正しい魔眼の使い方

星ふくろう

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第一章 愛の奇跡

翼の欠けたラハミーム 2

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 他校はよく知らないが、常盤高校魔法科ではラハミームとフレイムスを二人一組でコンビを組ませる。

 それは教師の判断であったり、契約が済んでいるフレイムスの妖精がラハミームを選ぶこともある。

 往々にしてそのコンビは一般社会に出ても継続していくのだが、生憎と雫は妖精との契約ができていない。

 契約する(予定の)エンバーに教師が尋ねても、彼はこの子がいい、と指名はしなかった。

 仕方なく契約のできていないフレイムスの雫と。

 誰からも指名されなかったラハミームの弓羽がコンビを組むことになってほぼ一年。

 相方の遅刻は日常化してしまい、弓羽は待ちぼうけを食う日々が続いている。

 暇つぶしにと図書館で借りてきたいろいろな本を読みふける日々にもそろそろ飽きてきた頃だ。

 エンバーの声も姿形も弓羽にはわからない。

 ただ、魔眼と呼ばれる人工の妖精補足装置が瞳に反映され、それを通じて、その輪郭を捉えることが出来る程度だ。

 あとはエンバーが送ってくる思念・想念といったものを音に変換して脳に届ける機能も魔眼には備わっている。

 入校する時に国からの補助金を借りてこの魔眼を左眼に移植した。

 でも、その機能はまだまだ未熟なものばかりで時折、不具合を起こす。

 弓羽の視界や脳裏に不可思議なものを視せたり聴かせたりすることが多かった。

「この眼もいつまでもつのかな……」

 魔眼を移植したラハミームは妖精と契約したフレイムスの妖精から加護を受けてる。

 開発途上の魔眼がもたらすトラブルから身を守る。

 つまり、相棒が妖精と契約できていないラハミームの弓羽はその加護を受けることもできない。

 もし雫があと数か月で契約を果たせず魔族に狩られることになるとしたらーー

 その場には自分も居たいと弓羽は考えている。

「死ぬなら一緒がいいよねー。ねーしーちゃん」

 そんな言葉をあっさりと言えるほど、弓羽は人生を達観している。

 なぜなら、魔眼を移植したまま妖精の加護を二次的にでも受けれないラハミームも。

 おなじように魔眼のもたらす負荷により死ぬことが多い。

 移植から死を迎えるまで自由になる時間は数年とない。

 魔法科に通うラハミームもまた、生命を賭けて妖精と関わっているのだ。

「大丈夫だよ、ゆう。

 私が何とかするから……」

 雫はいつも弓羽にそう言いながら、エンバーを追いかけていく。

 自分には友人、いや相棒の命もまた預けられている。

 その現実が雫の心を日々むしばんでいることも弓羽には分かっている。

 だから待つのだ。

 雫が、あの妖精の、エンバーが言う通りの精霊使いになることを。

「大丈夫だよ、しーちゃん。

 世界をぶっ壊すのはわたしたちなんだから」

 このどうしようもない運命を与えた世界を変えてやる。

 それが、弓羽が誰にも打ち明けてない秘密の野望だった。
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