正しい魔眼の使い方

星ふくろう

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第一章 愛の奇跡

落ちこぼれのフレイムス 3

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 まあ、そんな歴史を踏まえて見ても。

 妖精と一年以上関わりながら契約を交わすことが出来ていない。

 そんな私は、現段階でクラスの最底辺に位置している。

 この能力者カーストの最底辺にいた。

 ここは……私にとって地獄だった。

「はいは―い。

 わかりましたよ―」

 エンバーが気の抜けたような声で返事をして姿を消す。

「ご、ごめんなさい!」

 私は毎度のことのように頭を机にこすりつける勢いで謝罪をして。

 クラスメイトからの侮蔑と軽蔑と仕方ないなあという苦笑と、またやってるよ。

 もう名物だね、という感情の入り混じった視線を全身にまといながら椅子に座りこむのだ。

 何をしても成果をだせない己の不甲斐なさを自身で笑いながら。

「おーし、授業始めんぞー」

 谷川先生は毎度のことのようにこの事態を軽く受け流して授業を再開する。

 先生の教える声も、クラスメイトの眠たそうなあくびも。

 後ろの方の席で私を笑う仲間たちの何もかもが受け止める私の感覚を素通りしていく。

 言ってよ、先生。

 教師なら言ってよ先生。

 誰か言ってよ、同じ仲間だって言うなら。

 せめて、早く契約してやってくれ、くらい。

 その軽い一言だけでいいから。

 誰か助けて。

 誰か、助けてよ。

 私は、悔しさという感情がもはや麻痺してしまっているのだろう。

 情けなさや、泣きたいという感情は諦めに変わってしまっていた。

 誰も助けてくれない。

 いつものように繰り返される日常。

 いつものように早く一日が終わることを望む感情だけ。

 それだけが教室にいる間ずっと私の心を支配していて……同時にもう一つの感情だけが私を支えていた。

 その感情だけが、私、#溶目 雫__うてめ しずく__#という存在を生かし続けていた。





 あの日。

 常盤高校魔法科一年に入学して初めての妖精を呼び出す儀式を行った日。

 紫の羽と、緑の髪。

 小麦色の肌に青い瞳の小人は私にこう告げた。

「ボクを捕まえられたら、君は最高の魔導師になれるよ。
 いや、違うな。君たちの使うその力は魔法じゃない。
 魔法はもっと別のものだ。異世界の力や、この世界のちょっと狂った法則が生み出すような力じゃない。
 溶目 雫。
 せっかく、ボクという最高の存在を得る機会を得たんだ。
 頑張りなよ。
 君はボクのどこでもいい。
 背中でも羽の先でも、指先でも、髪の毛の先でもいい。
 触れることができたら契約してあげるよ。
 そして成し遂げてごらん。
 こんなまがい物じゃない、本当の精霊の力を。
 太古に滅んでしまった、この世界に伝わる君たちの力を取り戻すんだ。
 ボクを捕まえるんだよ、雫。
 そうすれば、最高の夢を見せてあげる。
 いや、一緒に世界の本当の姿を見ようよ。
 だから君はなるんだ。
 人間たちが無くしてしまった、忘れ去られた存在。
 ーー精霊使いに」

 と。


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