2 / 14
第一部 クローディアと氷の精霊王
婚約は豚王子とともに
しおりを挟む
「ねーえ、どうー!?
ちゃんと熱い??
出てる――!???」
地下深くから、クローディアは太陽のように紅い長い髪を結いあげたまま、空を仰ぎ見る。
叫んだその先にはこの細長く深い縦穴の入り口があり、彼女がいるその位置からもう少し離れた場所に、これよりももっと幅の広い縦穴が掘られていた。
「おおーっ!
出た出た――さすが神官様だな――っ!!
これで冬も暖かい水を用意することができるっ!
凍えなくて済むぞ――!!!」
「良かった――っ!!
ねーえ、そっちではしゃいでないで、引き揚げてよ――!!」
クローディアは再び、上で騒いでいる連中に声を張り上げる。
「おー悪い悪い、いま上げるからよ――」
そんな声と共に、自分の腰回りと胴体に巻かれた頑丈な縄が引き揚げられて数分後に、クローディアは地上に帰還していた。
穴の中は光もまばらでやっぱり、高い所は恐い。
数年前に神官になってから毎年やっている作業とはいえ、クローディアはひやひやしながら太陽を浴びれたことを心の中で喜んでいた。
「どうだ?
大丈夫か、神官様?」
「あーありがとー‥‥‥まあ、なんとか大丈夫です。
でもあれね、ご先祖様たちがどこかの国に負けてたどり着いたとはいえー‥‥‥」
クローディアにそう言われ、周囲にいた工夫や作業員たちが辺りを見渡す。
あるのは広い広い。
ただ、地平線まで見える草原とその先に天まで続いているぼやけたような、揺らめくものがある。
「まあ、な。
初代の建国した王様だっけか?
氷の精霊王様にお願いして土地を借りてくれたからなあ。
本当ならーあれだもんな」
一人が指差すその先には、氷の大地と氷山がいくつも連なる極北の大地と山脈が見えていた。
その隣にはまだ凍っていない港もうっすらとあるし、国の中を流れる運河もある。
これは全て、あの揺らめいているもの――精霊王様の結界がこの土地を暖かくしてくれているからだった。
「そうねー、いくら結界の中でも冬になれば雪は背丈まで積もるし。
水汲みなんてできないもんね‥‥‥温泉の水源があってよかった。
今年はまだ春先だし、あと十は探さないとだめね‥‥‥」
「まあ、明日も朝早くからここの整備に取り掛からんとな。
飲めるかどうかの確認もいるし」
「ごめんなさいね‥‥‥」
クローディアの声が少しだけくぐもってしまった。
彼女が神官としてできることは、いまは温泉水や水源の探知。
ただ、それだけなのだ。
飲めるかどうかは別の神官が来ないと分からない。
このあたり、才能の無さに限界を感じていたから、やるせなさも同時にあって複雑な気持ちになってしまう。
「いいよ、クローディアは一生懸命やってるじゃねーか。
まだ十四歳だってのに、八歳で神官にまでなって。
史上最年少だって、王都じゃ神官になったとき噂でもちきりだったぞ?
温泉があるだけでも、冬が違うんだ。
みんな、感謝してるのさ。
さて、もう夕方になるしな。
狼どもが出るとかなわねー。帰ろうぜ?」
「親方‥‥‥うん、ありがとうございます!」
涙目になりながら、クローディアはうなづいたのだった。
結界の外は白夜なのに、この中だけはなぜか太陽が上がり、月が昇る。
ラスディア王国。
そこは、不思議な極北にある小さな王国だった。
クローディアは神官だから官舎がある。
官舎は氷の精霊王様を奉る神殿の隣にあり、その中で大勢の神官がほとんどは生涯を終える。
そんなある日のことだった。
神殿の最高位の一人、氷の精霊王様の聖女だった女性が、他国の王妃になるという話が持ちが上がったのは。
「へえ‥‥‥まあ、あの方はこの国の王族だし、それもありよね」
「そそ。いいなあ、他国で王妃様だって。
でもあれだよね、そうなると子供も産むことになるしー‥‥‥」
朝早い礼拝を終えた後だ。
朝食の席で、そんな話をしていた女の神官仲間が言い出した。
聖女は子供を産む、いやそれ以前に男性に抱かれたら力を失う。
つまり‥‥‥
「新しい聖女は誰なんだろね!?」
「さ、さあ??」
「クローディアなんかいいんじゃない?
史上最年少で神官なった天才だもん。
まあ、結婚適齢期は普通は十二歳。
あなたは十四歳で、あたしは――もう二十一。
諦めだけどねー‥‥‥」
「ははは‥‥‥お姉さん‥‥‥」
神官の多くは貴族の令嬢。
第二、第三令嬢がなる。
クローディアも次女で実家は公爵家だが、その跡を継ぐのは妹が誰か旦那様をもらうだろうし、とあまり気にしていなかった。
新たな聖女をどうするか、そんな話が神殿の中で盛り上がっている頃。
当の他国の王妃になる現聖女は厄介なことをしてくれた。
自分の従兄弟に当たる、この国の王子を神殿に招き、
「マクシミリアン。
その子が話していたランドロス公爵家のご令嬢、クローディアよ。
まだ十四歳だし、この神殿の最年少で神官になった天才。
あなたのお嫁さんにぴったりだわ!」
「おお、そなたが、美しい紅の髪よのう‥‥‥うんうん」
「はっ?
え、あのー‥‥‥???」
誰?
この歩く豚‥‥‥もとい、王子様?
まるであれなんだけど、服を着てしゃべる豚――は、失礼か。
挨拶、挨拶。
でも、何を勝手に人の人生決めてくれてんのよ、このババア!
そう、クローディアは汗でぎっとぎとの王子マクシミリアンに手を握られて冷や汗を流していた。
だめ、生理的に――受け付けない!!
しかし、相手は王族である。
おまけに彼は次期国王なんて噂もある。
誰だ、こんな歩く豚を選んだのは!?
結婚したら、うまいことなんとかして豚舎‥‥‥いえいえ、どこかの塔に押し込めてしまおう。
クローディアは頑なにそう決意して、神殿の中を案内して回る。
名前だけイケメンの癖になんでその外見!?
痩せたら‥‥‥イケメンかもしれないけど。
嫌われたら、婚約諦めてくれるかな?
そう思ったクローディアは一つだけ条件を出した。
婚約を正式に決めるのは自分が十五歳になるこの冬のクローディアの誕生日にすること。
そして――
「失礼ながら、王子様ともあろう御方がそのような体躯では‥‥‥贅沢だらけの生活をしていると国民に思われます。
わたしは神官。
清貧を良しとしています。
これから、別の現場で社会勉強をなさって下さるのならば‥‥‥御請け致します」
「なっ!?
僕はそのような考えでこの様になったわけではない!
言われてみれば確かに。
指導者たるもの、あなたの言われる清貧を心がけるべきかもな――では、何をすればいい!?」
えーと‥‥‥
クローディアは返事に困った。
神殿を案内していてわかったのだが、このマクシミリアン。
中身だけはイケメンだった。
ただ、自制心が食欲と健康にだけは向かなかっただけで女性の扱いは――丁寧だった。
めちゃくちゃ、丁寧過ぎた。
なので、あまり無理は言えない。
でも、豚は嫌だ。
思い切った対処をしなければ、生涯をみじめな気もちで過ごさなければならない。
よし!
「では、マクシミリアン様。
お隣にいらっしゃる護衛の騎士様は、マクシミリアン様とほぼ背丈は同じ。
これより冬のわたしの誕生日までー‥‥‥温泉の露天堀りの作業員になって下さい!!!」
は、はは‥‥‥どうだ、これなら断るだろう!?
しかし、クローディアは甘かった。
砂糖水よりも甘すぎた。
マクシミリアンはー‥‥‥その条件を文句ひとつ言わずに快諾し、翌日から冬のあの日まで。
一日も休むことなく作業員を勤めあげたのだから‥‥‥
ちゃんと熱い??
出てる――!???」
地下深くから、クローディアは太陽のように紅い長い髪を結いあげたまま、空を仰ぎ見る。
叫んだその先にはこの細長く深い縦穴の入り口があり、彼女がいるその位置からもう少し離れた場所に、これよりももっと幅の広い縦穴が掘られていた。
「おおーっ!
出た出た――さすが神官様だな――っ!!
これで冬も暖かい水を用意することができるっ!
凍えなくて済むぞ――!!!」
「良かった――っ!!
ねーえ、そっちではしゃいでないで、引き揚げてよ――!!」
クローディアは再び、上で騒いでいる連中に声を張り上げる。
「おー悪い悪い、いま上げるからよ――」
そんな声と共に、自分の腰回りと胴体に巻かれた頑丈な縄が引き揚げられて数分後に、クローディアは地上に帰還していた。
穴の中は光もまばらでやっぱり、高い所は恐い。
数年前に神官になってから毎年やっている作業とはいえ、クローディアはひやひやしながら太陽を浴びれたことを心の中で喜んでいた。
「どうだ?
大丈夫か、神官様?」
「あーありがとー‥‥‥まあ、なんとか大丈夫です。
でもあれね、ご先祖様たちがどこかの国に負けてたどり着いたとはいえー‥‥‥」
クローディアにそう言われ、周囲にいた工夫や作業員たちが辺りを見渡す。
あるのは広い広い。
ただ、地平線まで見える草原とその先に天まで続いているぼやけたような、揺らめくものがある。
「まあ、な。
初代の建国した王様だっけか?
氷の精霊王様にお願いして土地を借りてくれたからなあ。
本当ならーあれだもんな」
一人が指差すその先には、氷の大地と氷山がいくつも連なる極北の大地と山脈が見えていた。
その隣にはまだ凍っていない港もうっすらとあるし、国の中を流れる運河もある。
これは全て、あの揺らめいているもの――精霊王様の結界がこの土地を暖かくしてくれているからだった。
「そうねー、いくら結界の中でも冬になれば雪は背丈まで積もるし。
水汲みなんてできないもんね‥‥‥温泉の水源があってよかった。
今年はまだ春先だし、あと十は探さないとだめね‥‥‥」
「まあ、明日も朝早くからここの整備に取り掛からんとな。
飲めるかどうかの確認もいるし」
「ごめんなさいね‥‥‥」
クローディアの声が少しだけくぐもってしまった。
彼女が神官としてできることは、いまは温泉水や水源の探知。
ただ、それだけなのだ。
飲めるかどうかは別の神官が来ないと分からない。
このあたり、才能の無さに限界を感じていたから、やるせなさも同時にあって複雑な気持ちになってしまう。
「いいよ、クローディアは一生懸命やってるじゃねーか。
まだ十四歳だってのに、八歳で神官にまでなって。
史上最年少だって、王都じゃ神官になったとき噂でもちきりだったぞ?
温泉があるだけでも、冬が違うんだ。
みんな、感謝してるのさ。
さて、もう夕方になるしな。
狼どもが出るとかなわねー。帰ろうぜ?」
「親方‥‥‥うん、ありがとうございます!」
涙目になりながら、クローディアはうなづいたのだった。
結界の外は白夜なのに、この中だけはなぜか太陽が上がり、月が昇る。
ラスディア王国。
そこは、不思議な極北にある小さな王国だった。
クローディアは神官だから官舎がある。
官舎は氷の精霊王様を奉る神殿の隣にあり、その中で大勢の神官がほとんどは生涯を終える。
そんなある日のことだった。
神殿の最高位の一人、氷の精霊王様の聖女だった女性が、他国の王妃になるという話が持ちが上がったのは。
「へえ‥‥‥まあ、あの方はこの国の王族だし、それもありよね」
「そそ。いいなあ、他国で王妃様だって。
でもあれだよね、そうなると子供も産むことになるしー‥‥‥」
朝早い礼拝を終えた後だ。
朝食の席で、そんな話をしていた女の神官仲間が言い出した。
聖女は子供を産む、いやそれ以前に男性に抱かれたら力を失う。
つまり‥‥‥
「新しい聖女は誰なんだろね!?」
「さ、さあ??」
「クローディアなんかいいんじゃない?
史上最年少で神官なった天才だもん。
まあ、結婚適齢期は普通は十二歳。
あなたは十四歳で、あたしは――もう二十一。
諦めだけどねー‥‥‥」
「ははは‥‥‥お姉さん‥‥‥」
神官の多くは貴族の令嬢。
第二、第三令嬢がなる。
クローディアも次女で実家は公爵家だが、その跡を継ぐのは妹が誰か旦那様をもらうだろうし、とあまり気にしていなかった。
新たな聖女をどうするか、そんな話が神殿の中で盛り上がっている頃。
当の他国の王妃になる現聖女は厄介なことをしてくれた。
自分の従兄弟に当たる、この国の王子を神殿に招き、
「マクシミリアン。
その子が話していたランドロス公爵家のご令嬢、クローディアよ。
まだ十四歳だし、この神殿の最年少で神官になった天才。
あなたのお嫁さんにぴったりだわ!」
「おお、そなたが、美しい紅の髪よのう‥‥‥うんうん」
「はっ?
え、あのー‥‥‥???」
誰?
この歩く豚‥‥‥もとい、王子様?
まるであれなんだけど、服を着てしゃべる豚――は、失礼か。
挨拶、挨拶。
でも、何を勝手に人の人生決めてくれてんのよ、このババア!
そう、クローディアは汗でぎっとぎとの王子マクシミリアンに手を握られて冷や汗を流していた。
だめ、生理的に――受け付けない!!
しかし、相手は王族である。
おまけに彼は次期国王なんて噂もある。
誰だ、こんな歩く豚を選んだのは!?
結婚したら、うまいことなんとかして豚舎‥‥‥いえいえ、どこかの塔に押し込めてしまおう。
クローディアは頑なにそう決意して、神殿の中を案内して回る。
名前だけイケメンの癖になんでその外見!?
痩せたら‥‥‥イケメンかもしれないけど。
嫌われたら、婚約諦めてくれるかな?
そう思ったクローディアは一つだけ条件を出した。
婚約を正式に決めるのは自分が十五歳になるこの冬のクローディアの誕生日にすること。
そして――
「失礼ながら、王子様ともあろう御方がそのような体躯では‥‥‥贅沢だらけの生活をしていると国民に思われます。
わたしは神官。
清貧を良しとしています。
これから、別の現場で社会勉強をなさって下さるのならば‥‥‥御請け致します」
「なっ!?
僕はそのような考えでこの様になったわけではない!
言われてみれば確かに。
指導者たるもの、あなたの言われる清貧を心がけるべきかもな――では、何をすればいい!?」
えーと‥‥‥
クローディアは返事に困った。
神殿を案内していてわかったのだが、このマクシミリアン。
中身だけはイケメンだった。
ただ、自制心が食欲と健康にだけは向かなかっただけで女性の扱いは――丁寧だった。
めちゃくちゃ、丁寧過ぎた。
なので、あまり無理は言えない。
でも、豚は嫌だ。
思い切った対処をしなければ、生涯をみじめな気もちで過ごさなければならない。
よし!
「では、マクシミリアン様。
お隣にいらっしゃる護衛の騎士様は、マクシミリアン様とほぼ背丈は同じ。
これより冬のわたしの誕生日までー‥‥‥温泉の露天堀りの作業員になって下さい!!!」
は、はは‥‥‥どうだ、これなら断るだろう!?
しかし、クローディアは甘かった。
砂糖水よりも甘すぎた。
マクシミリアンはー‥‥‥その条件を文句ひとつ言わずに快諾し、翌日から冬のあの日まで。
一日も休むことなく作業員を勤めあげたのだから‥‥‥
33
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
白い結婚のはずでしたが、理屈で抗った結果すべて自分で詰ませました
鷹 綾
恋愛
「完璧すぎて可愛げがない」
そう言われて王太子から婚約破棄された公爵令嬢ノエリア・ヴァンローゼ。
――ですが本人は、わざとらしい嘘泣きで
「よ、よ、よ、よ……遊びでしたのね!」
と大騒ぎしつつ、内心は完全に平常運転。
むしろ彼女の目的はただ一つ。
面倒な恋愛も政治的干渉も避け、平穏に生きること。
そのために選んだのは、冷徹で有能な公爵ヴァルデリオとの
「白い結婚」という、完璧に合理的な契約でした。
――のはずが。
純潔アピール(本人は無自覚)、
排他的な“管理”(本人は合理的判断)、
堂々とした立ち振る舞い(本人は通常運転)。
すべてが「戦略」に見えてしまい、
気づけば周囲は完全包囲。
逃げ道は一つずつ消滅していきます。
本人だけが最後まで言い張ります。
「これは恋ではありませんわ。事故ですの!」
理屈で抗い、理屈で自滅し、
最終的に理屈ごと恋に敗北する――
無自覚戦略無双ヒロインの、
白い結婚(予定)ラブコメディ。
婚約破棄ざまぁ × コメディ強め × 溺愛必至。
最後に負けるのは、世界ではなく――ヒロイン自身です。
-
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
「醜い」と婚約破棄された銀鱗の令嬢、氷の悪竜辺境伯に嫁いだら、呪いを癒やす聖女として溺愛されました
黒崎隼人
恋愛
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」
衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。
実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。
彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。
全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。
さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?
『冷酷な悪役令嬢』と婚約破棄されましたが、追放先の辺境で領地経営を始めたら、いつの間にか伝説の女領主になっていました。
黒崎隼人
ファンタジー
「君のような冷たい女とは、もう一緒にいられない」
政略結婚した王太子に、そう告げられ一方的に離婚された悪役令嬢クラリス。聖女を新たな妃に迎えたいがための、理不尽な追放劇だった。
だが、彼女は涙ひとつ見せない。その胸に宿るのは、屈辱と、そして確固たる決意。
「結構ですわ。ならば見せてあげましょう。あなた方が捨てた女の、本当の価値を」
追放された先は、父亡き後の荒れ果てた辺境領地。腐敗した役人、飢える民、乾いた大地。絶望的な状況から、彼女の真の物語は始まる。
経営学、剣術、リーダーシップ――完璧すぎると疎まれたその才能のすべてを武器に、クラリスは民のため、己の誇りのために立ち上がる。
これは、悪役令嬢の汚名を着せられた一人の女性が、自らの手で運命を切り拓き、やがて伝説の“改革者”と呼ばれるまでの、華麗なる逆転の物語。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる