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二人の聖女
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「ちょっ!?
あなた、ちょっと!!!
そこの衛兵!!!
その侍女を止めなさいーーーー!!!」
ヤバっ!?
バレたかーー!!!
待てと言われて待つばかはいない。
シェリルは平伏したままの臣下たちの間を脱兎のごとく走り抜ける。
わたしってこんなに体力あったんだ!?
貴族の子女なんて、よほどのことがない限り城や屋敷から出して貰えない。
だから比較する相手もいないわけであり普段から剣術や体術の、『人間以外』。
そんな存在と練習をしていたから、自分がどの程度のレベルにいるかすらわからない。
「誰が待つもんですか!!!
わたしの主神は大地母神様なの!!
月の女神の巫女なんてなった日には‥‥‥」
王国の裏にある黒い噂。
大地母神の信徒は闇から闇へと消されてしまうという。
城で子供の頃から付き合いのある夢魔だの、デュラハンだの妖精たちだの。
そんなものたちが色々と教えてくれる噂がシェリルの脳裏を駆け巡っていた。
「まだ、死にたくない!!!」
シェリルのその叫びはある意味、正解だった。
神殿の階段を数段飛ばしに飛び降りると辺りを見渡してみる。
馬!?
馬車なんでもいいわ、何かない!?
数十台も列をなしてならんでいる馬車群の一番後ろなんて要はない。
一番前、最前列。
ああ、めんどくさい。
御者が文句を言うなら蹴とばすか、殴り倒そう!
そう決めて最前列にいる、どこかで見かけたような馬車に目が行く。
あれだ、四頭立て!!
あれならここにいるどの馬車よりも早い‥‥‥問題はー
「御者がいないじゃないの!!!」
もちろん、シェリルに馬車の扱いなんて分かる訳がない。
馬には乗れる、しかしー
「馬車の扱いなんて知らないわ。
侯爵家の令嬢なのに馬車にも満足に乗れなかったんだもの‥‥‥」
どうしよう、このままだと連れ戻されそうだ。
背後を振り返るとワラワラとアリの子のように衛士たちが神殿の入り口から沸いて出てくるのが見えた。
「あの女‥‥‥あの王女が余計な指示出すから!!」
あーもう、どうしよう。
こんなことならアレクでも連れてくればよかった。
ああ、無理だ。
ブラックドッグは深夜にしかこの世に出てこれないんだった。
落ち着け、わたしっ!!
あーもうどうすればいいのよーーー!!!
シェリルが一人頭を抱えてじたばたと悩んでいた時だ。
その四頭立ての馬車に近づいてくる人影が一つ。
わざとらしく足音を立てて近付いてくるから、より一層怪しさが増して耳に入ってきた。
「誰!?」
振り返ると見覚えのある人物だ。
「よおー?
逃げないのか?
そんな、ヒラヒラの薄布一枚で走り回って。
神殿内の人間が平伏してたからいいものの」
なかなかいい光景だな、その身体は?
そう言い、彼は上着を脱ぐとシェリルに向かい放り投げた。
あなた、ちょっと!!!
そこの衛兵!!!
その侍女を止めなさいーーーー!!!」
ヤバっ!?
バレたかーー!!!
待てと言われて待つばかはいない。
シェリルは平伏したままの臣下たちの間を脱兎のごとく走り抜ける。
わたしってこんなに体力あったんだ!?
貴族の子女なんて、よほどのことがない限り城や屋敷から出して貰えない。
だから比較する相手もいないわけであり普段から剣術や体術の、『人間以外』。
そんな存在と練習をしていたから、自分がどの程度のレベルにいるかすらわからない。
「誰が待つもんですか!!!
わたしの主神は大地母神様なの!!
月の女神の巫女なんてなった日には‥‥‥」
王国の裏にある黒い噂。
大地母神の信徒は闇から闇へと消されてしまうという。
城で子供の頃から付き合いのある夢魔だの、デュラハンだの妖精たちだの。
そんなものたちが色々と教えてくれる噂がシェリルの脳裏を駆け巡っていた。
「まだ、死にたくない!!!」
シェリルのその叫びはある意味、正解だった。
神殿の階段を数段飛ばしに飛び降りると辺りを見渡してみる。
馬!?
馬車なんでもいいわ、何かない!?
数十台も列をなしてならんでいる馬車群の一番後ろなんて要はない。
一番前、最前列。
ああ、めんどくさい。
御者が文句を言うなら蹴とばすか、殴り倒そう!
そう決めて最前列にいる、どこかで見かけたような馬車に目が行く。
あれだ、四頭立て!!
あれならここにいるどの馬車よりも早い‥‥‥問題はー
「御者がいないじゃないの!!!」
もちろん、シェリルに馬車の扱いなんて分かる訳がない。
馬には乗れる、しかしー
「馬車の扱いなんて知らないわ。
侯爵家の令嬢なのに馬車にも満足に乗れなかったんだもの‥‥‥」
どうしよう、このままだと連れ戻されそうだ。
背後を振り返るとワラワラとアリの子のように衛士たちが神殿の入り口から沸いて出てくるのが見えた。
「あの女‥‥‥あの王女が余計な指示出すから!!」
あーもう、どうしよう。
こんなことならアレクでも連れてくればよかった。
ああ、無理だ。
ブラックドッグは深夜にしかこの世に出てこれないんだった。
落ち着け、わたしっ!!
あーもうどうすればいいのよーーー!!!
シェリルが一人頭を抱えてじたばたと悩んでいた時だ。
その四頭立ての馬車に近づいてくる人影が一つ。
わざとらしく足音を立てて近付いてくるから、より一層怪しさが増して耳に入ってきた。
「誰!?」
振り返ると見覚えのある人物だ。
「よおー?
逃げないのか?
そんな、ヒラヒラの薄布一枚で走り回って。
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なかなかいい光景だな、その身体は?
そう言い、彼は上着を脱ぐとシェリルに向かい放り投げた。
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