正しい魔眼の使い方

星ふくろう

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第一章 愛の奇跡

落ちこぼれのフレイムス 2

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「お前、二年にもなるのにまだ主霊と契約できてないのか?」

 呆れ顔で教師の谷川が言う。

 三十代の彼は十年近くある魔法科の教師の経験から、こういうことにも慣れているのだろう。

 特に驚くこともなくやれやれ、という顔をした。

「す、すいません……。

 去年から、こいつ……。

 エンバーとは何度も契約しようとしてるんですけど……。

 まだ、です。ごめんなさい」

 恥ずかしさで顔が赤くなっているのがわかる。

 クラスメイトは全員で二十四人。

 その男女比は三対一くらい。

 その中で、主霊。

 世間でいうところの契約する前の呼び名が妖精や精霊と言われる彼ら。

 その妖精や精霊と契約を交わせてないのは私一人だけなのだ。

 ようするに私は、このクラスだけでなく学年全体。

 いや、この常盤高校魔法科のなかで最低の、落ちこぼれなのである。

「あー何だっけ。

 そうそう、エンバーさん。

 申し訳ないんだけど、授業中はそういう悪戯を避けてもらえますか?」

 一応、谷川先生が契約してる炎の主霊が、何かあった時の為に契約者を守ろうと背後から顔を覗かせている。

 多分、エンバーが言うことを聞かずにこのまま居座ろうとした時。

 妖精同士で話をつけさせるつもりなのだろう。

 風に関係する妖精のエンバーは紫に近い色の小人のような形態をしている。

 先生の妖精は朱色のトカゲのような形態をしている。

 妖精は人型だけでなく、トカゲ、蝶々、鳥、魚、狼などさまざまな形態でこの世に存在している。

 私たちは誰でも妖精が見えるし、彼らと契約を交わすことで少しだけ魔法を使うことが出来る。

 でもそれは、例えば水に関係する妖精と契約すれば雨が降る時間を少しだけ早めたり。

 その程度の奇跡しか起こせないのだけど。

 同じような系統の契約を済ませた能力者と呼ばれる存在が集まると、天候を操作することも可能となる。

 ただ、能力者になりたいと思う人間が多いかというとそうでもない。

 魔族ははるか太古の昔から存在していて、伝承や神話にもその名を残してきた。

 でも、誰にでも視えて交流できるようになったのはここ数十年の話だからだ。

 富士山が噴火し、異世界とその場所を交換したのが半世紀ほど前のこと。

 あちらとこちらの出入口が開き、世界の法則が少しだけ緩くなった。

 それまで見えていなかった者たちが見えるようになり、使うことのできなかった力が使えるようになった。

 あちらの世界では普通に魔法に近い(魔法ではないが魔法のようなもの)が当たり前に使われている。

 それを、こちらの世界でも使うことができるようになった。

 世界と世界がぶつかり合い、お互いの何かが少しだけ狂ったことで富士山が噴火した。

 大異変と呼ばれるその事象以降、あちら側からの講師を招きいれて学ぼうという運動が起きた。

 魔法(便宜上そう呼ばれている)を一般に普及する試みが政府によって始められたのがそれから数年後。

 現在ではどこの地域、どこの学校でも魔法科と呼ばれる専門クラスが設けられている。

 
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