの口で言うのよ。あなたはこのイルバーニ学院でもエメラルド姫と呼ばれていた、ナターシャ様と同じほどに有名じゃない。そんな黒くてきれいな黒髪、腰まである絹みたいな細さと光沢まで放っている‥‥‥あなたの苔色のグリーンアイ。とても好きよ?」
「それを言うならシェスティナはもっときれい……もう、やだ。どうしてこうなったんだろ‥‥‥」
「あれのせいじゃない?」
そう言い、竜の少女が指差す先にあるのは、壁に貼られた数枚の写真と床に転がった数本の酒瓶だった。
もちろん、それらの中身は空っぽで二人の少女たちの胃袋におさまった後だった。
それを見てケイトはためいきをつく。
夏休みが始まってから、今日で三日が経過した。
男子生徒たちが講師陣に内緒で主催するパーティに招かれたケイトは、そこでしたたかに酔ってしまった。
好きでもないどこかの貴族子弟と口付けを交わそうとして嫌になったから、彼の頬を張ってさっさと退散した。
部屋に戻って頭を冷やそう。
そう思ったケイトが次に考えたのは――新しい同僚のことだった。
「そういえば、今夜から部屋替えだった‥‥‥」
相手はこれまでのルームメイトだった上級生のドロシーから、同学年に夏休み前に編入してきたシェスティナという少女なのだということだけは知っていた。
ドロシーはこの夏前の学期で結婚が決まり学院を出てしまった。
エメラルド姫が消え、学院の貴族令息たちの憧れの存在だった真紅のバラ姫も消えた。
次には誰もいない。平凡で爵位が高いか、どこかの国の王侯貴族の令嬢たちが群れを成しているだけ。
一人が好きなケイトは孤高の狼のようで誰も寄ってこない。
そして、シェスティナという新しいルームメイトは転入生だという。
それも同族ではなく、竜族の御姫様。人間の貴族令嬢たるケイトにとっては馴染めるかどうか、なんとも不安を覚える相手だった。
「シェスティナ、少しは隠しなさいよ。みっともないわ」
「そう? 私は気にならないけど。人はそうするものなのね、覚えておくわ」
シェスティナは恥じらいもなく、しだれない姿をさらしたままでケイトに語り掛けてくる。
あの夜に出会った時のことを少しだけ語り、そしてケイトはどこでこの竜姫に捕まったんだろうと改めて思っていた。
「あたし、部屋に戻ろうとしたはずだったのに……」
「ふふ、変なケイト。でも奇妙な偶然よね、そう思わない? ケイトが酔いつぶれた噴水の側にくずれているところをたまたま通りかかった私が助けるなんて」
「たまたまじゃないでしょ‥‥‥あなた、男子と一緒だったじゃない」
「あれは案内役を言いつけられたどこかの貴族子弟だもの。無下にはできないわ」
「マクシミリアンは隣の帝国の大公家の長男よ? 皇族に一番近しい上級貴族なのに……どうしてあたしを選んだの? あなた手を出す相手を間違えたんじゃないの?」
こんな貧乏で古い家柄が取り柄なだけの三流貴族の令嬢に手を出すなんて、竜族の感覚が理解できないとケイトはうめいていた。
まさか、とシェスティナは笑って否定する。
「貴公子だろうがなんだろうが、あの夜、私のドレスに胃の中のもを全部ぶちまけて、下着まで汚してくれたあなたのほうが、よほど手がかかりそうだったもの。一緒にするのは失礼だと思うけど、昔、森の奥で母親に捨てられて死にかけていたスティールタイガーの子供を思い出したの。この子には私がいるんだなあって思ったわ」
「で、その結果がこれ? 竜にはオスとメスの恋愛の禁忌とかないの‥‥‥?」
「人間にはどうなの?」
「あるに決まっているじゃない。この学院から去ったナターシャ様だって、たまたま男装したからって理由で死罪にされたのよ?」
「それはあの時に信仰されていた西方教会が下した審判でしょ? いまの王様は新しい神を信仰するようにされたじゃない」
「その神様が問題なんでしょー。まったく、同性愛の側面をもつ神様なんて‥‥‥」
思い出すだけで、ケイトはまた頭が痛くなる。
酒量は互いに似たものを浴びたはずだ。
それなのに、恋というやつは一度燃え盛ると、種族を問わないらしい。
二日酔いで寝込んでいたはずの自分が、三日経過すればこうなっていたのだから。
「レッグス神のことを悪く言わないの、ケイト」
「神様に文句の一つも言いたくなるよ。だって、あたしが三日間、身体を交えたその相手は迷惑になるからって恋人を名乗るのを拒絶するんだもの。それで、なにが嫌なの? 不満でもあるの、この関係に?」
「‥‥‥何もない。無いから、困るの‥‥‥」
「馬鹿言わないでよ。身体を重ねただけでたった三日のつきあいで分かるわけないじゃない。何もないなんて、もっと長く過ごした相手に言うもんよ」
「ごめんなさい‥‥‥」
はあっ。
怒りに似た感情。
同時に、ここまでなし崩し的になってしまった自分にも腹が立つ。
ついつい、その朱色のアーモンド型の瞳を見入ってしまうのだ。
自分はあきらかに恋を初めている。この人でない、竜の御姫様に。
それも、男女でなく――同性愛という禁忌に近いものを。
「改めて聞くけど‥‥‥竜はどうなの?」
「どうって?」
「だから、その――こういう関係。女と女の。なにかバレたら殺されるとか罰を受けるとか。そんなのは無いの?」
「うーん‥‥‥」
はっきりとしてよ、シェスティナ。
ケイトはベッドに座り込み、胸も隠さないまま思案する恋人に文句を言う。
聞こえないように、心の中で。
今はまだ、口うるさい女だと思われたくなかったから。
「あるにはあるけど、でも、関係ない? だって、竜は死ぬまで孤独に過ごすのも多いし。同性同士でどう暮らそうと誰もなにも言わないわ。王はいるけど、それは単なる氏族のまとめ役。人間のような国すらないのだから」
「そう‥‥‥なんだ」
「逆にこっちが聞きたいわよ? 人間にはないの? そこをはっきりとして欲しい」
「だから、無いというか。いまは良いって。そう……なってる。でもあたしが心配しているのはそうじゃなくて」
「周りの目?」
「それもある、それに――」
「この学院に来た理由とか? それは気にしなくてもいいわ。異種族間の婚姻が陛下の希望みたいだけど、だからといって一番はあなただし」
「そう‥‥‥」
そう、としかケイトには言えなかった。
シェスティナの言葉の裏にあるものを理解したからだ。
私は、夫を迎えるかもしれない。
けれど、一番目はあなたよ。
シェスティナはケイトに暗にそう告げていた。
夫がいるのに、一番愛したい相手は、愛人のあたし? そんなこと、信じられない。
ケイトはそう思った。
「不安? 信じて貰えない?」
「不安、だよ。そりゃそうでしょ? だって、人間はそんなにうまく割り切れない。表向きはあの人でも一番はあなただけ。たった三日間でそんな発言されても――信じれない。信じたいけど」
「それは私も同じだわ、ケイト」
おいで、とシェスティナが腕を開く。
さんざん文句を言いたいのに、その中に抱かれてしまう自分がいることをケイトはつい愚痴ってしまう。
……あたしの意気地なし、と。
ただ、そのわがままが言えないことも熟知していた。
自分とシェスティナはたった三日の関係でしかない。
これからシェスティナが見つけるべき相手は、ケイトがまだ知らないその男性は……シェスティナと数千倍の時間をともに費やすのだ。人生でどちらかが先にこの世を去るまで。
未来にいる宿敵に勝てる気が‥‥‥ケイトにはまるでしなかった。
「困った子ね、ケイトは。なら、あなたがそうなればいいじゃない」
「そうって、どうなればいいって言うの?」
「だから、あなたが私の伴侶になれば? 国王陛下というか、竜族の王たる父上様はそこまで文句を言わないわよ」
「それは無理でしょ、シェスティナがどうしてこの学院に来たかみんな知っている‥‥‥」
ふん。そうねえ、と竜姫は抱きしめた手の中で小さくなる相手の頭を優しく撫でてやった。
確かに、ケイトの言うことには一理ある。
人間は強大だ。種族そのものとしては短命で、肉体も途方もなく弱い。
それでいて数でまとまれば竜にも匹敵する。
最近では、魔導士が個人で竜に対決できるほどの腕前を持つ者すら出てきた。
神とも精通し、勇者や聖女なんてとてつもない脅威となる相手も幾人か存在している。
「昔は魔族だけだったらしいんだけどね。いつのまにか、人類も強くなったというか‥‥‥」
「世界にいくつかある大国に、友好を結びつつ夫か妻を得るためにやって来た。そんな話に聞いているから‥‥‥何の地位もないうちの家名じゃ役立てない。シェスティナが良いって言ってくれても、人間が許さない。多分」
「困ったわね、本当に」
「ごめん‥‥‥」
でも、あれなのよねえ、とシェスティナはケイトの顔を両手で挟むと、まるで勇者が宣言するかのように男らしく言ったのだ。
「私、こうと決めたらそうするの。あなたは? 魂の枯れ果てる先まで付き合ってくれる?」
「はあ……。もう、逃げらんないよ」
「なら決まり、ね?」
「でも待って。一つだけ」
「‥‥‥何よ?」
「先に立つのはあたしがいい。あんたは後ろで従うの。そうでなきゃ嫌」
「私は侍女か何かですかッ!?」
「それが――人間社会の掟だから。夫の後ろに妻は黙ってついてくるものなの」
「‥‥‥本当かなあ? まあ、いいけど」
不満そうにシェスティナは納得する。
こうして酔っ払いから奇妙な恋人に発展した関係。
まずは誰にも知られないように続けてみよう。
そう、ケイトは提案した。
シェスティナは夏休みに入ってからやってきた。
秋にならなければ、誰も学院に戻ってこないからだ。
「そのやり方の方がいろいろとバレた後に問題を招きそうなんだけどなー? 私の気のせいかしら、ねえケイトはどう思う?」
「授業が始まっていきなりつがいになりましたって宣言するほうがぶっ飛んでるよ」
「つがい‥‥‥って。鳥じゃないんだけど竜なんですけど、私……そんな獣と一緒にしないで欲しいわ」
「まあ、いいから。じゃあ、あっち向いていて」
「なんで? そのまま着替えたらいいじゃない」
「嫌なの! 同性の前で着替えるのと、恋人の前じゃ違うの」
「そう。人間って変なとこにこだわるんだ」
後ろを向け、と指で示されてシェスティナは背後をむく。
ケイトはさっさと着替えを初めてしまい、衣擦れの音が室内に響いた。
だが、人間よりはるかに優れた竜の五感が捉える恋人の姿は、月明りの幻想的な雰囲気も合わさってとてもきれいだった。
はあ、とシェスティナはそれに対して感嘆の声を上げ、そして悲しげな声を漏らすのだった。
人間と敵対するか、それともともに歩むのに相応しい相手か見極めてこい。
そんな下知が国王から下って自分はいまここにいる。
ケイトに対する気持ちに嘘はないが、これも人を知る為と言えばそうなるかもしれない。
いざというとき、竜が人と争うことを選んだ時。
シェスティナはケイトを選択できるのか。その踏ん切りがいまは付かない。
種族の異なる二人の最初の物語はこうして始まった。
「え‥‥‥、いや、その‥‥‥」
ケイトは不思議そうな顔をして、自分を見つめているシェスティナに問いかける。
銀色の髪に朱色の瞳と珍しい外見の少女は、それを受けて恥ずかしそうに目をそらしてしまった。
変な子。
そう思い、年下になるのかしらと外見だけで推測するしかないその年齢を考えてみる。
ケイトには彼女――シェステイナの仕草や外観からして、どう見ても年下の十四・五歳にしか思えなかった。
たどたどしいクライン語ーーこの国の母国語--を操るシェスティナは困り果てたように黙り込んでしまう。
何か返事が欲しいのに‥‥‥今年、十八になった黒髪のケイトはどこか自分と似ているかしらとシェスティナを上から下まで眺めてみた。
ベッドの中に寝そべっている彼女、対して先に起きて着替えようとしている自分。
女同士で一つの床を共にするというのは、男女が結婚し、恋愛するのが当たり前の世間からすれば奇妙に映るかもしれない。
どうでもいいじゃない、そんな細かい事。
ケイトはそう思ってしまう。
タバコを取り出して、苔色の瞳でじっと見つめるとその先が赤くなり、そして火が灯った。
それを一服。深く息を吸いこむと、わざとらしくシェスティナに向かって吐き出してやる。
いつまで黙ってるのよ、そんな嫌味を込めて。
ベッドの上の相手はそれを受けて不思議そうな顔をして言った。
「煙? なにこれ‥‥‥。あなたたちって、木を燃やしたものを食する習慣なんてあったの??」
「木じゃなくて、葉よ。タバコの葉っぱ。まあ、中にはもっと悪いのもあるけどね」
「悪い、何?」
「何でもない、あんたもやってみる?」
白地に赤い口紅――ケイトのものだ。それがついた吸い口を差し出してみたが、シェスティナは手で拒否していた。どうやら彼女たち――竜族にはそんな習慣はないらしい。
「美味しいのに」
「煙を吸う習慣はないの。食べても美味しくないじゃない」
「呑んでをあじわうのよ。まあ、分からないだろうけど」
「ふうん‥‥‥」
そう言って、またシェスティナはケイトをじろじろと遠慮なしに見上げて来た。
羽毛がへたった枕を下敷きにして、シーツを背中にかけ、両脚はブラブラと背中に向けて遊んでいる。
そして、そのお尻には短いが白い猫のようなふさふさの尾が一つ。
背中には最初は黒く滑らかな弾力のある羽が揃っていたが、いつのまにか消えてしまっていた。
白人の自分の肌と違う、どこか日によく焼けたような褐色の肌。そこに、頬から上、目尻にいたるまでくっきりとした黒い紋様が浮かんでいる。
顔の上半分を覆う、タトウーのようなそれの中にあるアーモンド型の朱色の瞳がどうにも印象的だった。
「ねえ、シェスティナ。人間はそうやって無遠慮に見られるのを嫌うものなのよ?」
「そうなの? 知らなかった。相手を深く知りたいと思って見てもだめなの?」
「ダメって言うか。値踏みされているようで不快になるの、嫌なのよ」
「値踏み? あなたを買いたいとか思ったことないわよ?」
「そういう意味じゃなくて‥‥‥」
ああ、もう。
種族が違うと、どうしてこうも意志の疎通がめんどくさいのだろう。
ケイトはそう心でぼやくと、大きく息をはき、さらにもう一服タバコを吸いこむと盛大に息を吐きだす。
部屋の中に紫煙が舞い上がる中、どう返事をしたものかと考えてしまっていた。
「タバコって‥‥‥便利ね」
「どういうこと?」
ふと、そんなことを思いつき言葉にしてしまう。
相方は興味深そうに聞いて来た。
「だって、これを吸っている間、相手からの質問に対する答えをまとめることができるでしょう?」
「待っているから、それはそうかもね。そっか」
「なに? その理解した、みたいな顔は」
「ケイト、あなた考えてたんだ? 私の質問にどう答えようかって」
「‥‥‥バレちゃった。そうよ……悪い?」
「悪くないわよ? そっかあ。なんだか嬉しいわね、まるで恋人みたい」
「みたい? 恋人じゃないの?」
あ、声が硬くなってしまった。
ケイトは極端に硬い発言になったかもしれないと焦ってしまう。
そんなつもりはなかったのに。
それを間に受けたのか、シェスティナは言葉を間違えたとばかりに口を閉じてしまった。
「恋人でもいいんだけど、でも‥‥‥あなたに迷惑がかかるから」
「こんなことしておいて?」
シェスティナはベッドの中で生まれたままの姿。
もう片方の自分はというと、下着姿を月光に照らしながらタバコを消すところ。
ばつが悪いという感情は竜にもあるのものなのか、ごめん、とシェスティナは再度うつむいてしまう。
謝ることじゃないのに。
それを上手く伝えられないもどかしさが、ケイトの苛立ちを加速させていた。
「好きならそれでいいじゃない。どうして迷惑だなんて言うの? 年下? のくせに‥‥‥」
「もう十八だけどね、人間の寿命に換算したら」
「嘘。そんな可愛い外見して十八? 同い年だっていうの!? 同学年だってのは知ってたけど、でもずるいわ……」
「可愛い? ケイトがどの口で言うのよ。あなたはこのイルバーニ学院でもエメラルド姫と呼ばれていた、ナターシャ様と同じほどに有名じゃない。そんな黒くてきれいな黒髪、腰まである絹みたいな細さと光沢まで放っている‥‥‥あなたの苔色のグリーンアイ。とても好きよ?」
「それを言うならシェスティナはもっときれい……もう、やだ。どうしてこうなったんだろ‥‥‥」
「あれのせいじゃない?」
そう言い、竜の少女が指差す先にあるのは、壁に貼られた数枚の写真と床に転がった数本の酒瓶だった。
もちろん、それらの中身は空っぽで二人の少女たちの胃袋におさまった後だった。
それを見てケイトはためいきをつく。
夏休みが始まってから、今日で三日が経過した。
男子生徒たちが講師陣に内緒で主催するパーティに招かれたケイトは、そこでしたたかに酔ってしまった。
好きでもないどこかの貴族子弟と口付けを交わそうとして嫌になったから、彼の頬を張ってさっさと退散した。
部屋に戻って頭を冷やそう。
そう思ったケイトが次に考えたのは――新しい同僚のことだった。
「そういえば、今夜から部屋替えだった‥‥‥」
相手はこれまでのルームメイトだった上級生のドロシーから、同学年に夏休み前に編入してきたシェスティナという少女なのだということだけは知っていた。
ドロシーはこの夏前の学期で結婚が決まり学院を出てしまった。
エメラルド姫が消え、学院の貴族令息たちの憧れの存在だった真紅のバラ姫も消えた。
次には誰もいない。平凡で爵位が高いか、どこかの国の王侯貴族の令嬢たちが群れを成しているだけ。
一人が好きなケイトは孤高の狼のようで誰も寄ってこない。
そして、シェスティナという新しいルームメイトは転入生だという。
それも同族ではなく、竜族の御姫様。人間の貴族令嬢たるケイトにとっては馴染めるかどうか、なんとも不安を覚える相手だった。
「シェスティナ、少しは隠しなさいよ。みっともないわ」
「そう? 私は気にならないけど。人はそうするものなのね、覚えておくわ」
シェスティナは恥じらいもなく、しだれない姿をさらしたままでケイトに語り掛けてくる。
あの夜に出会った時のことを少しだけ語り、そしてケイトはどこでこの竜姫に捕まったんだろうと改めて思っていた。
「あたし、部屋に戻ろうとしたはずだったのに……」
「ふふ、変なケイト。でも奇妙な偶然よね、そう思わない? ケイトが酔いつぶれた噴水の側にくずれているところをたまたま通りかかった私が助けるなんて」
「たまたまじゃないでしょ‥‥‥あなた、男子と一緒だったじゃない」
「あれは案内役を言いつけられたどこかの貴族子弟だもの。無下にはできないわ」
「マクシミリアンは隣の帝国の大公家の長男よ? 皇族に一番近しい上級貴族なのに……どうしてあたしを選んだの? あなた手を出す相手を間違えたんじゃないの?」
こんな貧乏で古い家柄が取り柄なだけの三流貴族の令嬢に手を出すなんて、竜族の感覚が理解できないとケイトはうめいていた。
まさか、とシェスティナは笑って否定する。
「貴公子だろうがなんだろうが、あの夜、私のドレスに胃の中のもを全部ぶちまけて、下着まで汚してくれたあなたのほうが、よほど手がかかりそうだったもの。一緒にするのは失礼だと思うけど、昔、森の奥で母親に捨てられて死にかけていたスティールタイガーの子供を思い出したの。この子には私がいるんだなあって思ったわ」
「で、その結果がこれ? 竜にはオスとメスの恋愛の禁忌とかないの‥‥‥?」
「人間にはどうなの?」
「あるに決まっているじゃない。この学院から去ったナターシャ様だって、たまたま男装したからって理由で死罪にされたのよ?」
「それはあの時に信仰されていた西方教会が下した審判でしょ? いまの王様は新しい神を信仰するようにされたじゃない」
「その神様が問題なんでしょー。まったく、同性愛の側面をもつ神様なんて‥‥‥」
思い出すだけで、ケイトはまた頭が痛くなる。
酒量は互いに似たものを浴びたはずだ。
それなのに、恋というやつは一度燃え盛ると、種族を問わないらしい。
二日酔いで寝込んでいたはずの自分が、三日経過すればこうなっていたのだから。
「レッグス神のことを悪く言わないの、ケイト」
「神様に文句の一つも言いたくなるよ。だって、あたしが三日間、身体を交えたその相手は迷惑になるからって恋人を名乗るのを拒絶するんだもの。それで、なにが嫌なの? 不満でもあるの、この関係に?」
「‥‥‥何もない。無いから、困るの‥‥‥」
「馬鹿言わないでよ。身体を重ねただけでたった三日のつきあいで分かるわけないじゃない。何もないなんて、もっと長く過ごした相手に言うもんよ」
「ごめんなさい‥‥‥」
はあっ。
怒りに似た感情。
同時に、ここまでなし崩し的になってしまった自分にも腹が立つ。
ついつい、その朱色のアーモンド型の瞳を見入ってしまうのだ。
自分はあきらかに恋を初めている。この人でない、竜の御姫様に。
それも、男女でなく――同性愛という禁忌に近いものを。
「改めて聞くけど‥‥‥竜はどうなの?」
「どうって?」
「だから、その――こういう関係。女と女の。なにかバレたら殺されるとか罰を受けるとか。そんなのは無いの?」
「うーん‥‥‥」
はっきりとしてよ、シェスティナ。
ケイトはベッドに座り込み、胸も隠さないまま思案する恋人に文句を言う。
聞こえないように、心の中で。
今はまだ、口うるさい女だと思われたくなかったから。
「あるにはあるけど、でも、関係ない? だって、竜は死ぬまで孤独に過ごすのも多いし。同性同士でどう暮らそうと誰もなにも言わないわ。王はいるけど、それは単なる氏族のまとめ役。人間のような国すらないのだから」
「そう‥‥‥なんだ」
「逆にこっちが聞きたいわよ? 人間にはないの? そこをはっきりとして欲しい」
「だから、無いというか。いまは良いって。そう……なってる。でもあたしが心配しているのはそうじゃなくて」
「周りの目?」
「それもある、それに――」
「この学院に来た理由とか? それは気にしなくてもいいわ。異種族間の婚姻が陛下の希望みたいだけど、だからといって一番はあなただし」
「そう‥‥‥」
そう、としかケイトには言えなかった。
シェスティナの言葉の裏にあるものを理解したからだ。
私は、夫を迎えるかもしれない。
けれど、一番目はあなたよ。
シェスティナはケイトに暗にそう告げていた。
夫がいるのに、一番愛したい相手は、愛人のあたし? そんなこと、信じられない。
ケイトはそう思った。
「不安? 信じて貰えない?」
「不安、だよ。そりゃそうでしょ? だって、人間はそんなにうまく割り切れない。表向きはあの人でも一番はあなただけ。たった三日間でそんな発言されても――信じれない。信じたいけど」
「それは私も同じだわ、ケイト」
おいで、とシェスティナが腕を開く。
さんざん文句を言いたいのに、その中に抱かれてしまう自分がいることをケイトはつい愚痴ってしまう。
……あたしの意気地なし、と。
ただ、そのわがままが言えないことも熟知していた。
自分とシェスティナはたった三日の関係でしかない。
これからシェスティナが見つけるべき相手は、ケイトがまだ知らないその男性は……シェスティナと数千倍の時間をともに費やすのだ。人生でどちらかが先にこの世を去るまで。
未来にいる宿敵に勝てる気が‥‥‥ケイトにはまるでしなかった。
「困った子ね、ケイトは。なら、あなたがそうなればいいじゃない」
「そうって、どうなればいいって言うの?」
「だから、あなたが私の伴侶になれば? 国王陛下というか、竜族の王たる父上様はそこまで文句を言わないわよ」
「それは無理でしょ、シェスティナがどうしてこの学院に来たかみんな知っている‥‥‥」
ふん。そうねえ、と竜姫は抱きしめた手の中で小さくなる相手の頭を優しく撫でてやった。
確かに、ケイトの言うことには一理ある。
人間は強大だ。種族そのものとしては短命で、肉体も途方もなく弱い。
それでいて数でまとまれば竜にも匹敵する。
最近では、魔導士が個人で竜に対決できるほどの腕前を持つ者すら出てきた。
神とも精通し、勇者や聖女なんてとてつもない脅威となる相手も幾人か存在している。
「昔は魔族だけだったらしいんだけどね。いつのまにか、人類も強くなったというか‥‥‥」
「世界にいくつかある大国に、友好を結びつつ夫か妻を得るためにやって来た。そんな話に聞いているから‥‥‥何の地位もないうちの家名じゃ役立てない。シェスティナが良いって言ってくれても、人間が許さない。多分」
「困ったわね、本当に」
「ごめん‥‥‥」
でも、あれなのよねえ、とシェスティナはケイトの顔を両手で挟むと、まるで勇者が宣言するかのように男らしく言ったのだ。
「私、こうと決めたらそうするの。あなたは? 魂の枯れ果てる先まで付き合ってくれる?」
「はあ……。もう、逃げらんないよ」
「なら決まり、ね?」
「でも待って。一つだけ」
「‥‥‥何よ?」
「先に立つのはあたしがいい。あんたは後ろで従うの。そうでなきゃ嫌」
「私は侍女か何かですかッ!?」
「それが――人間社会の掟だから。夫の後ろに妻は黙ってついてくるものなの」
「‥‥‥本当かなあ? まあ、いいけど」
不満そうにシェスティナは納得する。
こうして酔っ払いから奇妙な恋人に発展した関係。
まずは誰にも知られないように続けてみよう。
そう、ケイトは提案した。
シェスティナは夏休みに入ってからやってきた。
秋にならなければ、誰も学院に戻ってこないからだ。
「そのやり方の方がいろいろとバレた後に問題を招きそうなんだけどなー? 私の気のせいかしら、ねえケイトはどう思う?」
「授業が始まっていきなりつがいになりましたって宣言するほうがぶっ飛んでるよ」
「つがい‥‥‥って。鳥じゃないんだけど竜なんですけど、私……そんな獣と一緒にしないで欲しいわ」
「まあ、いいから。じゃあ、あっち向いていて」
「なんで? そのまま着替えたらいいじゃない」
「嫌なの! 同性の前で着替えるのと、恋人の前じゃ違うの」
「そう。人間って変なとこにこだわるんだ」
後ろを向け、と指で示されてシェスティナは背後をむく。
ケイトはさっさと着替えを初めてしまい、衣擦れの音が室内に響いた。
だが、人間よりはるかに優れた竜の五感が捉える恋人の姿は、月明りの幻想的な雰囲気も合わさってとてもきれいだった。
はあ、とシェスティナはそれに対して感嘆の声を上げ、そして悲しげな声を漏らすのだった。
人間と敵対するか、それともともに歩むのに相応しい相手か見極めてこい。
そんな下知が国王から下って自分はいまここにいる。
ケイトに対する気持ちに嘘はないが、これも人を知る為と言えばそうなるかもしれない。
いざというとき、竜が人と争うことを選んだ時。
シェスティナはケイトを選択できるのか。その踏ん切りがいまは付かない。
種族の異なる二人の最初の物語はこうして始まった。
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