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第二章 ダンジョンの死霊術師
「盗賊」の流儀
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すまないが、お願いがある。
そう提案してきたのはアーレンだった。
「パルドの市街の北側に、この子たちの住居があるんだ。親もそこにいるし奴隷といっても、家がないわけじゃからな。主がそこにいるのさ」
「意味が分からないんだが‥‥‥??」
「借りた、んだよ。人員が足りないからさ手配する人間がそこで派遣をやってるんだ。まあ、口入屋ってやつだそこで先に親たちに会わせてやりたい。駄目か?」
「いやあ‥‥‥それはダメじゃない。むしろ、さっきの奴隷の所有権云々の話を聞いた後なら、いい提案だなって思うよ」
いやあって言うよりは、おいおいと言いたいが。
親がいる?
肉屋に売ろうなんて言っていた連中が、そんなあり得ない設定で会話するなんてなあ‥‥‥どこまで悪徳なんだよ。詐欺じゃないか、それは?
俺、ここで快諾して後から背中を刺されそうだな。
こういった手合いは――邪魔者を消すことにはためらわないものだ。
「なら――どうだ? 運んで貰えるか?」
「‥‥‥遠慮しておくよ、あんたたちの仲間だろ? その魔石の容量なら死体でも操る程度の魔導はできるはずだ。
全員の魔力や体力の回復もできるだろうしな。その代わり――」
「何かまだあるのか、協力もしないで??」
「いやいや、俺は何も望まないよ。分け前も好きにすればいい。いま来たばかりだしな‥‥‥仲間さんの冥福を祈るよ」
「あ‥‥‥そう、か‥‥‥」
「何か? 俺の分け前があればその分だけあんたたちの取り分も増えるだろ? その魔石を使っても、足はでないはずだ。まあ、地下世界の貨幣価値がまだ理解してないから――そういう意味じゃ、逆かもしれないけどな?」
意外にも残念そうなアーレンの仕草に、アーチャーは驚いていた。
これは魔石の価値が高いのではないのか。
まあ、地上世界なら金貨数枚になる価値だ。
地下世界でもそうそう、変動はない気がする。
何より、その力を使うと魔石は無価値になる‥‥‥当たり前の話だが。
その時に得られる代価――二人の獣人の肉の代金とは比較にならないだろう。
それで残念そうな顔をしているのだろう。
アーチャーはそう思っていた。
「いや、そう――だな。だめか、まあ‥‥‥しかたない」
「まあ、そういうことだから。俺はそうだな‥‥‥まだ、この溪谷の奥に数体のモンスターの反応を感じるから偵察して戻るよ?」
その時だ。
リーファがえ?? っと奇妙な叫び声を上げたのは。
「何か?」
「だって、そんなことない‥‥‥はず。あのスケルドラゴンだって、追い込むまでに探知魔法でさんざん調査したのに」
「‥‥‥スケルドラゴン? それって低級モンスターどころじゃないよな? 最低でも中級の上ってとこだ……まさか、あんたたちギルドの許可なしに――退治しようとしてその損害なのか??」
「あっ‥‥‥!」
「リーファ、ばかッ!」
小さくレズロが舌打ちする。
知られてしまった。
そんな顔をしていた。
アーチャーは素知らぬふりをして、アーレンを見る。
「すまないが、俺は関知しない好きにしてくれ。揉めてまで地上に戻ったら‥‥‥御主人様にお叱りを受けるからな」
「は? 御主人様? あんた、個人で来てるんじゃないの??」
「俺かい? あ‥‥‥しまった。いや、個人というか。まあ、あれだよ腕試しをしてこいというか。うちの御主人様は、部下を育てるのが好きでな‥‥‥貧乏くじさ」
「へえ‥‥‥じゃあ、なに? 武者修行ってわけ? 地下世界の魔獣は上より強いと思うけど?」
からかうように言うリーファの言葉にアーチャーは苦笑してしまう。
それよりも早く探知魔法、もといリーファのレベルなら探知魔導だ。
それで探索しなくていいのかい、と。
彼らは仲間を狩られて怒りを発しているようだったからだ。
「まあ、そうかもな? じゃあ、俺は行くよ。危険は――こりごりだからな」
「はあっ!? なに嘘ばっかり言ってるのよ?? そんなモンスターがまだいるわけないじゃない。第一、駆け出しの黒札程度がそんな探知魔法使えるわけがない‥‥‥」
「そろそろ、えーと、リーファさんだっけ? 探知したほうがいいぞ」
「言われなくても……。っ――嘘よっ‥‥‥!?」
そして――リーファが悲鳴のような叫びを小さくあげた。
な、言った通りだろ?
アーチャーは片目をつむって答えてやる。
「じゃあな? 俺は行くよ、ああ‥‥‥そうそう。死体は死霊術師が預かったってギルドに報告してくれ――」
「えっ! おいっ、待て――!!」
待つわけないだろ?
はるか向こうでもない溪谷の谷間の上流には――憤る三体のスケルドラゴンの白い影がチラホラと見えていた。
仲間の魔石の反応を追ってきたのだろう。
遠目にも、怒り狂っている様が見て取れた。
「残念だな、魔法で飛べばどうだ? それとも、その魔石を反対方向に打ち上げるか? 間に合うかどうかは――知らんけどさ」
「卑怯だぞ!? 俺たちにそんな魔力が残ってる訳ないだろ!!」
知るかよ。
そう呟くと、アーレンの叫びを無視して死霊術師はラナとラグ。
二人の獣人の少女の遺体を空中にそっと浮かべて引き寄せた。
下では叫び混乱している朱色のパーティの悲鳴が聞こえてくる。
「盗賊には盗賊の流儀ってもんがあるだろ? 魔法使いが魔石を使うまでに、詠唱が間にあうかどうか。まあ、あの速度で上から突進されたら――」
無理だよな。
白い奔流が大地の上で両側を崖に阻まれて逃げ場を失った三人の冒険者に襲い掛かる。
可哀想だが‥‥‥
アーチャーはそれを見捨てると、彼らが言っていた北区の肉屋に行くことを決めた。
その前に神殿とギルド支部に顔を出して、この二人を埋葬しようと思いながら――中空から姿を消していた。
そう提案してきたのはアーレンだった。
「パルドの市街の北側に、この子たちの住居があるんだ。親もそこにいるし奴隷といっても、家がないわけじゃからな。主がそこにいるのさ」
「意味が分からないんだが‥‥‥??」
「借りた、んだよ。人員が足りないからさ手配する人間がそこで派遣をやってるんだ。まあ、口入屋ってやつだそこで先に親たちに会わせてやりたい。駄目か?」
「いやあ‥‥‥それはダメじゃない。むしろ、さっきの奴隷の所有権云々の話を聞いた後なら、いい提案だなって思うよ」
いやあって言うよりは、おいおいと言いたいが。
親がいる?
肉屋に売ろうなんて言っていた連中が、そんなあり得ない設定で会話するなんてなあ‥‥‥どこまで悪徳なんだよ。詐欺じゃないか、それは?
俺、ここで快諾して後から背中を刺されそうだな。
こういった手合いは――邪魔者を消すことにはためらわないものだ。
「なら――どうだ? 運んで貰えるか?」
「‥‥‥遠慮しておくよ、あんたたちの仲間だろ? その魔石の容量なら死体でも操る程度の魔導はできるはずだ。
全員の魔力や体力の回復もできるだろうしな。その代わり――」
「何かまだあるのか、協力もしないで??」
「いやいや、俺は何も望まないよ。分け前も好きにすればいい。いま来たばかりだしな‥‥‥仲間さんの冥福を祈るよ」
「あ‥‥‥そう、か‥‥‥」
「何か? 俺の分け前があればその分だけあんたたちの取り分も増えるだろ? その魔石を使っても、足はでないはずだ。まあ、地下世界の貨幣価値がまだ理解してないから――そういう意味じゃ、逆かもしれないけどな?」
意外にも残念そうなアーレンの仕草に、アーチャーは驚いていた。
これは魔石の価値が高いのではないのか。
まあ、地上世界なら金貨数枚になる価値だ。
地下世界でもそうそう、変動はない気がする。
何より、その力を使うと魔石は無価値になる‥‥‥当たり前の話だが。
その時に得られる代価――二人の獣人の肉の代金とは比較にならないだろう。
それで残念そうな顔をしているのだろう。
アーチャーはそう思っていた。
「いや、そう――だな。だめか、まあ‥‥‥しかたない」
「まあ、そういうことだから。俺はそうだな‥‥‥まだ、この溪谷の奥に数体のモンスターの反応を感じるから偵察して戻るよ?」
その時だ。
リーファがえ?? っと奇妙な叫び声を上げたのは。
「何か?」
「だって、そんなことない‥‥‥はず。あのスケルドラゴンだって、追い込むまでに探知魔法でさんざん調査したのに」
「‥‥‥スケルドラゴン? それって低級モンスターどころじゃないよな? 最低でも中級の上ってとこだ……まさか、あんたたちギルドの許可なしに――退治しようとしてその損害なのか??」
「あっ‥‥‥!」
「リーファ、ばかッ!」
小さくレズロが舌打ちする。
知られてしまった。
そんな顔をしていた。
アーチャーは素知らぬふりをして、アーレンを見る。
「すまないが、俺は関知しない好きにしてくれ。揉めてまで地上に戻ったら‥‥‥御主人様にお叱りを受けるからな」
「は? 御主人様? あんた、個人で来てるんじゃないの??」
「俺かい? あ‥‥‥しまった。いや、個人というか。まあ、あれだよ腕試しをしてこいというか。うちの御主人様は、部下を育てるのが好きでな‥‥‥貧乏くじさ」
「へえ‥‥‥じゃあ、なに? 武者修行ってわけ? 地下世界の魔獣は上より強いと思うけど?」
からかうように言うリーファの言葉にアーチャーは苦笑してしまう。
それよりも早く探知魔法、もといリーファのレベルなら探知魔導だ。
それで探索しなくていいのかい、と。
彼らは仲間を狩られて怒りを発しているようだったからだ。
「まあ、そうかもな? じゃあ、俺は行くよ。危険は――こりごりだからな」
「はあっ!? なに嘘ばっかり言ってるのよ?? そんなモンスターがまだいるわけないじゃない。第一、駆け出しの黒札程度がそんな探知魔法使えるわけがない‥‥‥」
「そろそろ、えーと、リーファさんだっけ? 探知したほうがいいぞ」
「言われなくても……。っ――嘘よっ‥‥‥!?」
そして――リーファが悲鳴のような叫びを小さくあげた。
な、言った通りだろ?
アーチャーは片目をつむって答えてやる。
「じゃあな? 俺は行くよ、ああ‥‥‥そうそう。死体は死霊術師が預かったってギルドに報告してくれ――」
「えっ! おいっ、待て――!!」
待つわけないだろ?
はるか向こうでもない溪谷の谷間の上流には――憤る三体のスケルドラゴンの白い影がチラホラと見えていた。
仲間の魔石の反応を追ってきたのだろう。
遠目にも、怒り狂っている様が見て取れた。
「残念だな、魔法で飛べばどうだ? それとも、その魔石を反対方向に打ち上げるか? 間に合うかどうかは――知らんけどさ」
「卑怯だぞ!? 俺たちにそんな魔力が残ってる訳ないだろ!!」
知るかよ。
そう呟くと、アーレンの叫びを無視して死霊術師はラナとラグ。
二人の獣人の少女の遺体を空中にそっと浮かべて引き寄せた。
下では叫び混乱している朱色のパーティの悲鳴が聞こえてくる。
「盗賊には盗賊の流儀ってもんがあるだろ? 魔法使いが魔石を使うまでに、詠唱が間にあうかどうか。まあ、あの速度で上から突進されたら――」
無理だよな。
白い奔流が大地の上で両側を崖に阻まれて逃げ場を失った三人の冒険者に襲い掛かる。
可哀想だが‥‥‥
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