正しい魔眼の使い方

星ふくろう

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第一章 愛の奇跡

死神の来訪 1

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 4月10日。
 その日は運命の日。
 雫と弓羽が16歳を迎える日。 
 そしてーー
 悪魔が魂を刈り取りにくる日。

 9日の夜。
 意識が戻らず、自宅のベッドで寝たままの父親のそばに弓羽はいた。
 もう、何日も彼の意識は戻らない。
 弓羽には親戚はいない。
 父親と弓羽、二人だけの家族。
 病院から帰宅して、シャワーを浴びたのは何日前だっただろう?
 ずっと父親の傍らに座り込んでいたから、日数の感覚が麻痺していた。

「あー……お腹空いた。
 そうだ、血は拭いたけど。
 ゴミ出さなきゃ‥‥‥。
 学校ーー。
 もういいや‥‥‥」

 あれから。
 父親が倒れて、弓羽は学校を無断で休んだ。
 連絡ができる精神情報ではなかった。
 心配した雫が、毎日来て何か世話を焼いてくれている。
 ごはんを作ってくれたり、これまで一度もなかった一緒にお風呂に入ったり。
 夜は帰っていくけど。
 何時間かだけでもいてくれたその心遣い、それが嬉しかった。
 
 精霊や妖精は血が嫌いらしい。
 エンバーは契約したら精霊使いになれるよーー
 なんて言葉巧みに雫を誘ったくせに‥‥‥

「なんだ、あいつ。
 あたしたちで遊びたかっただけなんだね‥‥‥」
 
 昨夜。
 ねえ、キスしてよしーちゃん、一緒にお風呂入ってよしーちゃん、一緒に寝ようよしーちゃん。
 弓羽は雫に甘え倒してみた。初めてて、最後の肌も合わせた。
 二人はまるで恋人のように、互いを求めあって‥‥‥
 そして、10日。
 今朝、雫は朝になると出て行った。

「弓羽、大丈夫じゃないかもしんない。
 でも、あのバカ。
 今日こそはーー!!!」

 疲れ果てた顔をして、相棒は、弓羽の最愛の女性はそう宣言し出て行った。
 お互いに、今日、死んでしまうとわかっているのに。
 最後まで、雫は諦めてないよだった。

「ごめんね、しーちゃん。
 最後に弓羽のわがままだけ、聞かせちゃった。
 ねえ、お父さん‥‥‥」
 
 弓羽に、彼が見えたのはその時だった。
 何も語ってくれない父親の傍に、そっと近寄る黒い影。
 今回は、一人の男性だけ。
 黒い影絵の彼は静かに室内にやってきた。
 父親に丁寧に帽子を脱いで挨拶をするとーー
 彼は静かに、弓羽の父親に向かって手を差し出した。
 
 あっー!!!??
 心の中で弓羽、は叫んだ。
 父親の体内から、光が抜け出ようとしている。

「だめっ!?」

 慌てて、黒い影が父親の体に差し出したその手を、弓羽は払いのけようとする。
 触れれないものと理解していたけど。
 咄嗟にしてしまった行動。
 そしてーー

「え、なん‥‥‥で???」

 弓羽の手は、彼の‥‥‥黒い影の手を払いのけていた。
 弓羽は驚き、そして恐怖で部屋の隅に後ずさる。
 驚いていたのは、黒い影。
 死神もまた、一緒だった。
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